報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「雨の帰り道」

2021-04-30 21:07:11 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月4日18:17.天候:雨 秋田県鹿角市十和田錦木 JR十和田南駅]

〔「まもなく十和田南、十和田南です。1番線に入ります。お出口は、左側です。十和田南から先は、列車の進行方向が変わります。乗務員交替を行いますので、しばらく停車致します。発車は18時23分です。発車まで、しばらくお待ちください」〕

 窓には雨粒が当たっていた。
 私達が今乗っている車両は最後尾だから、この駅から先は先頭車へと変わるわけである。
 リサはとっくに駅弁を食い尽くし、今はポッキーを齧っていた。
 私は18時過ぎてからようやく駅弁に箸をつけたところで、まだ食べている。

 リサ:「6分停車かぁ。ジュース買いたいな」
 愛原:「おい」
 リサ:「ホームに無い?」
 愛原:「どうだろう?」

 列車はゆっくりと1面2線の島式ホームに到着した。
 ホームの手前でポイントを渡った感じだ。
 これが下り列車は同じくポイントを渡って、隣のホームに入るのだろう。
 しかし、この駅では上下列車の交換は行われないようだ。
 花輪線は好摩~盛岡間を除いて全線単線である為、途中駅で対向列車との交換が行われることがある。
 その時は数分の停車時間が設けられている。

〔「十和田南です。当駅で列車の進行方向が変わります。乗務員交替を行いますので、しばらく停車致します。発車は18時23分です。発車まで、しばらくお待ちください」〕

 この駅は無人駅なのだろうか?
 改札口に駅員の姿は見られなかった。
 或いは昼間だけ勤務していて、早朝や夜間は配置されていないのかもしれない。
 だいたいそれは“みどりの窓口”の営業時間を見れば分かる。

 リサ:「駅の外にあった」

 リサは目ざとく自販機を見つけた。

 愛原:「分かったから買って来い。乗り遅れるなよ?」
 高橋:「先生、俺がちょっぱやで買ってきますよ。先生は何にしますか?」
 愛原:「じゃあ、食後のコーヒーってことで。ホットの缶コーヒー」
 リサ:「オレンジジュース」
 高橋:「行って来ます」

 降りしきる雨の中、高橋は列車を降りて行った。
 因みに高橋も早食いなので、もう食べ終わっている。
 現役探偵、元警備員たる私も、本来なら早食いでないといけないのは分かっている。
 だが、今はもう帰るだけなので、少しくらい旅情に浸らせてくれても良いではないか。

 リサ:「お兄ちゃん、タバコ持ってったよ?」
 愛原:「あの野郎、タバコが真の目的か」

 あいつ、長い停車時間の度に吸う気か?
 だが一応、車掌に断って行く辺り、あいつも律儀だな。
 本来、改札口を通る時点で途中下車と見做されてしまうのだが。
 恐らく、他にも喫煙者などが列車から降りて一服しに行く光景など、こういうローカル線では当たり前なのかもしれない(尚、作者は20年ほど昔、南東北のとあるローカル線を旅した際、対向列車の行き違いで5~6分ほど停車するような駅で、喫煙者達がホームの喫煙所で一服する光景を見ている。それだけならまだしも、乗務員も一緒になって喫煙しているのである。今なら問題になりそうな光景だが、一緒に吸っていた乗客達は誰一人文句を言うわけでもなく、私のような非喫煙者も温かい目で見ていたものである。また、東北地方の駅では、立ち食いソバを乗員乗客が一緒になって食べている光景を今でも見ることはできる)。

 ジュースを買うだけなら、すぐに戻って来れただろうに。

〔「お待たせ致しました。18時23分発、普通列車の盛岡行き、まもなく発車致します」〕

 構内踏切がカンカン鳴り始める中、高橋は戻って来た。

 高橋:「お待たせしました!」
 愛原:「おま、ギリギリだぞ!」
 高橋:「サーセン!」

 高橋はリサの隣に座った。
 と、列車が逆方向に走り出した。

〔「お待たせ致しました。普通列車の盛岡行きです。次は柴平、柴平です」〕

 高橋に買って来てもらった缶コーヒーは、窓の桟に置く。
 リサは早速、ペットボトル入りのジュースに口をつけた。

 愛原:「雨はどうだった?」
 高橋:「傘無いとキビしいっスね」
 愛原:「そうか」

[同日19:16.天候:雨 岩手県八幡平市荒屋新町 JR荒屋新町駅]

 私は車内のトイレで踏ん張っている。
 キハ110系のトイレが洋式で良かった。
 私は洋式派なので。

〔「まもなく荒屋新町、荒屋新町です。お出口は、右側です。当駅で対向列車との待ち合わせの為、7分停車致します。発車は19時23分です。発車まで、しばらくお待ちください」〕

 ローカル線はのんびりしている。
 それでも距離的には、秋田駅経由より近いのだが。
 急いで帰りたかったら、それでも秋田空港から飛行機に乗った方がいいのかもな。
 私がズボンを穿いている時、列車が停車した。
 そして乗降扉のドアチャイムと、ドアの開く音がする。
 その後で、私は自分の席に戻った。

 愛原:「うわ、高橋の奴……」
 リサ:「うん、また吸いに行った」

 ホームには、タバコ片手にスタコラサッサと喫煙所に向かう高橋の姿があった。

 愛原:「それにしても……」

 と、私は思う。
 ここまで随分と牧歌的でローカルな所を走って来た……と思う。
 外はもう真っ暗で天気も悪いのだが、きっと晴れている昼間はそういう雰囲気なのだろう。
 この先にある安比高原駅は、そのままスキー場の名前にもなっているほどである。
 昔は都内からスキー列車が運転されていたほどだ。
 それはさておき、私が気になったのはBOWの存在である。

 愛原:「なあ、リサ」
 リサ:「なぁに?」
 愛原:「例えば新型BOWエブリンは、アメリカの田舎の農場でバイオハザードを起こした。他にも田舎でバイオハザード事件を起こしたBOWの例はいくつもある。もしもリサが、ここまででBOWの気配を感じたなら教えて欲しい」
 リサ:「特に無いよ。ていうか、あったらすぐに言うよ」
 愛原:「そうか」
 リサ:「それに、田舎だからBOWがいるとは限らないよ」
 愛原:「そうか?現にあのラーメン屋は、随分と町から離れた場所にあったじゃないか」
 リサ:「まあ、全体的な傾向としては……かもね。でも、私は?私というリサ・トレヴァー『2番』は東京に住んでるけど?元『12番』で『0番』の善場さんも都内在住だし、『1番』だって一時期都内にいたって話でしょ?」
 愛原:「まあ、それはそうなんだが……」

 私はむしろ都会在住のBOWの方が珍しいと思う。
 それができるのは、上手く人間に化けられる個体だけのような気がする。
 まあ、今回のラーメン屋の店員に化けていたBOWも、上手いこと化けていたようだが……。
 同じBOWのリサの鼻は誤魔化せなかったようだ。

 リサ:「仮にいたとしても、私がここにいる限り、先生達に手出しはさせないよ」
 愛原:「それは頼もしい」

 しかしそれはリサの正義感の発露ではなく、私達を獲物として横取りされたくないという独占欲に基づく物だということは知っていた。
 それでもリサの行いは、結果的に正義へと繋がっている。
 ……まあ、中にはイジメに繋がるものもあったが。

 そんなことを話している構内踏切が鳴って、対向列車が接近してきた。
 何か、高橋が踏切の向こうで絶望の声を上げている。
 もしかして、乗り遅れたとでも思っているのだろうか?
 対向列車がまず来ないと、この列車は発車できないぞ。
 今の運転取扱規則では、交換駅での上下列車の同時到着は禁止されているはずだから。

 高橋:「まだ発車時間前なのに、乗り遅れたと思いましたよ!」

 対向列車が入線して、再び開いた踏切をダッシュして渡って来た高橋。

 愛原:「んなワケない。まずは対向列車が来ないことには、この列車も発車できないから」
 リサ:「お兄ちゃん、アウトー」

 尚、同時入線は禁止されていても、同時発車はOKである。
 これはかつて六軒という駅で上下列車が同時に入線した際、衝突事故が起きた反省に基づくものである。

〔「お待たせ致しました。普通列車の盛岡行き、まもなく発車致します」〕

 下り列車が到着し、信号が開通したことで、この列車は発車することができた。
 
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“私立探偵 愛原学” 「きりたんぽ物語」

2021-04-28 20:18:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月4日17:00~17:35.天候:雨 秋田県大館市 JR大館駅]

 大館駅のNEWDAYSに行くには、駅舎の構造上、一旦駅舎の外に出なくてはならない。
 外から見ると、確かに先ほど車で来た時には気づかなかった『お土産』の文字が見える。
 助手席の後ろに座っていた高橋が気づきやすかったのだ。
 店の中に入り、そこでまずお土産を物色する。
 駅のコンビニということもあって、そんなに数は多くなかったが、挨拶代わりの物としては十分だ。

 高橋:「ボスに買って行くんですか?」
 愛原:「今回の件はボスからの紹介じゃないからいいだろう。むしろ、斉藤社長に買って行くべきだ」
 高橋:「なるほど」

 するとリサ、目ざとく駅弁を見つける。

 リサ:「! おー!」

 地元の駅弁業者“花善”が卸している『鶏めし弁当』である。
 名前の通り、鶏肉を使ったものだろう。

 愛原:「ん?それにするのか?確かに美味そうだな。俺もこれにするか」
 リサ:「他にも買っていい!?」
 愛原:「お菓子か?まあ、いいよ」

 駅構内には他に売店は無いみたいだし、ここで調達するしか無さそうだ。

 高橋:「先生。ちょっと吸い溜めしてきます」
 愛原:「ああ、分かった」

 先に買い物を済ませ、店の外の喫煙所に行く高橋。

 愛原:「列車に乗ったら、もう帰ることしかできないからな」
 リサ:「そうなの?」
 愛原:「ここから乗る列車は盛岡行き。そして、盛岡駅では本当にすぐ新幹線に乗り換えることになる」
 リサ:「新幹線に乗ったら、あっという間だね」
 愛原:「そうだとも」

 私は斉藤社長へのお土産の他、駅弁とお茶を買った。
 この他にもビールやおつまみも欲しいところだが、嵩張ってしまう。
 できれば花輪線では夕食、晩酌は乗り換え先の新幹線でやりたい。
 盛岡駅で調達できればいいのだが……。

 店員:「ありがとうございましたー」

 買い物を済ませて店の外に出る。
 喫煙所では高橋がタバコを咥えていた。

 愛原:「列車内にもトイレはあるが、駅のトイレの方が広いだろう。ということで行ってくる」
 リサ:「行ってらっしゃい」

 私はその後、トイレを済ませた。
 そして、急いで駅の中に戻る。
 というのは、ついに雨が降ってきたからだ。
 NEWDAYSも改札外トイレも、駅舎の構造上、建物の外側からしか出入りできない。

〔まもなく3番線に、列車が入ります。危ないですから、黄色い線までお下がりください〕

 駅の中に戻ると、改札口の向こう側から接近放送が聞こえた。
 しばらくすると、ディーゼルエンジンのアイドリング音を立てて、2両編成の気動車が入線したのが分かった。

 愛原:「列車が来たようだ。発車の時間はまだ少しあるが、どうする?改札の中に入ったら、もうトイレと自販機くらいしか利用できなくなるぞ?やり残したことがあるなら、今のうちにな」
 高橋:「俺は無いです」
 リサ:「私も」
 愛原:「そうか?じゃあ、もうホームに行くぞ」
 高橋:「はい」

 私達はキップを取り出した。

 愛原:「リサ、ここでは乗車券だけを通すんだ」
 リサ:「分かった」

 見た目は首都圏の駅にある物と変わらないのだが、Suicaを読み取る部分が無い。
 本当に乗車券の投入口しか無い。
 恐らくここで定期券を買おうとすると、従来通りの磁気定期券になるのだろう。
 その為か、この駅でもNEWDAYSや自販機ではSuicaが使えるのだが、実際に他の客が使用しているのを見ることは無かった。
 NEWDAYSで買い物した時には、Suicaを使ったのだが。

 駅員:「ありがとうございます」
 愛原:「盛岡行きはあの列車ですか?」
 駅員:「そうです。17時35分の発車です」
 愛原:「どうも」

 改札機にキップを通し、私達は中に入った。
 地方駅の特徴として、改札口を通ったらすぐに1番線がある(つまり改札内コンコースが無い)。
 目当ての列車は隣のホームの3番線から出るので、跨線橋を渡る必要がある。
 本数が少ないから、バリアフリーの観点から構内踏切でもいいんじゃないかと思うだろうが、それはあくまでも旅客列車の本数だけを見ての意見。
 実際は貨物列車の本数も多いので、やはりそこは跨線橋の方がいいのである。
 実際私達が跨線橋の階段を登っていると、中線を貨物列車が通過していったし。
 日曜日は貨物列車の本数が激減する傾向があるのだが、それでも本線系統では運転されているのである。

〔「3番線に停車中の列車は17時35分発、“十和田八幡平四季彩ライン”花輪線普通列車、盛岡行きです。発車までご乗車になり、お待ちください。終点の盛岡まで、各駅に停車致します」〕

 2番線と3番線の島式ホームに着くと、2両編成の気動車が停車していた。
 平日だと夕方のラッシュでそこそこの利用があるのだろうが、日曜日の今はガラガラである。
 それとも、コロナ禍も影響があるのだろうか。
 2両編成なので、どちらの車両に乗ってもBSAAとの取り決め違反にはならない。

 愛原:「もっとも、途中の駅で進行方向が変わるんだけどな」
 高橋:「そうなんですか?」
 愛原:「そうなんだよ」

 花輪線の十和田南駅。
 ここがスイッチバックの駅である。
 なので今は後ろの車両に乗り込んだが、十和田南駅からはこれが先頭車になるわけである。
 4人用ボックスシートにリサが進行方向窓側、私がその向かい、高橋がリサの隣に座るが、足の長い彼は、私の隣の空いている席の下に足を伸ばした方が楽だろう。
 別に、満席になるほど混むわけではなさそうだし。
 ドアは本来、半自動ドアで運用していたのだろうが、コロナ対策としてか、自動ドアでホーム側全てのドアが開いていた。
 窓が開くのであれば、窓は開けた上でドアは半自動ということもできるだろうが、あいにくとキハ110系は窓が乗務員室扉の物以外は開かない構造になっている。
 なので、ドアの方を全開して換気せざるを得ないわけだ。

 愛原:「おいおい。リサ、もう食べるのか?」

 リサは座席に座ると、ビニール袋の中から駅弁を取り出した。

 リサ:「お腹空いたもん」
 愛原:「呆れたな」
 リサ:「先生は食べないの?」
 愛原:「まだ17時台じゃな。どうせ盛岡に着くまで3時間掛かるから、ゆっくり食べるよ」

 しばらくして、発車の時間になる。

〔「お待たせ致しました。17時35分発、“十和田八幡平四季彩ライン”花輪線、普通列車の盛岡行き、まもなく発車致します。ご乗車になりまして、お待ちください」〕

 ホームに発車メロディが流れる。
 曲名は“きりたんぽ物語”。

〔まもなく3番線から、列車が発車致します。お見送りのお客様は、黄色い線までお下がりください〕

 2両編成のローカル列車ながら、花輪線ではワンマン運転は行っていないという。
 その為、車掌の笛の音がホームに響き渡った。
 それからドアが閉まる。
 これが電車ならそのまま発車するところだが、気動車では何故か車掌がブザーを鳴らしてから発車する。
 アイドリング音を上げて、列車はゆっくりと発車した。

 愛原:「ここから3時間掛かるから」
 高橋:「速さで言うなら飛行機なんスね」
 愛原:「まあ、そうだな」

 大館能代空港から出る最終便が運休しなければ、それを選択したのだが……。
 まあ、このルートでも今日中には帰京できるんだから良しとしよう。
 斉藤社長には後日、報告書を出す時に説明すれば良い。
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“私立探偵 愛原学” 「ハチ公物語」

2021-04-28 15:57:00 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月4日15:30~16:30.天候:晴 秋田県大館市 大館市立総合病院→日産レンタカー大館店]

 病院の検査が終わった。
 検査の結果が出るまで、またしばらく待たされた。
 最終的な結果まで待っていると、東京に帰れなくなるので、簡易的な結果だけ聞いた。
 あくまでも簡易的なものであるが、私達には感染の疑いは無いという。
 恐らくあのBOWが放っていたウィルスも旧来のタイプであり、私達には既に抗体ができていたのだろうということだった。
 確かに2005年のTアビスや2013年のCウィルス程度なら、既に私達もワクチンを打っている。
 あと……リサから感染させられたGウィルスが強力のようだ。
 新型コロナウィルスですら跳ね返せるくらいの。
 但し、強過ぎて化け物と化しても知らん。
 病院を出る前、善場主任に今後のことを聞いた。
 取りあえず私達は、帰京に専念して欲しいということだった。
 詳しい話は後日ということだ。
 因みに善場主任は更なる調査の為、市内に残るらしい。
 何かあると出動しないといけないから、善場主任も大変だ。
 休み返上だものな。
 車で病院を出る。
 あとは帰る前にこの車を返しに行かなくてはならない。
 大館能代空港まで返しに行くのは大変なので、乗捨てサービスを利用する。
 だが、まずその前にガソリンを満タンにして返さないといけない。

 高橋:「先生、ポイントカード使っていいですか?」
 愛原:「いいよ。こういう時、使うものだな」
 高橋:「はい」

 高橋はしっかり店員にポイントカードを渡している。
 こういう所はしっかりしているな。
 ガソリンを満タンにした後、レンタカーショップに向かう。

 リサ:「何かジメっとしてる……」

 車の状態を店員に見てもらっている間、外に出ていたリサが空を見上げてボソッと言った。

 愛原:「夜は天気が下り坂らしいな。もっとも、東京は降らないみたいだが」

 東北にいる間は雨に当たるだろうか。
 それまでには駅にいたいものだ。

 愛原:「ここから大館駅までは遠いですか?」
 店員:「そうですね……。車で10分ちょっとくらいです」

 すると、駅まで送ってくれるという。
 願ってもない話だ。
 元々、駅からの送迎サービスはやっているらしい。
 レンタカーのうちの1台、バネット・ワゴンに乗り込む。
 横っ腹にレンタカーショップの名前と連絡先がデカデカと書かれているので、送迎用かもしれない。
 ナンバーのひらがなはレンタカーの『わ』になっていたが。
 因みにこれ、タクシーでも使われるタイプである。
 後ろに荷物が多く載せられるので、インバウンド向けに導入したタクシー会社も多々存在する。
 また、私達が東京でレンタカーを借りる際の車でもある。
 料金も安いし、調査に使うので、あまり目立たない商用バン的な車種の方が都合が良いのだ。
 リアシートに3人並んで乗車する。
 いつもは運転席にいる高橋が、今日は助手席の後ろにいるのが何だか……。

 店員:「では出発します」
 愛原:「よろしくお願いします」

 車が走り出す。
 まずは国道7号線に出て市街地を走行する。
 因みに市役所や市立病院のある本当の中心街は、駅から少し距離がある。
 こちらも鉄道忌避伝説でもあったのかと思うくらいだ。
 レンタカーショップも比較的そんな中心部に近い場所にある為に、駅から離れているのである。
 このまま国道7号線だけを行くと遠回りになるので、途中で左折する。
 それは秋田自動車道の側道的な役割を果たす道であった。
 これで直接駅まで行けるわけではなく、また途中で左折する必要があるが、だいぶアクセスは楽である。

[同日16:45.天候:曇 同市内 JR大館駅]

 店員:「駅の真ん前でよろしいですか?」
 愛原:「あ、はい。そこでお願いします」

 車を駅前に止めてもらう。

 店員:「ご利用ありがとうございました」
 愛原:「お世話さまでした」

 さすがに駅前に、これと同じ車種のタクシーが客待ちしているということはなかった。
 首都圏では廃れつつあるプリウスのタクシーが、ワンテンポ、ツーテンポ遅れてまだ地方には配備されている。
 実はプリウスのタクシーは、タクシー会社にとってはそんなに使い勝手の良い車種ではなかったそうだ。
 私達は礼を言って、車から降りた。
 ますます空はどんよりと曇っている。

 愛原:「こりゃ列車が出発する前に、雨が降るかもな」

 私も空を見上げながら駅の中に入った。

 愛原:「まずは帰りのキップだ」

 駅の改札口は自動化されているが、Suicaなどはエリア外で対応していない。
 指定席券売機が1台あったので、私はそれで帰りのキップを購入した。
 “みどりの窓口”でも購入できるし、駅員に言えば指名買いもできるだろうが、それならこの券売機でもできる。
 空いているかどうか少し不安だったが、接続先の東北新幹線の席は空いていた。
 日曜日夜の上り、尚且つコロナ禍とあっては空いているらしい。
 そろそろツアー客も戻りつつあるようだが、長距離となるとなかなか……ということだろうか。
 それでも窓側席はそれなりに埋まっており、3人並んで乗れる座席を探すのが大変だったが……。

 愛原:「あ、1号車空いてた」

 BSAAとの取り決めでは、リサを列車に乗せる場合は先頭車または最後尾ということになっている。
 但し、列車の構造・編成や指定席の都合上、止むを得ない場合は除く。
 その際は申告しなければならない。
 この場合、善場主任に申告ということになるか。
 無事、1号車の座席が取れたのだから問題無し。

〔発券しています。しばらくお待ちください〕

 乗車券が1枚と、新幹線指定席特急券が1枚ってことになるか。
 乗り換え先は“はやぶさ”なので、自由席は無い。

〔キップとお釣りをお取りください。お取り忘れにご注意ください。ありがとうございました〕

 3人分の長距離キップなので、なかなかの値段になった。
 もちろん、交通費は後で精算するのだが……。

 愛原:「キップは1人ずつ持とう」
 高橋:「ありがとうございます」
 リサ:「新幹線、窓側がいい」
 愛原:「はいよ、A席」
 リサ:「ありがとう!」

 新幹線に乗る頃は夜なので、あまり車窓から夜景は望めないと思うが……。

 高橋:「先生、どうします?まだ発車まで少し時間ありますけど……」

 高橋は改札口の上の発車標を指さした。
 17時35分発の盛岡行きは3番線から出るようだが、確かにまだ30分以上も時間がある。

 リサ:「夕食は?」
 愛原:「そうだな……。立ち食いソバとかは無さそうだし、駅弁でもあるかな……。あっ、あとお土産も買わないと!」

 これが秋田駅とか新幹線の止まるような駅なら、少なからず土産物店なんかも併設されているだろうが、ここはどうだろう?
 発車標を見るに、特急列車が停車する駅ではあるようだが……。

 愛原:「すいません。この駅で駅弁とかお土産を売っている場所はありますか?」

 仕方ないので、私は有人改札口にいる駅員に尋ねた。
 “みどりの窓口”もあるだけあって、無人駅ではない。

 駅員:「あちらのNEWDAYSで売ってますよ」
 愛原:「ありがとうございます」

 そう、NEWDAYSもある。
 首都圏の店舗のように、そんなに夜遅くまで営業しているわけではないようだが、少なくとも今は営業している。

 愛原:「NEWDAYSだ。そこで完結できるぞ」
 高橋:「そういえば『お土産』って書いてありましたね」
 愛原:「それを早く言えよ」
 高橋:「サーセン」

 確かに首都圏でも、JR系のコンビニで土産を売っていることは何も珍しいことではない。
 JR東日本系のNEWDAYSはもちろん、JR東海系のベルマートでもそうである。
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“私立探偵 愛原学” 「一日がかりの検査」

2021-04-26 19:54:29 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月4日12:00.天候:晴 秋田県大館市豊町 大館市立総合病院]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 大館市郊外でのBOWとの戦いから一夜明け、私達は大館矢立ハイツをチェックアウトした。
 そして、昨夜の戦いで何らかのウィルスに感染していないか検査を受ける為、ここから最も近い指定病院に向かうことにした。
 今日は日曜日だが、そこは指定病院。
 私達の為に検査をしてくれるらしい。
 私達は車に乗って市街地を目指した。
 市街地へ行くので、国道7号線をひたすら南下する。
 例の現場の前を通ることになるが、表向きにはラーメン店でガス爆発があり、それで火災が起こったということになっていた。
 バリケードは剥がされ、しかし多くの警察車両が駐車場に止まっている。
 BSAAの姿は無かった。
 彼らはあくまでバイオハザードの鎮圧、予防の為に出動するのであり、その後に関しては黒幕の捕縛以外には動かない。
 ここにBSAAがいないということは、黒幕、つまり白井はいないということだ。
 カーナビの通りに進んで市街地に入り、そこにある市立病院に入る。
 日曜日なので、通常の外来は行われていない。
 しかし、市の休日夜間急患センターは開いている。
 そこに行くのかなと思ったが、私達はしっかり病棟へ案内された。
 まずは救急処置室へと入れられる。
 そこで医療スタッフから、今日行われる検査について説明を受けた。
 色々とされるようだが、何とか夕方までは結果が出るようである。
 私達は良いのだが、今日中に帰京しないと、リサが明日から学校だからなぁ……。

 リサ:「えー、お昼これだけー?」
 愛原:「しょうがないだろ。検査中なんだから」

 検査はお昼を挟む。
 病院にはレストランもあるのだが、休診日の今日は営業していない。
 コンビニがあり、昼食はそこでコンビニ弁当を買った。
 尚、検査食とかは特に無い。
 また、病院食も、別に入院しているわけではないのだから出るわけがなかった。
 コンビニが開いていて(日曜日でも勤務しているスタッフはいるし、入院患者でも病室外を出歩ける人には需要があるのだろう)、そこで弁当が売られているだけだいぶマシだろう。
 ていうか私から見れば、リサの食事量はかなり多いと思うのだが。
 私なんかミートソースパスタだけだぞ。

 リサ:「ファミチキもいい!?」
 愛原:「ああ、いいよいいよ」

 ついでに店内のATMで金を下ろしておこう。

 高橋:「何時頃、帰れますかね?」
 愛原:「まずハッキリ言えるのは、大館能代空港発の飛行機にはもう乗れないってことだ」
 高橋:「もう飛行機無いんスか!?」
 愛原:「本来なら3往復くらいの便があったんだけど、コロナ禍のせいなのか、1往復に減便されてる。俺達が乗って来た便は、その1往復のうちの下り一便だけだよ」
 高橋:「帰りは?」
 愛原:「午前中の一便で終わり」
 高橋:「ええっ、マジっすか!?じゃあ、どうするんスか?」
 愛原:「鉄道で只管帰るか」
 高橋:「秋田新幹線ですか?」
 愛原:「花輪線で盛岡まで行って、そこから東北新幹線でもいいと思う。もっとも、乗り換えは少ないが、時間は掛かる。ところが、その割にはそんなに遠回りってわけでもないんだ。盛岡駅で東北新幹線に上手く接続するダイヤになっているんだが、その東北新幹線、秋田新幹線も連結するんだ」
 高橋:「有名ですね」
 愛原:「その秋田新幹線に乗る為には、盛岡行きの鈍行列車より早く出発する列車に乗らないといけないんだ」
 高橋:「んん?ということは……?」
 愛原:「秋田新幹線回りの方が遠回りで遅いってことだよ」
 高橋:「そうなんスか。だったら……」
 愛原:「17時35分発、花輪線の盛岡行き。どんなに遅くても、これに乗れなかったらアウトだ」
 善場:「秋田空港からなら、夜出発の便もございますよ?」

 私達がイートインコーナーで昼食を取っていると、善場主任がやってきた。

 愛原:「善場主任!」
 善場:「皆さん、お疲れさまです」

 そして、空いている椅子に座る。

 愛原:「秋田空港まで行くのが大変ですなぁ……」
 善場:「所長ならそう仰ると思いました。鉄道好きが航空便に乗るのは邪道ですか?」
 愛原:「北秋田地域みたいに、首都圏からの便が不便な所なら航空便も有りだと思いますよ。なもんで、もしも大館能代空港からも夕方や夜の便があれば、迷わずそれを選択しています」

 羽田空港からのアクセスも微妙な所だ。
 菊川付近には乗り換え無しのリムジンバスは運転されていないし、鉄道も結局は東日本橋駅で乗り換えないと行けないから不便だ。
 鉄道なら花輪線で盛岡、盛岡から東北新幹線で東京、東京駅から都営バスに乗り換えることができる。
 もっとも今日の場合、もうバスは無いから、タクシーに乗ることにはなるだろうがな。

 善場:「でしょうね。それと、愛原所長に朗報です」
 愛原:「白井が見つかりましたか!?」
 善場:「それはあいにく、まだです。BSAAが所長方の協力に感謝ということで、報奨金を出すそうですよ」
 愛原:「おおっ、それはありがたい!」

 デイライトさんからも出るのかなぁ……と思ったが、善場主任は何も言わなかった(出ないとも言っていない)。

 善場:「何しろBSAAの隊が1つ全滅するようなBOWを相手に、よく戦いましたからね」
 愛原:「リサのおかげですよ」
 リサ:「むふー」

 リサは誇らしげに鼻息を荒くした。

 善場:「よく頑張りましたね」
 リサ:「エヘヘ……」(*´∀`*)
 愛原:「ラーメン屋の店長とかはどうなるんですか?」
 善場:「店長にあっては感染が確実ですので、隔離して発症しないようにワクチンを投与しております。その後はBSAAや私共で、事の経緯について聴取することになります」
 愛原:「そうですか。リサが怪しんだBOWについての正体、まだ分かりませんか」
 善場:「あいにくまだ調査中です。しかし、愛原所長方の御協力には感謝しております。今後ともよろしくお願い致します」

 お?これはもしかしたら、デイライトさんからも報酬もらえるかな???
 ……とはいえ、民間の探偵業者にできることはここまでなんだよな。
 私達も真相を知りたいところだけど、民間人が深入りしてしまってはいけない部分もあるし。
 まあ、しょうがない。
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“私立探偵 愛原学” 「事件終結」

2021-04-26 10:34:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月3日21:30.天候:曇 秋田県大館市郊外某所 スーパーラーメンショップ]

 愛原:「高橋、こっちだ!」
 高橋:「はい!」

 倉庫の鍵を壊し、私と高橋は中に飛び込んだ。

 愛原:「誰かいるか!?」
 店長:「た、助けて……」

 店長の声がした。

 愛原:「大丈夫か!?」

 私はマグライトで倉庫を照らしながら、店長を探した。
 すると倉庫内に設置された大型冷蔵庫の陰に、店長が手足を縛られた状態で転がっていた。

 愛原:「一体、何があった!?」
 店長:「オーナー達がやってきて、あなた達のことを話したら、突然襲われてここに入れられたんだ!」
 愛原:「オーナーというのは、白井伝三郎か?」
 店長:「そうだ!」

 やはりこの土地を相続していたのは白井伝三郎だった!

 愛原:「『達』というのは?白井が1人で来たんじゃないのか?」
 店長:「違う!何か、ガスマスクをしてサバゲーの恰好をした人達が数人ほど一緒だった」
 愛原:「ガスマスクって……!」
 高橋:「ヴェルトロっスね!」

 すると、BSAAの応援部隊も倉庫に突入してきた。

 BSAA隊員G:「外はクリアした!早く外に!」
 愛原:「わ、分かりました!この人をお願いしていいですか!?」
 隊員G:「その人は?」
 愛原:「生存者です。あのラーメン屋の店長さんです」
 隊員G:「すぐこっちに!」

 私達は倉庫を出た。
 店は完全に焼失し、焦げ臭い臭いが立ち込めているのはもちろんのこと、他の臭いも混じっていた。

 愛原:「リサ!」
 リサ:「先生」

 リサは第1形態になっていた。

 リサ:「何とか倒したよ」
 愛原:「よくやった!」

 BOWは肉片の状態になって、あちこちに転がっていた。
 それをBSAAがかき集めている。
 持ち帰って調査するのだろう。
 店長はBSAAのヘリコプターに乗せられた。
 病院で検査と、それから事件に関する経緯の事情聴取をされるのだろう。
 バイオハザード絡みはもうBSAAの管轄になるからな。

 愛原:「俺達も帰ろうか。帰って一っ風呂浴びたい」
 高橋:「そうですね」

 私達はBSAAから借りていた銃を適当に置いて、そそくさ~と帰った。
 いや、今から思えば、銃の無断拝借はさすがにマズかったかなと思った次第だ。
 バリケードの外では、警察が交通規制をやっていた。
 バイオハザードの中では、警察ができることは交通規制くらいか。
 急いで陣馬駅に戻り、止めていたライトバンに乗り込む。

 愛原:「久しぶりに戦闘に参加したせいか、変な汗かいちゃったな」
 高橋:「そうですね」

 そして高橋はエンジンを掛けて車を走らせた。

[4月4日07:00.天候:晴 同市内 大館矢立ハイツ4F大浴場→1Fレストラン]

 愛原:「ふぅーっ……」

 朝風呂に入る私達。
 実は昨夜、宿に帰ったら、入浴時間は終了していて入れなかったのだ!
 温泉がこんこんと湧き出る所だから、24時間入り放題だと思っていたのだが、残念だった。
 仕方ないので昨夜は体を拭いて着替えて、朝早く起きて入浴することにした由。
 朝は7時から入れるので、朝一を狙った。

 愛原:「やっとさっぱりしたな~」
 高橋:「全くです」

 湯船に浸かってゆっくりする私達。
 内湯の後は露天風呂に移動する。

 高橋:「今日はどうしますか?もちろん、東京には帰るでしょうけど……」
 愛原:「まずは昨夜のことを善場主任に報告するよ。もしかしたら、もう秋田入りしてるかもしれない」
 高橋:「分かりました」

 風呂に入ってサッパリした後は、1Fのレストランに向かう。

 従業員:「おはようございます」
 愛原:「おはようございます」

 レストランに行くと席は用意されていて、『愛原様』と書かれていた。
 そこに座る。
 朝食はバイキング形式ではなく、定食形式だった。
 従業員がすぐに持って来てくれる。
 ベタな法則で、焼き鮭に玉子焼き、味付けのりや納豆、1人鍋もあった。
 リサが喜びそうな量だ。

 リサ:「♪」

 リサはおひつの御飯を自分でよそうと、期待を裏切らない。
 山盛りにした。
 御飯はお代わり自由らしい。

 高橋:「しかし先生……」
 愛原:「何だ?」
 高橋:「ゾンビ無双した後で普通に帰って寝て、朝起きてのんびり温泉入って、こうして飯を食おうとしてるんですよ」
 愛原:「何が言いたい?」
 高橋:「多分俺達、もう普通の人間じゃないんたろうなぁって思います」
 愛原:「何を今さら……。あの霧生市のバイオハザードを生き延びただけで、もう俺達は普通の人間じゃないんだよ」

 そしてそれは、同じ生存者の栗原蓮華さんもそう。

 愛原:「だから気にしないことだ。気にしたら負けだぞ」
 高橋:「分かりました」
 愛原:「それじゃ、食べよう」

 私が合図を出すと、リサが一心不乱になって食べ始めた。
 思えばリサが一番激しく動き回っていたのだから、彼女が一番腹が減っているはずなのだ。
 にも関わらず、捕食行動を抑えられて偉いと思う。
 私達が食べ終えるよりも先に、リサがペロリと平らげてしまった。
 確か、御飯を何杯かお代わりしていたはずなのだが。

 愛原:「せっかくスリムになったのに、またリバウンドしちゃうぞ?」
 リサ:「気をつける」

 食べ終えてレストランを出た時、私のスマホに善場主任から電話が掛かって来た。

 愛原:「はい、もしもし。おはようございます」
 善場:「善場です。おはようございます。昨夜はお疲れ様でした」
 愛原:「いえ。お役に立てたかどうか……」
 善場:「リサを使ってBOWを倒し、生存者を1名救出したということで、BSAAも唖然としていますよ。そのうち、入隊勧誘があるかもしれませんね」
 愛原:「私はただの探偵ですよ」
 善場:「いえ、ただの探偵ではないと思います。それより所長方は、特に体の変化はありませんか?」
 愛原:「特に無いですね」
 善場:「ですが、検査は受けて頂く必要があります。生存者も感染が確認されたので、今は病院に収容しています」
 愛原:「あの店長も感染していたんですか!」
 善場:「CウィルスとTアビスを融合したものを、BOWは撒き散らしていたようですね。所長も御存知の通り、前者は空気感染のみ、後者も初期の時点では空気感染しますから、それを吸ったものと思われます」
 愛原:「なるほど、分かりました。それ以外に分かったことはありますか?」
 善場:「それに関しましては、また後でお話しします」
 愛原:「それで、私達はどこで検査を受ければいいのでしょう?」
 善場:「大館市内の病院に行ってください。病院には私達の方から話を通しておきます。というか、そこの病院で落ち合いましょう」
 愛原:「分かりました」

 やっぱりBOWとの戦闘の後は、感染状態をチェックか。
 リサと常に一緒にいるせいか、どんなウィルスでも怖くないんだよなぁ……。
 うん、やっぱり私も常人ではなくなったようだ。
コメント
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