報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「帰京後」

2020-09-29 20:03:42 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月28日17:24.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、東京です。東海道新幹線、東海道本線、中央線、山手線、京浜東北線、横須賀線、総武快速線、京葉線と地下鉄丸ノ内線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 落日の東京に私達は帰って来た。
 車内には西日が差し込んでいる。
 少し日が短くなったようだ。
 来月の秋分の日を以って、昼より夜が長くなる。
 後ろの席を見ると、仲睦まじい親友同士のJC2人は寝てしまっていた。

 愛原:「リサ、そろそろ起きろ。もうすぐ終点だぞ」
 リサ:「うん……」
 斉藤絵恋:「何か、寝ちゃってたみたい……」

〔「……22番線到着、お出口は左側です。……」〕

 愛原:「絵恋さん、新庄さん達はどこまで迎えに来てくれてるのかな?」
 絵恋:「八重洲南口です。そこの改札口の前に、新庄とパールが迎えに来てくれてます」
 愛原:「なるほど、そうか」

 荷物を網棚から下ろしたりしているうちに、列車はホームに滑り込んだ。

〔ドアが開きます〕

 JR東日本の新幹線ホームには、ホームドアが無い。
 これは東海道新幹線と違って車両の規格が統一されていない為、ドアの位置を固定できないからである。
 同じように相互乗り入れはしていても、ドアの数や位置の違う電車が走っているような路線では、やはりホームドアが設置されていないことが多い(JR埼京線、東京メトロ日比谷線など)。

 愛原:「何か、久しぶりに帰って来たような気がするなぁ」
 高橋:「作者の遅筆のせいですね」
 愛原:「こら。……絵恋さん、これで私の任務は完了ということでよろしいですかな?」
 絵恋:「まだですよ。『家に着くまでが任務』です」
 愛原:「ははは、なるほど」
 絵恋:「でも、先にリサさんの家まで送ってあげます。任務はそこまでです」
 愛原:「そうですか」

 列車を降りて改札口に向かう。
 JR東日本の新幹線だと、改札口を2回通らないといけない(日本橋口改札を除く)。
 旧国鉄時代は東海道新幹線も改札口を2回通る構造になっていたと思うが、かつての面影は殆ど無い。

 新庄:「お帰りなさいませ、御嬢様」

 在来線の八重洲南口改札を出ると、その外側に黒いスーツ姿の新庄運転手と絵恋さん専属メイドの霧崎さんがいた。
 霧崎さんはメイド服なので、思いっ切り目立っている。
 当然、衆目を集めることになるが、彼女は特段それを気にする様子は無い。
 何でも、『10代の時に犯した大罪の償いの1つ』なのだという。
 女子少年院から女囚刑務所までコンプリートしたという経歴は、少年院から少年刑務所までコンプリートしたという高橋と経歴は同じだ。
 但し、高橋曰く、『パールの方が罪状は自分より重い』とのこと。

 霧崎:「お帰りなさいませ、御嬢様」
 絵恋:「ただいま」
 霧崎:「お荷物お持ち致します」
 絵恋:「ありがとう。愛原先生達も車で送ってあげて」
 新庄:「かしこまりました。愛原様、どうぞこちらへ」
 愛原:「よろしくお願いします」

 私達は駅の外に出ると、目の前の階段を下りた。
 八重洲地下街へ向かう階段だ。
 そこに入ると、最初の角にまた下に行く階段がある。
 そこが八重洲地下駐車場であり、車はそこに止めている。

 リサ:「うー……」
 絵恋:「どうしたの、リサさん?」
 リサ:「駐車場の薄暗い感じ。研究所の地下に閉じ込められてた頃を思い出す……」
 愛原:「それは霧生市の?」
 リサ:「霧生市もだし、もっと別の研究所も……」

 移動の時は大型のゲージに入れられ、コンテナで運ばれた為、どこの研究所に移送されたか分からなかったそうである。
 最終的に霧生市の研究所にいた所、私と出会った。
 完全に旧アンブレラはリサを実験動物としか見ていなかったのである。

 新庄:「こちらでございます」

 予想通り、駐車場の一画に黒塗りのヴェルファイアが止まっていた。

 新庄:「どうぞ」
 絵恋:「先生方、後ろへどうぞ」
 愛原:「おっ、ありがとう」
 絵恋:「リサさんは、私と真ん中ね」
 リサ:「ん」

 新庄運転手はハッチを開けて、そこに荷物を積んでいる。
 不思議と霧崎さんは、高橋の予想したような、婚姻届を私に渡してくるようなことはしなかった。

 高橋:「パールのヤツ、何もしてきませんね?」
 愛原:「シッ、黙ってろ」

 高橋の言葉を待って行動に移そうとしているのかもしれない。
 私は高橋に余計なことを言わないよう、口止めした。

 新庄:「それでは出発致します」

 霧崎さんが助手席に乗り、新庄運転手が運転席に乗り込む。
 そして、車が動き出した。

 高橋:「先生。俺達は事務所でいいんスか?」
 愛原:「ああ。高野君が待っててくれるらしい」

 なので私は新庄運転手に、事務所まで乗せてくれるようお願いしていた。

[同日18:00.天候:晴 墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 車は事務所のあるビルの前で止まった。

 新庄:「着きました」
 愛原:「ありがとうございます」

 電動スライドドアが開く。

 リサ:「それじゃ、サイトー」
 絵恋:「うん。また学校でね。……えと、もし寂しかったら、いつでも遊びに来ていいよ!」
 リサ:「うん、分かったっ。土日は埼玉の家?」
 絵恋:「そうね。プールに入りたかったら用意しておくから、水着を忘れないでね。学校のでも、ビキニでもどっちでもいいからね」
 リサ:「うんうん」
 絵恋:「も、もし忘れても、どうせ貸切なんだから、す、すすスキニーデップでも……」
 霧崎:「御嬢様、鼻血が出ておりますわ」
 高橋:「あぁ?そこはあれだぜ。そんな横文字じゃなくて、あえて『全裸水泳』って日本語で言った方がエロさマシマシだぜ?」
 絵恋:「きゃっ!ストレート過ぎぃ~っ!」
 霧崎:「マサも変な事を御嬢様に教えないで」

 霧崎さんはメイド服のスカートの中に手を突っ込んだ。
 スカートの隙間から、キラリと光る刃物がチラ見する。

 高橋:「あ、分かった、分かったよ」
 愛原:「仲のよろしいことで」

 私達は斉藤家と別れると、事務所のあるビルの中に入った。
 その前に事務所のある5階を見ると電気が点いていたから、確かに事務所には高野君がいるようだ。

 愛原:「リサは本当サイトーさんと仲がいいな」
 リサ:「うん、私のデザート」
 高橋:「先生、こいつ食う気満々ですよ?」
 愛原:「デザートはいきなり食べるものじゃないから大丈夫だろ」

 私はメインディッシュらしい。
 さて、前菜は誰なのやら。
 私はそんなことを考えながらエレベーターに乗り込んだ。
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“私立探偵 愛原学” 「JR仙台駅」

2020-09-29 16:11:11 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月28日14:30.天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 JR仙台駅]

 昼食を終えた私達は、善場主任達の車で仙台駅まで送ってもらった。
 あのトンネルの穴、今度は電車側から見てみたかったような気がしたが、せっかくの御厚意なので甘えることにした。

 善場:「それでは今日はありがとうございました」
 愛原:「いえ、こちらこそありがとうございました」
 善場:「川口での捜査状況、気になるでしょうが、何ぶん捜査機密が多分に含まれておりますので、詳細はお伝えできないかもしれません」
 愛原:「しょうがないですよ。私はあくまで、委託を受けた一私立探偵に過ぎませんから」

 もう既に善場主任達が表向きのNPO法人ではなく、直接政府機関職員として動く状況では、私達の出る幕は無いだろう。
 あくまでも私達の仕事は、善場主任達に情報を提供するのみ。
 あとは国家権力を発動できる機関に任せる他は無い。
 後で報酬は十分に受け取れる。

 愛原:「リサの出生の秘密、分かるといいですね」
 善場:「そうですね。人間に戻す前に、それくらいは判明させたいものです」

 結局、仙台のトレヴァー家の出身でもない可能性が出て来た。
 最悪、クローン技術で勝手に造られた人間かもしれない。
 旧アンブレラなら、そういうことは平気で行うだろう。
 それにしても、クローンの元となった人間が別にいるはずなんだ。

 善場:「それでは諸経費につきましては、後ほどお送りください。もう金曜日ですので、恐らく振り込みは来週になるかと思いますが」
 愛原:「報酬もその時一緒なんですね?」
 善場:「そういうことになります」
 愛原:「分かりました」

 善場主任達はもう少し現場に残って、屋敷跡を調べるという。
 埼玉県川口市内にあるという五十嵐親子の家については、強制捜査に入るのも時間の問題だろう。
 これもまた来週行われるものと思われる。
 私達は善場主任と別れると、駅構内に入った。

 愛原:「まずはキップを買おう」

 8月末の現在、コロナ禍ではなかったら、まず指定席は取れないくらい混んでいるだろう。
 しかし今は、状況が違う。
 秋になれば、少しは状況も改善されるのだろうか。

 愛原:「15時24分発、“やまびこ”60号、東京行き。これは空いてるな」

 盛岡始発だが、指定席券売機で座席表を見ると、スカスカだった。
 これでE6系“こまち”車両も併結した長大編成なのだから、勿体ない気もした。
 いや、だから空いているのかもしれないが。
 E6系に乗ってみたい気がしたが、あいにくそちらはグリーン車以外全車両自由席だった。
 多分、席は空いてると思うんだけどね。
 私が迷っていると、横から斉藤絵恋さんが口を挟んだ。

 斉藤絵恋:「あの、もし良かったら、後で父にグリーン料金を出してもらいますけど……」
 愛原:「い、いや、それには及ばない」

 私は打ち消して、さっさとE5系“はやぶさ”車両にのみ設定されている普通車指定席をまとめ買いした。
 4人なので2人席を前後して確保する形になる。
 買ってからで何だが、私は1つ気になったことがある。

 愛原:「絵恋さん、今日は金曜日だけど、埼玉の実家に帰らなくていいのかい?」
 絵恋:「今日は東京のマンションに泊まります。パールも寂しがっているでしょうし」

 すると、高橋が一瞬反応した。
 私はすぐにそれに気づいた。

 愛原:「そうかそうか。それじゃ、霧崎さんに東京駅まで迎えに来てもらったらどうだい?」
 絵恋:「いえ、私は1人で帰れます。まあ、タクシーには乗りますけど……」
 愛原:「まあまあ、そう言わずに」

 私はこっそり高橋を指さした。
 だが、逆に絵恋さんはプイッとそっぽを向いた。

 絵恋:「先生から私に対する『口のきき方』に対して、御指導して頂ければ考えなくもないですわ」
 愛原:「あ、ああ……」

 高橋は絵恋さんを『(レズ)ビアン(のクソ)ガキ』と呼んでいるので、それを気にしているだろう。

 愛原:「分かった。俺から強く言っておくよ」

 高橋は貧しい家庭環境で、ロクに親からの愛情も受けずに育ったので、斉藤絵恋さんのような『御嬢様には反吐が出る』とか言ってたな。
 ましてや高橋もLGBTのG(自称。実際はB)。
 しかし、G(自称)なのにLは『気持ち悪い』と思うらしい。
 ノーマルの私に言わせれば、いずれも【お察しください】。

 絵恋:「そういうことでしたら、よろしいですわ」

 絵恋さんはスッと自分のスマホを出した。

 愛原:「ありがとう。良かったな、高橋。東京駅で霧崎さんに会えるぞ」
 高橋:「あー……そうですか」
 愛原:「何だ?せっかく好きな人に会えるんだから、もっと喜べよ」
 高橋:「いや、もちろん、俺的には『キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』って感じですけど、先生的には地雷かと」
 愛原:「何で?」
 高橋:「多分あいつ、婚姻届持って来ますよ。俺と先生にサインを求めてくるかもです。俺はサインしますけど、先生は保証人の所にサインしてくれますか?」
 愛原:「いや、多分その反省無さげな態度にキレてしまうかもしれん。ここ最近、健康診断で高血圧って出るようになったんだからさ、カンベンしてくれよ……」
 高橋:「ですよね」

 そんなことを話していると、絵恋さんが私の所にやってきた。

 絵恋:「連絡取れました。パールと新庄が迎えに来てくれるみたいです。車で」
 愛原:「すると、ヴェルファイアに乗ることになるな」

 新庄さんは斉藤家の専属お抱え運転手。
 6人乗り込むことになるので、いつもの光岡ガリューでは乗り切れない。
 そういう時はヴェルファイアで迎えに来る。

 愛原:「あっ、キップは1人ずつ持とう。落とさないように」
 高橋:「あざっす。俺は先生のお隣で」
 愛原:「はいよ」

 新幹線特急券と乗車券が1枚になったタイプである。
 もちろん自動改札機を通れる。
 因みに、領収証の発行も忘れない。
 今は全部券売機でできるのだから便利だ。

 絵恋:「私はリサさんの隣でお願いします」
 愛原:「ハイハイ」
 高橋:「で、どうするんスか?もう改札ん中、入っちゃいます?」
 愛原:「そうだな。ラチ内にも土産物屋はあるしな。……忘れたか?高野君やボスに買って行ってあげないと」
 高橋:「それもそうっスね」

 ボスに関しては宅配便で送ることになる。
 高野君はスイーツが好きだから、“萩の月”でも買って行ってあげるか。
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“私立探偵 愛原学” 「昼食とその後」

2020-09-27 22:54:54 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月28日13:00.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区宮千代 ビッグボーイ]

 穴から戻った私達は、善場主任達の車に乗って近くのファミレスに向かった。

 善場:「調査と情報提供ありがとうございます。御礼に昼食代はこちらで持たせて頂きますので」
 愛原:「え?いいんですか?」
 善場:「御心配に及びません」
 愛原:「でも……」
 斉藤絵恋:「リサさん、何食べる?」
 リサ:「こ、このステーキ……2つ合わせて320gもある……!」
 高橋:「おい、気をつけろ!第一形態に変化しかかってんぞ!」
 リサ:「……けど、まだ足りない……」

 リサ、完全に口から牙を覗かせている。

 絵恋:「リサさん、マスクして!」

 絵恋さんは急いでリサにマスクを着けさせた。
 因みにリサと絵恋さんはお揃いでピンク色のマスクを着けていた。
 高橋は一貫して黒いマスク、私は白のだ。
 善場主任も白であることが多い。

 愛原:「約一名、高い確率で予算オーバーになるくらい食べるのがいますが、大丈夫ですか?」
 善場:「これも対BOWの為の経費です。私達は人類に仇成すBOWの駆逐の他、これから仇成しそうなBOWの暴走を防止するのも使命ですので」
 愛原:「そ、そうですか」
 善場:「というか、彼女の食費の高さは本当だったんですね」
 愛原:「ようやく信じて頂けましたか……」
 善場:「毎月のリサに関する経費の請求額、食費だけ異様に突出していたのが気になりましたが、それは正当なものであると確認できました」
 愛原:「承認して頂けて何よりです」
 高橋:「ていうか姉ちゃん、いっそこいつ、ガチで駆逐しちまった方が安上がりなんじゃね?」
 善場:「それは目先の利益優先の悪い考え方ですね。私達はその先の益を見ています。このリサ・トレヴァーを類稀なる身体能力を残したまま人間に戻し、私達の組織に入ってもらって、国家の為に働く。それによって得られる利益、国益とも言いますが、それは今現在彼女に掛かっている経費などすぐに回収できるものだと考えています」
 愛原:「何度も主任から聞きましたが、改めて聞きますと、リサに掛ける期待って大きいんですね?」
 善場:「大きいですとも。これだけ完全に制御できている状態で動いているBOWは、恐らく史上初なのではないかと。ましてや化け物の姿ではなく、こうして人間の姿で活動できるのですから」
 愛原:「なるほど……」
 絵恋:「あの、そろそろ注文してよろしいでしょうか?」
 愛原:「あっと、そうだった」
 絵恋:「リサさん、お腹がペコペコで暴走しそうです」
 リサ:「早く食べたーい!」

 リサ、ついに口だけで不織布マスクを破いてしまった。

 愛原:「分かった分かった!主任は何にします?」
 善場:「え、えーと……」
 愛原:「リサ、ステーキもいいが、バイキングセットを頼めばサラダやらスープやらカレーも食べ放題だぞ」
 リサ:「! おー!」

 しかし、リサはステーキは譲らなかった。
 そしてようやく注文が終わると、リサは待ち切れないとばかりにサラダバーの方に向かって行った。

 高橋:「俺も行って来ます。ついでに先生の分もお持ちしますよ」
 愛原:「俺は後でいいから、善場主任のを先に持ってきてくれ」
 高橋:「でも姉ちゃん、サラダバーとか頼んでませんよ?」
 愛原:「あ、そうか。すいません、何か私達だけ……」
 善場:「いいんですよ。五十嵐親子の埼玉の住所という重大な情報を提供して下さったのですから」
 愛原:「高橋、取りあえずスープな。スープは何でもいい」
 高橋:「分かりました」

 高橋がサラダバー(の隣にスープバーもある)に向かうと、私達は話を続けた。

 愛原:「そんなに重大な情報なんですか?」
 善場:「重要ですとも。それまで五十嵐元社長のことについては、こちらも詳しい情報は得ていなかったのです。先ほど本部に報告しました。恐らく別のチームが踏み込むことでしょう」
 愛原:「踏み込むって、何の罪で?」
 善場:「こちらも色々と押さえているのです。捜査令状を裁判所から取ることなど、造作も無いですよ」

 怖い怖い。
 この組織、敵に回したら、国家権力でもって裏で消されるぞ。
 一応民間人の私達の前に現れているのだから、善場主任は裏の組織の中でも、表立って行動が許される立場なんだろうが。
 別のチームとやらが、民間人の前にも姿を現してはいけない、本当の裏の人達なのだろう。

 リサ:「んー、んー」

 リサが戻って来た。

 愛原:「って、おま!」

 私は目を丸くした。
 リサはサラダバーの野菜を山盛りにし、更にカレーも山盛り。
 それを両手に持って、更にスープバーのスープのカップを口にくわえて戻って来た。

 リサ:「ん!」
 絵恋:「はいはい。今、お取りしますわ、リサ様」

 絵恋さんがリサのカップをまずは取る。

 愛原:「お前、そんなに食って……!」
 リサ:「お腹空いたもの。頂きまーす」
 愛原:「残さず食べるんだぞ?」
 リサ:「もちろん。むしろ、お代わりするかも」
 愛原:「お前なぁ……」

 私は呆れた。

 善場:「いいのよ。普通の食事なら、沢山食べても。だけど、人を襲って食べたりしてはダメよ?」
 リサ:「はーい」
 善場:「もしこの約束を破ったら、あなたはもう2度とこの人達に会えなくなる」
 リサ:「はい……」

 善場主任の目が異様に冷たいものとなった。
 あのリサが一瞬、食べたものを喉に詰まらせかけたほどだ。

 善場:「愛原所長、こちらのリサはどんどん強くなっていますか?」
 愛原:「うーん……というか、元々強いと思いますけど……。最近はハンターとしか戦っていないので……」

 ハンターなんか素手で倒してしまうリサだが、それは前々からだからな。

 善場:「ですが不完全体とはいえ、彼女の亜種だったBOWを一発で倒したそうではありませんか」
 愛原:「確かに。頭を蹴り飛ばしただけで、首と胴体が引き千切れたそうですね。高橋から聞きました」
 善場:「リサは明らかに強くなっています。恐らく、このままでは、この前の離島の時に連れ去ったネメシスまでも倒せるくらいになるでしょう」
 愛原:「むしろその方がいいんじゃ?」
 善場:「私が疑問に思っているのは、何故彼女がそこまで強くなれるのかです。本来、BOWというのは人肉を食べないと強化できないのです。もちろん、薬剤の投与や更なる改造手術というのもありますが。しかし、リサはそのようなものは受けていない。となると、人間を食べてるとしか思えないのです」
 愛原:「いやいやいや、そんなことはないでしょう。そんなことしたら、すぐ大騒ぎなるはず。きっと、リサの変異か何かですよ。お疑いでしたら、もう一度彼女の体を調べてみてはいかがです?」
 善場:「ええ。近いうち、そうさせて頂きます」
 絵恋:「リサさん、このカレー、美味しいわね」
 リサ:「うん。…………」

 その時、リサが絵恋さんの方に半分視線を向け、もう半分を私達に向けていることに気づいた。
 私達の話を聞いていないようで聞いているようだ。
 その時、リサの私達の向けている目だけ一瞬、金色に光ったのだ。
 リサは何か知っている。
 まさか、本当に人間を食べて……いやいやいや、そんなはずはない。
 そんなことしたら大騒ぎになるし、私とも一緒に暮らせなくなる。
 私と結婚したがっているリサが、そんなことをするわけがない。

 リサ:「ね?先生もカレー食べてみてよ?美味しいよ」

 リサは無邪気な顔で私を見た。

 愛原:「あ、ああ」

 しかし、リサの笑顔に影があるような気がしてしょうがなかった。
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“私立探偵 愛原学” 「再び穴の中へ」

2020-09-26 16:02:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月28日11:48.天候:晴 宮城県仙台市若林区 仙台市営バス国分寺薬師堂前バス停→愛原家]

 私達は薬師堂駅の次のバス停でバスを降りた。
 地下鉄東西線が開通する前から存在していたバス停で、その当時はただ単に『薬師堂』というバス停であった。
 東西線開通時に停留所名が変更され、現在に至る。

 愛原:「うちの実家にお邪魔したいということだ」

 私はスマホを見せながら高橋に言った。

 愛原:「どうせ、あれだ。裏庭から例の地下道に入りたいんだろう」
 高橋:「なるほど。でも、こいつはどうします?」
 絵恋:「こいつって何!?」
 愛原:「高橋。そうだなぁ……。危険な場所だから、絵恋さんは連れて行けないな」
 絵恋:「ええーっ!」
 愛原:「うちの実家に預けておこう」
 絵恋:「知らない人の家にいるのは嫌です」
 高橋:「先生の御実家だっつーの」

 さすがに爆発事故の時と違って、規制線は解かれている。
 実家の駐車場には代車と思しき車と、黒塗りのアルファードが止まっていた。

 善場:「愛原所長。お疲れ様です」

 その車の助手席から善場主任が降りて来た。
 運転席には善場主任の部下と思しき男性職員が乗ったままだ。

 愛原:「善場主任、お疲れさまです」
 善場:「本日は調査に協力して頂けるということで、ありがとうございます。よろしくお願いします」
 リサ:「えーと……御指名ありがとうございます。リサです」
 愛原:「本当にやらなくていい!」
 善場:「あらあら?後で指名料をお支払いしないといけませんね」
 高橋:「さすが姉ちゃん!そうこなくちゃ!」
 愛原:「お前がもらうわけじゃないだろ」
 善場:「あら?斉藤社長の娘さんも御一緒なんですね?」
 愛原:「まだ社長の仕事は継続中なので。帰京するまでは」
 善場:「なるほど。では危険ですので、車の中で待っててもらいましょうか」
 絵恋:「車の中ですか」
 善場:「エアコンは入ってますし、Wi-Fiも完備ですよ。部下も残しておきますので、護衛も完璧です」
 絵恋:「リサさん、早く帰って来てね」
 リサ:「うん、分かった」
 愛原:「話が分かるコで良かった」

 私は3人を敷地内に案内した。
 家の中にいた両親には事情を説明した。

 父親:「何だって!?うちの裏庭の下に通路が!?」
 愛原:「やっぱりそこは気づいてなかったか……」

 私は板を退かすと、物置から縄梯子を持って来た。

 愛原:「何でこんな縄梯子があるの?」
 父親:「何かあって、2階から外へ避難しなければならなくなった時用だ」
 愛原:「だから、どうしてそれが物置にあるのかっていうツッコミだよ」
 善場:「まあまあ」

 私は縄梯子を用意すると、先日と同じように、もう一つの庭石に括りつけた。

 父親:「後でこの穴も埋めないとなぁ……」
 愛原:「俺達が戻って来てからにしてくれよ?」

 私達はヘッドランプやマグライトを用意すると、それで再び地獄の地下通路へ向かった。

 愛原:「またハンターとかいたりしませんかね?」
 善場:「それは大丈夫でしょう。BSAAが既に調査済みですから」
 高橋:「先生、いざとなったら俺のマグナムで……」
 愛原:「でもお前のそれの命中率、意外と低いぞ?」
 高橋:「う……」
 善場:「射撃場で訓練した方がいいかもしれませんね。それか、もう少し威力の小さい拳銃とかにすればいいのでは?」
 高橋:「それだとゾンビしか殺せねーだろうが」
 善場:「本来は一般人であるあなた達に、特別に銃の所持許可を出すことについて、上層部から反対の声もあるんですよ。ただ、あなた達は一般人の割にBOWとの遭遇率が異様に高いので、許可されているんです」
 愛原:「もちろん、発砲はそのBOWとクリーチャーにだけですよ」

 梯子を下りると、あの地下通路に出た。
 既にこの辺りで格闘したハンターの死体は無くなっていた。
 灰となって消えたか、或いはやってきたBSAAによって処分されたか……。

 リサ:「うん。変な臭いがする。化け物の臭い……」

 リサは人間形態ながら鼻をヒクつかせた。

 善場:「恐らくあなたと同じタイプのBOWだと思います。場合によっては第一形態への変化を認めます」

 リサは第0形態のまま、まずは事件現場へと向かった。
 もちろん、私達も一緒だ。
 先日探索した時にはただの壁だった行き止まりが、今は貫通していた。
 直径2メートルくらいの穴が開いていて、その先が地下鉄のトンネルになっていた。
 今は簡易的なバリケードが置かれている。

 愛原:「地下鉄のトンネルを歩くのは初めてだなぁ……」
 善場:「霧生電鉄は地下鉄ではないですからね」

 もちろんこの穴はいずれ塞がれるのだろう。
 本当は塞がってから電車を走らせるべきなのだろうが、そうもいかない。
 まずは簡易的に塞いで、それから運転を再開させるといったところか。

 善場:「早く戻りましょう。今、運転再開に向けて試験走行をしているみたいです」

 促されて地下通路に戻ると、ちょうど『試運転』と表示された電車が通過していく所だった。
 午後には運転再開予定であるとのこと。

 善場:「それでは今度は、瓦礫で進めなかったという先に行きましょうか」

 化け物が瓦礫を退かしてくれたおかげで、今は屋敷跡に行くことができる。
 ライトを手に崩壊した場所に向かった。
 確かに先日来た時は崩壊してて行けなかった通路が、今は通れるようになっていた。
 だが、代償はあったらしい。
 どうして崩壊していたのかというと、陥没していたからである。
 うちの裏庭みたいに。
 しかしこの現場はうちの裏庭よりも、ヒドい陥没であった。
 この真上には駐車場があって、そこに止まっていた車が下に落ちていた。
 もちろん陥没のきっかけは、あの大爆発だ。

 愛原:「この先にリサの秘密が……」
 善場:「いえ、無いと思います」
 愛原:「え?」
 善場:「屋敷自体が大爆発しましたからね」
 愛原:「じゃあ、あの地下鉄を襲った化け物はどこから来たんですか?」
 善場:「それを五十嵐元社長に聞きたかったのに、意識不明の重体で大変なことになりました。ところで、所長に1つお聞きしたいことがあります」
 愛原:「何ですか?」
 善場:「所長は、『もし昨日中に帰京する予定だったら、自分達があの電車に乗っていた』と仰ってましたね?」
 愛原:「ええ。でも、偶然なんでしょう?」
 善場:「かもしれませんし、そうでないかもしれません。それで、後者だった時の話をしたいのですよ。所長があの電車に乗るかもしれないことを、どなたに話しましたか?」
 愛原:「あの電車に乗ると話した人は誰もいませんよ」
 善場:「それでは、昨日中に帰るかもしれないことを誰に話しましたか?」
 愛原:「それはうちの高野君と斉藤社長ですね。斉藤社長には仕事の依頼を受けた際、『そういう予定でした』という話をしただけです。高野君には昨日中に帰りたい旨を伝えましたが、もちろん今日帰ることになったことを伝えてあります」
 善場:「なるほど……」
 高橋:「アネゴでも疑ってんのか?姉ちゃんはアネゴのことが嫌いだもんな」
 善場:「個人的には何の感情も持っていませんが、ただ、何か大きな秘密を持っていらっしゃる方だろうとは思っていますよ」
 愛原:「大きな秘密?」

 いつの間にか私達は屋敷跡の地下に来たようだ。
 そこにはまた横穴が開いていた。

 善場:「ここからあの化け物は出て来たようです。BSAAが調査したところ、大型のゲージが出て来たそうですので、そこから出て来たものと思われます」
 愛原:「リサは結局この家のコだったのかな?」
 善場:「断定はできませんね。五十嵐元親子に聞けば、すぐに分かりそうなものなのに残念です」
 愛原:「あ、そうそう。その五十嵐元社長なんですが、埼玉の住所が分かりましたよ」

 私は斉藤社長からの情報を善場主任に伝えた。
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“私立探偵 愛原学” 「仙台市営バス」

2020-09-26 11:04:35 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月28日11:04.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区 仙台市営バス鶴巻バス停→仙台市営バス15系統車内]

 

 リサと斉藤絵恋さんの散髪終了を待って、私達は出発した。
 リサは望み通り、ショートボブへと髪形を変更している。
 絵恋さんはセミロングからショートへ長さを変えたというだけで、全体的な形までは変わっていない。

 愛原:「あー、なるほど。確かにリサと出会った時、こういう髪形だったなぁ……」
 高橋:「あの時ゃ、そんな髪形を観察する余裕なんか無かったはずですよ」
 愛原:「パンツは白かった記憶ならあるのだが……」
 高橋:「は?」
 絵恋:「えっ!?」
 愛原:「あ、いや何でもない」
 リサ:「うん、確かに白かった。今もそうだよ。見る?」

 リサは自分の黒いスカートを捲り上げようとした。

 愛原:「やめなさい!こういう所で!」
 絵恋:「はわわ……!り、リサさん……!」

 そんなことを話しているうちにバスがやってきた。
 特段ラッピングをしているわけでもなく、緑と青の仙台市交通局オリジナルの塗装だ。

〔15系統、東部工場団地、若林体育館前経由、荒井駅行きでございます〕

 私達はノンステップバスに乗り込んだ。
 車内はガラガラで、1番後ろの席に並んで座った。

〔発車致します。ご注意ください〕

 私達が乗り込むと中扉が閉まるが、なかなか走り出さない。
 時間調整でもしているのかと思ったが、むしろ少し遅れているので、そういうわけでもない。
 冒頭の写真では分かりにくいが、このバス停は片側3車線の道路にありながら、バス停車帯が無い。
 それだけでなく、バス停を出てすぐ次の交差点を右折しなければならない為、走り出してすぐに左車線から右車線へと入る為、交通量が多いタイミングだとヘタに動けないのである。
 手前の信号が赤になり、後ろから来る車が途切れたところで発車する。

〔ピン♪ポン♪パーン♪ 次は岡田西町、岡田西町でございます〕

 バスの外観は仙台市交通局だが、車内を見るに、どうも横浜市営バスの中古車のようだ。
 何故なら座席モケットを見るに、横浜ベイブリッジだの、横浜中華街入口の門だの、女の子の靴だの、洋風なお墓の絵だのが描いてあったからである。

 高橋:「先生、地下鉄はまだ止まっているみたいです」

 高橋はスマホを見ながら言った。

 愛原:「そうか。駅に着いたら運転再開していたという仄かな望みはダメか」

 首都圏ならよくある話なのだが。
 もちろん、その逆もある。

 高橋:「午前中は全面運休みたいですね」
 愛原:「マジか」
 高橋:「一応、仙石線への振り替え輸送と、代行バスが運転されるみたいです」
 愛原:「代行バスか……」

 それに乗って行ったとしても、だいぶ時間が掛かるだろうなぁ……。

[同日11:15.天候:晴 仙台市若林区荒井 地下鉄荒井駅→仙台市営バス40系統車内]

 バスは私達の他、2~3人の乗客を乗せて荒井駅に到着した。

 愛原:「あー、何かいるわ」

 ロータリーには他のバスが停車していた。
 どうやらあれが代行バスらしい。
 地下鉄が市営である為、代行バスも市営だった。

 高橋:「あれに乗るんですか?」
 愛原:「ふーむ……」

 私達のバスが降車場に停車する。
 私は自分のスマホを見た。
 時間帯的に、そろそろ善場主任が現場に到着した頃だ。

 愛原:「いや、別のバスに乗ろう。確かこの駅から、あの現場の近くを通るバスが出ているはずだ」
 高橋:「やはり先生、現場に行かれますか?」
 愛原:「やっぱり気になるじゃないか。善場主任もそろそろ到着した頃だし、話が聞けるかもしれない。あと、斉藤社長からの話も情報提供できる」
 高橋:「さすが先生です」

 私達はバスを降りた。
 案の定、私達以外の乗客達は代行バスの方へ向かって行った。
 元々荒井駅は現時点でそんなに乗客の多い駅ではないのと、ラッシュの時間ではない為か、代行バスは満席状態ではなかった。
 もっとも、この駅周辺もマンション開発が進められている。
 それができれば、この駅ももう少し賑わうようになるだろう。

 係員:「地下鉄代行バスが発車しまーす!ご利用のお客様、お急ぎください!」

 代行バスは私達が乗らないと分かると、ドアを閉めて発車していった。
 途中の駅に止まりながら走ろうとすると、仙台駅に着くまでどのくらい掛かるのだろう?

 愛原:「あった。次の薬師堂駅方面、あと10分くらいで来るぞ」
 高橋:「先生のお仕事だ。文句は言わせねーぞ」
 リサ:「うん、分かった」
 絵恋:「わ、私はリサさんと一緒にいられれば、別にいいです」

 高橋の説明、雑過ぎ!
 私はバスを待っている間、善場主任にメールを送った。
 もちろん、メールだ。
 すぐに返信が来るとは限らない。
 返信が来たのは、乗り換えのバスに乗り込んだ時であった。
 そのバスも中古車で、今度は都営バスであった。
 モケットに、マスコットキャラの『みんくる』の絵が描いてある。
 まさか、仙台に来てまで都営バスに乗ることになろうとは……。
 またもや1番後ろの席に座る。

 愛原:「うん。やっぱり俺達に来てほしいみたいだ。特に、リサにだな」
 高橋:「リサ、御指名だぞ。良かったな。指名料、善場の姉ちゃんからもらえよ?で、会ったらこう言うんだ。『御指名ありがとうございまぁす。リサでぇす』ってな」
 愛原:「キャバクラか、このどアホ!」
 高橋:「じゃあ、どうするんですか?」
 愛原:「『ワタシ、サイキンコッチキタヨー!シャチョサン、アソンデカナイ!ヤスクスルヨー!』かな?」
 高橋:「それ昔のフィリピンパブっす!」
 絵恋:「ねぇ、リサさん?先生達、何の話をしているんたろう?」
 リサ:「大人の仕事の話。私達は気にしたら負け」
 絵恋:「そ、そうね。リサさんがそう言うなら……」

 バスにエンジンが掛かる。

〔「11時26分発、X40系統、霞の目営業所前行き、発車します」〕

 少し前まで、中扉の閉扉合図はブザーだったが、今は電車みたいにドアチャイムが主流になった。
 あれも車種によって個性があって面白かったのだが。
 やたら音色が低かったり、逆に甲高かったり。

〔ピン♪ポン♪パーン♪ 毎度、市営バスをご利用くださいまして、ありがとうございます。このバスはX40系統、蒲町(かばのまち)、薬師堂駅、若林区役所前経由、市営バス霞の目営業所前行きです。次は荒井六丁目、荒井六丁目でございます〕

 リサ:「お昼はちゃんと食べれる?」
 愛原:「ああ、心配すんな。ただ、ちょっと時間はズレるかもしれないな。申し訳ないけど」
 リサ:「むー……」
 高橋:「一食くらい抜いても暴走しないようにする修行だと思え」
 愛原:「おっ、高橋。いいこと言うな」
 高橋:「えへへ……!あざーす!」
 絵恋:「本当に昼食抜きってわけじゃないですよね?」
 愛原:「それは無い。ちょっと遅れるだけだよ」

 リサにはそれでいいかもしれないが、絵恋さんのお守りの仕事も継続中なのに、絵恋さんまで巻き込んで昼食抜きにさせるわけにはいかない。
 善場主任には、現場に着いたらちゃんと説明しないとな。
コメント (2)
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