妻・弘子さん(左)らと万歳三唱で初当選を喜ぶ楠本氏(中央)
統一地方選前半の県議選は、7日に投開票され、激戦となった注目の御坊市選挙区(定数1)は、保守分裂の間隙を縫うように現職への批判票を取り込んだ共産党新人の楠本文郎氏(64)=塩屋町南塩屋=が、自民党現職の中村裕一氏(59)=当選8回、熊野=に247票差の僅差で競り勝ち、初当選を決めた。同選挙区で共産党が議席を奪取したのは初めて。9選を目指した中村氏は保守票をまとめきれず、悔しい敗戦となった。当日有権者数は1万9710人で投票率は62・53%。無効186票。
市民が主人公の政治を
安全、活気、住み続けられるまちに
日高別院そばの選挙事務所では午後9時過ぎに当選確実が出ると、大きな拍手と歓声に包まれた。楠本氏は、満面の笑顔で集まった100人の支持者と握手。妻・弘子さん(64)や支持者らとバンザイ三唱し初当選を祝った。
楠本氏は支持者に「勝ったのは皆さんのおかげ」と感謝。選挙戦に「支持してくれる方、応援してくれる方が沸いてくるような体験。現職との選挙戦、しかも二階幹事長のお膝元で、中々外に出にくく、隠れながら話を聞いてくれた人、握手をしてくれた人もいた」と振り返り「共産党の看板を抱えているが、中身は市民党。〝市民が政治の主人公〟。そんな政治を御坊から取り戻そう、と訴え、その答えをいただいた」と力を込めた。「党を超えて〝まあいいか〟と思ってくれた。相手候補が無投票が続いていたので、有権者の気持ちをくめていなかった。そんな気持ちをくみ取り、アピールすることが勝利につながった」と述べた。
〝安全のまち〟〝活気 あるまち〟〝住み続けられるまち〟の3つの公約をかかげる。公約について「災害から暮らしを守りたい。根幹産業の第一次産業を太くしその流れで他の産業も活性させたい。高すぎる国保料を引き下げ、介護サービスを充実させ、その仕事に携わる方々の処遇を改善させる必要がある。県政がどんなに市政を応援することができるか、問いかけていきたい」と意欲。
「地域の皆さんの願いを丁寧にひろい、集めてその方策を考えるのが県議の役割」とし、「県政まで一足飛びで進むことはなく、住民の皆さんは市政を通じて要望をする。その要望について市長と意見交換し、市の考え方を把握した上で県政で発言するスタイルを貫きたい。投票していただいた一人ひとりの皆さんがいろんな思いを託してくれた。この思いに4年間かけて、皆さんに〝こうでいかがでしょう〟と問いかけていく、そんな姿勢で頑張りたい。明日から皆さんの思いを感じながら走り続けたい」と決意をみなぎらせた。
「私の不徳、今後のことは相談」
中村氏 敗戦に言葉少なめ
薗の選挙事務所(伊勢屋倉庫)には、約100人の支援者が集まり、固唾をのんで開票作業を見守った。午後9時の2回目発表で敗戦の報が伝わると「まさか」「なんで」と声にならない声がもれた。
野村義夫後援会長は「残念な結果となり、お詫び申し上げます。しかし、これですべて終わったわけではない。明日から捲土重来を図りたい」とあいさつ。中村氏は「私の不徳の致すところです。申し訳ありません。御坊市のこれからが心配ですが、市民の皆さんの選択なので仕方がない。応援していただいた皆さん、ありがとうございました。今後のことについては支持者の皆さんと相談したい」と頭を下げた。支援者からは「4年後、雪辱や」と励ましの声もあった。
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