工藤鍼灸院・院長のひとりごと2

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二日酔いの東洋医学

2007年01月03日 11時20分38秒 | 鍼灸・東洋医学
皆さん、お正月は楽しくお酒飲んでますか(笑)?
昨日の日記に二日酔いの治療についてのご質問がありましたので、ちょっとそれについて語ってみます。
学生さんや鍼灸師じゃないと理解できない内容かもしれませんが・・・まぁいいや(^^;)



体内では陰陽の気が循環していますよね。陰気は下から上へ昇り、陽気は上から下へ降りて陰陽の気が交流しています。
しかし元々陽気には昇る性質があり、陰気には降りる性質がありますので、何らかの原因によって陰陽のバランスが崩れると陽気は降りなくなり、陰気も昇らなくなるんです。この状態になると下焦には陰気が多くなりますから足が冷え、上焦には陽気が多くなるのでのぼせや頭痛、頭重などを訴えるようになります。二日酔いの場合、この「何らかの原因」っていうのがお酒の熱になります(お酒は熱性の飲み物です)。
陰陽の気を循環させれば頭から陽気が発散されます。陽気が発散されれば残りの陽気は下へ降りていきます。陽気が降りれば陰気が昇って陰陽の気はしっかり循環して交流するようになりますから、そうなるように脾虚証で治療して胃の気をめぐらせればしっかり回復するというわけです。
ものすご~く簡単に病理状態を考えると、頭痛や頭重などのいわゆる「二日酔い」の症状はこのようにして発生しているんですね。



では、もう少し深く、難しく病理状態を考えてみましょうか。
ここからはちょっぴり上級編。

お酒の熱は陽明経に停滞する事が多いのですが、これは大量の飲酒で胃に痰飲が多くなって陽気を発散できなくなっているからです。その熱は膀胱経にも波及して小便が少なくなり、余計に胃に痰飲が多くなってしまいます。また、膀胱経の熱で腎の津液が乾いて熱が発生する事でさらに熱が旺盛になり、督脈や衝脈などの奇経に入ります(正経に熱が多くなり過ぎると奇経に溢れ出し、その熱は正経に戻らなくなるんです)。ですから、脾胃がよく働いて小便がすっきりとたくさん出れば二日酔いは治ります。
以上の病理状態からも、二日酔いの証は脾虚胃虚熱証が多いと考えられます。



さてさて、二日酔いの病理状態はこんな感じです。
その他、夜中から頭が痛くなるものだと脾虚肝実瘀血証の場合もあります。この時は肝経と胆経を瀉します(この場合はまず大敦や臨泣を瀉します)。
結局はしっかり脈を診て、そこから病理状態を推測して的確に刺鍼するっていう治療が一番確実です。
コメント (4)
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