[4月3日05:30.天候:曇 東京中央学園・旧校舎]
1階まで下りたエレーナを呼ぶ声がしたような気がした。
エレーナ:「あっ?」
エレーナが回りを見渡すと、校舎の外から懐中電灯を照らしてこちらを見据える警備員の姿があった。
エレーナは急いで警備員の前に行き、窓を開けた。
が、何故か数センチしか開かない。
警備員:「そこで何をしてるんだ!?立入禁止だぞ!」
エレーナ:「それどころじゃないんだ!」
警備員:「外国人!?」
エレーナ:「日本語ならこの通り喋れる!それより助けてくれ!私の仲間が大変なことになった!」
警備員:「ちょっと落ち着いて。その前に、どうしてそこにいるんだ?というか、どうやって入ったんだ?」
エレーナ:「! いや、これにはちょっと事情が……」
警備員:「悪いが、不法侵入の現行犯で警察に通報することになるから」
エレーナ:「ふざけないでくれ!私は仲間がピンチになったから、助けに来ただけだ!命が危ないんだ!」
警備員:「そうかい。なら言わせてもらうが、どうして警察を呼ばないんだ?」
エレーナ:「だから、それどころじゃないんだって!私の仲間が血だらけで向こうの建物に連れて行かれた!早く助けに行かなきゃいけないんだ!」
警備員:「新校舎?あんた、頭がどうかしてるんじゃないのか?俺はその新校舎から来たけども、そんなのは見なかったぞ」
エレーナ:「恐らく、魔法で目くらまししたんだと思う。私が見ればすぐに分かる」
警備員:「分かったよ。とにかく、まずはここから出てもらわないと。新校舎の警備室まで来てもらおうか」
エレーナ:「分かった。私の知ってることは何でも話す。だから新校舎まで連れて行ってくれ」
警備員:「分かればいいんだ。この廊下の向こう側に、昇降口がある。そこから出て、そこで話そう」
エレーナ:「あなたがここに入ってきて、私を連れ出せばいいんじゃないの?」
警備員:「それが、俺の持ってる鍵じゃ開かないんだ。何しろ古いドアだからな。内側からなら開くかもしれない。やってみてくれ」
エレーナ:「分かったよ」
警備員は窓から離れ、外から昇降口に向かったようだ。
エレーナも廊下を突き進んで、反対側の昇降口に向かう。
エレーナ:「何だこれ!?」
昇降口のドアには、魔法の結界が張られていた。
見た目は魔法陣を宙に浮かべて、ドアに張り付けているといった感じ。
エレーナでも使える、比較的初歩の魔法である。
エレーナ:「確か魔法で解くより、聖水を使った方がいいな」
エレーナはローブの中から小瓶を取り出すと、それを結界に振り掛けた。
結界が光り出し、パーンと砕け散る。
そして内鍵を開けて、外に出た。
外では警備員が険しい顔をして待っていた。
エレーナ:「早く新校舎に連れて行ってくれ!」
警備員:「いいか?まずこんな早朝に1人で何をしていたのか説明しろ」
エレーナ:「私が?あなたもだろ?」
警備員:「俺は仕事だ。この学校の警備員なんだから。いいから、何をしていたのか質問に答えろ!」
エレーナ:「言っても信じるわけないさ」
警備員:「いいから答えろ!」
と、その時、警備員の背後に何かが現れたのをエレーナは感じた。
地面の中から音も無く現れたそいつは……。
警備員:「!!!」
エレーナ:「!!!」
警備員の頭を何かが貫いた。
そして、その頭を斜めに切り落とす。
警備員はその場に倒れた。
化け物:「シャアアアアッ!!」
エレーナ:「くそっ!外に現れたのか!」
旧校舎内で現れた黒い化け物が、外にも出没していた。
エレーナ:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!……イ・ウォ・ラ!」
エレーナは攻撃魔法で、その場に現れた黒い化け物を倒した。
エレーナ:「これ……普通の人間なら、絶対ゲロ吐くレベルだ」
魔道師のエレーナでも、さすがに目の前でグロい殺人事件が行われたのなら、腰を抜かしそうになるし、吐きそうにもなる。
それを堪えることができたのは、偏にエレーナもまた、“魔の者”との壮絶な戦いの経験があるからだろう。
辛うじて貞操は守れているものの、体には“魔の者”の配下から受けた攻撃の傷痕が今も生々しく残っている。
エレーナは惨殺死体と化した警備員の持ち物から、マスターキーとカードキーを取った。
エレーナ:「悪いな。ちょっと借りて行く」
エレーナは黒い化け物の名前は知らなかったが、だいたいどんな存在なのかは想像が付いた。
魔法使いが魔法で生成した化け物に、似たような姿をした奴がいたのを覚えている。
もしその予想が正しければ、これらの化け物を生み出したのは……。
エレーナ:「これ……あれだよな。私やマリアンナ達に殺されても文句言えないよな?」
エレーナは新校舎に向かった。
その途中でも黒い化け物がエレーナに牙を剥いて来たが、逆にこれで稲生に近づいていることが確信できた。
もしエレーナが邪魔者でなければ、こんな面倒臭いことをするはずがないのだ。
エレーナ:「よし、開いた」
警備員から無断拝借したカードキーで、通用口のドアを開けることができた。
どうも夜間は警備員が1人しか泊まっていないらしく、警備室はもぬけの殻だった。
エレーナ:「稲生氏、どこにいる?」
エレーナは警備室内にある防犯カメラの映像を見た。
エレーナ:「4階……いない。3階……いない。2階……いない。1階……いない。地下階……いた!」
地下は機械室があり、その中に稲生がうつ伏せに倒れていた。
今は出血していないのか、血だまりができている感じは無い。
だが、カメラの映像から見ても、血だけになっているのは明らかだった。
と、更にエレーナの目を引くものが隣のモニターに映った。
エレーナが手動で切り替えたモニタの横に、自動で数秒ごとに映像が切り換わるモニタがあるのだが、それがたまたま屋上を映し出したのだ。
エレーナ:「アンナ?アンナも戻って来れたのか」
アンナがいたのだが、彼女もまた倒れて意識を失っているようだった。
エレーナ:「優先順位的に言えば、ケガ人の稲生氏を先に助けるべきか……。いや、意外とアンナも大ケガしてるかもしれない……」
と、そこへ警備室のドアが開けられた。
エレーナ:「!!!」
エレーナは思わず臨戦態勢を取った。
警備室に入ってきたのは誰だったと思う?
①黒い化け物
➁マリア
③イリーナ
④稲生を連れ去った魔女
⑤想像も付かない
1階まで下りたエレーナを呼ぶ声がしたような気がした。
エレーナ:「あっ?」
エレーナが回りを見渡すと、校舎の外から懐中電灯を照らしてこちらを見据える警備員の姿があった。
エレーナは急いで警備員の前に行き、窓を開けた。
が、何故か数センチしか開かない。
警備員:「そこで何をしてるんだ!?立入禁止だぞ!」
エレーナ:「それどころじゃないんだ!」
警備員:「外国人!?」
エレーナ:「日本語ならこの通り喋れる!それより助けてくれ!私の仲間が大変なことになった!」
警備員:「ちょっと落ち着いて。その前に、どうしてそこにいるんだ?というか、どうやって入ったんだ?」
エレーナ:「! いや、これにはちょっと事情が……」
警備員:「悪いが、不法侵入の現行犯で警察に通報することになるから」
エレーナ:「ふざけないでくれ!私は仲間がピンチになったから、助けに来ただけだ!命が危ないんだ!」
警備員:「そうかい。なら言わせてもらうが、どうして警察を呼ばないんだ?」
エレーナ:「だから、それどころじゃないんだって!私の仲間が血だらけで向こうの建物に連れて行かれた!早く助けに行かなきゃいけないんだ!」
警備員:「新校舎?あんた、頭がどうかしてるんじゃないのか?俺はその新校舎から来たけども、そんなのは見なかったぞ」
エレーナ:「恐らく、魔法で目くらまししたんだと思う。私が見ればすぐに分かる」
警備員:「分かったよ。とにかく、まずはここから出てもらわないと。新校舎の警備室まで来てもらおうか」
エレーナ:「分かった。私の知ってることは何でも話す。だから新校舎まで連れて行ってくれ」
警備員:「分かればいいんだ。この廊下の向こう側に、昇降口がある。そこから出て、そこで話そう」
エレーナ:「あなたがここに入ってきて、私を連れ出せばいいんじゃないの?」
警備員:「それが、俺の持ってる鍵じゃ開かないんだ。何しろ古いドアだからな。内側からなら開くかもしれない。やってみてくれ」
エレーナ:「分かったよ」
警備員は窓から離れ、外から昇降口に向かったようだ。
エレーナも廊下を突き進んで、反対側の昇降口に向かう。
エレーナ:「何だこれ!?」
昇降口のドアには、魔法の結界が張られていた。
見た目は魔法陣を宙に浮かべて、ドアに張り付けているといった感じ。
エレーナでも使える、比較的初歩の魔法である。
エレーナ:「確か魔法で解くより、聖水を使った方がいいな」
エレーナはローブの中から小瓶を取り出すと、それを結界に振り掛けた。
結界が光り出し、パーンと砕け散る。
そして内鍵を開けて、外に出た。
外では警備員が険しい顔をして待っていた。
エレーナ:「早く新校舎に連れて行ってくれ!」
警備員:「いいか?まずこんな早朝に1人で何をしていたのか説明しろ」
エレーナ:「私が?あなたもだろ?」
警備員:「俺は仕事だ。この学校の警備員なんだから。いいから、何をしていたのか質問に答えろ!」
エレーナ:「言っても信じるわけないさ」
警備員:「いいから答えろ!」
と、その時、警備員の背後に何かが現れたのをエレーナは感じた。
地面の中から音も無く現れたそいつは……。
警備員:「!!!」
エレーナ:「!!!」
警備員の頭を何かが貫いた。
そして、その頭を斜めに切り落とす。
警備員はその場に倒れた。
化け物:「シャアアアアッ!!」
エレーナ:「くそっ!外に現れたのか!」
旧校舎内で現れた黒い化け物が、外にも出没していた。
エレーナ:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!……イ・ウォ・ラ!」
エレーナは攻撃魔法で、その場に現れた黒い化け物を倒した。
エレーナ:「これ……普通の人間なら、絶対ゲロ吐くレベルだ」
魔道師のエレーナでも、さすがに目の前でグロい殺人事件が行われたのなら、腰を抜かしそうになるし、吐きそうにもなる。
それを堪えることができたのは、偏にエレーナもまた、“魔の者”との壮絶な戦いの経験があるからだろう。
辛うじて貞操は守れているものの、体には“魔の者”の配下から受けた攻撃の傷痕が今も生々しく残っている。
エレーナは惨殺死体と化した警備員の持ち物から、マスターキーとカードキーを取った。
エレーナ:「悪いな。ちょっと借りて行く」
エレーナは黒い化け物の名前は知らなかったが、だいたいどんな存在なのかは想像が付いた。
魔法使いが魔法で生成した化け物に、似たような姿をした奴がいたのを覚えている。
もしその予想が正しければ、これらの化け物を生み出したのは……。
エレーナ:「これ……あれだよな。私やマリアンナ達に殺されても文句言えないよな?」
エレーナは新校舎に向かった。
その途中でも黒い化け物がエレーナに牙を剥いて来たが、逆にこれで稲生に近づいていることが確信できた。
もしエレーナが邪魔者でなければ、こんな面倒臭いことをするはずがないのだ。
エレーナ:「よし、開いた」
警備員から無断拝借したカードキーで、通用口のドアを開けることができた。
どうも夜間は警備員が1人しか泊まっていないらしく、警備室はもぬけの殻だった。
エレーナ:「稲生氏、どこにいる?」
エレーナは警備室内にある防犯カメラの映像を見た。
エレーナ:「4階……いない。3階……いない。2階……いない。1階……いない。地下階……いた!」
地下は機械室があり、その中に稲生がうつ伏せに倒れていた。
今は出血していないのか、血だまりができている感じは無い。
だが、カメラの映像から見ても、血だけになっているのは明らかだった。
と、更にエレーナの目を引くものが隣のモニターに映った。
エレーナが手動で切り替えたモニタの横に、自動で数秒ごとに映像が切り換わるモニタがあるのだが、それがたまたま屋上を映し出したのだ。
エレーナ:「アンナ?アンナも戻って来れたのか」
アンナがいたのだが、彼女もまた倒れて意識を失っているようだった。
エレーナ:「優先順位的に言えば、ケガ人の稲生氏を先に助けるべきか……。いや、意外とアンナも大ケガしてるかもしれない……」
と、そこへ警備室のドアが開けられた。
エレーナ:「!!!」
エレーナは思わず臨戦態勢を取った。
警備室に入ってきたのは誰だったと思う?
①黒い化け物
➁マリア
③イリーナ
④稲生を連れ去った魔女
⑤想像も付かない