以前紹介しました↓
2023.9.6
「日本左利き協会」発起人大路直哉さんの新著『左利きの言い分』9月16日発売
(「新生活」版)
『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路 直哉/著 PHP新書 2023/9/16
を買ってきました。
わがまちでは、19日に本屋さんに並んでいました。
またペラペラとみただけですので、
本格的な紹介はまたいずれということで、今回は、第一印象とでもいますか、「まえがき」「目次」他、全体をパラパラッとのぞいてみた印象をいくつか書いておきましょう。
●タイトルについて
まずは、タイトルですね。
かなり工夫の跡が見られます。
著者の大路さんから以前どこかでお聞きしたと思うのですが、前著のタイトルに「左利き」という言葉を入れなかったのは失敗だった、というのです。
前著――
『見えざる左手―ものいわぬ社会制度への提言』大路 直哉 三五館 1998/10/1
確かに「左利き」のキーワードでの検索ではなかなか引っかかりにくいですよね。
「左利き」に何らかの意味で興味を持っている人であっても、そのストレートなキーワードでの検索では届きにくくなります。
今回はズバリ「左利き」入っているので、その点はクリアしています。
次に「言い分」という表現。
これは工夫でしょうね。
私なら素直に「主張」としますね。
「言い分」の意味を調べますと、ネットの「コトバンク」(精選版 日本国語大辞典)では、
というふうに、ズバリ「主張」という意味もありますが、「不満」とか「不平」といった意味合いもあります。
もちろん、左利きの立場から「不満」や「不平」を主張することもあります。
特に現状の社会の在り方が「右利き社会」(右利きが優先される社会/右利きに偏重した社会)といわれるなかでは、こういう主張も多いとは思います。
ただ、それをタイトルに付けるかと問われると、私は回避したいという気持ちになります。
「売り言葉に買い言葉」ではありませんが、人によっては「不満」「不平」と受け取って嫌な感じを受ける、ということもありそうです。
ケンカはしたくないので、私は避けたいと思いますね。
「少しぐらい強くいわないと無視されますよ」という考えもあるかもしれません。
「まえがき」のおしまいの方にこうあります。
今が「左利きの言い分」――たぶんに「不満」「不平」を含む――を届けるチャンスだ、というのです。
それは「あり」だと思います。
●内容の概要
さて内容についてですが、まず「目次」を掲げておきましょう。
*各章末に【注釈】が付されています。
内容は、まず「序章」では、左利きの割合、左利きの定義、左利きの成因、利き手の決まる時期、といった左利き/利き手の科学について。
第一章からは、左利きの前著も踏まえて、左利きの歴史。
左利きの苦難の歴史が綴られている、というところです。
正直この部分を読んでいると、私はちょっと平静ではいられなくなります。
この本を読むのは、つらいところがあります。
著者は私より13年後の生まれで(この本には生年が書かれていませんが、前著には「1967年生まれ」とありました。ちなみに筆者・私は1954年生まれ、昭和30年代に幼少期を過ごしました)、著者には「歴史」になっているような事項でも、私には頭では歴史になっていても、心はまだ「生(なま)」の感覚が残っている部分もあり、かなり厳しい思い出につながるものもあるのです。
第四章・五章は、左利きの脳の話と、左利きの偉人/才人、有名人のお話。
第六章は、いよいよ左利きの現状から未来へのアプローチです。
まずは「右利き社会」の現実に気づき、左利きの生活向上のために「(左手)左利き用品」や「(左右)ユニバーサルデザイン」製品の普及について、左利きを取り巻く新たな「サイレントストレス」について、左利きの人への言葉、左利きの子の育児について、左手書字について、右利きの人との友愛精神と未来作りについて、といった私が一番気になる部分が語られます。
●全編を通して感じたこと
先に左利きの苦難の歴史のくだりを読むのが、つらいと書きました。
それだけでなく、全編パラパラッと目を通した程度ですが、そうして読んでいるだけでも、ちょっと腹が立つといいますか、憤りを感じるといいますか、気持ちがいらだってくるのです。
これは、大路さんの考え方や書き方のせいというのではなく、要するに「この社会が間違っている」という事実に、です。
さらにいえば、その現状に甘んじている人が多すぎる、という現実に対する苛立ちですね。
若い人で左利きの不便を訴える人が増えているし、右利きの人で共感してくれる人も増えているそうですが、もっと強力に「社会を変える」という行動に進んでくれる人が増えてほしいものです。
変えようとしなければ、社会は変わりません。
昔どこかの国の左利きの大統領候補で「チェンジ」といって当選した人がいました。
まさに、必要なのは「チェンジ」です。
そして「チェンジ」に向かって「チャレンジ」することが大事です。
もちろん、暴力や武力で変えるというのではなく、言論と“政治”的な行動を通して、ですが。
●巻末の「主要参考文献」と章末の「注釈」を読む楽しみ
この本に限らず、私がこれらのリアル系の本(論文や硬派のエッセイ系の文章やドキュメント、ノンフィクションなど)を読むときに一番楽しみにしているのが、巻末の「主要参考文献」の類いを見ることです。
この本では章末に「注釈」がついていて、これも楽しみです。
どういう文献やデータを根拠として書かれているのか、とか、さらなるこちらの興味を誘うような文献等の情報源を知ることができます。
今後こういう事柄に関してはどのような本を読んでみればいいのか、と大いに参考になるからです。
前著の「主要参考文献」とかぶっている部分があるのは当然ですが、25年の間にどういう本や情報を採取し読み込まれたのかなど、私自身の手持ちのデータと照らし合わせながら見てみるのは勉強になります。
●「左利きのためのサポートファイル」にわがメルマガ「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」が!
最後に、前著同様、巻末に左利きの関連情報「左利きのためのサポートファイル」が掲載されています。
「左利き教材メソッド」(書道・手縫い・ギター)、「左利き専用品」(通販・リアルの販売店)「左利き友愛団体」(日本左利き協会他)、「左利きのためのメールマガジン」(わが左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkiii』)。
ここに掲載していただけて、嬉しく思います。
*追記:
日本左利き協会のサイトの「左利き便利帳」に、わが左利きメルマガ&このブログが紹介されました。
・左利き便利帳005:左利きライフ研究家・レフティやすおさんのメルマガとブログ」
反面、ネットの時代にもかかわらず、大路さんの御眼鏡に適うこの手の総合的な<左利きサイト>等の紹介がないのは、やはり寂しいと感じます。
25年前にはあった、あるいはその後生まれて長年頑張っていた、そういう左利きサイトというものがありました。
今は、鉄板級のそういうオススメサイトがないというのは、非常に残念なことです。
出でよ、新人左利き研究家&活動家!
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
大路直哉『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』(PHP新書)買いました
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2023.9.6
「日本左利き協会」発起人大路直哉さんの新著『左利きの言い分』9月16日発売
(「新生活」版)
『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路 直哉/著 PHP新書 2023/9/16
を買ってきました。
わがまちでは、19日に本屋さんに並んでいました。
またペラペラとみただけですので、
本格的な紹介はまたいずれということで、今回は、第一印象とでもいますか、「まえがき」「目次」他、全体をパラパラッとのぞいてみた印象をいくつか書いておきましょう。
●タイトルについて
まずは、タイトルですね。
かなり工夫の跡が見られます。
著者の大路さんから以前どこかでお聞きしたと思うのですが、前著のタイトルに「左利き」という言葉を入れなかったのは失敗だった、というのです。
前著――
『見えざる左手―ものいわぬ社会制度への提言』大路 直哉 三五館 1998/10/1
確かに「左利き」のキーワードでの検索ではなかなか引っかかりにくいですよね。
「左利き」に何らかの意味で興味を持っている人であっても、そのストレートなキーワードでの検索では届きにくくなります。
今回はズバリ「左利き」入っているので、その点はクリアしています。
次に「言い分」という表現。
これは工夫でしょうね。
私なら素直に「主張」としますね。
「言い分」の意味を調べますと、ネットの「コトバンク」(精選版 日本国語大辞典)では、
《① 主張したい事柄。言うべき箇条。また、不満で、言いたい事柄。不平。言い条。》
というふうに、ズバリ「主張」という意味もありますが、「不満」とか「不平」といった意味合いもあります。
もちろん、左利きの立場から「不満」や「不平」を主張することもあります。
特に現状の社会の在り方が「右利き社会」(右利きが優先される社会/右利きに偏重した社会)といわれるなかでは、こういう主張も多いとは思います。
ただ、それをタイトルに付けるかと問われると、私は回避したいという気持ちになります。
「売り言葉に買い言葉」ではありませんが、人によっては「不満」「不平」と受け取って嫌な感じを受ける、ということもありそうです。
ケンカはしたくないので、私は避けたいと思いますね。
「少しぐらい強くいわないと無視されますよ」という考えもあるかもしれません。
「まえがき」のおしまいの方にこうあります。
《「左利きであることの不便さを訴える若年層が存在するいっぽうで、意外にもソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)の観点から左利きに関心を示す右利きが増えている」という現実でした。/そう、今まさに「右利き社会」のなかで「左利きの言い分」を分かち合い、右利きと左利きが共感し合いつつ、左利きにやさしい社会へと向かう千載一遇のチャンス到来です。》p.5
今が「左利きの言い分」――たぶんに「不満」「不平」を含む――を届けるチャンスだ、というのです。
それは「あり」だと思います。
●内容の概要
さて内容についてですが、まず「目次」を掲げておきましょう。
《まえがき
序章 左利きはどのくらい存在し、なぜ生まれたのか
第一章 左利きの苦労
第二章 世界の宗教は左利きをどう捉えたか
第三章 日本における左利きの歴史
第四章 左利きの脳と身体はすぐれているのか
第五章 左利きの才人、偉人たち
第六章 「右利き社会」から「左利きにやさしい社会」づくり
主要参考文献
左利きのためのサポートファイル》
*各章末に【注釈】が付されています。
内容は、まず「序章」では、左利きの割合、左利きの定義、左利きの成因、利き手の決まる時期、といった左利き/利き手の科学について。
第一章からは、左利きの前著も踏まえて、左利きの歴史。
左利きの苦難の歴史が綴られている、というところです。
正直この部分を読んでいると、私はちょっと平静ではいられなくなります。
この本を読むのは、つらいところがあります。
著者は私より13年後の生まれで(この本には生年が書かれていませんが、前著には「1967年生まれ」とありました。ちなみに筆者・私は1954年生まれ、昭和30年代に幼少期を過ごしました)、著者には「歴史」になっているような事項でも、私には頭では歴史になっていても、心はまだ「生(なま)」の感覚が残っている部分もあり、かなり厳しい思い出につながるものもあるのです。
第四章・五章は、左利きの脳の話と、左利きの偉人/才人、有名人のお話。
第六章は、いよいよ左利きの現状から未来へのアプローチです。
まずは「右利き社会」の現実に気づき、左利きの生活向上のために「(左手)左利き用品」や「(左右)ユニバーサルデザイン」製品の普及について、左利きを取り巻く新たな「サイレントストレス」について、左利きの人への言葉、左利きの子の育児について、左手書字について、右利きの人との友愛精神と未来作りについて、といった私が一番気になる部分が語られます。
●全編を通して感じたこと
先に左利きの苦難の歴史のくだりを読むのが、つらいと書きました。
それだけでなく、全編パラパラッと目を通した程度ですが、そうして読んでいるだけでも、ちょっと腹が立つといいますか、憤りを感じるといいますか、気持ちがいらだってくるのです。
これは、大路さんの考え方や書き方のせいというのではなく、要するに「この社会が間違っている」という事実に、です。
さらにいえば、その現状に甘んじている人が多すぎる、という現実に対する苛立ちですね。
若い人で左利きの不便を訴える人が増えているし、右利きの人で共感してくれる人も増えているそうですが、もっと強力に「社会を変える」という行動に進んでくれる人が増えてほしいものです。
変えようとしなければ、社会は変わりません。
昔どこかの国の左利きの大統領候補で「チェンジ」といって当選した人がいました。
まさに、必要なのは「チェンジ」です。
そして「チェンジ」に向かって「チャレンジ」することが大事です。
もちろん、暴力や武力で変えるというのではなく、言論と“政治”的な行動を通して、ですが。
●巻末の「主要参考文献」と章末の「注釈」を読む楽しみ
この本に限らず、私がこれらのリアル系の本(論文や硬派のエッセイ系の文章やドキュメント、ノンフィクションなど)を読むときに一番楽しみにしているのが、巻末の「主要参考文献」の類いを見ることです。
この本では章末に「注釈」がついていて、これも楽しみです。
どういう文献やデータを根拠として書かれているのか、とか、さらなるこちらの興味を誘うような文献等の情報源を知ることができます。
今後こういう事柄に関してはどのような本を読んでみればいいのか、と大いに参考になるからです。
前著の「主要参考文献」とかぶっている部分があるのは当然ですが、25年の間にどういう本や情報を採取し読み込まれたのかなど、私自身の手持ちのデータと照らし合わせながら見てみるのは勉強になります。
●「左利きのためのサポートファイル」にわがメルマガ「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」が!
最後に、前著同様、巻末に左利きの関連情報「左利きのためのサポートファイル」が掲載されています。
「左利き教材メソッド」(書道・手縫い・ギター)、「左利き専用品」(通販・リアルの販売店)「左利き友愛団体」(日本左利き協会他)、「左利きのためのメールマガジン」(わが左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkiii』)。
ここに掲載していただけて、嬉しく思います。
*追記:
日本左利き協会のサイトの「左利き便利帳」に、わが左利きメルマガ&このブログが紹介されました。
・左利き便利帳005:左利きライフ研究家・レフティやすおさんのメルマガとブログ」
反面、ネットの時代にもかかわらず、大路さんの御眼鏡に適うこの手の総合的な<左利きサイト>等の紹介がないのは、やはり寂しいと感じます。
25年前にはあった、あるいはその後生まれて長年頑張っていた、そういう左利きサイトというものがありました。
今は、鉄板級のそういうオススメサイトがないというのは、非常に残念なことです。
出でよ、新人左利き研究家&活動家!
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
大路直哉『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』(PHP新書)買いました
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