ノベラーエクスプレス関東

 自作の小説がメインのブログです。
 主にSF、ファンタジー、ミステリーの脳内妄想を文章化したものです。

“大魔道師の弟子” 「大魔道師達と弟子達の朝」

2018-01-30 19:49:33 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月3日07:30.天候:晴 東京都大田区羽田空港 東急エクセルホテル羽田]

 稲生:「うーん……」

 稲生は朝起きて身支度を整えていた。

 稲生:(丑寅勤行をした後また寝ちゃったけど、別にいいんだよね?登山中じゃ、そうしてるし……)

 大石寺における丑寅勤行は僧侶にとっての朝勤行であることから、正にこの時から1日の仏道修行が始まるのだろうが、俗世間における信徒にとってはそういうわけではないことから、二度寝は別に謗法ではないのだろう。
 そもそも、顕正会員をしてそれがあることを知る者がいるかどうかだ。
 作者は大石寺の信徒になるまで、それを知らなかった。
 顕正会員時代には、妙信講からの会員も結構いたにも関わらずだ。

 稲生:「さーて、マリアさん起こしてこよう」

 稲生は室内の電話機を取った。

 稲生:「んんっ?」

 だが、何故か話し中になっていた。

 稲生:「どういうこっちゃ?」

 もう1度掛けてみると、今度は繋がった。
 で、すぐにマリアが出る。

 マリア:「Hello.」
 稲生:「マリアさん、おはようございます」
 マリア:「ああ、ユウタか。この通り、もう起きてるよ。師匠の部屋に電話したら、朝食はルームサービスだってさ」
 稲生:「さすがは先生方ですね」
 マリア:「ああ。弟子達との食事は、昨夜で十分らしい」
 稲生:「しょうがないですよ。僕達は僕達で、食べに行きましょうか。昨夜のレストランみたいですから」
 マリア:「うん、行こう」

 稲生とマリアは部屋の外で待ち合わせて、それからレストランに向かった。

 稲生:「よく眠れましたか?」
 マリア:「おかげさまでね。ありがとう」

 マリアの見せる笑顔にドキッとした稲生だった。
 エレベーターでレストランのある2階へと下りる。

 稲生:「あの……鈴木君は顕正会から来た者で、その……顕正会で色々あったみたいで、そのせいで精神的に参った所があったようで……」
 マリア:「ユウタの言いたいことは、あの変態野郎のせいでユウタの宗派のイメージを落とさないでくれ、だろ?」
 稲生:「はあ……」
 マリア:「別に私はイメージダウンはさせてないよ」
 稲生:「マリアさん……」
 マリア:「ユウタがいる所だし、藤谷さんみたいな面白い人もいる。魔女狩り教団から守ってくれたのも、ユウタの宗派だったから」
 稲生:「うちには『邪教撲滅!世を正せ!』みたいな人がいるのも事実ですから……」

 稲生は苦笑した。
 別に魔道師を助けたくて行動したわけではなく、その魔道師達を火あぶりにせんとした邪教破折を目的としたものだったからだ。
 目的と手段を口では正しく言っていても、行動に際しては首を傾げる者も存在する。

 稲生:「このレストランですね」

 同じレストランであるが、ディナータイムの時とは雰囲気が変わっている。
 このホテルの朝食会場もまた御多聞に漏れず、バイキング形式であった。

 稲生:「僕は和食中心にしようかな……」
 マリア:「その方がいい。今夜のディナーから、また私や師匠の好みに合わせた食事になる」
 稲生:「はい」

 といっても、全て和食にしたわけではない。
 調理師が目の前で作るオムレツやベーコン、ソーセージなんかもおかずとして取っていた。

 マリア:「出発は、何時だって?」
 稲生:「10時ちょうど。このホテルのチェックアウトの時間ですよ。大師匠様の飛行機が、その時間帯でも十分に間に合う便なので」
 マリア:「そうか」
 稲生:「僕達は大師匠様のお見送りの後、羽田空港発の高速バスで帰るわけです」
 マリア:「師匠は不精だから、あまり歩きたがらないんだ」
 稲生:「ですよね」
 マリア:「屋敷の階段、エスカレーターにしようかなんて言ってる」
 稲生:「既に地下室から3階まで、エレベーター1基仕掛けたのにねぇ……」

 屋敷の主人はマリアということになっているが、実はそれは表向きで、実際のオーナーはイリーナだったりする。
 マリアは住み込みの管理人といった感じ。

[同日同時刻 同ホテル7F客室]

 稲生とマリアがシングルルームにそれぞれ泊まったのに対し、イリーナとダンテはスイートルームに宿泊していた。
 確かに他の部屋と比べて間取りは広く、ベッドもダブルベッド並みの大きさのものが2つ用意されている。
 ソファなどの応接セットもあるのだが、観光地のホテルにあるような『貴賓室』的なギンギラギンな感じではなく、落ち着いた内装になっている。

 ダンテ:「おーい、イリーナ。朝食が来たよ。早く食べようじゃないか」
 イリーナ:「待ってください、先生」

 イリーナがバスルームから出て来た時、ワインレッドのセクシーランジェリー姿だった。
 すぐにその上から、いつもの紫色のワンピースを着る。

 ダンテ:「昨夜、孫弟子達に危険が迫っていたような予知があったが、大丈夫だったみたいだね?」
 イリーナ:「ええ。あのコ達は、よくやってくれますわ」
 ダンテ:「私達の魔法をどこまで公表するべきか、時代によって熟慮しないといけないから大変だね」
 イリーナ:「少なくとも『協力者』には公表すべきかと考えております。でないと、信じてもらえませんもの」
 ダンテ:「それは私も同意見だ。自称『まもなく中堅ゼネコン入り確定の赤ランプ点灯』の土建会社の倅も、その1人とカウントしているわけかい?」
 イリーナ:「そのつもりです。私もお世話になったことですしね」
 ダンテ:「ふむ。まあ、キミがそう思うのなら良かろう。それで……今後、来たるべくキミの弟子に強制的に訪れる試練とやらの対策はどうなっているのかね?」
 イリーナ:「生贄が必要だと判明しています。そしてその有力候補を挙げているのですが、今回の旅行でそれをほぼ確定させました。あとはその生贄を有効に活用する為のプランを今現在立てている最中です」
 ダンテ:「なるほど。この辺に関しては、少し私としては不安だな」
 イリーナ:「先生?」
 ダンテ:「有効なプランを立てる。あいにくとだが、私の直弟子達の中において、キミが1番その成績が悪い」
 イリーナ:「っ……!それは……!もう、昔の私とは違います。ですから……」
 ダンテ:「ただ単に、私のテストを受けなかっただけだと思うが?……まあいい。そこまで言うのなら、やってみなさい。但し、最良の結果は求めない」
 イリーナ:「先生?」
 ダンテ:「但し、最悪の結果は絶対にもたらさないように。あいにくとだが、プラン立てについて常に落第だった弟子を師匠として信用するわけにはいかん。とはいえ、その自主性を潰すには惜しい。分かるかね?もしこれがアナスタシア辺りだったら、私はハードルを最高にまで引き上げていただろう。しかしキミの場合は、ハードルを下げる。いいかね?下げた以上、そのハードルを倒してはならない。不服なら、キミの案は却下する」
 イリーナ:「……分かりました。私なりの微力を尽くします」
 ダンテ:「いいだろう。キミの弟子達の信頼を損ねる。これが最悪の結果だ。これさえ無ければ、キミに赤点を付けることはしない」

 よほど師匠に信用されていないことをイリーナはやろうとしている。
 ポジティブに考えれば、他の大魔道師仲間並みの結果を出せば、師匠であるダンテを見返してやれるということにはなるが……。
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“大魔道師の弟子” 「ケンショーを受誡させんとする者、首に縄を付ける覚悟で!」

2018-01-30 10:24:15 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月3日22:00.天候:晴 東京都大田区羽田空港 羽田空港第2ターミナル交番]

 藤谷:「こンの、クソボケがぁっ!!」

 ガッ!(藤谷、鈴木を殴り付ける)

 鈴木:「!!!」

 鈴木、眼鏡が吹っ飛び、床に崩れ落ちる。

 巡査A:「ちょっと、あなた!乱暴ですよ!」
 巡査部長:「どこの組の者だね!?」
 藤谷:「まもなく中堅ゼネコン入り確定の赤ランプ点灯、(株)藤谷組の専務取締役、藤谷春人とは俺のことだ!……よろしくお願いします!!」

 藤谷、金ピカの社章が入った名刺を差し出す。

 警部補:「そういう優良企業のお偉いさんが、そんな乱暴なことしちゃイカンよ。とにかく、身元引受人が到着したことだし、キミも2度とあんなことしちゃイカンよ?分かったか?」
 鈴木:「…………」
 藤谷:「へい。そりゃもう、今度から首に縄でも鈴でもリモコン爆弾でも何でも着けておきますんで、どうか1つ……」
 巡査部長:「ちょっと待て。今サラッとテロっぽいこと言ってなかったか?」
 藤谷:「ほら、鈴木!お前も何か言え!」
 鈴木:「創価の手先に何されようが、俺は屈しない」
 警部補:「な、なに!?」
 藤谷:「おい!なにケンショーみてーなこと言ってんだ!?……あ、そうか。元顕だったな、お前……」
 巡査部長:「大丈夫なのかい?」
 藤谷:「え、ええ。ちょっと病気な所がありまして。とにかく、あとはアッシにお任せくだせぇ。ではどうも、お世話様でした」

 藤谷は鈴木の身元引受人になっていた。
 急いで正証寺から車を走らせ、鈴木を迎えに来たのである。

 藤谷:「車は駐車場に止めてある。こっからアクセス可能だから」
 鈴木:「…………」

 鈴木は駐車場に行くまでの間、ホテルの方を何度も見据えた。

 藤谷:「どうした?何度も言ってんだろう?稲生君達は、とっくに長野に帰ったってな」
 鈴木:「何で俺だけがこんな目に……!」
 藤谷:「あ?」
 鈴木:「宗門に来れば幸せになれるんじゃなかったのかよっ、あぁっ!?」
 藤谷:「オメー、何か勘違いしてるんじゃねーのか?ここでの幸せの成り方は、基本的にケンショーと同じだぜ?」
 鈴木:「……!」
 藤谷:「とある宿坊の講頭さんが仰ってたんだが、顕正会は教義や御本尊が間違っているというだけで、それ以外は正しいらしいんだ。その言葉も宿坊の御住職様のものだぜ?ま、一部の武闘派は顕正会そのものを全否定したりするから、多少の誤解が出るんだがな」
 藤谷:「つまり、だ。鈴木君のケンショーでのやり方、実は宗門でも通用するっとことだ。ケンショーでは仏法を始めてすぐに幸せになれると言ってたか?」
 鈴木:「1週間やってみて何もいいことが無かったら辞めていいということだった」
 藤谷:「いや、だから、そこが間違ってるんだって。こっちの武闘派もだいぶ勘違い野郎がいるが、『自分の行いが正しいと思ったら、どんどん突き進んでよい』というわけじゃないんだ。お前がもし今の状態が不幸だと思うのなら、それはやり方が間違っているという何よりも証拠さ」
 鈴木:「俺のどこが間違っていたと?俺はただ、魔法の存在が……」
 藤谷:「それだけか?」
 鈴木:「なに?」
 藤谷:「正証寺の御所化さんに聞いたんだが、マリアさんが魔法を使用したという決定的瞬間の時、随分とエロい顔してたそうじゃねーか。映像によれば、風で着物が捲れ上がって中のパンツが丸見えだったようだが……」
 鈴木:「そ、それは違います!」
 藤谷:「後でマリアさんに使用済みパンツの1枚でも請求するつもりだったんじゃねーのか?」
 鈴木:「んなわけないですよ!せいぜい、夢の中で乱暴しただけです!」
 藤谷:「……おい!」
 鈴木:「……あ」
 藤谷:「もしもマリアさんが魔法使いだとして、だ。お前が見た夢も、お見通しだと思うがな?……分かったら、もう2度と関わらんことだ。命がいくつあっても、足りなくなるぞ」

 鈴木はやっと蒼い顔になった。

 藤谷:「てやっ!!」

 藤谷はポケットからプラスのドライバーを取り出すと、後方に向かってサーカスの投げナイフのように投げた。

 ソッカー戦闘員C:「うわっ!」

 それは尾行していたソッカー戦闘員が持つカメラを直撃。
 カメラは宙に舞って車道に落ち……。

 ソッカー戦闘員D:「わあっ、待て!カメラ泥棒!!」

 下を走っていた長距離トラックのコンテナの上に乗っかった。

 鈴木:「班長、何かしたんですか?」
 藤谷:「……この世の中に、ヒーローは存在しない。悪の組織のザコくらいは、自分で対応するものなんだ」
 鈴木:「えっ?」

 怪人マチャミ姫:「このおバカ野郎ども!今すぐ九州へ行って取り戻して来ちゃミ〜!!」

 マチャミ姫、手に持った鞭を戦闘員達に振るう。

 戦闘員C:「きゅ、九州ですか!?」
 マチャミ姫:「今のトラック、北九州ナンバーだったミ〜!ダイ・サーク様にバレる前に、さっさと取り戻して来い!この能無しども!」
 戦闘員D:「は、ハハーッ!!」
 マチャミ姫:「おの〜れ!日顕宗のクソ共め〜!必ず仕返ししてやっちゃミ〜!」

[同日23:30.天候:晴 東急エクセルホテル羽田]

 マリアは部屋の電話を取っていた。

 稲生:「マリアさん、藤谷班長から連絡です。『鈴木は連れ戻した。あと、とある敵組織のスパイ達も対処した』と」

 電話の相手は隣の部屋にいる稲生。

 マリア:「了解。ありがとう」
 稲生:「大丈夫ですか?僕、そっちの部屋に行きましょうか?」
 マリア:「いや、大丈夫。多分、これでもうちゃんと寝られると思う」

 マリアは一眠りしたものの、鈴木に押し倒される夢を見て絶叫しながら起きた。
 防音がしっかりしているホテルだから、悪夢で起きても隣室にまでは聞こえないと思われるが、そこは稲生である。
 その後、藤谷から事後報告が来て、こうしてマリアに電話したのであった。

 マリア:「解決したのなら良かった。私、もう寝るね」
 稲生:「はい、おやすみなさい」
 マリア:「おやすみ」

 マリアは電話を切ると、消灯してベッドの中に入った。

 マリア:「大丈夫。もう平気」

 マリアの作ったフランス人形、ミクとハクが心配そうに覗き込んできた。
 今度こそ、マリアは朝まで寝ることができたのだった。
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“大魔道師の弟子” 「鈴木の暴走」

2018-01-28 20:13:34 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月3日20:00.天候:晴 東京都大田区 羽田空港・国際線ターミナル]

 ハワイはホノルルからの到着便。
 その乗客達がぞろぞろと到着ロビーに出て来た。

 特盛:「ふぃ〜っ!やっと日本に着いたよォ〜!」
 エリ:「まさか天候不良で30分以上遅れて到着だなんてね。こっちはこんなに晴れてるのに」
 特盛:「でもエリちゃんと年末年始は新婚旅行行けて、無事帰って来れて功徳が止まらなーい!」
 エリ:「はいはい、良かったね」

 特盛とエリちゃんは、ポテンヒットさん原作“ガンバレ!特盛くん”からのゲスト出演である。
 あいにくと原作の方は削除されたのか、漂流中の“あっつぁブログ”で閲覧することができなくなっている。
 そしてここにもう1人、そのゲストキャラが……。

 特盛:「はーい、荷物ゲット〜!」
 エリ:「忘れ物は無いね?それじゃ、バスに乗って行きましょうか」
 特盛:「それならバスのチケット買わないとォ……。ん?あれー?」
 エリ:「なに?どうしたの?」
 特盛:「何かあれ、鈴木に似てる〜?」
 エリ:「え?どこ?」
 特盛:「ほら、あそこ」
 エリ:「あんた、普段は目が悪いくせに、こういう所は目がいいのね。……っと、何か昔の特盛よりキモい歩き方だわ」
 特盛:「んー?何か言ったー?」
 エリ:「何でもない!」
 鈴木:「…………」
 特盛:「やーっぱり、鈴木だぁ!明けまして、おめでと〜!鈴木も旅行?」
 鈴木:「…………」

 鈴木、憮然とした表情でスルーして去って行く。

 エリ:「何よ、あれ?気分悪いったら!」
 特盛:「他人の空似だったのかなぁ〜?」
 エリ:「いや、あの昔の特盛とはまた違う……もとい、あのキモ暗い感じは鈴木で間違いないと思うよ?」
 特盛:「鈴木もケンショー辞めて、御受誡したはずだけどぉ〜?」
 エリ:「そうだったね。どこのお寺だって?」
 特盛:「確か、ブクロの正証寺さんだよ。おいらは浮かれて♪ポンポコポンのポン♪っと」
 エリ:「そりゃ証城寺だよ!しかも宗派違うし!」
 特盛:「おいら達も来週は御講に行かないとォ」
 エリ:「そうだね。ウチら宿坊信徒は、参詣イコール登山だもんね」
 特盛:「そうそう。一石二鳥で功徳が止まらなーい!」
 エリ:「ちょっと違うと思うけど」

 どこの宿坊に所属したかは【お察しください】。
 尚、ネタ帳には『元顕正会員の妙観講員に折伏されたものの、妙観講アレルギーのエリちゃんと顕正会東京会館前において“流血の惨を見る事、必至”の争いを巻き起こし、特盛共々妙観講には所属を断られたので報恩坊に所属した』とある。
 が、許可が出てないのでご想像にお任せします。
 多分、作者の私がトチロ〜さんを介して折伏したなんて妄想していたんだろうな。
 いや、あの頃は楽しかったのに。

[同日21:00.天候:晴 羽田空港第2ターミナル隣接 東急エクセルホテル羽田]

 鈴木:「だから、何で教えてくれねーんだよっ!確かにこのホテルに泊まってるはずなんだよっ、あぁっ!?」
 フロント主任:「ですので、何度も申し上げてますように、当ホテルではお客様のお部屋番号を妄りにお教えできない決まりとなっておりまして……」
 鈴木:「んなこた聞いてねぇんだよっ!このホテルに稲生勇太とマリアンナとかいう外人が泊まってるはずだから、その部屋番号教えろや!!」
 フロント主任:「失礼ですが、あまり大声を出さないで頂けますか?これ以上は迷惑行為と見なし、警察に通報させて頂くことになりますが?」
 鈴木:「んなことしてみろっ、あぁっ!?大聖人の仏弟子に怨嫉しやがった罪障で、ホテルが潰れるぞっ!あぁっ!?」
 フロント主任:「キミ、警察に通報してくれ」
 フロント係:「はい」
 鈴木:「てめぇっ!余計なことするんじゃねぇ!!」

 鈴木、フロント主任の胸倉を掴む。
 が!

 警備員A:「暴行の現行犯で逮捕します!」
 警備員B:「奥へ連れて行け!」
 警備員C:「こっちへ来い!」
 鈴木:「おう、こら!ガードマンのくせに、俺を逮捕する権利なんてあんのかよっ、あぁっ!?」

 ズルズルと警備員達にバックヤードへ引きずられる鈴木。
 尚、現行犯であれば警備員でも逮捕可能です。
 犯罪者の皆様、悪しからず。

 パシャ!パシャ!パシャ!(カメラのシャッター音)

 ソッカー戦闘員C:「よっし!いい写真が撮れたぞ!」
 ソッカー戦闘員D:「うひょひょひょひょ!またもや日顕宗信者の不祥事!ソッカーの功徳だぁ!」
 怪人マチャミ姫:「でかしたミ〜!早速、この写真をソッカー新報に送り付けてやっチャミ〜!」

 尚、謎の秘密結社ソッカーもまたポテンヒットさん原作“折伏戦隊!ケンショーレンジャー”からのゲスト出演です。

[同日同時刻 天候:晴 同ホテル7F客室]

 稲生:「はい、もしもし?……あ、藤谷班長」
 藤谷:「どうしたんだ、稲生君?さっき電話した時、出なかったぞ?」
 稲生:「あ、すいません。お風呂に入ってたもんで」
 藤谷:「そうだったのか。いや、ちょっと嫌な予感がしてよ」
 稲生:「何ですか?班長も俄か予知能力ですか?」
 藤谷:「アホか。単なる競馬とパチスロで鍛えた勘だよ。いや、実はうちの鈴木のことなんだが……」
 稲生:「鈴木君がどうかしたんですか?」
 藤谷:「マリアさんの魔法を目撃してから、少しおかしいんだよ。元々アニヲタ兼ゲームヲタだからしょうが無い面もあるんだが、それを抜きにしても、やけにマリアさんの魔法に固執してるんだ」
 稲生:「はあ……」
 藤谷:「もしかしたら稲生君達が今日、羽田のホテルに泊まっていることを突き止めて、そっちに向かってるかもしれんぞ?」
 稲生:「ええっ!?」
 藤谷:「いや、よく分かんねーけど、あいつも元は顕正会員だ。それも、結構謀略的なことが得意だったヤツだそうだ。だったら、意外とそれくらいやってのけそうじゃねーか?」
 稲生:「た、確かに。僕も元顕だから、何となく分かります」
 藤谷:「だろ?しかもさ、これは別の班長から聞いた話なんだが、池袋駅から羽田空港行きのバスに、鈴木とよく似たヤツが乗ったところを見たなんて証言もあるんだ。だから、もしかしたらと思ったんだ」
 稲生:「分かりました。注意しておきます」
 藤谷:「鈴木には会わないか?」
 稲生:「僕だけだったらいいんですけど、マリアさんやイリーナ先生方もいらっしゃいますから。マリアさんは正直、鈴木君にいい印象は持っていないようですし……」
 藤谷:「だよなぁ……。あいつのケータイ、繋がらないんだ。ま、俺もあいつのことは注意しておくよ」
 稲生:「分かりました。よろしくお願いします」

 電話を切った後しばらくして、藤谷の携帯電話に警察からの連絡があったことだけは伝えておく。
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“大魔道師の弟子” 「天網恢恢疎にして漏らさず」

2018-01-27 10:19:44 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月3日19:30.天候:晴 東京都大田区 東急エクセルホテル羽田 客室]

 鈴木:「ムフフフ……!ここだ。この部屋だ」

 鈴木はマリアの部屋に到着すると、インターホンを押した。

 マリア:「はい」

 しばらくして、ドアが開く。

 鈴木:「どうも、こんばんは」
 マリア:「あ、あなた……!」

 慌ててドアを閉めようとしたマリアに対し、足でドアを止める鈴木。

 鈴木:「おっと!そうは行かねぇよ。おお〜、シャワーを浴びた後なんだね。普段のブレザーもいいけど、その寝間着姿もいいですねぇ……」

 鈴木、横田とはまた違うキモい笑みを浮かべる。

 マリア:「な、何の用だ?」
 鈴木:「今日は折り入って話があって来たんですよ。ちょっと中に失礼しますよ」
 マリア:「だ、ダメだ!ユウタ達を呼んでから……」
 鈴木:「2人で話がしたいんですよ。2人でね……!ムフフフフ……」

 鈴木は半ば強引にマリアの部屋に入った。

 鈴木:「魔法使いのローブに魔法の杖。これは本当に、ただの占い師が持つアイテムですか?」
 マリア:「な、何が言いたい!?」
 鈴木:「マリアさんは本当は魔女でしょう?別に隠さなくていいんですよ。俺はただ単に、魔法とあなたに興味があるだけですから」
 マリア:「何のことだか分からない」
 鈴木:「そうですか?現に今も魔法を使ってるじゃないですか」
 マリア:「?」
 鈴木:「本当は日本語をペラペラ喋れないんでしょう?何ですか?口の動きと実際に聞こえてくる日本語が一致しないんですけど?まるで映画の日本語吹き替え版を観ている感じだ」
 マリア:(し、しまった……!自動通訳魔法具、使用中だった!)
 鈴木:「ねぇ、いい加減隠さないでくださいよ。俺がゲームが好きで、稲生先輩とそこが合うってのは知ってるでしょう?」
 マリア:「それがどうした?」
 鈴木:「是非今度作るゲームに、マリアさんみたいなかわいい魔女さんを登場させたいんですよ。そのモデルになって頂きたいんです」
 マリア:「どんなゲームを作るのか知らないが、お断わりだな」
 鈴木:「そうですか。でもこの映像を観たら、きっと了承してくれると思いますよ」

 鈴木はマリアの体を舐めるように見ながら、1枚のDVDを出した。

 鈴木:「これはあなたが正証寺で魔法を使う所をバッチリ撮った映像です」
 マリア:「なっ……!?」
 鈴木:「今、再生しますからね」

 鈴木はポータブルDVDプレイヤーを再生した。
 そのモニタに映ったのは、マリアが酔っ払いながらも正確な魔法陣を描き、そこに飛び込んでルゥ・ラを使用する所だった。

 鈴木:「どうです?これ、魔法以外の何物でも無いでしょう?」
 マリア:「こ、これはイリュージョンの練習だ!私の師匠は、こういったイリュージョンもやっていて……」
 鈴木:「いやいや、どう見ても魔法。もちろん、このDVDは差し上げます。但し、俺の芸術に協力してくれたらね」
 マリア:「芸術だって!?」
 鈴木:「俺のゲームに登場させる魔女は、まだ敵役か味方役かは決まってないんですけど、いずれにせよ、戦いの展開がピンチになるという設定です。その際、服をビリビリに破られて裸体を曝け出すという……。そのシーンは実写にしたいと思うんですよ。そのシーンを撮らせてもらうだけでいいんです」
 マリア:「ポルノゲームでも作る気か。悪いけど私は魔法なんて使って無いし、あなたの芸術に協力するつもりもない。分かったら、とっととこの部屋から出て行け!」
 鈴木:「分からない人だなぁ。もうあなたには選択肢は無いんだよっ!!」
 マリア:「な、何を……!」

 鈴木、マリアを押し倒した。
 そして、【18歳未満閲覧禁止要項に抵触する為、カット致します】。

[同日19:20.天候:晴 羽田空港国際線ターミナル]

 鈴木:「ムフフ……!どうだ?思い知ったか……!ほら、気持ちいいだろ……!ムフフフ……」
 運転手:「お客さん!お客さん!」
 鈴木:「中に出すぞ……!」
 運転手:「お客さん!!」
 鈴木:「……んあっ!?」
 運転手:「あの、もう終点なんで、降りてください!」
 鈴木:「……はっ!?」

 鈴木は周囲を見渡した。
 すると、そこはバス車内だった。

 鈴木:「こ、ここはどこ!?」
 運転手:「終点の羽田空港国際線ターミナルです。折り返し準備をしないといけないので、早く降りてください」
 鈴木:「ええーっ!?」

 今までのことは全部夢だった。

 鈴木:「く、くそっ……!第2ターミナルで降りるはずだったのに……!」
 運転手:「運賃は変わりませんし、ターミナル間無料循環バスが走ってますから、それで戻れますよ」
 鈴木「くそっ!」

 鈴木は荷棚に手を伸ばした。
 だが、手は空を切るだけだった。

 鈴木:「? あれ!?」
 運転手:「どうしました?」
 鈴木:「に、荷物が無い!」
 運転手:「ええっ?」
 鈴木:「俺の荷物が無ーい!ちくしょう!盗まれたーっ!!」

 バス車内に鈴木の絶叫がこだました。

 鈴木:「こんな功徳の無い仏法、辞めてやるーっ!!」

[同日同時刻 天候:晴 羽田空港第2ターミナル]

 ソッカー戦闘員A:「隊長!日顕宗のバカから奪い取って来ました!」
 ソッカー隊長:「うむ、でかしたぞ」
 ソッカー戦闘員B:「ちょっとクロロホルムを嗅がせただけでイチコロ。さすがは、ソッカーの科学技術は凄いですな」
 隊長:「そうだろうそうだろう。それで首尾はどうだ?」
 戦闘員A:「バッチシです。これで次の“フェイク”は『止まらぬ日顕宗の悪事!』『今度は外国人女性の動向を盗撮!!』で決まりですな」
 戦闘員B:「噂ではイリュージョンの練習をしていただけの女性を魔女と決めつけ、別の意味で火あぶりにしようと企んでいたそうですよ」
 隊長:「それは何という……!正にダイ・サーク総統をも恐れぬ悪の所業!すぐにこれを持って帰るぞ!」
 戦闘員A&B:「ハハッ!」
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“大魔道師の弟子” 「執念の男、鈴木」

2018-01-25 19:59:21 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月3日17:00.天候:晴 東京都豊島区 日蓮正宗正証寺]

 藤谷:「はーい、夕方勤行に参加の方はこちら〜!」
 鈴木:「…………」
 藤谷:「おい、鈴木君。任務なんだから、ちゃんと誘導案内しなきゃダメだよ」
 鈴木:「班長。あの稲生先輩の彼女さんは入信しないんですか?」
 藤谷:「キミもしつこいな。まだ彼女は信心決定(けつじょう)してないの。顕正会ならそれでも無理くり入信させて誓願数にしちゃうんだろうが、宗門は違うんだよ」
 鈴木:「稲生先輩が知らないわけないんです。あの彼女さん、絶対に魔法が使える。班長は何かご存知無いんですか?」
 藤谷:「さる有名な占い師のお弟子さんだってことしか知らんよ。日蓮正宗じゃ、占いを否定するから入信できんのだろ」
 鈴木:「話をはぐらかさないでください。俺は稲生先輩の彼女さんが『魔女』だと確信します。それも、あのキリスト教から迫害されるほどの。恐らく彼女はキリスト教の魔女狩りを恐れている。その隠れ蓑代わりに、稲生先輩に近づいたんだとしたら?」

 藤谷は大きな溜め息をついた。

 藤谷:「何でこう顕正会員ってのは、思い込みが激しいかねぇ?占いには色々な流派があるのは知ってるだろ?」
 鈴木:「知りません」
 藤谷:「あっ、そ。まあ、あるんだよ。その中には黒魔術紛いのもあって、キリスト教からそりゃ睨まれるわなってのもあったりする。彼女の場合もまた、そういう占いの方法をしたりすることがある。だから確かに、キリスト教関係者に狙われたこともあったよ。だから俺達で対処したこともある」
 鈴木:「ではやはり!?」
 藤谷:「占いの仕方が魔法じみているというだけで、魔法そのものじゃねぇよ。キミはそれと見間違えたんだろ」
 鈴木:「魔法陣に飛び込んで、消える占いなんてあるわけが無いです!俺はこの目で見たんです!」
 藤谷:「だが、証拠が無ェだろ。本人に聞いて否定されて、だけども証拠が無けりゃどうしようも無ェよ。法論だって同じだろ?文証が無けりゃ、ただの言い掛かりだってな」
 鈴木:「分かりました。じゃあ、証拠集めしてきます。班長、彼女さんの家を教えてください」
 藤谷:「いや、俺は知らんよ」
 鈴木:「じゃあ、稲生先輩に聞いてきます。稲生先輩の家を教えてください」
 藤谷:「それも無理だって。稲生君もまた弟子入りしてるからさ、その占い師のお師匠さんの所に住み込んでるんだ。俺はそこまでは知らねーよ」
 鈴木:「いいんですか!?占いを否定する日蓮正宗の信徒が、いくら高名だからって、占い師の元で修行だなんて謗法じゃないんですか!」
 藤谷:「落ち着けよ。別に占いは宗教じゃないんだ。そっちの仕事をしてたって、別に謗法じゃねーよ」
 鈴木:「ですが……!」
 藤谷:「……鈴木君よ、この仏法には1つ弱点がある」
 鈴木:「弱点?」
 藤谷:「大聖人様に御祈念はできても、その結果を先読みできないことだ」
 鈴木:「それが何か?」
 藤谷:「稲生君が弟子入りしている有名占い師さんは、それができるんだよ。俺も実は世話になったことがある」
 鈴木:「はあ!?」
 藤谷:「大聖人様は蒙古襲来を先読みして、それを鎌倉幕府に教えただろう?顕正会でもその点は伝えてるよな?」
 鈴木:「ええ」
 藤谷:「それと同じことのできる人が、実は今この世に存在するんだ。但し、大聖人様と根本的に違うのは、それを宗教という形にしていないということなんだ」
 鈴木:「つまりその占い師さんもまた、魔法使いだということですね?」
 藤谷:「俺らから見れば、まるで魔法を使っているかのように見えるな。だけどよ、それなら何で日蓮大聖人は『魔法使い』じゃないんだ?腰越で首を刎ねられる前、鶴岡八幡宮で八幡大菩薩に叱咤し、いざというタイミングで“モーセの十戒”も真っ青の大現証を巻き起こした」
 鈴木:「それはその……釈尊が滅後、末法の世に出現する上行菩薩だと……」
 藤谷:「まあな。でもそんな釈尊の予言が無かったら、俺らが大聖人様だと拝んでいるあれは何だ?魔法使いみたいにならないか?釈尊が予言しなかっただけで、この世には大聖人様のような力を持った人達が少なからず存在するということだ。だがそれは、信仰の対象にはならない。何故なら、彼ら自身が信仰されることを望んでいないからなんだ」
 鈴木:「……班長の仰りたいことは分かりました。ですが、俺の言いたいことは分かっていないようですね」
 藤谷:「なに?」
 鈴木:「俺は稲生先輩の彼女さんの正体を明かしたいと言ってるんですよ。その為の証拠集めをするとね。班長がこれ以上情報をくれないというのなら、俺はこれで失礼します」
 藤谷:「お、おい、ちょっと待て!」

 だが鈴木は、正証寺の本堂を飛び出してしまった。

[同日18:00.天候:晴 東京都大田区 羽田エクセルホテル東急 レストラン]

 羽田空港のホテルに宿泊している稲生達。
 ホテル内のレストランで夕食を取ることにした。
 ダンテの奢りで注文したのは、フランス料理のフルコースだった。

 ウェイター:「失礼します。オードブルをお持ち致しました」
 ダンテ:「おお。さあさあ、食べようじゃないか。私の日本滞在最終日だ。まあ、盛大にやってくれ」
 イリーナ:「マリア、飲み過ぎて本当に盛大にやっちゃダメよ?」
 マリア:「分かってますよ」
 稲生:「頂きます」
 マリア:「師匠、大師匠様とは“お楽しみ”だったんですか?」
 イリーナ:「あら?そのうちマリアも参加してもらうことになるかもよ?」
 ダンテ:「ハハハハ!それはまだかなり先になる話だよ。元々マリアンナ君の体は若いじゃないか」
 稲生:(一体、何の話なんだろう?)
 ダンテ:「稲生勇太君、今マリアンナ君は“お楽しみ”だと言ったが、実はキミが想像している通りなんだ」
 稲生:「お子様には見せられないシーン満載ですか」
 ダンテ:「そういうことになる。だがそこに、今使用している肉体の耐用年数を伸ばす秘密が隠されているのだよ」
 稲生:「ええっ?」
 ダンテ:「分かるかね?イリーナは、今使用している肉体の耐用年数を伸ばそうとしているということだ。意味が分かるか?」
 マリア:「今更この世に未練でも残りましたか?」
 イリーナ:「広い意味ではね」
 マリア:「は?」
 ダンテ:「つまりこういうことだよ。キミ達には将来性が十分にある。その将来を見届けるのに、今の状態のままではとても間に合わん。その為、私から『耐用年数延長の儀式』を受ける必要があったのだ」
 マリア:「代わりの肉体を見つけて“魂移し”した方が早いのでは?」
 イリーナ:「だから、何度も言ってるでしょう?私はこの体が気に入ってるんだってば」
 ダンテ:「それに、私も久しぶりに『娘』を『愛する』ことができた。それで十分だ」
 マリア:「いつまでもお盛んですね」
 稲生:(きっとその儀式の内容って、【18歳未満の詮索禁止】なんだろうなぁ……)

[同日18:10.天候:晴 JR池袋駅西口]

 西口バスプールに1台のバスが到着する。
 バス会社は稲生とマリアが羽田空港に行く時に乗ったものと同じだ。

 運転手:「はい、お待たせ致しました。18時15分発、羽田空港行きです」

 バス停に並んでいた乗客達が、ぞろぞろと1つしかないドアからバスに乗り込んで行く。
 その中に、鈴木の姿があった。
 適当に空いている席に座る。

 鈴木:(ムフフ……。お寺の信徒名簿から稲生先輩の家の連絡先を割り出し、親に行き先を聞いたら羽田空港に一泊するってか。藤谷班長、ウソをついたな。だが、無理もない。まさか、お寺の裏庭に防犯カメラが設置されていたとはなぁ……。このテープには、バッチリ映っていたぞ〜。ムフフフフ……)
 女性客:(なにコイツ、キモッ!)

 バスはほぼ満席に近い乗客数であったが、鈴木のキモい笑みに、誰も隣に座らなかったという。
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