報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「厳戒態勢」

2024-09-09 16:00:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月10日15時50分 天候:雨 沖縄県国頭郡金武町 沖縄自動車道上り線・伊芸サービスエリア→琉球バス交通貸切バス車内]

 出発の時間になる頃、また雨足が強くなってきた。

 リサ「あーん、濡れちゃったー!先生、見て見て。スケブラ」
 愛原「さっさと体拭きなさい!」

 リサのブラウスは濡れていて、その下に着ている黒いカルバンクラインのブラが透けていた。

 リサ「はーい」
 愛原「ここで脱ぐな!」
 レイチェル「BOWは風邪引かないから大丈夫ですよ」
 愛原「それもそうだ」
 リサ「えー……」

 バスガイド「それでは皆様、お揃いになりましたので、出発致します。何事もなければ、このまま皆様の宿泊先へ向かいたいと思います。所要時間は、およそ1時間を予定しております。再び高速道路を走行致しますので、シートベルトの着用をお願い致します」

 レイチェルにも聞いてみたが、やはりBSAAでも情報は掴んでいるという。
 ピンポイントとはいえ、強化型Tウィルスの感染者が2人出たということで、BSAAでは今厳戒態勢中とのこと。
 表向きには……。

 坂上「えー、皆さんに1つ連絡があります」

 2号車の引率教師の1人で、リサの担任の坂上先生が車内のマイクを手にした。

 坂上「本当はホテルに着いたら、夕食まで市内散策という予定になっていましたが、今回はキャンセルして、ホテルの中で待機していてもらいます。と言いますのは、このような悪天候というのも去ることながら、今、那覇市内で連続通り魔殺人事件が発生し、その犯人は今もなお逃走中とのことです」

 そう。
 表向きには殺人犯が逃走中の為、那覇市内は厳戒態勢ということになっている。
 強化型Tウィルスによって、デイライトが雇った調査員2人が死亡している。
 尚、この調査員というのは、デイライトの職員ではなく、私達と同様、デイライトと契約した探偵業者とのこと。
 私達は直接リサの監視に当たっている為、同時に我那覇絵恋の家は見張れない。
 そこでデイライトは、別の探偵業者に依頼したようである。
 そしたら、このザマだ。

 坂上「よって皆さんの安全の為、ホテルの中で待機ということになりました。もう1度念を押しますが、絶対にホテルからは出ないように。以上です」
 男子生徒A「マジか……」
 男子生徒B「沖縄の夜がぁ……国際通りの夜がぁ……」
 男子生徒C「オッサンか、オメェはw」

[同日17時00分 天候:雨 沖縄県那覇市某所 那覇中央ホテル]

 那覇市内に入ると、確かに何台ものパトカーとすれ違った。
 それどころか、大通りでは軍用車までいて、沖縄駐留米軍の物かと思ったが、車体には『BSAA NA』と書かれていた。
 BSAA北米支部である。
 沖縄駐留米軍の基地に出向して、警戒態勢に入っているようだ。
 レイチェルの所属でもあるが、レイチェルは別に何か反応するわけではなかった。
 ただ、時折インカムで、英語でどこかとやり取りしているだけだった。

 バスガイド「皆様、長らくのご乗車お疲れ様でした。バスはまもなく、皆様の最後の宿泊先、那覇中央ホテルへと到着致します。どうか、お忘れ物の無いように、よくお確かめください」

 バスはホテルに予定通りに到着した。
 最初に泊まった沖縄ホテルと同様、洋室や和室が存在するホテルである。
 シェラトン沖縄サンマリーナ・リゾートほどの高級感は無いものの、ビジネスホテルのようなチープさも無い。
 レストランも併設されており、夕食や朝食はそこで取れるようである。
 また、大浴場もある。

 愛原「よし、忘れ物無し」
 高橋「こっちもオッケーです」

 このバスとは、今日でお別れとなる。
 その為、忘れ物、落とし物チェックは念入りに行わなければならない。

 愛原「オッケーです」
 バスガイド「ありがとうございました」

 私達もホテルに入る。
 既に生徒達はロビーに集まっており、三上先生が改めて、ホテルからは出ないように注意を呼び掛けていた。
 その代わり、ホテル内では比較的自由に過ごさせることにする。
 夕食は団体予約にしているので、19時に1階のレストランに集合とする。
 大浴場に関しては、特に使用時間を定めない。
 ヘタに定めてしまうと、そこに生徒の利用が集中して、却って他の宿泊客の迷惑になる恐れがあるからである。
 分散させれば迷惑になりにくいという考えだ。
 また、部屋にもユニットバスがあるので、それを使ってもいい。

 リサ「おー、ゲリラ豪雨」

 特に雷は鳴っていなかったが、確かに雨が強くなっていた。

 三上「それでは各自、鍵を受け取り、部屋に待機しているように」
 坂上「夕食前に入浴してもいいですが、部屋備え付けの浴衣とかは寝る時に着てくださいね」
 三上「おっ、そうだった。それと、引率者の皆さんは、明日のことについて打ち合わせしますので、荷物を置いたらロビーに来てください」
 愛原「分かりました」

 私は鍵を受け取り、エレベーターに乗って、自分達の部屋に向かった。

 

 愛原「うん、まあまあの部屋だな」

 生徒達は基本、和室に4人一組で泊まるとのことだが、私達引率者は洋室シングルやツインである。
 設備的には、ビジネスホテルとそんなに変わらない。
 ただ、ペットボトルの水が2本サービスで置いてあった。

 高橋「先生!大浴場付きですって!」
 愛原「だから、引率者が生徒達と一緒に入っちゃダメだって」
 高橋「えー……。でも、このホテルの風呂は、洗い場が無いっスよ」

 ユニットバスの造りは、ビジネスホテルと同じ。
 3点ユニット方式である。

 高橋「広い風呂でゆったりする方がいいっスよ!」
 愛原「つっても、温泉じゃないしなぁ……」
 高橋「せんせぇ……」(´;ω;`)
 愛原「分かった分かった。前向きに検討に検討を重ねるよ。岸田総理みたいに」
 高橋「それ、何もしないってことじゃないっスか!」
 愛原「さーて、打ち合わせに行くぞ!打ち合わせ!」
 高橋「先生!」

 私はさっさとロビーに向かった。

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