本紙を手に当選を喜ぶ楠本氏
7日の県議選御坊市選挙区で現職を破り、見事初当選を飾った共産党新人の楠本文郎氏(64)=塩屋町南塩屋=は一夜明けた8日朝、日高別院そばの選挙事務所で集まった記者らに抱負を語った。247票差という大接戦だった選挙戦に草の根運動の広がりを勝因に挙げ、これからの4年間に「"市民の声が県政に届くようになった”と思ってもらえるようにしたい」と意欲を見せた。
7日の夜は、選挙事務所で支持者らと喜びを分かち合ったあと、島と塩屋の事務所で当選を報告。次々に祝福に訪れる来客や、電話やメールなどの対応に追われた。自宅で床についたのは午前2時頃。翌朝は地元塩屋町の街頭に立ったあと、8時30分ごろに市役所を訪れて柏木征夫市長にあいさつした。そのあと、選挙事務所で記者会見を開いた。
楠本氏は「一夜明けた気がしない。まだ余韻が続いている。徹底してボランティア、草の根でやったことがよかったという思いがこみ上げている」と当選の喜びをかみしめた。
選挙戦に「いいスタッフに恵まれたというのが根底にある。地元の方、はげます会から出発してどんどん支持が広がっていった」と振り返った。自民王国、二階幹事長のお膝元での選挙戦。「〝共産党の看板を外せ、無所属で出ろ〟の声があった。共産党の看板がどれだけ災いするのか、というのが共通認識だった」という。選挙戦の組み立てを考えた。街宣車に〝共産党〟の文字を入れなかった。共産党をアピールせず、党を選ぶのではなく、人を選ぶ選挙と前面に打ち出した。「敗れた衆院選(2017年10月)の時は政党対政党の図式が強く、御坊から離れたところでは足元にも及ばなかった。今回は知名度のある御坊で人を丸ごと評価してもらう機会。同じ土俵で戦える。でも応援できない人、応援しずらい人もいる。みんなで知恵を出し合った結果、圧力が及ばない草の根運動にたどりついた」と話した。
市民の要望は県へ一足飛びするのではなく、ほとんどが市に寄せられる。楠本氏は選挙戦を通じて〝県議会前には市長に市政の課題を聞き、市の考え方を把握した上で県政で発言する〟と訴えてきた。この公約について、この日の訪問で柏木市長は「当然のこと」と歓迎したという。
市民の声や願いを聞く懇談会開催に意欲を見せる。「こちらが話す報告会といった形ではなく、市民の声や願いを聞かせてください、といった形で年に数回定期的にやりたい」といい、テーマを決めて市議との意見交換会も開催したい考えだ。
早急に取り組みたいこととして日高川水系整備計画と国保税の引き下げを挙げる。日高川計画は「精査し市の考え方を聞いた上で到達点、課題を見つけ出し進めていきたい」、国保税については「仕組みを改善し高すぎる国保税を協会けんぽ(企業が加盟する健康保険の組織)並みに引き下げたい」と述べる。
これからの4年間に「1回1回の定例会に真剣勝負で臨む。市民が政治の主人公。"市民の声が県政に届くようになった”と思ってもらえるようにしたい」と決意を語った。
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