今日の朝日新聞社会面「メディアタイムズ」のコーナーで、『
無断撮影 公表に波紋』と題し、ストリートビュー(SV)について再び取り上げられていました。
自宅近くの路上や公園に子供が写っていたため画像削除を要請した川崎市の主婦などの話もあります。
記事では「
通行禁止と掲示された場所で撮影された画像がある」という高木浩光氏(コンピューターセキュリティ関係のブロガーとのこと)の指摘も。そこで
氏のブログを見てみると、いやはやよくぞここまで徹底的に調べたと頭が下がります。拙者にはここまでする力量はありません。「
関係車両以外通行禁止」と書かれた墓地や大学構内などへずいずい入り込んでいったり、マンションやゴルフ場の敷地内駐車場に停めてある車が逐一撮影されていたりと、本当にこの画像を誰が喜ぶんだろうと改めて疑問を抱かせました。
加えて今までなんら問題視されてませんが、地図データを提供しているゼンリンの姿勢にも、やはり疑問を抱きます。
住宅地図の場合、名簿などと同じく、
本人からの申し出があったなら当該データを削除するよう求められています(オプトアウトといいます)。表札はフルネームだけど掲載は姓だけにというのも可能です。(個人情報の保護に関する法律第二十三条第2項に関する経済産業省ガイドライン)
新住人ならともかく、住宅地図には載せてないのにSVでは表札が丸写りというのでは、この条文を空文化してしまうおそれがあります。グーグルは他社だし住宅地図のデータを使っているわけではないから問題ないとして、「法の隙間を突いただけ」と考えられなくもありません。
でもそれなら撮影した表札はれっきとした個人情報ではありませんかね。写真ならOKというのなら、例えばネット上の地図で、ある家の場所をクリックしたらその家の表札や家屋全景の写真が別画面で表示されるなんてサービスも、“公道から撮影すれば”問題ないのでしょうか。そしてオプトアウトは電話や文書では受け付けないようにすればいい、と。
ゼンリンは地図会社としてそこまで考えなかったのでしょうか。もしそれでどこの家も表札を出さなくなったらどんな影響が生じるか、こと地図屋だけの問題ではなくなってしまいます。もはや「やったもの勝ち」では済まされなくなるでしょう。
長い時間をかけ、新聞やテレビで特集までしてもらって知名度を上げ信用を築いたのに、独禁法違反に次いで批判が多いサービスに手を貸したのでは信用丸潰れでしょう。いっそ提携解消などの英断も考えられていいと思います。地図会社の協力無しにSVは成り立たないのですから。