報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「沈没船を捜索せよ」 2

2018-10-31 19:23:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月5日10:30.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 高橋:「金庫があっただろ。部屋ん中に」
 高野:「セーフティボックスね。でも結局、使わなかったじゃない」
 愛原:「うーん……あったかなぁ……」
 高橋:「先生、記憶が?」
 愛原:「いや……ダメだな」

 私達のやり取りを見て善場氏が大きく頷いた。

 善場:「そうなんですよ。あのセーフティボックスがミソなんです」
 高野:「えっ?」
 善場:「あの中には、ある物が隠されていたんですよ。それを愛原さん達が発見し、回収したものだとテロ組織は見たようですね」
 高野:「結局使わなかったから、あの金庫は開けませんでしたよ?」
 善場:「それが誤算だったんです。テロ組織にとっても、私達にとっても」
 高橋:「海の藻屑になっちまったからな。そう簡単に見つかるもんか?」
 善場:「それをやってみたいと思うんですよ。とにかく、御協力感謝します」
 愛原:「ある物って何ですか?」
 善場:「鍵です」
 愛原:「鍵!?」
 高野:「私達にそれを渡そうとした『リサ・トレヴァー』は、私達に何を望んでいたのかしら?」
 善場:「それはまだ調査中です」
 愛原:「あの、善場さん。もしかして、私達もその沈没船探索について来いというんじゃ?」
 善場:「それはこちらにお任せください。ただ、その後の探索結果によっては更なるご協力を要請するかもしれません」
 愛原:「更なる協力?」
 高橋:「先生をコキ使おうとはいい度胸だな?」
 善場:「もちろん、報酬はお支払い致します」

 善場は席を立った。
 入口まで見送る私達。
 事務所の外の共用廊下には、善場氏の部下と思しき黒服が警備に当たっていた。
 すぐにエレベーターが呼び出され、それで下りて行った。
 再び事務所に戻り、そこから通りに面した窓から下を見ると、シルバーのミニバンに乗り込む善場氏らの姿があった。
 多分あの車の窓ガラスは防弾仕様になっているのだろう。

 愛原:「くそっ、何だか俺だけが除け者だな」
 高野:「先生は記憶を無くされているのだから、仕方ありませんよ」

 高野君は応接室の片付けを始めた。

 愛原:「それにしても、リサって2人以上いたんだな?」
 高橋:「2番だか4番だか呼ばれてましたからね。何だかんだ言って量産されたのかもしれないですね」
 愛原:「マジか。マグナムも効かないBOWがウジャウジャと……」
 高橋:「大丈夫ですよ。俺がボコボコにボコしてみせます!」

 いや、だからボコボコにボコしてもすぐに何度でも復活してくるから厄介なBOWだなと言っているのだが……。
 私が聞いたアメリカのオリジナル版は動きが遅いそうだが、私が世話している日本人版のリサは運動神経も抜群だという。

 高橋:「それにしてもあの女、俺達を上手いこと利用する気満々ですよ」
 愛原:「善場さん達は、うちの事務所のクライアントさんのようなものだからしょうがない」

 実際、報酬はもらっているわけだし。
 そのうち、また命懸けの依頼でも来るのだろうな。
 私立探偵は民間人だから、お役所の民間委託というロクでもない……ゲフンゲフン。

[同日15:00.天候:晴 東京墨田区某所 学校法人『東京中央学園』墨田中学校]

 全ての授業が終わり、リサは同じ班のクラスメートと共に教室の掃除をやっていた。

 斉藤:「……それで、ゴミを集め終わったら、これをゴミ集積場に持って行くの」
 リサ:「ふんふん」

 斉藤絵恋はリサに付きっ切りで、教室掃除の仕方を教えていた。
 リサはBOWに改造される前の記憶がほとんど無い。
 その為、小学校の時の記憶が無いのである。
 因みに知識や知能は研究所にいた時に、一通り付けられたらしい。
 BOW改造のせいなのか、或いは元々そうだったのか、知能指数はずば抜けて高く、一度見聞きしたものを全て簡単に覚えてしまえる特長があった。

 斉藤:「今日は週末だからゴミが溜まってて、1番重いから気をつけてね」
 リサ:「うん、分かった」

 そのやり取りを見ていた他のクラスメート達は……。

 男子生徒A:(きっと、『アンタは新入りなんだからゴミ運びは全部あなたがやるのよ!』とか言うな、きっと)
 男子生徒B:(教えるだけ教えて、『あとは全部やっといて』とか言うパティーン……)
 女子生徒A:(絶対後で愛原さんに押し付けて帰るつもりね)
 女子生徒B:(愛原さん、また泣いちゃうよ。そしたら、さすがに今度は斉藤さんにガツンと言ってやろう)

 などと、けして斉藤に良いイメージを持っていなかった。

 斉藤:「それじゃ……」

 斉藤の説明が終わり、教室内にいたクラスメート達が身構えた。

 斉藤:「一緒に行きましょう。今度はゴミ集積場の場所を教えてあげる」
 リサ:「うん」

 ザワッ……!

 斉藤:「ん?なに?……あ、そうそう。1つは私が持つね」
 リサ:「うん」

 ザワザワ!ザワザワ!

 斉藤:「な、なに?急に騒がしくなったわねぇ……」
 リサ:「知らない。全然知らない」

 斉藤とリサはゴミ袋を手に、教室を出て行った。

 男子生徒A:「お、おい!今の見たか!?」
 男子生徒B:「見た見た!新たな『学校の怪談』の始まりだぜ!?」
 女子生徒A:「うそ……あの斉藤さんが?」
 女子生徒B:「真面目にゴミ袋を持って行ってる!?」
 男子生徒C:「明日、雪降るんじゃね?」
 女子生徒C:「そ、そういえばまた台風が発生したなんて予報があったような気が……」
 男子生徒D:「その台風、東京に直撃たぜ、きっと」

 クラスメート達の噂をよそに、リサにベッタリくっつくようにして廊下を歩く斉藤。

 斉藤:「リサさん、この私が一緒に行ってあげてるんだから感謝しなさいよ」
 リサ:「うん、ありがとう、サイトー。優しい」
 斉藤:(も、萌ぇぇぇぇぇぇっ!)

 と、一瞬悶絶しかかる斉藤。

 斉藤:「あ、ここよ、ここ」
 リサ:「焼却炉?」
 斉藤:「昔はね。だけど、環境問題がどうとかで、だいぶ昔に使われなくなったらしいの。今は単なるゴミ集積場よ」
 リサ:「ふーん……」

 リサはジッと焼却炉の方を見つめていた。

 斉藤:「どうかしたの?そんなに珍しい?リサさんの中学……あ、いや、霧生市のバイオハザードで大怪我をして、ずっと入院してたんだよね。ゴメンね」

 リサは霧生市のバイオハザードに巻き込まれ、大怪我したのとウィルスの治療の為に長期間入院していたという説明がこの学校ではされている。

 リサ:(何かいる?気のせい?)
 斉藤:「さ、早いとこ教室に戻ろう。ここ、あんまり気持ちのいい所じゃないし」
 リサ:「うん」

 リサ達はゴミ袋を集積場の前に置くと、その足で教室に戻った。
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“私立探偵 愛原学” 「沈没船を捜索せよ」

2018-10-31 10:17:00 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月1日06:02.天候:曇 太平洋上 豪華客船“顕正”号船内]

〔自爆装置、第2フェーズに入りました。あと5分で自爆します。船内の皆様は、直ちに船外へ避難してください。繰り返します。……〕

 高野:「マサ、早くこっちへ!」
 高橋:「分かってるって!こっちは先生を担いでるんだからよォ!」

 あっちこっちで小爆発を起こす豪華客船“顕正”号。
 生き残っている乗客は、既に愛原学探偵事務所の面々だけとなってしまった。
 そして今、正体を知らぬ黒幕が高笑いをしながら船の自爆装置を作動させ、生き残った愛原達をも海の藻屑にせんとしていた。
 サイドデッキを通ってヘリポートのある船橋甲板へ向かう3人。
 愛原を頭を打って意識を無くしており、高橋が愛原を担いでいた。
 船は船尾を下にしてどんどん沈んで行く。
 船橋甲板へ向かうには、急坂と化したデッキを通らなくてはならなかった。
 小爆発と共に船の設備や荷物が愛原達目掛けて飛んで来る。
 この時点で既にゾンビ達はいなくなっていた。
 高橋達が粗方倒したからなのか、或いはこの小爆発に巻き込まれて死んだのかもしれない。
 そう言えば船底から上がって来る最中にも、それと思われるゾンビ達の死体が転がっていた。
 それでも生き残った者達は、這いずってでも愛原達に襲い掛かろうとしていたが。

 高野:「ヘリが!」

 デッキの横をBSAAのヘリが掠め通って行く。
 どうやら先にヘリポートで待っているということらしい。

 高橋:「船の傾き、パねぇ!」
 高野:「急ぐのよ!」

 だが、船橋甲板に出る出入口の前には……。

 サスペンデッド:「逃ィがさなぁぁぁぁぁぁい!」
 高橋:「うおっ、逆さ女!?」
 高野:「大山寺にいたヤツと同じだね!」

 リッカーの上位種である。
 リッカーが既に生前どんな人間か(男か女か)が分からないくらい化け物と化しているのに対し、サスペンデットはまだ辛うじて人間の原型を保っているせいか、それが分かる。
 どうもサスペンデッドは、女がなるものらしい。

 高野:「てか、“学校であった怖い話”じゃないんだから!」
 高橋:「うっせ!このクソ女、ジャマするならぶっ殺す!」

 高橋は愛原を担いだままハンドガンを向けた。
 しかし、デッキの横にある船室の窓ガラスをブチ破って、リッカーも数匹飛び出してきた。

 高野:「どうやらここがラスボス戦らしいよ?」
 高橋:「へっ、ゲームなら船橋甲板辺りになるのによォ!」
 サスペンデッド:「殺すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
 高野:「せっかちは嫌われるよ!」
 高橋:「しつこいヤツもな!」

 高野はショットガンを構え、高橋はハンドガンを構えた。

[10月5日10:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は日本政府エージェントの善場さん達がやってきた。
 リサの様子を見に来たのかと思ったが、この時間帯、リサは学校に行っている。
 どうやら、リサではなく私達に用事があるようだ。
 実際そうで、高野君や高橋君から豪華客船“顕正”号であったことを教えて欲しいということだった。
 これは私も詳しくは聞いていなかった。
 いや、1度だけは聞いたか。
 それでも私の失った記憶が戻ることはなかった。
 まるで高野君達が巧妙な作り話をしている。
 そんな感じに聞こえただけだった。

 高野:「……こうして私達は辛うじてサスペンデッドやリッカー達を倒し、ヘリコプターに乗って辛うじて脱出したんです。その直後、船は大爆発を起こして海の底へ沈んで行きました」
 善場:「なるほど。そういうことでしたか」

 善場氏は大きく頷いた。

 愛原:「大丈夫ですか?私はこの2人の話を聞くのは2度目ですが、やっぱり思い出せないんです」
 善場:「思い出せないのは当然でしょう。あなたは後半、意識を失っておられたのですから」
 愛原:「いや、バイオハザードが起こる前の記憶とか、それすらも無いんですよ」
 善場:「私が高橋さんと高野さんから話を伺いたかったのは、ある物の存在について知りたかったのです」
 愛原:「ある物?」
 善場:「愛原さん、あの船に乗り込む前、カードキーのようなものを送り付けられたそうですね?あの船で使う物だということで……」
 愛原:「あ、はい。そうです。リサが送ってきたらしいんですが、当のリサは知らないらしいんですよ」
 善場:「恐らく、今学校に行ってる『リサ・トレヴァー』ではないでしょうね」
 愛原:「確かに仙台の廃校地下の研究所には、もう1人いましたね」

 私達はさっさと脱出してしまったが、最終形態にまで変化した『もう1人のリサ・トレヴァー』は最終的にBSAAに倒された。

 善場:「私達が欲しいのは、そのカードキーなんですよ」
 愛原:「はあ!……って、どこにあるんだ?」
 高野:「ああ、それなら金庫にしまってありますよ」
 愛原:「あるんかい!BSAAに渡さなかったの?」
 高野:「別に、善場さんみたいに『くれ』とは言われませんでしたから」

 そういうものか。
 高野君は一旦席を外して応接室から退出すると、すぐに戻ってきた。

 高野:「これですね」

 高野君は茶封筒に入ったカードキーを持って来た。

 善場:「拝見します」

 善場氏は茶封筒の中に入っている黄色いカードを取り出した。
 ああ、うん。あれは覚えてる。
 やはり私は船に乗ってからの記憶が無いようだ。

 愛原:「しかし善場さん、もう既に海の藻屑と化した船で使われていたカードキーなんて、使い道あるんですか?」
 善場:「それがあるんですよ」
 愛原:「ええっ?」
 善場:「確かに船そのものは海の底に沈んでしまいましたが、存在自体が無くなったわけではありません」
 愛原:「はあ……」
 善場:「私達はこれから、BSAAと合同であの船の探索をしようというのですよ」
 愛原:「ええっ!?」
 高橋:「沈没船を探索するのか!」
 善場:「はい。事前の調査ですと、あんな状態になってもまだ船内の一部の電力は生き残っているそうです」
 愛原:「マジですか!?」
 善場:「ということは、こういうカードキーで開くドアとか、仕掛けとかある可能性もあるわけですよ」
 愛原:「うーむ……」
 善場:「あとは高野さん、あの当時宿泊していた部屋について教えてください」
 高野:「部屋ですか?えーと……」

 豪華客船に相応しく、全室がスイートルームである。
 客室内は更に2部屋に分かれていたので、高野君の部屋と私と高橋君の部屋で分けるといった部屋割りをしたそうだ。

 高野:「確かにそのカードキーで、部屋のドアのロックを解除していましたね」
 善場:「それだけですか?他に室内でこのカードキーを使う場面とかありませんでしたか?」
 高野:「んーと……」
 高橋:「ああ、アネゴ。あれだよ、あれ」
 高野:「え?」

 高橋は何か思い出したようだ。
 本来、電気錠となっている部屋のドアロックを解除する為のカードキー。
 室内には他に使い道があったらしい。
 それは何だったと思う?

 1:バスルームのドア
 2:セーフティボックス
 3:テレビの有料チャンネル
 4:見当もつかない
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神奈川は バス乗り趣味も 命懸け

2018-10-29 19:14:09 | 日記
路線バス追突事故 運転手が直前に意識失ったか 横浜

 久しぶりに時事ニュースからの更新である。
 せっかくなので、このネタをリンク先の“バスターミナルなブログ”様にも振らせて頂いた。
 先方は当方と違い、管理人様による承認制なので、反映されるまで多少のブランクを必要とする。
 もちろんそれは先方様の方針なので、それにとやかく言うつもりはない。
 が、基本的に当方では自由制としたい。
 というのは、自分がコメント投稿者になってみて思ったのだが、承認制だと投稿後、投稿内容が確認できないというデメリットがあるからだ。
 それと、ここを交流の場としたいというのもある。
 多分、承認制にされるのは私と違って、折に触れ機に触れ、高頻度でコメントを確認できないからだと思われる。
 もし荒らしが来た場合、即座に対応できないというのもあるだろう。
 事実、“バスターミナルなブログ”様も過去ログを閲覧させて頂くと、昔は荒らしに悩まされていたことが読み取れる。
 あくまでも先方では、私も一バスファンとしての立場だ。
 日蓮正宗信徒しての立場ではない。

 尚、バスファンとしてはどうしてもバスの乗車位置は最前席であることが多い。
 前扉直後の席など、「展望席(笑)」と称しているほどだ。
 因みに国際興業バスの一部や、バス会社例外無く構造上、最新式のいすゞ・エルガまたは日野・ブルーリボンにおいては、この展望席を廃止して荷物置き場にしていることが多い。
 で、この席は衝突事故発生時の死亡フラグ。
 一般路線バスに限らず、高速バスや観光バスにおいても。
 普通自動車だって、助手席が一番危険な席だと言われているでしょう?あれと同じ。
 その危険を冒しても、展望席に座るのがバスヲタ根性というものだ。
 因みに私の場合、シートベルトのある高速バスや観光バス以外は展望席に座らない。
 やっぱり命あっての物種というからね。
 “バスターミナルなブログ”様の住人の皆様からは、「根性無し!」の謗りを受けることは覚悟だ。
 じゃあ、どこに座るのかというと、運転席の後ろを私は狙っていた。
 このブログでも、確か都営バスに乗った時のレポでそんなことを書いたような気がする。
 ところが、だ。
 冒頭の記事には、こんなことが書いてあった。

>死亡した乗客の男性は、バスの運転席の真後ろに座っていた

 「運転席の真後ろに座っていた」

 おおーい!一番安全なはずの席で、唯一の死亡者かよ!?
 実は“バスターミナルなブログ”様で、「私は一番安全な運転席の真後ろを狙って乗っています」とドヤ顔をしてコメした後、この続報である。
 もしかして、この死んだ兄ちゃんも私と同じ考えでそこに座っていたのかもな。
 だとしたら、浮かばれないぞ。
 いやいや、本当に恥ずかしいコメントをしてしまったものだ。

 とにかくバス会社には事故原因の究明を早急且つ確実にしてもらって、事故再発防止に念を入れて頂きたいものである。
 尚、私がいつも富士急静岡バス“ヤキソバエクスプレス”に乗ろうとする度、漏れなく1A席(前扉直後の展望席)が宛がわれる。
 別に狙っているわけではないのだが、これは何を意味しているのだろうか。

 乗りバスも命懸けの趣味になってしまった。
 実に世知辛いものだ。
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漂流豪華客船の沈没

2018-10-28 20:12:33 | 日記
 トチロ〜さんより、“あっつぁの顕正会体験記”ついに消滅とのコメントがあった。
 私は予てより件のブログを大型豪華客船に見立てていた。
 それはブログへの来訪者数が正しくそれの乗客数に相応しい数であり、管理人も副担当も含めれば数多い、つまり豪華客船の船員とも見紛うべき体制であったからだ。
 そして、私もそこの豪華客船の乗客の1人だったのである。

 そこで初めてお会いしたポテンヒットさんは、乗客のようで乗客ではない、しかし航海士のような船員ともまた違う。
 恐らく、豪華客船内ではエンターテイメント部門に所属する船会社の社員的な存在であったと思われる。
 そう、正に豪華客船内で毎夜毎夜繰り広げられるカジノやエンターテイメントのスタッフに相応しい御人であった。
 因みに山門入り口さんは失礼ながら、同航路を航海する貨物船の船長といった感じである。
 ページの分け方が船室というより、貨物室の区画といった感じに見えたからだ。
 私の作品ではクイーン・アッツァー号とは同型の姉妹船、スターオーシャン号の船長サンモンド・ゲートウェイズのモデルとして登場して頂いたが。

 どうして鉄ヲタ兼バスファンの私が、専門外の船舶に例えたか。
 別に、船が嫌いってわけではないからだ。
 そもそも鉄道の世界だって連絡船が運航されているくらいなのだから、けして無縁ではないのだ。
 日本だと宮島航路がそうだし、外国船だと博多港から韓国・釜山港へ向かうJR九州高速船(JR九州100%出資の子会社)なるものまである。
 昔は青函連絡船とかもそうだ。
 尚、私が鉄道連絡船と誤解していた東京湾フェリーは違った。
 あれは国道16号線を辿る、海上国道だった。

 実はカプコン不朽の名作“バイオハザードリベレーションズ”に、船内で発生したバイオハザードにより、船員達がクリーチャー化するという設定がある。
 あとは“エコーナイト”に、乗員乗客全員が死亡して幽霊や悪霊になり、主人公の供養(一部の悪霊は強制堕獄)を待っているというものとか。
 そういうのにハマっていたこともあり、“あっつぁの顕正会体験記”が、まるで船内にバイオハザードが発生して、クリーチャーの巣窟と化した幽霊船のようだと思い、『漂流し、幽霊船と化した豪華客船“クイーン・アッツァー”号』というネタを思いついた次第である。
 因みにこれを小説化したものが、“大魔道師の弟子”で公開されている。
 当作品では“バイオハザードリベレーションズ”のクイーン・ゼノビア号と“エコーナイト”のオルフェウス号を足して2で割った設計にし、稲生勇太やマリアを駆けずり回らせている。
 尚、作者本人は豪華客船への乗船経験は無い。
 大きな船でも、せいぜい東京湾フェリーや佐渡汽船なくらいだ。
 せめて、商船三井フェリーくらい乗れればいいのだが。
 それと、調べればすぐに分かるが、クイーン・ゼノビア号は黒幕の策略のせいで最後には沈没する。
 船内の自爆装置が働いて。
 なので主人公のジル・バレンタイン達は、自爆装置の作動しているゼノビア号から、彼女らの行方を掴んで迎えに来たBSAAのヘリに乗って脱出することになる。
 自爆装置の働く最中、それに巻き込まれないように脱出するという流れはバイオハザード鉄板のネタですな。
 もちろん、“大魔道師の弟子”や、船ではなく研究所ではあるが、“私立探偵 愛原学”でも使わせて頂きました。

 今回のクイーン・アッツァー号……もとい、あっつぁブログもまた自爆装置が働いて沈没したと思われるが、そこにいたクリーチャー達は諸共ネットの海の藻屑か。
 ポテンヒットさんは御自分の船室から貨物室から、保管していたものを全て持ち出されたようだが。

 取りあえず、心残りとしては「名無しのリスナー」という名のゾンビ達を倒し切れなかったことだ。
 あと、

「ユタ、てめぇいい加減に消えろよ!」

 と言ったヤツ、必ず特定して冬の潤井川に投げ込んでやる。覚悟しとけ。

 は?謗法?知らねーよ、ボケ。
 先に謗法したのはどっちだ?
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“私立探偵 愛原学” 「リサの入学」 2

2018-10-27 20:30:49 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月1日15:00.天候:晴 東京都墨田区某所 東京中央学園墨田中学校]

 私の名前は愛原学。
 都内の探t……って、コラ!高橋、何をする!?マイクを返せ!

 先生は今、総会中なんですからナレーションも俺に任せてください。
 あー、ヘイ!ヘイヘイ!ヘイ!……音声よし!
 俺の名前は高橋正義。
 事務所は小さいが腕前は日本一の名探偵、愛原学大先生の元で忠実な弟子として働いている。
 先生はいずれ世界一の名探偵になることが約束されており、その一番弟子として働けることに至上の喜びを感じているところであり、正にそんな俺は幸せ者と言わずして何であろうか。
 仏法やって功徳〜〜〜〜!などとやらなくても、幸せは必ず掴み取れるものである。
 しかして、俺のこの幸せは何事にも代えがたいものであり、俺は先生への愛を……。

 雲羽:「カット!カット!何でナレーション、オマエがやるんだよ!?」
 多摩:「台本と全然違うこと言ってるし……」
 雲羽:「基本的には愛原の一人称なんだからね!?愛原が不在の時はナレーションは三人称!分かった?」
 多摩:「つまり雲羽がやるってこった」
 高橋:「ちっ……」
 愛原:「だから言わんこっちゃない……」
 AD:「じゃあ、テイク2いきまーす!」
 雲羽:「レディ?」
 AD:「ロール(カメラ回せ)!」
 雲羽:「5、4、3、2……」

 カチン!🎬

 雲羽:「アクション!」

 全ての授業が終わり、掃除係以外の生徒達は帰り支度を始めた。
 だが、そこへリサに詰め寄る者がいた。

 斉藤絵恋:「愛原さん、ちょっといい!?」

 同じクラスメートの女子で、斉藤絵恋(えれん)という。
 真ん中分けしたセミロングの髪が特徴だが、おでこが広めなのと、色艶が良いのか、おでこが光に反射している。

 リサ:「なに?」
 斉藤:「転校生のくせに初日から目立ち過ぎじゃない!?」
 リサ:「目立ってる?」
 斉藤:「目立ってるわ!もう可愛過ぎて抱きしめたいくらい!」
 男子生徒A:「うわ、また始まった。女王様気取りの斉藤w」
 男子生徒B:「こいつ、小学校の時から下級生潰しやってたからよーwww」
 斉藤:「分かりやすい説明ありがとう。……じゃないわよ!お黙りなさい!!」

 斉藤、おでこの反射を利用し、男子2人にサーチライトの如く目くらましを行う。

 リサ:「そんなに悪いことした?」
 斉藤:「したわよ!」
 リサ:「そう……」
 女子生徒A:「愛原さん、気にすることないよ。斉藤さんは、ただ自分が気に入らない人に突っかかるだけだから」
 女子生徒B:「そうそう。ズルいし汚いし、自分の負けは絶対に認めない底意地の悪い性格」
 斉藤:「そこもうるさい!」
 リサ:「謝ればいい?」
 斉藤:「ゴメンで済めばケーサツは要らないわ!」

 その様子を再びマンションの屋上で監視している高橋。
 尚、管理人はまだ気絶している。

 高橋:「おおっ、やっぱケンカ始まったかー。だけど、真正面から来やがったな、あの女。フツー、便所か体育館裏に連れ込んで何やかんやインネン付けてボコボコにボコすもんじゃねーのか?……まあいいや。真正面から来た、その気概だけは認めてやるぜ」

 で、高橋、もう1つ気づく。

 高橋:「ケンカ売って来たのはあの女1人か?フツー、女の場合は何人かグループ組んで、そんで取り囲んで何やかんやインネン付けるんじゃねーかと思うんだが……。時代が変わったのか?いや、それとも……」

 斉藤:「さあ、勝負よ!腕っぷしでも比べる!?こう見えても私、小学校の時は空手大会で優……しょ……」

 斉藤が最後まで言い切らなかったのは、リサが泣き出したからだった。

 男子生徒C:「あーあ、泣ーかしたー、泣ーかしたー」
 男子生徒D:「センセー、イジメでーす。斉藤が転校生イジめて泣かせましたー」
 女子生徒C:「ちょっと斉藤さん、何やってんの!?」
 斉藤:「はわわわ……!!」
 リサ:「グスン……。わたし……みんなと仲良くしたい……。クスンクスン……」
 斉藤:「ちちち、違うのよ、愛原さん!わわわ、私、ああ、あなたと仲良くなりたくて……!ほ、ほら、飴あげるから泣かないで!」
 男子生徒E:「あーっ、学校にそんなもん持って来んなよー!」
 斉藤:「お黙んなさい!!」

 斉藤、サーチライト(おでこビーム)を男子生徒Eに照射した。

 男子生徒E:「うおっ、まぶしっ!」

[同日15:30.天候:晴 東京都墨田区菊川]

 帰宅の途に就くリサと高橋。

 高橋:「しっかし、随分と個性的な奴らが勢ぞろいだな。それとも、あれがフツーで俺が中学校ん時が変だったのか?まあ、よく分かんねーや」
 リサ:「うん、うん」

 リサは口の中に斉藤からもらった飴を転がしながら頷いた。

 高橋:「しかしまあ、ウソ泣きとはオマエもなかなかやるな」
 リサ:「ありがとう、お兄ちゃん」
 高橋:「あの場合だけは、クソ生意気なヤツを薙ぎ払っても良かったんだぜ?」
 リサ:「別にいい。気にしてない」
 高橋:「ふーん……。それにしてもまあ、何で学校なんて行きたいって思ったんだ?」
 リサ:「見てて楽しそうだったから」
 高橋:「楽しくないことも多々あるぞ?」
 リサ:「それでもいい」
 高橋:「うーん……」

[同日18:00.天候:晴 愛原達のマンション]

 高橋:「……てなワケで、色々と大変だったんスよー」
 愛原:「そうだったのか……」

 ここからは私、愛原学のナレーションだ。
 因みに総会はあんまり面白くなかったな。
 ボスと会えるかどうか期待していたが、そんなことも無かったし。
 そんな私は夕食を囲みながら、高橋から成果報告を聞いていた。

 愛原:「でも一応は上手く行ったんだ」
 高橋:「俺のサポートのおかげです」
 愛原:「うんうん、分かった。それでリサ、どうだい?明日からも行きたいかい?」
 リサ:「うん、行きたい!」
 愛原:「そうか、分かった」
 高橋:「ここで行きたくないなんて言おうものなら、マグナムですけどね」
 愛原:「だからリサには効かないって。……じゃ、これからずっと通う決心は付いたわけだね?」
 リサ:「うん!」
 愛原:「分かった。そういうことなら……」

 私は自分の椅子の下に置いた紙袋の中からある物を取り出した。
 それはスマホ。

 愛原:「はい、これ。リサ用」
 リサ:「わたし用!?」
 愛原:「入学祝だよ。クラスメートでも持っているコ、結構いたでしょ?まあ、中学生向けだから、俺達大人用とは機能が違うけど……」
 高橋:「そうそう。それなんスけど、リサがケンカに巻き込まれそうになった時、しっかりカメラ機能にしてスマホ向けてたヤツいましたよ。最近の中坊はイヤらしいですね」
 愛原:「なるほどな。……ってか、オマエもしっかり撮影してただろうが」
 高橋:「いや、だってこれも探偵の修行の1つだって先生が……」
 愛原:「いや、いいんだけどさ」
 リサ:「愛原さん……ありがとう……」
 愛原:「いやいや。これからも学校生活頑張って」
 リサ:「うん……」
 高橋:「ってか、先生!俺には!?俺には報酬無いんスか!?」
 愛原:「うるさいなぁ。ほらよ」

 私は飲みかけの缶ビールを渡した。

 高橋:「やったっ!」

 それを喜び勇んで受け取る高橋。
 全く。チャラ男ならぬ、チョロ男め。
 ま、とにかく何とか順調に進みそうで何より。
 要はリサがBOWの力を暴走させず、無事にまずは今の中学校を卒業できればミッション完遂なわけだからな。
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