報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「両親と合流」

2024-06-30 21:20:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月15日05時41分 天候:晴 東京都新宿区西新宿 都営地下鉄(京王新線)新宿駅→渋谷区千駄ヶ谷 バスタ新宿]

〔「まもなく新宿、新宿です。お出口は、右側です。この電車は、笹塚行きです。本日も都営地下鉄新宿線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 私もついうとうとしてしまった。

 愛原「……はっ!リサ、そろそろ降りるぞ!」
 リサ「ん?……うん」

 私に寄り掛かって座っていたリサは、大きな欠伸をした。
 マスクをしていなければ、人間形態であってもそのままな牙が覗いていただろう。
 白いマスクをしているということは、今、リサの下着は白だということだ。
 スカートの下に、ブルマを穿いているかどうかは分からない。
 電車が地下の京王新線ホームに到着する。
 都営地下鉄新宿線としては、ここが始発駅。
 但し、駅の管理は京王電鉄が行っている。

 

〔「おはようございます。ご乗車ありがとうございました。新宿、新宿です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。4番線の電車は、42分発、笹塚行きです」〕

 私とリサは、寝過ごすことなく、電車を降りることができた。
 だが、リサは……。

 リサ「危うく乗り過ごすところだった」

 とのこと。
 私はリサに付いてくるよう言うと、まずは改札口に向かうエスカレーターに乗った。
 リサは後ろから付いて来たが、私の手を掴んで来る。

 愛原「バスの到着時間は5時50分だそうだ。東北からの夜行便だから、そう遅れたりはしないと思う」
 リサ「そう……」

 改札口を出て、バスタ新宿の方に向かう。
 私は事前にルートを調べたので、特に迷いもせず、バスタ新宿に着くことができた。
 JR新宿駅を基点にすると、バスタ新宿はその南側にある。
 なので、同じく南側にある都営地下鉄新宿駅は、比較的バスタ新宿にアクセスしやすい駅と言える。
 難しいのは北側にある東京メトロ新宿駅とか、更に北にある西武新宿駅だろう。

 

 まるで空港ターミナルのフライト案内板のような案内板を横目に、バスタ新宿の中に入る。
 ここは乗り場が4階、降り場とタクシー乗り場が3階にある。
 なので、3階に行けば良い。

 愛原「あのバスだ」

 しばらくバスを待っていると、『KEIO』と書かれたバスがやってきた。
 京王バスである。
 行先表示には『渋谷マークシティ』とあり、ここが終点というわけではない。
 バスは降車場に停車すると、大きなエアーの音を立てて、スライド式のドアを開けた。
 そこから眠そうな顔で降りて来る乗客達。
 金曜日夜の出発ということもあり、それなりの乗客数があったようである。
 ターミナルの係員達がバス側面のハッチを開けて、そこから乗客達の大きな荷物を降ろしている。

 父親「やっと着いたよ……」
 母親「よく寝た……」
 愛原「よく寝たんだ!凄いね!夜行バスで!」

 両親達も欠伸をしながら、バスを降りて来た。

 父親「おー、学!迎えに来てくれたのか!」
 愛原「迎えに行くって、LINEで言ったじゃん!」
 父親「そうだったそうだった」

 多少天然ボケ入っているところは、公一伯父さんに似てるな。

 母親「リサちゃんも迎えに来てくれたのね。ありがとう」
 リサ「お、おはようございます!お義母(かあ)様!!」
 愛原「おい!」

 するとうちの母親、リサの緩んだ制服のリボンをキュッと留め直した。

 母親「学との結婚は、この制服を着なくなってからね?」
 リサ「はい!」
 愛原「それでも十分早いぞ!?」
 父親「それより、ちょっとトイレだ。ギリギリまで寝てたせいで、トイレに行ってなかった」

 父親はバス後方のトイレを指さして言った。

 愛原「はいはい。トイレはあっち!」
 母親「私も行っておこうかしら」
 リサ「お供します!」
 愛原「……せんでいい」

 あれ?
 何かこのくだり、どこかで見たような……?

 愛原「父さん、バスん中で寝れたの?」
 父親「ああ。昔の夜汽車のボックスシートよりは、凄い快適だったぞ?」
 愛原「そりゃまあ……」

 14系客車や583系のボックスシートと比べてはいけない。

 父親「母さんと隣り合わせのリクライニングシートだったが、かなり深く倒れたし、レッグレストもフットレストもあったし、毛布やスリッパまであったぞ?」
 愛原「うん、まあ、確かにこの装備は、夜汽車には無いね」
 父親「だろぉ?それでいて、6000円くらいで乗れるんだからお得だよ」

 仙台市内~東京都区内の高速バス片道運賃6000円は、相場通りであるものの、他に格安高速バスがあることから、高めの運賃と見られることも多々ある。
 とはいえ、新幹線よりは明らかに安いし、ややもすれば、昔走っていた夜行列車よりも安いのかもしれない。

 愛原「設備を見る限り、明日乗るジェットスターより広そうだね」
 父親「そのジェットスターも、なるべくいい席は確保したつもりだぞ」
 愛原「1番前の席とかね」
 父親「そう、そこ!」
 愛原「やっぱり」

 尚、トイレには私も一応、ついていった。
 それから……。

 愛原「じゃあ、取りあえず家に行こう。うちの従業員達も、父さん達に挨拶したいって言ってるし。朝食も用意しているから」
 父親「それはありがたい」

 トイレを済ませた後、私達は再び都営地下鉄新宿駅まで向かった。
 もちろん、先導役は私である。

[同日06時14分 天候:晴 東京都新宿区西新宿 都営地下鉄新宿駅→都営新宿線602T電車・最後尾車内]

 父親「こんな端っこの車両まで来ないといけないとは……」
 愛原「悪いね。国家機関からの命令で、リサは電車の先頭車か最後尾に乗らないといけない決まりなんだ」
 父親「兄さん……公一伯父さんが色々言ってたアレか」
 愛原「まあ、そんなところ」

〔まもなく、5番線に、各駅停車、本八幡行きが、10両編成で、到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 轟音を立てて入線してきたのは、東京都交通局の車両。
 まあ、往路に乗って来た電車とは違う車両のはずだが。

〔「おはようございます。ご乗車ありがとうございました。新宿、新宿です。お忘れ物の無いよう、お降りください。5番線の電車は、15分発、各駅停車の本八幡行きです」〕

 まだ電車は空いている。
 両親達には開いている座席に座ってもらい、私とリサも向かい側の席に座った。

〔「おはようございます。本日も都営地下鉄新宿線をご利用頂き、ありがとうございます。各駅停車の本八幡行きです。終点、本八幡まで各駅に止まります。まもなく、発車致します」〕

 ホームに発車ベルが鳴り響く。

〔「5番線から、各駅停車の新宿行き、発車致します。ドアが閉まります」〕
〔5番線、ドアが閉まります〕

 ホームドアと電車のドアが閉まる。
 今度は駆け込み乗車があったか、再開閉があった。
 そして、今度こそドアが閉まって発車する。

〔都営新宿線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は、各駅停車、本八幡行きです。次は新宿三丁目、新宿三丁目。丸ノ内線、副都心線はお乗り換えです。お出口は、右側です〕

 取りあえずは家に帰って、まずは朝食。
 それから事務所の様子を見てもらって、後はスカイツリー見に行きたいとか言ってたな、うん。
 沖縄では見られない物を見ておきたいということか。
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“私立探偵 愛原学” 「両親の上京」

2024-06-30 11:46:48 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月14日18時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 
(画像拝借「@もつ」様 https://x.com/kikomotu)

 夕食の時間になり、私達は3階のダイニングで食卓を囲んだ。
 今日のおかずは、豚肉の生姜焼きだ。
 私はばら肉と玉ねぎではなく、ロース肉数枚派である。
 リサもこの方が肉が多くなると思ったのか、こちらに一票入れてくれている。
 ただ、学食に出て来る生姜焼きは、ばら肉と玉ねぎなのだそうだ。
 まあ、栄養のバランスとしては、そちらの方がいいのかもしれない。

 愛原「リサ、食事中のオッサンじゃあるまいし、スマホを見ながら飯は食わないように」
 リサ「なーに、それ?」
 高橋「先生だけの特権だってこった!分かれや!」
 パール「まあまあ」
 リサ「あ、そういうこと!そういうことなら……」
 愛原「テレビなら観ていいから」

 私ら氷河期世代の中には、団塊世代の親達から、食事中のテレビ視聴を禁止された所もあったらしいな。
 だが幸い私の家では、両親もテレビ好きだったこともあり、禁止された記憶は無い。
 さすがに帰省中、スマホは注意されたがな。
 まさかアラフォーになって、未だに親に注意されるとは思わなかったよ。
 リサがスマホをテーブルの片隅に置いた時、そこからLINEの着信音が流れた。

 リサ「あ、エレンからLINE」
 愛原「絵恋とLINEしてたのか。何か新しい情報あった?」
 リサ「何かね、斉藤早苗のことなんだけど、学校には来てるみたいなんだよ」
 愛原「それで?」
 リサ「でも、デイライトの関係者とか、それっぽい人が来ると、いつの間にかいなくなってるんだって」
 愛原「ふーん……。でも、その斉藤早苗は、エレンと一緒に行動してることが多いんだろ?そこを狙って行けばいいんじゃないかな?」
 リサ「それが、そういう時は来ないみたいなの」
 愛原「何だか、ルイジアナ州ベイカー事件の特異菌みたいだな」
 リサ「ねー」

 もしかして沖縄中央学園って、実は特異菌まみれになってるのでは?
 いや、しかし、だとしたら、とっくにデイライトの関係者に発見されているはずだ。

 愛原「他には?」
 リサ「『ブルマ復活計画は進んでるか?』と聞いたら、色んなブルマ画像送りつけてきやがった。多分、エレンなりの成果報告」

 そう言ってリサは、画像を見せた。

 
(画像拝借「ぶる万次郎 ~AIブルネッサンス~」様 https://x.com/bm89632067)

 愛原「緑ブルマが浸食している……」
 リサ「東京中央学園に合わせてるらしいよ。沖縄中央学園は青なのにね」

 この中にエレンは映っていなかったので、自分が撮影したのだろう。

 リサ「あとは仙台、静岡、北海道か。さすがに『魔王軍』の侵攻は難しいねぇ……」
 愛原「別にいいよ。……ってか、侵攻って何だ、侵攻って!」
 高橋「先生。明日は先生の御両親が上京されるんでしたね」
 愛原「そうなんだ。迎えに行かないと」
 高橋「東京駅まででしたら、車出しますよ?」
 愛原「いや、残念ながら東京駅じゃない」
 高橋「ん?と、言いますと……?」
 愛原「バスタ新宿だよ」
 高橋「は?」
 愛原「うちの両親も変わっていてねぇ……。交通費はケチッて、その分、現地で金使おうってハラなんだ」 
 高橋「そういうことでしたか。え、でも、沖縄だから、飛行機っスよね?」
 愛原「当然だよ。でも、LCCだ」
 高橋「ああ!それなら安く行けますね。で、ついでに先生、空港の下見ですね?」
 愛原「それが、そうもいかないんだ」
 高橋「え?」
 愛原「両親、ジェットスター予約したらしくて、あれ、成田から出るんだよ」
 高橋「ええっ、マジっすか!?」
 愛原「そこで、俺が考えているのはな……」

[4月15日05時21分 天候:晴 同地区内 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線501T電車・最後尾車内]

 リサ「ねむ……」
 愛原「だから言っただろ。両親連れて来るまで、寝てていいって」
 リサ「嫌だ……。先生と一緒に行く……」

 翌日早朝、私とリサは菊川駅にいた。
 両親は夜行バスで来るという。
 本当に、団塊世代はバイタリティが凄い。
 バブル世代はそれ以上だが。

〔まもなく、1番線に、各駅停車、笹塚行きが、10両編成で、到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 乗る電車も、始発電車の次の電車。
 強風を巻き起こしながらやってきた電車は、東京都交通局の車両。
 週末の早朝ということもあり、車内の乗客はそんなに多くない。
 リサは学校の制服を着ていた。
 これがリサなりの、『正装』らしい。
 もしも大学に行ったら、スーツでも着るつもりだろうか?
 それとも……『なんちゃって制服』か?
 リサなら、まだ制服が似合うんだよなぁ……。

〔1番線の電車は、各駅停車、笹塚行きです。きくかわ~、菊川~〕

 

 ホームドアと電車のドアが開いて、私達は電車に乗り込んだ。
 空いている座席に並んで座る。
 すぐに短い発車メロディが鳴る。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 電車のドアとホームドアが閉まる。
 特に駆け込み乗車は無かったか、再開閉することなく、乗務員室から発車オーライのブザーの音が聞こえて来た。
 エアーの抜ける音がして、電車が動き出す。
 モーターを積んでいる車両に乗れば、インバータ制御のモーター音が聞こえて来るのだろうが、最後尾ではあまり聞こえない。

〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕

 リサは座席に座るとスマホを取り出すわけでもなく、私に寄り掛かって目を閉じた。
 今は角を生やしているわけでもなく、普通の人間の姿である。
 こうしている間は、本当に普通の人間と変わらない。
 これが当たり前になるには、あとどのくらい先になるのだろうか。

 
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“愛原リサの日常” 「リサの日常」

2024-06-28 21:02:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月13日16時45分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 都営バス菊川駅前バス停→都営地下鉄菊川駅→ファミリーマート]

 リサはレイチェルを送りに、菊川駅前のバス停に向かった。

 レイチェル「それではリサ、また明日、学校で」
 リサ「うん。気を付けて」

 築地駅前行きのバスがやってくる。
 レイチェルは前扉からバスに乗ると、愛原からもらったバス代を運賃箱の中に入れた。
 そして、他の乗客も乗り込むと、バスは扉を閉めて発車して行った。

 リサ「……よし」

 リサはバスが発車して行ったのを見届けると、すぐ近くの地下鉄の駅に入って行った。
 そこで手持ちのPasmoにチャージをする為である。

 リサ「ふーん……」

 改札外コンコースに下りるが、ここにもホームからの風が吹いている。
 何故かこの駅は、トンネルからの風が強く吹く駅なのだ。
 その為、エスカレーターや階段付近には、『強風にご注意ください』という注意書きがしてあるほどだ。
 リサは券売機の前に立つと、それでPasmoをチャージした。
 これで帰りのコンビニで買い物ができる。

 リサ(オリジナル先輩も、エブリンも、本当はこういう生活したかっただろうに……)

 リサがそう思うと、少し血圧が上がる感じを受ける。
 Gウィルスが反応したのだ。
 Gウィルスは、オリジナルのリサ・トレヴァーが生み出したウィルス。
 それを日本の亜種が受け継いでいるわけだ。
 Gウィルスは本当の生みの親を知っているらしく、たまにリサがオリジナルのリサ・トレヴァーを思い出すと、懐かしがるように疼くことがある。

 リサ(帰ったら、またあの映画観ようかなぁ……)

 オリジナルのリサ・トレヴァーが登場する映画、リサは愛原に頼み込んでDVDを買ってもらっている。

 リサ(となると、お菓子買って行かなきゃね)

 リサはエスカレーターに乗ると、地上に戻った。
 菊川駅のエスカレーターは途中までしか無いので、地上に出るには、途中から階段になるのだが。
 リサは駅前のコンビニに入った。

 リサ「これと、これとこれと……」

 食べたいお菓子とジュースを買い込んで、レジに向かう。

 店員「お客様、この商品は……」
 リサ「ん?」

 店員は“鬼ころし”を手に取った。

 店員「未成年のお客様にはお売りできません」
 リサ「中身はアラフィフのオバハンだけど、ダメ?」
 店員「はあ?」

 リサ、『中身がオッサン』は認めなかったものの、オバハンは認める。

 リサ「……キャンセルします」
 店員「はい」

 家にストックがあれば、それを飲ませてもらうことにした。

 店員「ありがとうございました」

 “鬼ころし”はキャンセルして、それ以外の物ほ購入する。

 リサ「“鬼ころし”くらい、いいじゃんねー」

[同日17時10分 天候:曇 同地区内 愛原学探偵事務所2階]

 リサ「ただいまァ」
 愛原「お帰り。今週末、何か予定ある?」
 リサ「今のところは無いよ。どうして?」
 愛原「いや、仙台の両親が上京してくる」
 リサ「ほお!」
 愛原「但し、1泊だけな」
 リサ「えっ、何で?」
 愛原「旅の途中に立ち寄るからなんだよ。団塊世代は金も時間もあるからな。実に羨ましい」
 リサ「先生のお父さんとお母さん、どこに行くの?」
 愛原「沖縄だって」
 リサ「沖縄!わたし達、これから行くのに!」
 愛原「両親達の新婚旅行が沖縄だったんだが、死ぬ前にもう1度行きたいとか言ってたからな。満を持してそろそろ……ってことなんじゃないの?確かにゴールデンウィーク前だと、料金も安いだろうし」
 リサ「そうだろうね。で、わたし達の新婚旅行は?」
 愛原「まだ結婚してないだろ」
 リサ「作者の弟みたいに、わたし達も沖縄でやろうよ~」
 愛原「個人的には北海道カード使いたい」
 リサ「いいね!で、いつにする!?」

 リサは興奮して、鬼形態に戻った。

 愛原「もっと先!せめて、お前の職業が『学生』であるうちはムリ!」
 リサ「あ、やっぱり大学行くのやめようかな……」
 愛原「そもそも今、宙に浮いてる状態だろうが。遅くとも、夏休み前までにはもう進路決定しないといけないんだぞ?」
 リサ「分かってるよ。とにかく今週末、1泊だけ先生のお父さんとお母さんに付き合えばいいんだね!?」
 愛原「沖縄には温泉が無いから、せめて温泉にゆっくり浸かりたいとかは言ってたな」
 リサ「じゃあ、泊まりの準備しておくね」
 愛原「今日明日の話じゃないからな?」

 リサはお菓子類をしまっておく為に、3階に向かった。

 リサ「ただいまァ」
 高橋「おっ、もう帰って来たのか」
 リサ「レイチェルを送って、買い物してきただけだから。わたしのお菓子、食べないでよ?」
 高橋「ビールのつまみにもなんねぇ、甘いのは食わねーよ」

 高橋はキッチンにいて、夕食の支度をしていた。
 今日は高橋が夕食当番なのだ。

 高橋「それより、オメーも手伝え。先生の為だぞ?」
 リサ「分かった。ちょっと着替えて来るよ」

 リサはそう言って、今度は4階の自分の部屋に向かった。
 そして、着ている制服を脱ぎ始める。

 

 リサ「宿題は夜に片付けよう」

 そして、クロゼットの中から体操服とブルマに穿き替える。
 体育で穿いた緑のブルマは校庭での授業だったこともあり、汚れてる感があったので、紺色のブルマに穿き替えた。

 

 リサ「これでよし」

 スマホだけ持って、リサは3階に下りた。

 リサ「お待たせー」
 高橋「そっちで野菜切ってくれ」
 リサ「はーい。肉は?」
 高橋「お前にやらせると、つまみ食いするからダメだ」
 リサ「ちっ……」

 リサは手を洗ってから包丁を握ると、野菜を切り始めた。

 リサ「今週末は先生のお父さんとお母さんが来るんだって」
 高橋「俺とパールも挨拶するから、オメーも失礼の無いようにしろよ?」
 リサ「分かってるよ」
 高橋「少なくとも、そんな恰好じゃダメだぞ?」
 リサ「分かってるって」

 リサが体操服にブルマ姿になるのは、愛原の気を引く為である。
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“私立探偵 愛原学” 「2人の女子高生との打ち合わせ」

2024-06-26 20:20:22 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月13日16時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 車が事務所のガレージにバックで入る。
 そして、タイヤが車止めに当たる衝撃がして、パールはギアをパーキングに入れた。

 パール「到着です。お疲れ様でした」
 愛原「ありがとう」

 私は助手席から降りると、後ろのスライドドアを開けた。

 愛原「着いたぞ」
 リサ「車で送ってもらうと楽だね」
 愛原「こらこら。そんなことを言うと、単独行動の許可が取り消されるぞ」
 レイチェル「BSAAとしても、BOWはずっと監視していた方がいいのですが……」
 リサ「明日は電車で通学しまーす」
 愛原「うむ」

 私は大きく頷くと、エレベーターのボタンを押した。

 愛原「取りあえず、事務所で話そう」
 リサ「お菓子はある?」
 愛原「……あるよ」
 リサ「わあ!」

 エレベーターに乗り込み、2階の事務所に行く。

 高橋「先生!お帰りなさい!」
 愛原「ああ。お客さんだ。お茶とお菓子を頼む」
 レイチェル「Hi.」
 リサ「Hi.」
 高橋「いや、リサはちげーだろ」
 パール「マサ。ここはいいから、早く夕食の支度しな」
 高橋「ちっ、何だよ……」
 愛原「何も無かったか?」
 高橋「はい。ねーちゃんからの電話も無しです」
 愛原「そうか。よっぽど大変なこことが起きているらしいな」

 高橋はついでとばかりに、エレベーターで3階に上がって行った。
 代わりにパールが紅茶とお菓子を用意する。
 私は少女達を応接コーナーのソファに座らせた。

 愛原「実は今日、校長先生達と来月の修学旅行について打ち合わせしてきた」
 リサ「やっぱり」
 愛原「で、俺達は沖縄に行くだろ?これはリサ達も聞いているだろうが、集合場所は羽田空港だ」
 リサ「知ってる」
 愛原「集合時刻は、飛行機の離陸時間の1時間前だということも知ってるな?」
 リサ「うん」
 愛原「ところが、PTA会長の俺は更にその1時間前に集合場所にいないといけない」
 リサ「クッソ早!」
 愛原「そう。そしてレイチェルも知っての通り、俺はリサの監視をしなくてはならない。つまり、羽田空港まで一緒に行かないといけないんだ」
 レイチェル「そうですね。リサも朝早いけど、気をつけて」
 愛原「いや、そこで提案なんだ。校長先生は校長先生で、台湾組の引率をするから、やっぱり羽田空港は朝早く行かないといけないらしいんだな」
 リサ「楽なのは関西組と温泉組かw」
 愛原「校長先生は羽田空港のホテルに前泊するらしい」
 リサ「さすが、レクサスで通学してる校長先生はお金持ちだね。教頭先生はベンツだけど」

 どちらもリサや女子相撲部員、女子レスリング部員に車を反転させられている。

 愛原「俺達もそうしようと思う」
 リサ「おー!」
 レイチェル「私が初めて来日した時、最初の日はエクセルホテルに泊まりした。後から聞いた話ですが、高いホテルだったそうです。そこですか?」
 愛原「いや、予算の都合上、そんな高級ホテルには泊まれんよ。てか、BSAAはそんな高いホテル代が出せるんだなw」
 レイチェル「世界製薬企業連合の出資でBSAAは動いていますので、出資金がいっぱいある間はそうですね」
 愛原「それは頼もしい。しかし、こっちはこの通り、俺の個人経営の弱所探偵事務所に過ぎんのだ。校長先生の計らいで、俺と高橋は安いホテルなら前泊代を出せるが、さすがにリサ達は無理らしい」
 リサ「じゃあ、どうするの?」
 愛原「リサの分は、俺が自腹を切るよ。……ワンチャン、デイライトに頼めないかなと思ったりもしているが、今の状況ではなかなか聞けなくてね」
 リサ「後でもう1度、エレンに聞いてみるよ」
 愛原「レイチェルはどうする?」
 レイチェル「そうですね……。私も前泊してみたいです。本部に相談したいと思います」
 愛原「分かった。決まったら教えてくれ」
 レイチェル「では、今聞いてきます」
 愛原「はい?」
 リサ「さすがはBSAAは行動が早いねー」

 レイチェルは自分のスマホを取り出すと、それでBSAAの本部に掛けた。
 ここでいう本部とは、レイチェルの身柄を預かっている日本地区本部のことか、或いはレイチェルが所属している北米支部の日本駐留隊のことを言ってるのかは不明だ。
 しばらくレイチェルは英語で話していたが……。

 レイチェル「Ah...wait.愛原センセイ、ホテルの料金は何円くらいになりますか?」
 愛原「そんなにしないよ。1万円以下の所で探すよ」

 私が答えると、レイチェルはまた英語で話し始めた。
 そして……。

 レイチェル「……本部の話によると、100ドルまででしたら支給するとのことです」
 愛原「100ドルか。えーと……」
 リサ「今、円安だよね?」
 愛原「そうか!どう見ても今の100ドルの価値って、日本円で1万円を超えてるな!実質的にOKを貰ったということだな」
 リサ「さすがBSAA!太っ腹~!」
 レイチェル「BSAAには、それぞれ決済権が与えられています。私の上官が、私に対してできる決済権が100ドルだったのでしょう」
 愛原「じゃあ、決まりだな。そこでホテルを探しておくから、前泊よろしく~」
 レイチェル「了解です」
 リサ「1日分、修学旅行が延長しちゃったw」
 愛原「話はそれだけだ。レイチェル、わざわざ来てもらって悪かったね」
 レイチェル「いいえ。有意義なお話でした」
 愛原「ここから中目黒までの交通費、払うよ」
 レイチェル「日比谷線の定期はあるので、バス代だけでいいです」
 リサ「そうか。菊川駅から築地駅行きのバスに乗ればいいもんね」
 愛原「そうだな」
 リサ「わたし、送って行くよ!」
 愛原「そ、そうか?」

 ここから菊川駅までは、リサが認められている単独行動の範囲内である。

 レイチェル「1人で大丈夫ですよ。もうあのバス、乗ったことありますから」
 リサ「いいのいいの!ついでにコンビニで買い物するー」
 愛原「そっちか」
 リサ「というわけで、Pasmoのチャージ代ちょうだい!」
 愛原「それもあるのか……」

 私はレイチェルにバス代を、リサにはPasmoのチャージ代を渡した。
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“私立探偵 愛原学” 「学校帰り」

2024-06-25 20:51:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月13日15時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校1階会議室]

 校長「それでは、そういうことで」
 愛原「来月、よろしくお願い致します」

 私はPTA会長として、校長先生達と来月の修学旅行について打ち合わせをしていた。
 因みに、基本的にPTA会長も修学旅行に同行することになっているのだが、全ての旅行というわけではない。
 特に高校ともなると、行き先がいくつかに分かれる為、その全てに行っていたのでは大変だ。
 今回はリサが行くからということで、私が沖縄に同行することになったというわけだ。
 校長先生や教頭先生は、別の行き先に同行するという。
 集合場所は羽田空港。
 離陸時間の1時間前が集合時間。
 PTA会長の私は、中等部代替修学旅行と同様、1番最初に来て集合場所を確保しなければならない。
 だいたい1時間前といったところ。
 そうなると……朝の6時台後半には、羽田空港に行かなくてはならないということか。
 これは……前泊しないとキツいかもな。

 愛原「校長先生、ちょっと相談が……」
 校長「はい?」

 私が事情を話したところ、校長先生は気づいたようだ。

 校長「なるほど。実はそれは、私も考えていたところです。私は台湾組の引率をする予定ですが、台湾組も集合時間が似たようなものなので。とはいうものの、引率者が高いホテルに泊まるわけには参りません」
 愛原「そうですよね」
 校長「そこで私が考えているのは……」

 私は校長先生から、名案を受けた。

 愛原「なるほど。それはいいアイディアですね」
 校長「はい。確か愛原さんは、助手の人をお一人連れて行かれるとのことですね?」
 愛原「そのつもりです」
 校長「一応、愛原さんとその助手の人の分の前泊費用が出るよう検討致しましょう」
 愛原「ありがとうございます」

 だが、ここで1つ問題が起きる。
 私も高橋も前泊してしまうと、リサはどうするのかという問題になる。
 当然、リサも一緒に連れて行くことになるだろう。
 そうなった場合、さすがに私の自腹となるか。
 まあ、仕方が無い。
 もしくは、デイライトに相談したら出してくれるかな?
 まあ、いいや。

 校長「中等部は新幹線または貸切バスでの旅行ですから、そんな前泊とか考えなくて良かったのですがね」
 愛原「ですよね」

 行先はだいぶ変わってしまったが、リサ達の中等部代替修学旅行も、スタートは東武浅草駅から夜行列車で。
 帰りは東北新幹線というパターンだった。
 これなら確かに、引率者が朝早くから……最悪前泊でということはない。

 愛原「それでは失礼します」

 私は会議室をあとにした。

 愛原「んっ、リサ?」
 リサ「エヘヘ……。先生、お疲れー」

 廊下に出ると、リサが待ち構えていた。

 愛原「何してるんだ?授業はどうした?」
 リサ「もう終わったよ。今日は1時間早いの」
 愛原「そうなのか。で?」
 リサ「先生を待ってた。お兄ちゃんと車で来てるんでしょ?一緒に帰ろうよ?」
 愛原「ちゃっかりしてるな……」

 とはいえ、断る理由は無いので、そうすることにした。

 愛原「因みに……レイチェルはどうした?」
 リサ「レイチェルならトイレだよ。どうしたの?」
 愛原「いや、ちょっとレイチェルにも話しておこうかと思うことがある。もし良かったら、レイチェルも家に一緒に来ないか?家というか、事務所だ。いいかな?」
 リサ「何の話?」
 愛原「修学旅行の話」
 リサ「なるほど。分かった」

 リサは自分のスマホを取り出すと、それでレイチェルに連絡した。

 リサ「……フム。わたしもトイレに行ってから行くから待ってて」
 愛原「ああ、分かった」

 リサはそう言って、1階奥のトイレに向かった。
 “学校の七不思議”では、『個室から無数の幽霊の手が伸びて来て、捕まると異世界に連れて行かれる。または、首を絞められて殺される』とか、『女の生首が落ちているのを見た者は死ぬ』とか、そういう噂があったトイレだ。
 もっとも、今はそれも特異菌の胞子による幻覚ということで片付いている。

[同日15時30分 天候:晴 同学園・駐車場→車内]

 レイチェルと合流すると、私達は駐車場に向かった。
 私の場合、途中、事務室で入構証を返却する。
 例えPTA会長と言えども、入退構の際にはパスの受け渡しをしなければならない。

 愛原「“学校の七不思議”に興味があるの?」
 レイチェル「はい。多くは特異菌の胞子による幻覚作用とのことですが、その影響について興味があります」
 愛原「今は滅菌作業が終わったから、胞子なんて無いだろう?」
 レイチェル「そうですね」

 そんなことを話しながら、来客用の駐車場に行く。
 そこには事務所でリースしているライトバンが止まっていた。
 運転席にいるのは高橋ではなく、パール。

 パール「先生、お疲れさまです」
 愛原「待たせたな。事務所に帰るぞ」
 リサ「あれ?パールさんが運転?」
 愛原「ほら、高橋、免停寸前だから」
 リサ「ああ!」

 リサはニヤッと笑った。
 口元からは牙が覗く。
 逆に、高橋には事務所で留守番してもらっている。

 パール「皆さん、御一緒ですか?」
 愛原「ああ。皆まとめて、事務所まで頼む」
 パール「かしこまりました」

 私は助手席に座り、リサとレイチェルにはリアシートに乗ってもらった。
 そして、車が出発し、学校をあとにする。

 リサ「あ、そうだ。先生、昼のテレビ、観た?」
 愛原「見たよ。沖縄中央学園で、デイライトの調査員が行方不明になったらしいな。絵恋さんは何か言ってたか?」
 リサ「それが、学校から、『事件の事は他言無用って言われた』らしいよ?」
 愛原「他言無用も何も、既にニュースになっているわけだが?」
 リサ「きっとエレン、何か知ってるんだよ。その情報を流すなって言われたんだよ」
 愛原「なるほどな」

 私は斉藤早苗が怪しいと思った。
 そもそも調査員は、斉藤早苗が白井伝三郎だというのを確認しに行ったわけである。
 それが、彼女らの通う学校で行方不明になったということは、斉藤早苗に接触した調査員にに何かあったと見て間違いない。
 つまり、斉藤早苗が調査員達に何かしたと。
 しかし、行方不明とはどういうことだろう?
 不謹慎ではあるが、逆に調査員達が殺されたという方が事件としては分かりやすいのだが……。
 因みに1度、私も善場係長にメールを送ったことがある。
 しかし、未だに返信は無い。
 無い以上、これ以上何かメールを送っても無駄だろうし、状況の把握などで忙しいだろうから、デイライトの事務所に押し掛けても迷惑なだけだろう。
 もし私達に何か手伝えることがあるなら、係長からアクションしてくれるはずだ。
 どうも、デイライトさんと契約している探偵業者は他にもあるようだが、最もお役に立っているのは私らだという自負はある。
コメント
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