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報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「東京メトロ日比谷線」

2018-03-31 20:59:03 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月14日19:14.天候:晴 東京都中央区八丁堀 東京メトロ八丁堀駅]

〔まもなく2番線に、北千住行きが到着します〕

 平賀との夕食会を終えた敷島達は、その足で最寄りの八丁堀駅へと移動し、そこから電車で帰ることにした。

 敷島:「それにしても、エミリーが直って本当良かったよ」
 エミリー:「御心配をお掛けしました」
 アリス:「タカオ、もうそれ何度も言ってるよ」
 敷島:「いいじゃんか。南里所長の最高傑作、50億円だぞ?そう簡単に壊されてたまるかってんだ」

 因みに敷島、少しほろ酔い加減である。

〔「2番線、ご注意ください。北千住行きの到着です。黄色い点字ブロックの内側までお下がりください」〕

 エミリー:「社長、お気をつけください」
 敷島:「おっと……」

 敷島、ふらつく足取りをエミリーに支えられる。
 トンネルの向こうからやってきたのは、日比谷線最新車両の13000系。

〔足元に、ご注意ください。八丁堀、八丁堀。北千住行きです〕

 ドアが開いて電車に乗り込む。
 日曜日の夜ということもあってか、車内は空いていた。
 敷島とアリスが隣り合って座り、マルチタイプ姉妹はその前に立った。

〔2番線は、発車致します。閉まるドアに、ご注意ください。駆け込み乗車は、おやめください〕

 発車メロディが順次導入されていく中、懐かしい発車ブザーがホームに鳴り響いた。
 その後で電車は2点チャイムを3回鳴らしながらドアを閉める。
 日比谷線はツーマン運転なので、運転室から車掌の発車合図(ブザー)が鳴ったら発車だ。

〔次は茅場町、茅場町。乗り換えのご案内です。東西線は、お乗り換えください〕
〔The next station is Kayabacho.H11.Please change here for the Tozai line.〕

 アリス:「あれから黒いロボット、姿を現さないわね」
 敷島:「面倒なことになるだけだから、むしろその方がいいんだがな。それに、バージョン達よりメンド臭いとはいえ、所詮はザコ敵だ。俺が警戒しているのは、デイジーの方だ。あれは強力なんだろ?」
 アリス:「私が会った時は、フツーに強化されてたよ?一体どういうことなんだろうね」
 敷島:「うーむ……。こりゃやっぱり、もう1度アメリカに乗り込んでやる必要があるか?黒いロボットの開発をしたのはKR団かもしれないが、それを生産したのはDCIとなると……」
 アリス:「アルバートとかはケーサツに捕まったはずだけどね?」
 敷島:「アリスの祖父さんや十条の爺さんみたいに、ものの見事に脱獄したりしてな?あ?」
 アリス:「否定はできないねぇ……」

 その時、隣の車両の貫通扉が開けられた。
 そこからやってきたのは、メイド服姿のメイドロイドと杖をついた老人だった。

 メイドロイド:「どうぞ。こちらの席が空いております」
 老人:「うむ」

 メイドロイドは主人であろう老人を優先席に案内した。
 そして一般席の方にいるエミリーやシンディに気づくと、ペコリとお辞儀する。
 例えエミリーやシンディが最上位機種でメイドロイドが下位機種とはいえ、それが任務中である場合は基本的に邪魔をしないのが不文律となっている。
 だからエミリーやシンディはメイドロイドに接近せず、ただ無言で軽く挙手しただけだった。
 このような不文律を作ったのは、実はエミリーではなく、シンディであるとされる。
 東京決戦の時、暴走殺戮マルチタイプだった前期型のシンディは、下位機種のメイドロイド七海に平賀殺害の邪魔をされ、破壊してやるほどの攻撃を加えたがそれができず、ついに断念させられたというエピソードがある。
 最上位機種が下位機種に負けた瞬間であった。
 それ以来、シンディを始めとするマルチタイプ達には、相手が下位機種であってもマスターと随行中の場合は一切の邪魔をしないという不文律ができ、それはフルモデルチェンジの8号機のアルエットにも引き継がれた。
 その為、七海は他のメイドロイド達からも特別視されることがあるという。

「あのクソ化け物のような強さを誇るマルチタイプに抵抗し、それに勝った」

 ということで。

 敷島:「そもそもシステム上に問題があったんじゃないのか?性能はマルチタイプのままで、用途はメイド専用ってさ」

 敷島もそんなメイドロイドと老人の様子に気づいて、ふとそんなことをアリスに言った。

 アリス:「今更なに言ってるの。そういう注文だったんだから、しょうがないじゃない」
 敷島:「規格はメイドロイドのままで、ある程度の戦闘力を持たせた派生型ってことでも良かったじゃないか。デイジーの場合」
 アリス:「規格を変えるってことは、物凄く大変なことなの。営業さんはそこを理解して頂けませんこと?」
 敷島:「ちっ……」

 そもそもが実験体のままで生産されたマルチタイプの方がイジりやすかったらしい。
 ライセンスについても曖昧なままであったが、さすがにこれについてはDCJで持つことになった。
 エミリーとしては敷島をマスターと認知しているが、実際の登録は平賀になっているのはその為である。
 外部役員とはいえDCJの関係者であり、ライセンスを保持する側であるからだ。
 それに対し、メイドロイドは平賀が全て手掛けた為、平賀が定めた規格(平賀規格)でライセンスが取られており、それから外れることは許されなかった。
 日本企業ではなく、外資系企業が持つことになったのは些かアレであるが、経緯上仕方が無い。

[同日19:24.天候:晴 東京都台東区東上野 東京メトロ上野駅日比谷線ホーム→JR上野駅]

〔まもなく上野、上野です。足元に、ご注意ください。電車とホーム間が、広く空いている所があります。出口は、左側です〕

 電車が『東京の北の玄関口』の地下に到着する。
 なので乗降客は多い。

 敷島:「さて、降りようか」
 アリス:「OK.今度は宇都宮線ね」
 敷島:「高崎線かもしれんぞ」

 ドアが開いて、ぞろぞろと乗客が降りて行く。
 敷島達もそれに続いた。
 で、あの老人も……。

 敷島:「日比谷線乗り場からJRまでちょっと歩くんだよなぁ……」
 アリス:「東京駅の京葉線よりはマシでしょ?八丁堀駅で京葉線じゃなく、日比谷線に乗ったのはそれが理由?」
 敷島:「ま、そんな所だ」

 その時、階段に向かおうとした敷島達の背後でどよめきが起こった。

 敷島:「何だ?」

 敷島達がそこで見たものは……。
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“戦う社長の物語” 「東京へ到着」

2018-03-28 19:50:28 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月14日16:16 天候:晴 JR東北新幹線“やまびこ”214号9号車内→JR東京駅]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、東京です。東海道新幹線、東海道本線、中央線、山手線、京浜東北線、横須賀線、総武快速線と京葉線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 北からやってきた新幹線が超高層ビルの間を駆け抜ける。

 平賀:「定刻通りだったな」
 エミリー:「はい。GPSによれば、敷島社長方も定時です」
 平賀:「うん、素晴らしい」
 エミリー:「あの……まずは東京駅で落ち合うのは理解できますが、博士の宿泊先からして、ホテル内での打ち合わせは……」
 平賀:「シッ。だから、びっくりするだろうな。フフフッ( *´艸`)」

〔「長らくのご乗車お疲れさまでした。まもなく終点、東京、東京です。22番線に到着致します。お出口は、左側です。……」〕

 平賀:「それじゃ、降りる準備しようか」
 エミリー:「はい」

 エミリーは荷棚の上から平賀の荷物をヒョイと下ろした。
 多分、それとてそれなりに重い荷物なのだろうが、エミリーは涼しい顔をして、しかも一瞬片手で下ろす。

 エミリー:(すぐ近くにシンディの反応が……。そうか。やっぱり同時入線か)

 列車がホームに滑り込んだ。

〔「ご乗車ありがとうございました。東京、東京、終点です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください。22番線の電車は折り返し、16時28分発、“はやて”369号、新青森行きとなります。……」〕

 平賀とエミリーは列車を降りた。

 平賀:「JRが違うから、今やコンコースが別になっているんだ。一旦、外に出た方がいいわけだ」
 エミリー:「それで、八重洲南口で待ち合わせということされたのですか?」
 平賀:「まあ、そんなところだ」

 JR東海だと改札口を出ればすぐラチ外コンコースとなるが、JR東日本だと日本橋口を除いて、新幹線改札口を出てもそこにあるのは在来線コンコースである。
 国鉄分割民営化の時など、駅構内もJRを分けなければならなかったので相当な苦労があったことだろう。
 その為か、在来線コンコース経由で行くハメになる平賀達の方がワンテンポ遅かったようだ。

 敷島:「平賀先生!エミリー!」
 平賀:「敷島さん、よく御無事で」
 敷島:「いや〜、KR団秘密研究所は超楽勝でした」
 アリス:「ウソばっか」

 実はアリスよりも、敷島とシンディの方が苦戦していたらしい。

 敷島:「エミリー、ちゃんと直ったようだな。良かった良かった。平賀先生に感謝しろよ」
 エミリー:「はい。御心配お掛けしまして、申し訳ありませんでした」
 シンディ:「姉さんなら、そう簡単に壊れやしませんよ。あ、姉さんを助けたバージョン達には私から『御褒美』をあげといたからね」
 エミリー:「ああ、ありがとう」
 敷島:「それでは先生、ホテルへ移動しましょう。場所はどこですか?」
 平賀:「聞いて驚くなかれ」
 敷島:「!?」

[同日16:27.天候:晴 都営バス東15系統車内]

〔発車致します。お掴まりください〕

 敷島達を乗せた都営バスが東京駅八重洲口バス停を出発する。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。この都営バスは聖路加病院前、勝鬨橋南詰経由、深川車庫前行きでございます。次は通り三丁目、通り三丁目。……〕

 敷島:「まさか、駅からバスで行くような場所だったとは……」
 平賀:「連泊しますから、駅前の高級ホテルに泊まるつもりはありません。ゆったり温泉付きの所に泊まれればいいんです」
 アリス:「それとて贅沢だと思うけど……」
 敷島:「アリス!」
 平賀:「ま、そこは反論の余地は……いや、あるな!それとて、まだまだ料金は安い方だ」
 敷島:「うちの嫁がすいません」
 平賀:「とにかく、広いロビーがあるわけでも、シングルルームですから、広い部屋というわけでもないんですよ」
 敷島:「分かりました。それじゃ、後で夕食でも御一緒しながら情報交換と行きましょう」
 平賀:「吉塚広美博士の所から手に入れたものについては、DCJで調べますよ。自分じゃなくて、アリスが科学館に持って行って調べればよろしい」
 敷島:「あ、そうか」

 敷島は平賀のことばかり考えていたが、アリスとてDCJの社員なのだった。

 平賀:「自分は所詮外部役員ですから、DCJの本社ビルには出入りできても、常に研究施設に入り浸ることはできないんですよ」
 敷島:「へえ……。研究者なのにねぇ……。まあ、DCJさんの都合に私が口は出せませんが……」

[同日16:33.天候:晴 東京都中央区新川二丁目]

〔「新川二丁目です。ご乗車ありがとうございました」〕

 敷島がバス通勤していた頃に乗っていた東16系統は、月島の手前までずっと道なりに進んでいたが、東15系統は途中で右折する。
 その右折した先にあるバス停で、バスを降りた。
 バスは敷島達を降ろすと、すぐに交番の前を左折して行った。
 その先に、平賀の宿泊するホテルはある。
 因みにこのバスルート、ホテルの公式サイトにはアクセスルートとしては紹介されていない。
 その理由は不明だが、恐らくバスの本数が1時間に2〜3本程度しか無いからだろう。
 また、この新川二丁目バス停に止まるのは下り線のみで、上り線は別ルートを通るから紹介できないのかもしれない。

 平賀:「じゃあ自分、チェック・インして荷物だけ置いて来ますので」
 敷島:「分かりました」

 敷島達はロビーで待つことにした。

 敷島:「荷物だけって、その荷物が狙われたりしないかね?」
 エミリー:「平賀博士のことですから、大丈夫だとは思いますが……」
 シンディ:「私が荷物の見張りでもしてましょうか?」
 敷島:「シンディだと、平賀先生は嫌がるだろうなァ……」

 敷島は難しい顔をして、首を傾げた。

 そしてしばらくして、部屋から戻って来た平賀と共に近くの飲食店に向かうことにした。
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“戦う社長の物語” 「東京へ」

2018-03-28 10:28:41 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月14日14:00.天候:晴 静岡県富士宮市ひばりが丘 富嶽温泉“華の湯”]

 敷島:「あー、食った食った。ごっそーさんと」

 2Fのレストランを後にする敷島達。

 シンディ:「何もそんな怖がらなくていいじゃない」
 Pepper:「…………」

 シンディの女王様ぶりには、Pepper君もフリーズしかかるほどだった。

 敷島:「どれ、昼も食ったし、そろそろ帰るとするか」
 アリス:「平賀教授が東京に来るの、夕方?」
 敷島:「そうだな。だから、そろそろ俺達も新幹線に乗る必要がある」
 アリス:「分かった。じゃ、着替えましょう。……ほら、シンディ、行くよ!」
 シンディ:「はいっ!」

 シンディ、Pepper君の機嫌を直す為なのか、両手を取って持ち上げたりしていた。
 Pepper君も相当重量はあるだろうが、簡単にヒョイと持ち上げられる辺りが……。

 それから30分ほど経って、3人は温泉施設をあとにした。

[同日15:00.天候:晴 静岡県富士市 JR新富士駅]

 タクシーには飛ばしてもらって、何とか次の“こだま”が来る時間に間に合わせることができた。

 シンディ:「カードでお願いします」
 運転手:「はい」

 助手席に座っていたシンディが敷島からカードを受け取ると、それで料金を払う。
 先に降りた敷島が駅構内に入って、キップの購入に当たった。

 アリス:「来た時よりも荷物が多いね」
 シンディ:「私がお持ちします」

 アリスの私物の他に、吉塚広美の研究室やその地下にあったKR団の秘密研究所からガメてきた研究データなどが入っている。
 それ以外にも、やはりDCIの影がチラついていた痕跡もあった。

 敷島:「早くしろ!電車が来るぞ!」

 改札口付近で敷島が急かす。

 アリス:「日本人はせわしないねぇ……」
 シンディ:「全くです。……ですが、確かに発車まで残り10分を切っております」
 アリス:「日本人なら騒ぐか」

 アリスとシンディは敷島から新幹線乗車券と特急券を受け取ると、それで改札口の中に入った。

 敷島:「今度の電車は名古屋始発だから空いてるだろう」

 ホームへ上がるエスカレーターに乗りながら敷島が言った。

 アリス:「いつものように、先頭車?」
 敷島:「いや、16号車は指定席だ。ここは1つ、最後尾にする」

〔新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。まもなく1番線に、15時9分発、“こだま”656号、東京行きが入線致します。安全柵の内側まで、お下がりください。この電車は、各駅に止まります。グリーン車は8号車から10号車。自由席は1号車から7号車と、13号車から15号車です〕

 ホームを歩いていると、自動放送が流れた。
 尚、相変わらず東海道新幹線の駅自動放送では、英語放送は無いようである。
 西の方からヘッドライトを照らした700系がやってくる。
 ホームのある副本線に入る為か、かなり減速しているようだ。
 それでも車上信号の関係で、ホームに入って来る速度は70キロ以下といったところか。
 グリーン車はガラガラで、普通車指定席が満席近く、自由席が列車の中間ほど乗客が多いという状況である。

〔新富士、新富士です。新富士、新富士です。ご乗車、ありがとうございました〕

 ドアが開くと、敷島達は1号車に乗り込んだ。
 空いている3人席に座る。
 そんなことしていると、隣の通過線を“のぞみ”が風圧を伴って通過していく。

〔「15時9分発、“こだま”656号、東京行きです。発車までしばらくお待ちください」〕

 敷島:「! そうだ。シンディ、平賀博士達はもう東京に向かっているのかな?」
 シンディ:「はい、既に。現在、那須塩原と宇都宮の間です」
 敷島:「もうそんな所まで来てるのか。もう一本早い電車にすれば良かったかなぁ……」
 シンディ:「そうですねぇ……」

 シンディは平賀とエミリーの位置から、列車を特定した。
 幸い日本の新幹線の定時運転率は世界に誇れるものの為、その位置情報と実際のダイヤグラムは信用して良いものとなっている。

 シンディ:「……あ」
 敷島:「何だ?」
 シンディ:「私達と姉さん達、東京駅到着は同時刻です」
 敷島:「何だって!?」

[同日15:09.天候:晴 JR東海道新幹線“こだま”656号1号車内]

〔「レピーター点灯です」〕

 東京駅と違い、電子電鈴たるベルがホームに鳴り響く。

〔1番線、“こだま”656号、東京行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください。お見送りのお客様は、安全柵の内側までお下がりください。次は、三島に止まります〕
〔「ITVよーし!乗降、終了!……1番線、ドアが閉まります。お下がりください」〕

 “こだま”656号は定刻通りに発車した。
 ポイントを渡って副本線から本線へと出る。

 敷島:「まさか、同時到着とはねぇ……」
 シンディ:「どうします?」
 敷島:「もちろん、そのまま落ち合うさ。エミリーを引き取らなきゃいけないし、あとはこちらの調査結果も提供してだな……。アリス、お前主任だろ?平賀外部執行役員に……」
 アリス:「クカー……
 敷島:「……って、寝てんのかよ!……そうだ。今のうちに、車内販売のお姉ちゃんを……」
 シンディ:「社長。“こだま”は車内販売が全廃されております」
 敷島:「くそっ、そうだった」
 シンディ:「それで、東京駅のどこで落ち合いますか?」
 敷島:「そうだな……。ま、それは新幹線乗り場だろうな。その後の打ち合わせ場所だが……。どうせ平賀先生、都内で一泊だろ?どこのホテルだか知らんが、そこでいいだろ」
 シンディ:「かしこまりました。姉さんに送信しておきます」

 シンディがエミリーに送信していると……。

 敷島:「あれ?」

 敷島はあることを思い出した。

 シンディ:「送信しました。平賀博士が『敷島さんらしい発想だ』とのことです」
 敷島:「ああ、そうか。それよりふと思ったんだが……」
 シンディ:「はい?」
 敷島:「お前達の通信、デイジーに傍受されてるなんてことは無いよな?」
 シンディ:「それは恐らく大丈夫かと」
 敷島:「そうか?」
 シンディ:「はい。デイジーはGPSを切って行方をくらましております。もし私達の通信を傍受すれば、その時点で私達はデイジーの居場所を突き止めることができます」
 敷島:「なるほど。そういうことか」

 敷島は大きく頷いた。
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“戦う社長の物語” 「富嶽天生を仰ぎ見て」 2

2018-03-27 18:35:29 | アンドロイドマスターシリーズ

 ※ヤベッ!最近、閲覧数が減少している!さすがにそろそろこのブログも潮時かな???

[1月14日11:00.天候:晴 静岡県富士宮市ひばりが丘 富嶽温泉“華の湯”男湯・露天風呂]

 露天風呂の中にある1人用の陶器風呂。
 3つほど並んでいて、そのうちの1つに敷島が入っていたわけだが、誰も入っていない陶器風呂の湯船から明らかに何かが浮いてくるのが分かった。

 敷島:「な、何だ!?」

 ザバーッ!

 横田:「横田です。先般の総幹部会における大感動は未だ冷めやらぬものであります」
 敷島:「誰だ、アンタわ!?」
 客A:「リアル“テルマエ・ロマエ”!?」
 客B:「い、いや、どう見ても古代ローマ人には見えんが……?」
 横田:「えーと……ここはどこでありましょうか?」
 敷島:「富嶽温泉“華の湯”だ!あんた、一体何なんだ!?」
 横田:「ムッツリの戦士!ケンショーグリーン!……たった1人だけど、ケンショーレンジャぁぁぁぁっ!!」
 敷島:「……まだ寒いのに、もう暖かい時期になったら出てくるヤツ出て来たか」
 横田:「私は稲生勇太君を折伏しに来たのです。あなた、知りませんか?」
 敷島:「知らないよ!うちの社員にそんなのいないよ!」
 横田:「…………」
 敷島:「何だよ?」
 横田:「すいません、出てくる世界を間違えました」
 敷島:「はあ!?」

 横田、再び湯舟の底へと沈み込んで行く。
 と、そこへ!

 妙観講員A:「いたぞ!御山でうちの女性講員に痴漢した横田!」
 妙観講員B:「捕まえろ!」
 妙観講員C:「待ちやがれ!!」

 3人の妙観講員達が陶器風呂に飛び込んで行くが、既に横田は消えた後だった。

 妙観講員A:「クソッ、また逃げられた!」
 妙観講員B:「何なんだ、あいつはよーっ!」
 妙観講員C:「まだ近くにいるに違いない!捜せーっ!」

 バタバタと露天風呂から出て行く妙観講員達。

 敷島:「……KR団とか、DCIとかではなさそうだな……。暴力団のトラブルかな?最近のヤーさんは、簡単に銃の持ち歩きができないからな……」

 敷島は首を傾げ、今度は草津温泉の湯の成分を湛えた浴槽へと向かった。

[同日11:30.天候:晴 同温泉施設]

 敷島:「……という不可思議現象があったんだ」
 アリス:「うん、多分気のせいね」
 敷島:「信じて無さがひでぇ!……風呂上がりにマッサージでも受けよう」
 アリス:「いいね!エステティック受ける!」

 敷島とアリスはリラクゼーションの受付に行く。
 アリスがフッと離れた隙に敷島は受付嬢にそっと耳打ち。

 敷島:「あのー、指名料は払うから、若い女の子付けてくれる?」
 受付嬢:「かしこまりました」

 ピー!(シンディの頭脳からアラームが鳴る)

 シンディ:「集音装置(耳)に、社長のNGワードを聴取」

 マルチタイプの耳は集音装置になっており、感度を上げれば犬や猫並みの地獄耳となる。

 シンディ:「博士」

 シンディはすぐ自分のオーナーたるアリスに御注進。

 アリス:「あら、そう……

 アリスはつかつかと受付に歩み寄り、そして……。

 案内係:「お待たせしました。ボディケア60分コースでお申込みの敷島様」
 敷島:「はい!」
 案内係:「それではご案内させて頂きます」
 敷島:「よろしく。じゃな、アリス」
 アリス:「行ってらっしゃい」( ̄ー ̄)

 アリスはニヤリとして敷島を見送ると、自分はエステティックルームへ向かった。

 担当者:「御指名ありがとうございます。ボディケア担当の沖浦と申します」
 敷島:Σ( ̄□ ̄|||)

 どういう人物が来たかは、【お察しください】。

 担当者:「私の施術はですね、揉んだ所が立ちどころに癒されることでお客様から御好評を頂いているのですよ。こうして指名料も稼げて功徳〜〜〜〜!!」
 敷島:「ちょっと待て!俺は若い女の子を指名したんだぞ!?あんたみたいな爺さんなんざ頼んじゃいない!」
 担当者:「怨嫉謗法はいけませんよ。ご安心ください。私のボディケアはそんじょそこらのボディケアとは一味違う。それでは早速そこへ横になって」
 敷島:「……あんた、どこかで見たことなかったか?」
 担当者:「……?記憶にございませんが……」
 敷島:「そ、そうか。他人の空似か。いや、何か前にアメリカで俺と嫁の乗った飛行機をハイジャックしたテロ集団のボスに似てたもんでね」
 担当者:「お客様、相当お疲れのようですね。私の功徳話を聞きながら、是非とも癒されてください」

[同日12:45.天候:晴 同施設内2Fレストラン“ひまわり”]

 敷島:「沖浦先生ハ素晴ラシイ!沖浦先生ハ素晴ラシイ!沖浦先生ハ素晴ラシイ!創価ノ鑑!ノ雄!」
 アリス:「ちょっと!なに洗脳されてんの!?」
 シンディ:「電気流します」

 シンディは敷島に電気ショックを与えた。

 敷島:「はぐはっ!?……はっ!俺は今まで何を!?」
 アリス:「はい、現実にお帰りなさい。早速、ランチにするよ」
 敷島:「おっ、もうお昼か!」

 レストランの入口に行くと……。

 Pepper君:「コンニチハ!ボクトオ話シシマショウ!」
 敷島:「おや?ここにもPepperが……」
 アリス:「科学館にいるのと同タイプね」
 敷島:「そりゃそうだろ」

 Pepper君:「ボクト握手シマショウ」
 シンディ:「いいよ。手が千切れても知らないけどなw」

 シンディ、Pepper君と強い握手をした。

 Pepper君:「…………」

 

 敷島:「おい、シンディ。あんまり脅かしてやるな。Pepper君、怯えて黙ってしまったぞ」
 シンディ:「ゴメンナサーイ!」

 尚、人の気配を察知すればそちらの方を向いて気さくに話し掛けるPepper君だが、シンディとは明らかに目を合わせないようにしていたという。
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“戦う社長の物語” 「富嶽天生を仰ぎ見て」

2018-03-25 21:14:16 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月14日10:00.天候:晴 静岡県富士宮市ひばりが丘 富嶽温泉“華の湯”]

 アリス:「タカオ、お会計よろしく」
 敷島:「分かってるっつーの」
 シンディ:「あの、私が支払いして来ますよ?」
 敷島:「いや、いいんだ」

 敷島、そう言って券売機で入場券を買って来る。

 敷島:「それより、こんな所に黒いロボットが出なけりゃいいんだがな」
 アリス:「シンディも一緒に入ってもらうわ。護衛よろしく」
 シンディ:「かしこまりました。お任せください。ただ、社長が心配です」
 敷島:「黒いロボットはテロロボットじゃなく、エロロボットだろ?男湯には出ないさ。それより、シンディを温泉に入れて大丈夫なのか?」
 アリス:「海水への耐性実験は合格だった。ここの温泉の成分は?」
 敷島:「ここに書いてある。……アルカリ性単純温泉とあるが?」
 アリス:「フム……。Phは8.2……」

 アリスは成分表とシンディの設計データ、そしてそれまでの実験データを照らし合わせた。

 アリス:「ここの温泉の成分なら心配無さそうね」
 敷島:「本当か?」
 アリス:「モノは試しで実験よ」
 敷島:「いいのかよ!」

 取りあえず3人は入場券などを受付に提出した。

 アリス:「また、浴衣着れるわ!」
 敷島:「良かったな。俺は作務衣でいい」
 シンディ:「私も着て良いのでしょうか?」
 敷島:「いいんだよ。じゃ、俺は男湯だから」
 アリス:「Bye.(。・ω・)ノ゙」
 シンディ:「お気をつけて」

 この後、ストーリーが別れるのだが、どちらの話が良い?

 1:敷島の話
 2:アリスとシンディの話

 このスケベ共め。
 だが、いいだろう。
 ここからカメラは、アリスとシンディの撮影に入る。

 シンディ:「博士、ロッカー開ける時、気をつけてくださいね」
 アリス:「何かあるの?……ああ、そうか。こういう所にも黒いロボットが潜んでいるということね」
 シンディ:「それもあるんですけど、吸い込まれて異世界に飛ばされる恐れがあるので」
 アリス:「それ、別の世界の話でしょ?その辺のデータは消去しておいた方がいいね」
 シンディ:「か、かしこまりました」

 アリスとシンディは互いに隣り合う木製ロッカーのドアを開けた。
 ……何も無かった。

 アリス:「ここでいきなり何かあったら、それこそベタ過ぎるわよ」
 シンディ:「それもそうですね」

 2人は一糸纏わぬ姿になると、早速大浴場へと入った。

 アリス:「Hum...黒いロボットの気配は無いようね?」
 シンディ:「そのようです。申し訳ありません。奴らの存在を察知できなくて……」
 アリス:「そういうステルス機能を搭載させたんだから、こっちもうかうかしてられないわね」

 KR団時代からそうなっていたのか、或いはその設計データを手に入れたDCIが改めて搭載させたのかは不明である。
 が、アリスとしては後者だと睨んでいる。
 もし前者であるならば、もっと早く黒いロボットが登場していたはずである。

 シンディ:「博士。日本では最初に体を洗ってから浴槽に入るのが習わしです」
 アリス:「おっと、そうだったね」

 習わしというか、エチケットというか、ルールというか、マナーというか……。

 シンディ:「お背中、流しましょう」
 アリス:「えっ?いや、いいよ」
 シンディ:「……引っ越しの時、『シンディにきれいにしてもらうのが好き』と仰ってましたよね?」
 アリス:「う……そう来たか。分かったよ。じゃ、よろしく」
 シンディ:「はい!」

 シンディは喜び勇んで、アリスの背中の後ろに立った。

 アリス:「そういやさ……」

 シンディがタオルでアリスの背中をゴシゴシ洗う。

 アリス:「タカオが『単身赴任』していた時、タカオの面倒見てた時があったでしょ?」

 今のマンションに引っ越す前のことである。
 敷島は会社の近くにマンスリーマンションを借り、平日はそこで過ごしていた。
 本当はマルチタイプはボーカロイドと同様、会社に置いといて、1人暮らしを満喫するつもりだったが、アリスが敷島の浮気防止の為にそれを許さず、マンション内でも監視を続けるように命令していた。

 シンディ:「はい」
 アリス:「何というかその……任務遂行、ありがとう」
 シンディ:「お役に立てて何よりです!」
 アリス:「タカオには背中以外にも洗ってあげたようね?」
 シンディ:「はい。何でも、『洗体エステ』なるものがありまして、それを再現して欲しいという御希望でしたので……」

 そういう店のPR動画がアップされているで、YouTubeで簡単に閲覧できる。
 シンディにはソープランドのサービスはセクサロイド機能のデータの中に入っていたのだが、洗体エステは入っていなかった為、急いでネット上からそれをダウンロードしたという経緯がある。

 アリス:「あいつも色々考えるね」
 シンディ:「もちろんそれとは別に、私のセクサロイド機能の御所望はありましたけど……」
 アリス:「任務遂行してくれたね。ご苦労さま」
 シンディ:「はい!」

 ヌいてしまえば、浮気心など起きないという考えである。
 シンディは自ら『愛人役』をすることにより、敷島が人間の愛人を作ることを阻止した。

 シンディ:「今度はシャンプーを致しましょうか?」
 アリス:「え?うーん……じゃあ、お願い」
 シンディ:「かしこまりました!」

 他の客から見れば、まるで背中流しやシャンプーのサービスがあるのかと思うほどであったことだろう。

 その頃、男湯では……。

 敷島:「まあ、たまにはこうやってのんびりするのもいいか。どうせ今日は日曜だし……」

 敷島は露天風呂のエリアにある陶器風呂に入っていた。
 これは1人用の丸い陶器製の風呂釜である。
 大きな鉢の中にお湯を溜めて入っているという感覚か。

 敷島:「ううーん……」

 敷島がまったりしていると、隣の誰も入っていない陶器風呂の底からゴホゴボと泡が立ってきた。

 敷島:「ん?」

 敷島が首を傾げていると、その泡が大きくなり、そして湯船の底からザバーッと出てくる者がいた。
 それは誰だったと思う?

 1:黒いロボット
 2:横田理事(ケンショーグリーン)
 3:想像もつかない
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