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きゃおきゃおの庭

近代建築から現代建築までPHOTOたてもの探訪の記録。大切にしているものなど写真で綴ります。

生誕100年 東山魁夷展

2008-04-20 | 美術展
強風と大雨の日、東京近代美術館へ出かけた。
先週、ドライブの途中美術館の前を通ったら行列が見えて人気の程がうかがえた。

この日は、あいにくのお天気。
着いたら券売場は閑散としていて、良い感じ。
中は、人もまばらで ゆったりと見てまわれた。

東山魁夷の絵は、造形的で造られた美しさのようなイメージがあったが
川のスケッチを元に作成された「たにま」に至るまでの作品を見て、あくまでもスケッチから入り
消去して単純化していった過程を見て意外に思った。
正確なデッサンを元に、計算された省略美がそこにあること。

唐招提寺の障壁画、第1期の濤声(部分)と第2期の揚州薫風が展示されていて、おもわず係りの人に「これは 本物ですか?」と尋ねてしまった。まさか本物が展示してあるとは思えなかった。驚き!

静かに 青い海の怒濤が聞こえてきそう。こんなに近くで見れるなんて、ただただ感激。

大きな作品の多い中で、小さめな作品
遺作「夕星」を、昨年 長野県信濃美術館 東山魁夷館で見たときの記憶が蘇った。
青い夢幻的な世界に、輝く小さな星。
作家の心の中の世界に 深く引き込まれて行く。
遠い星の光が 輝いている。
とても優しい気持ちに包まれた。

2008.4.18

◇生誕100年 東山魁夷展
東京近代美術館
2008.3.29-5.18
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「国宝 薬師寺展」平城遷都1300年記念

2008-04-12 | 美術展
大和の仏像は、どうやってはるばる東京に運ばれて来たのだろう。
トラックに積まれた姿を つい 想像してしまった。
近くで見ると、思ったより大きいので驚く。
初めて寺院外へ、東京への旅はさぞお疲れだったことだろう。

国宝 聖観音菩薩立像は、鍛えられたような筋肉質の美しい胸や
体に巻かれた軽やかな布が美しい。
普段は厨子内に安置されているため、後姿を見ることは出来ないが、
周囲をぐるっと周れ、後姿を見ることが出来た。

金堂本尊薬師如来像の両脇侍である日光・月光菩薩立像。
薬師寺では黄金色の光背があり、正面からしか見ることが出来ない。
ここも、像の周囲を歩きまわることができ、像の後姿を見ることが出来た。
国宝 日光菩薩立像、月光菩薩立像は、照明が当てられ、お腹の周りのくねった肉質が際立っていた。
まばゆい健康的な肉体に憧れさえ感じる。
富よりも 健康を祈ること。
こころとからだの健康を祈りたい。
今も昔も変わらないのだと思う。

国宝 吉祥天像は、奈良時代のマドンナで、ふくよかな顔立ちに 安らぎを覚える。吉祥天は、古代インドの女神幸運と美の女神ラクシュミーのことで、福徳の神として信仰をあつめていたそうだ。

この展覧会は、仏像を高い位置からみたり、照明をあてることで 本来の美しさを見ることができてなかなか楽しかった。
でも、やはり 薬師寺で見たいなと思う。

2008.4.10
東京国立博物館平成館
◇平成館 2008年3月25日(火)~6月8日(日)
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正木 隆 展  Requiem 2 / レクイエム 2

2008-04-11 | 美術展
昨年秋に、佐倉市立美術館で見たときの衝撃が大きくて、新聞記事を見て
行ってみた。

正木隆は、2004年にアトリエで自死(享年33歳)している。

こじんまりとした画廊の壁一面に並べられた作品は、まだ洗練されていない
荒削りなイメージの初期の作品だった。
一色に塗られた黒い広い背景は、実は青が重ねて塗られていて、黒ではないことがわかる。

手作りの作品ファイルを開くと、正木の作風の変化をみることができた。
佐倉で見た作品は、正木のスタイルが研ぎ澄まされたものだったことに
あらためて気づく。

画廊を訪れていたお客が、画廊の主人と話している声が
狭い 部屋に響き渡っていた。
「生きている世界・・・。現世と 死の世界」

また、どこか広い空間で、正木隆の作品にめぐり合いたい。

◇Gallery Jin
東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F
開催日時 2008年3月27日(木) ~ 4月12日(土)

2008.4.10
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知らざれる鬼才 マリオ・ジャコメッリ展

2008-03-28 | 美術展
イタリア北東部のセニガリアに生まれ、ほとんどの作品はその街で撮られたものだ。
コントラストの強い写真は、時を切り取って 動いているかのような錯覚にいざなう。

残酷までにも 皮膚を刻む皺。

「老いとは時間であり
時間と同伴せざるをえない
生きることは即ち死との共存だ。」

この言葉が、心に響いた。

老い は避けて通れない。
できるだけ美しく老いたいと、ひそかに思う。

◇東京都庭園美術館
2008.3.15-5.6 

「スカンノ」より

「私には自分の顔を愛撫する手がない(通称:若き司祭たち)」より


「シュルレアリスムと写真」展とのセット券がお薦め。

2008.3.23
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シュルレアリスムと写真 痙攣する美

2008-03-27 | 美術展


恵比寿ガーデンプレイスにある東京都写真美術館を訪れた。

「シュルレアリスムと写真」展は、シュルレアリスムをテーマとした、日本初の写真展だそうだ。
モノクロームの美しさを実感。

夢の中から見える超現実。
写真ゆえに、あるものをとらえ、表現することになるわけで、
撮る側の感性が そのまま作品となっている。

マン・レイ、ビル・ブラント、ジャン・ウジェーヌ・オーギュスト・アジェ・植田正治、大辻清司
などの有名な作品が並んでいて、楽しめた。

◇東京都庭園美術館
2008.3.15-5.6

2008.3.23

ビル・ブラント
ウンボ
植田正治




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建築の記憶 -写真と建築の近現代-

2008-03-24 | 美術展





春の陽気の日曜日に、東京都庭園美術館を訪れた。
桜の開花も始まり、木々の下でおもいおもいの写真をとっている人がたくさんいた。

庭園美術館の中は、カーテンを閉め、そして照明をかなり落としているので
薄暗い。輝くドアの装飾が曇って見える。
壁にはパネルが立てかけられ、見る事が出来ない。

そうだ、今日は写真がメイン。
暗さは作品保護のためだった。

建物は、そのときその場所にいなければ見る事ができない。
もうすでに消えてしまった建物も多く
また、建築時の様子を知ることもできない。
建築家のイメージと 出来上がった建物の隙間を埋めるような写真。
実際に自分で見たことのある 建物の記憶とが重なり合って
違った目で 建物をみることができた。

近代建築物の写真は端正なものが多く、ゆがみもない。
日本の建築写真・・城が始まりだったそうだ。

記録としての写真から、アートなものへ。
鈴木理策の作品は、2007年秋に写真美術館にて「熊野、雪、桜」展を見て
焦点の位置とか 白の世界の記憶があるので
建物にも表されることに驚いた。
目では見えない ファインダーの世界を楽しむこと。
建物写真は、やはり 面白いと思う。

私は建物の写真を撮るのが好きだけど、記録から一歩飛び出せる日は、だいぶ先になりそう。

残念だったのは、庭園美術館の前身 朝香宮邸の建築当時の写真が少なかったこと。もっと見てみたかったな。
東京カテドラルのコンペ作品、模型も含めて興味深かった。
せんだいメディアテークの建築の記録も かなり面白い。

展示の中で、伊東忠太の旅のスケッチがすごいと思った。
一橋大学にいる魔物は、中国にいるらしい。

◇東京都庭園美術館
建築の記憶
2008.1.26~3.31








庭園美術館の春。桜は今週末が見ごろかな~☆

2008.3.23
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三井家のおひなさま◇三井記念美術館

2008-03-04 | 美術展
子供の頃、家には7段飾りのお雛様がありました。
夜になると、人形の宴がはじまるという話を信じていました。
3月になると、何かうらさびしくてなりません。
このお雛様は、姉が生まれたとき お祝いに祖母から送られたものだったのです。
私も、自分のお雛様が欲しい! ずっと思い続けていました。
結婚して、女の子が生まれたら人数分 内裏雛を用意しようと決めていましたが、残念ながらいまだ生まれていません。笑!
自分のために 買いたいと思うこの頃なのです。

お雛様を見に、日本橋にある三井記念美術館へ行ってきました。

三井記念美術館が所蔵する北三井家十代・高棟夫人の苞子(もとこ)(1869-1946)、十一代・高公夫人の子(としこ)(1901-1976)旧蔵のひな人形、ひな道具をはじめ、高公の一人娘・浅野久子氏旧蔵の豪華なひな段飾りを展示しています。

内裏雛 明治28年(1895)
次郎左衛門雛 明治~大正時代・20世紀
内裏雛 昭和9年(1934)
内裏雛(立像)昭和時代

時代とともに、流行があり、人形の顔や着物も変わり、興味深く見てきました。
享保雛は、顔も体も驚くほど大きく、可愛らしい雛のイメージはありません。
江戸時代、人気のあった雛だというけど、私だったら、泣いてしまうかも。
人形の顔の大きさは、やはり小さめのほうが良いですね。

高公長女 (浅野久子)の雛飾りは圧巻でした。
蒔絵雛道具の細部にわたる細工に職人芸を感じます。

銀製ひな道具 江戸~明治時代・19 世紀
箪笥・挟箱・長持 昭和9年(1934)

銀製ひな道具は、暮らしに必要なものが用意されていて、化粧道具や楽器まで 雛の世界の暮らしぶりを覗くことができます。

市松人形(雛祭りの景)昭和時代初期

雛人形の展示に合わせ、特別展示「丸平文庫蔵 京の人形あそび」がありました。
京都の人形司「丸平大木人形店」が設置した資料室から、四季折々の風情のある装いの市松人形が並んでいます。
ほっとするような、あどけない顔のお人形たち。思いのほか大きい人形でした。

三井家所蔵の茶道具やお茶室の再現など、ああ、ここでもお茶のたしなみがあれば
もっと楽しめたのに・・と残念に思いました。

この日は、和服の年配の婦人が多く訪れていて不思議だったけど、後で知ったのですが、和服を着ている方は、入館割引があるようです。

雛人形に憧れる気持ち・・乙女心は 永遠に 消えそうにありません。
帰りに、三越に寄り、鶴屋八幡の桜餅をお土産に買って帰りました。

2008.3.1
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明日の神話 岡本太郎◇東京都現代美術館

2008-03-02 | 美術展
現代美術館を訪れたもう一つの目的は、岡本太郎の長大な壁画を観ること。
縦5.5メートル、横30メートルの巨大壁画だ。
会期が延長されたのが嬉しい。
常設展「ポップ道1960s-2000s」は、以外にも結構面白い。
ポップじゃないのもあるような・・分類って難しい。

最近見た、大観の「生々流転」は幅は無いけど40mを超えていたっけ。
少しぐらい長くても驚かないわと3階へ。

発見当時、マスメディアに取り上げられた記憶が新しい。
メキシコの新築ホテルのロビーを飾る予定で制作したが、経営者の営業不振のため
ホテルは未完成。その後、人手に渡り、壁画も行方不明になってしまった。
2003年9月、メキシコシティ郊外の資材置き場で、『明日の神話』が発見された。
修復プロジェクトが組まれ、今日に至る。どこに引き取られるのかな。



3階展示室いっぱいに 岡本太郎の壁画が展示されている。
写真撮影許可の表示が嬉しい。
皆、思い思いに撮影していた。
炸裂した光と、燃える骸骨。ものすごい怒りと 凛とした強さ・生命を感じる。
製作されたときから40年あまり過ぎても
テーマは不変なのだ。

当時の岡本太郎記念館館長だった岡本敏子のこの壁画へのメッセージをここに。
総ては、このメッセージの中にあると 私は思う。
よき理解者だった岡本敏子、偉大です。

壁画について」岡本敏子

『明日の神話』は原爆の炸裂する瞬間を描いた、
岡本太郎の最大、最高の傑作である。
猛烈な破壊力を持つ凶悪なきのこ雲はむくむくと増殖し、
その下で骸骨が燃えあがっている。悲惨な残酷な瞬間。
逃げまどう無辜の生きものたち。
虫も魚も動物も、わらわらと画面の外に逃げ出そうと、
健気に力をふりしぼっている。
第五福竜丸は何も知らずに、死の灰を浴びながら鮪を引っ張っている。
中心に燃えあがる骸骨の背後にも、シルエットになって、
亡者の行列が小さな炎を噴きあげながら無限に続いてゆく。
その上に更に襲いかかる凶々しい黒い雲。
悲劇の世界だ。
だがこれはいわゆる原爆図のように、ただ惨めな、
酷い、被害者の絵ではない。
燃えあがる骸骨の、何という美しさ、高貴さ。
巨大画面を圧してひろがる炎の舞の、優美とさえ言いたくなる鮮烈な赤。
にょきにょき増殖してゆくきのこ雲も、
末端の方は生まれたばかりの赤ちゃんだから、無邪気な顔で、
びっくりしたように下界を見つめている。
外に向かって激しく放射する構図。強烈な原色。
画面全体が哄笑している。悲劇に負けていない。
あの凶々しい破壊の力が炸裂した瞬間に、
それと拮抗する激しさ、力強さで人間の誇り、純粋な憤りが燃えあがる。
タイトル『明日の神話』は象徴的だ。
その瞬間は、死と、破壊と、不毛だけをまき散らしたのではない。
残酷な悲劇を内包しながら、その瞬間、
誇らかに『明日の神話』が生まれるのだ。
岡本太郎はそう信じた。この絵は彼の痛切なメッセージだ。
絵でなければ表現できない、伝えられない、純一・透明な叫びだ。
この純粋さ。リリカルと言いたいほど切々と激しい。
二十一世紀は行方の見えない不安定な時代だ。
テロ、報復、果てしない殺戮、核拡散、ウィルスは不気味にひろがり、
地球は回復不能な破滅の道につき進んでいるように見える。
こういう時代に、この絵が発するメッセージは強く、鋭い。
負けないぞ。絵全体が高らかに哄笑し、誇り高く炸裂している。



◇明日の神話 特別公開
会期 2007年4月27日~2008年6月29日
   公開期間が延長になりました!
東京都現代美術館 常設展示室 3F
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川俣正(通路)

2008-03-01 | 美術展
現代美術館が見えたとき、異変に気づいた。
バス停後ろの水辺の周りに、学祭の立看板のようなものが並んでいる。
どうやら裏側が、道路側から見えているようなので表側が見たくなり、近寄って確かめてみた。
表面には、何も展示は無く謎は募る。私って、鈍いな。。

美術館の中に入って、その謎はあっけなく解けてしまった。
川俣正のインスタレーションの始まりだった。
エントランスには、合板パネルの仕切りが無数に並び、通路を作っていた。

展示は、1階と地下へと続き、広い会場をうねうねと作られた通路を歩き回ってみた。
ふっとワークスペースに着き、スタッフの作業中の様子を見たり、川俣の今までかかわったプロジェクトを垣間見ることができる。
横浜トリエンナーレ2005の模型展示があって、赤と白の旗のひらめくウッドデッキを歩いた、忘れていたあの時の風景を思い出した。
総合ディレクター、川俣正 と記されていた。そういえば、今年は横浜トリエンナーレの開催年にあたる。

路上生活者の住居写真の展示では、身近な場所での取材がなされ、興味深かった。
たまに、職場でも話題になる場所が、調査対象となっていた。
これも、アートなんですね。

コールマイン(炭鉱)の展示が、ここにあることが不思議だった。
失われた記憶が切り取られ、再現されている。
北海道の国立公園内の炭坑が廃坑となると、すべての建物は壊してしまうらしい。
機能美にあふれる炭坑の写真に見入ってしまった。
絵葉書があまりにも綺麗だったので、購入。石炭もお土産に販売されていた。
お茶を飲むスペースや、集うテーブルも通路の中ほどに隠されていて
のんびり この空間を楽しむことが出来る。
イベントの開催される週末は、もっと楽しいに違いない。

はじまりのない、そしておわりのない通路の中をさ迷う。
決められた場所を歩くことの楽さと 見えない先にあるものを
期待しながら歩くことの楽しさを感じる不思議な空間体験をした。

◇川俣正(通路)
会期 2008年2月9日~4月13日

◇東京都現代美術館
竣工 1994年
設計 柳沢孝彦/TAK建築・都市計画研究所
所在 東京都江東区三好4-1-1 都立木場公園内

2008.2.27







coalmine POST CARD
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有元利夫展

2008-02-29 | 美術展
「花降る日」

今年もまた、2月が巡ってきた。

有元利夫は、1985年2月24日38歳という若さで急逝した画家。
毎年命日のある2月に、作家を偲ぶ「有元利夫展」が小川美術館で行われる。

小川美術館 入口

ビルの1階にあり、表に面した道路には看板など無いので、初めて訪れた時はきっと迷ってしまう。

エントランスからかまぼこアーチ型天井の廊下を進み、展示室へ。
中央には、絵を観ながら休憩できる椅子がある。
千両箱のようなおもしろい箱だ。
1枚1枚見た後に、座って眺める。
そういえば、今年は有元自作の曲が流れていない。

紅白の玉や、トランプや花びらなどがふわふわ飛んでいる。
浮遊すること・・・
「天にも昇る気持ち」この言い回しがすきなのです。
いい気持ちとは、最高の絶対快感。至福感。
エクスタシーの表現だ。

と、有元は記している。

描かれているのは、一人。
まるで舞台の上で、見る側を気づかいながら手品など演じているようだ。

「花降る日」も好きだけど、「一人の夜」も好き。
月夜に葉の落ちた森の中で、自分の立っていいるところを軸として
円を描くと、書いた棒の先から引いた線が光の線となる。
物語の世界。

作品展示も多く、無料なのが嬉しい。
ぜひ、お出かけを!

◇小川美術館
東京都千代田区三番町6-2 三番町彌生館1F
有元利夫展
2.25(Mon)-3.8(Sat) 11:00-17:00

2008.2.27

厳格なカノン  →ロンドは、間違えでした。
 春
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ロートレック展

2008-02-26 | 美術展
大観展を観た後、新美術館近くの東京ミッドタウンへ行きました。
強風のためか、通りには やはり人影がありません。
着いた所は サントリー美術館。
空いています。

ロートレックは南仏の名家の長男として生まれ、少年期に転んだことで大腿骨を骨折し、不幸にも成長が止まってしまいました。ロートレックの生き方の原点がここにあるような気がします。
失意のまま、画家になることを目指してパリを訪れ、見たもの。
華やかな夜の世界の裏側。

人生の喜怒哀楽。
浮世絵などのジャポニズムに惹かれ、影響を受けた大胆な構図の作品が並びます。

物事の特徴を一瞬のうちにとらえて描くこと。
または、その人らしさ。
時には美しく、時には醜く。
美しさの裏側にあるもの。

19世紀末のパリの夜 騒々しい笑いとざわめきに揺れる酒場を
垣間見たようなきがしました。

ロートレックは、母を最後まで慕っていたといいます。
表面は平気でも、深く傷ついたこころは、癒されること無く
37歳という若さで亡くなりました。

最近、どこの展覧会も図録が分厚く閉口します。
もう少しコンパクトに(大きさではなく、内容のことです)、そして綺麗な印刷を希望します。

2008.2.24

◇サントリー美術館
会期 2008.1.26~3.9
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横山大観 新たなる伝説へ

2008-02-25 | 美術展
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強風の中、横山大観展を観に行ってきました。
サブタイトルが、新たなる伝説。
開催者の思い入れが 凄いです。

初期から、晩年までの代表作と、ボストン美術館所蔵の作品が始めて里帰りして展示されています。大観が影響を受けた、尾形光琳「槇楓図屏風」の展示は圧巻でした。対比して「秋色」が展示して有ります。他にも、龍蛟躍四溟の基となった絵もやはり並んで展示してありました。
龍のまん丸な目が、どことなくユーモラスでもあります。


ボストン美術館の所蔵作品は、どれも好きです。淡いタッチで描かれた「月夜の波図」。波の色が、なんともいえません。こてこての日本画のイメージが飛んでいきました。静かに耳を澄ませば、波の音が聴こえてきそう。好きな1枚です。





40mを超える超大作、「生々流転」を前にして、あまりにの行列の長さに少しめげてしまいました。横山大観記念館に行った時、この下絵があって、制作過程が解明されたという話を聞きました。
色が変わるので、自然光の下でしか、描かなかったそうです。



「群青富士」に見られるような、ポップな感じの作品にも驚きました。
伝説というより やまと絵、琳派、水墨画などに親しみ、模写することで技法を習得した、マルチな画家というイメージです。実力のほどは、やはり計り知れません。

会期終了間近で、混むのを覚悟して行きました。今日は、ほんとうに風が強く、街を歩いている人や美術館の中も、人出が少ない気がしました。

2008.2.24

◇没後50年 横山大観 ~新たなる伝説へ~
国立新美術館
会期 2008.1.23~3.3

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宮廷のみやび展 近衛家1000の名宝

2008-02-17 | 美術展
みやびという言葉に惹かれて、行ってみた。

展示の前半は、書が中心で、人の流れが悪い。
謎だったが、展示品を目の前にして理由がわかった。
つい、書かれたものを読んでしまいたくなる。
崩してあれば あったで 謎解きしたくなる。
苛立ちは消え、いつしかみなさんの気持ちと一体化していた。
そう、ここはみやびな世界。まったりとした空気を楽しみたい。

藤原道長自筆の日記「御堂関白記」(国宝)が、なんといっても人だかり。
後世にこんな形で伝わるとは、思いもしなかったことだろう。

小さな賀茂人形や銀細工の雛道具も、見ていて楽しい。展示のほとんどが書画なので、こういった美術工芸品をもっと展示してあればいいのに。
残念ながら、私は係わり合いが無いけど、お茶をたしなむ方なら、茶杓の展示も楽しいかもしれない。

高貴な方の趣味の深さに感動。
書・画・歌と実に多彩。


春日権現霊験記絵巻 (かすがごんげんれいげんきえまき)
細部に描かれた宮廷の世界。見れば 見るほど惹きこまれて行く。


酒井抱一の四季花鳥図屏風 (しきかちょうずびょうぶ)
金地を背景に、草花や鳥がどっしりと描かれている。
金屏風の中に半分埋まっているような初夏の花々。

信尹と家熙。
時代を超えて、その作品は輝いている。
書の持つやわらかさ、流れるような大胆な筆遣い、墨の濃淡
自由な表現に感動してしまう。
書を手本にしてまねて書いてみることの難しさは、子供の頃経験したが
美しい文字をみて、簡単に出来そうな錯覚に包まれてしまった。
いつか書いてみようと思う。

展示は、これといった説明や現代仮名遣いへの配慮もなく、音声ガイドを借りなかったことを後悔した。熱心に見入っている人は、理解できているに違いない。凄い。

この展覧会は、1300年の歴史を持つ近衞家の文化財を保存継承するために設立された(財)陽明文庫、創立70周年を記念して企画されたものだ。
陽明文庫は、通常公開されていないとのこと。
興味は尽きない。

◇東京国立博物館・平成館
会期 2008.1.2~2.24

2008.2.11訪
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「クマグスの森展」 南方熊楠の見た夢

2008-02-05 | 美術展
東京は、今朝は昨日の雪が溶けて路面が凍結して光っていました。
見るからに 危険。
生まれ育った米沢では、冬の間雪に覆われているから
これくらいの雪では驚かないけど、離れて何十年も過ぎているからだめです。
駅まで、滑って転びそうになり、何度もヒヤッとしました。

土曜日に、表参道あたりを散歩してきました。
いつもは、地下鉄で行くけど、この日はJR。


総武線千駄ヶ谷駅から東京体育館脇を通り、

中世のお城のようなジャガーのお店の前を過ぎて



ワタリウム美術館に着きました。
正面の写真を撮ると 美術館右に、いつも宅配便のトラックが止まっています。
ちょうど時間帯が同じなのかもしれないけど、気になります。
美術館は、一度入館すると、何度でも半券を持っていくと再入場ができます。
「クマグスの森」展最終日前日という事もあり、大盛況でした。昨年来たときは、ガラガラだったのに。
きのこの標本は、何度見ても不思議。普通、肉厚の厚いものって、標本にしないと思います。緻密に描かれた植物類の絵の周りを、細かい英文で埋め尽くされています。(小さすぎて読めない。)宇宙的な世界観念は、映像とともに甦っていました。
熊楠は、やっぱり天才です。

◇パシフィックハウス(ジャガーの入ったビル)
竣工 2006年
設計 竹山 聖
所在 東京都渋谷区神宮前2-8-2

◇ワタリウム美術館
竣工 1990年
設計 マリオ・ボッタ
所在 東京都渋谷区神宮前3-7-6

ル・コルビュジェ、カルロ・スカルバ、ルイス・カーンという3人の巨匠に直接学んだというマリオ・ボッタの、日本で唯一の作品の建物です。
敷地は三角形で、狭い敷地をめいっぱい使った建物。
打ち放しのコンクリートと、花崗岩のストライプが建物前面に左右対称に走り、とても面白い。





美術館隣のお花屋さん


それぞれ違う花器に入れられたお花の中を、ぐるぐる歩き回って選ぶことが出来ます。まるで 温室の中に迷い込んだよう。
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「諏訪敦 絵画作品展」複眼リアリスト◇佐藤美術館

2008-01-26 | 美術展
家に、まだ見たことが無い画集があった。
画集の名は「諏訪 敦 絵画作品集」。
その日、作家本人よるトークショーがあるという。
北風の冷たい底冷えのする日で、ためらいながら出かけることに。
風邪が治らないのです。

諏訪敦は、1967年北海道室蘭生まれ。武蔵野美術大学・大学院と進み、文化庁芸術家在外研修員になりスペインへ赴いた。スペイン写実界の代表 アントニオ・ロペス=ガルシアに出会い、影響を受けたという。

表題の「複眼」とういのは、作品作成に当たり、モデルとの対話・生活空間の共有などを通して理解し、背後にある、より深い世界を再現しようとしたことによる。見えるものから、さらなるなにかを絵に織り込んだような細密な描写の作品だ。

「father」という作品は、実父の病室を描いた大作で、息が詰まりそうだった。
詳細に描かれた部屋は、まさしく病院の一室。カテーテルが生々しい。
共有した時間を そこに感じることが出来る。
静かに横たわる最愛の人を前に、どんな思いで作成したのだろう。

「大野一雄・大野慶人」の作品は、肉体の美しさと、肉体に刻まれた老いの残酷さを感じる。あまりにものリアルさに、言葉を失った。
「函館山を望む」は、大野一雄の生まれ育った地を取材し、作成したもの。たしかなデッサン力と細部の描写の緻密さに驚く。ほとんどの作品が人物画なので、風景画も もっと描いて欲しいと思う。

「眠るひとたち」
眠っている人を見るのは、苦手。本当に眠っているのか不確かだし、死んでいるようにもみえてしまう。そっと触って、体温を確かめたくなる。
こころとからだが分離して、肉体が休止したその人の原形質のよう。
画家の前で、ほんとうに眠っているのだろうか。そこはかとない夢の世界にまどろむ姿。とても美しく描かれている。

トークショーは、展示が複数階上に分かれているため、移動しながら行われた。会場に流れている音のサウンドアーティスト・mamoruさんの紹介と、「音」を絵の展示されている会場で視聴した。。多くの人が詰めかけ、盛況のうちに予定時間をはるかに越えて終了した。
諏訪敦さんと、フアンの皆さんと時間を共有できたこと、作品に対する思いを聴けたことで、とても熱い気持ちになった。

ぜひ、でかけてみてください。

◇諏訪敦絵画作品展 複眼リアリスト
2008.1.17~2.24
◇佐藤美術館
所在 東京都新宿区大京町31-10

2008.1.20
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