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震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

節操 実戦教師塾通信八百八十二号

2023-10-13 11:37:00 | ニュースの読み方

節操

 ~「世間知らず」・上~

 

 ☆初めに☆

今月の3日、私はスポーツ紙を買いにコンビニへと参りました。オオタニさんのホームラン王を伝える、どデカイ記事を見たかったからです。ところが、スポーツ紙の一面を飾ってたのは、ジャニーズ事務所の記者会見でした。どの紙も見渡す限り……。オオタニさんのは白黒写真で、記事もちっちゃい。ジャニーズ問題にだんまりを決め込んでいたメディアが、ようやく反応するだろうとは思ってはいました。でも別にいいかと思って、記者会見は二回ともスルーしました。読みたくもなかったスポーツ紙に、真っ当さは微塵もなかった。面白いとしか言いようがありません。

 

 1 負けた文春

 中日スポーツを買った。おっきな見出しは「荒れるメディアに 井ノ原苦言」だった。「ルール守る大人たちの姿見せたい」は「重責担う井ノ原は……早くも存在感を示した」と続く。これに「多数の取材陣から拍手が起こった」とある。井ノ原副社長は、質問者は手を挙げて、とも言ったらしいが、どうあっても指してくれない記者が怒ったんだろうな、ぐらいは分かった。思い出しても欲しい。ジャニーズ側は初め、一連の性的醜聞を「全く知らない」と言い、それが「知らなかったではすまない」となり、ついに「知っていた」となる。その辻褄合わせを追及する記者がいなかったとは、到底思えない。そして、ご存じの通り、NHKがスクープ?したNGリストがこのあと明らかになる。となれば、中日スポーツのその後を確認しない手はないゾ。二日後の大見出し「質問指名にNGリスト」は「不都合な質問をさせないようにする意図があった可能性がある」と、抑制気味の記事が続く。前回は掲載しなかった、大声を出した記者の言い分もあった。二日前に自ら報道した「大人たちの姿」を、今度は中日スポーツに示して欲しかったのだが(副社長も同様に、です)、歌謡ポップのごとく「うしろは振り向かない」のだ。「当事者であること」に無自覚な、いや、回避するメディアって傷つかないなあ、恥知らずだなあと、つくづく感心するばかりである。そこから書きます。

 各メディアの「事態を重く受け止めます」「人権侵害という認識が足りなかった」という抽象的に懺悔(ざんげ)する文言が、打ち合わせたように横並びでいまだに続いている。具体的で真っ当な検証がされるためには、すでに噂や憶測ではすまないふたつの出来事 ①文春報道(1999年) ②ジャニーズ側が起こした民事訴訟判決(2004年)。これらに対し、メディアが黙殺し続けた当時の経過を証言することだ。そのことだけで自らの立場・態度が露出する。「当時は女性への強姦だけがあって、男子の性被害は対象にならなかった」でも「性被害のなかった連中も告発の列に加わっている」等でも何でもいいが、他のことを言い出す連中は事態の攪乱/分断を目論んでいる姑息な連中だ。当時を振り返らないとダメ。まず、ジャニーズ側が、文春に「名誉棄損」を訴える。ジャニーズにとって文春が書いたのはゴシップでありデマなのだから、これは当然だ。一億円に及ぶ民事裁判の一審判決は、880万円だった。原告少年たちの主張は認めなかった。ジャニーズ側の全面勝訴と言えるが、金額が余りに低かったせいだろう、原告・被告双方が控訴した。東京高裁は、少年たちの性被害を認める。そして、一審よりさらに減額した120万円の判決を、文春に命じる。ジャニーズ側が控訴するも、最高裁が棄却し判決が確定する。経過を見て分かる通り、ジャニーズの訴えた名誉棄損は退けられたものの、実は、文春の勝訴ではなかった。ジャニー社長が「あんな裁判、でたらめだ」と、言い続けたのにも根拠があるわけだ。メディア各社が今もなお、この時の検証に二の足を踏んでいる理由の一端はここにある。「一億円に及ぶ賠償訴訟」「負けた文春」だ。報道機関が「返り血」を恐れ追随/迎合(「忖度」だと? 言葉を弄するな!)していたし、今もどうしていいかわからないでいると言えないのだ。

 

 2 世間知らず

 ジャニーズファンが「タレントに罪はない」と言うのは、ファン故の仕方なさなのだろう。ホントなら「こんな会社さっさと辞めちまえ」というファンがいても不思議ではない。ファンはそれでもいい、なかなかブラックなのが、矢面に立たされてる当の会社が、このセリフを言っていることだ。そして「応援したい」「タレントは守る」とも言う。しかし、少し考えて欲しい。自分たちが「応援」や「守る」立場にないって、分からないのか。具体例で考えよう。

 元V6の岡田准一が、ジャニーズ事務所を退所する。「本来、所属タレントを守らなけれならない弊社が……岡田に苦しい思いと決断をさせてしまった」(10/3 中日スポーツ)とは、ジャニーズ事務所の見解だ。まだ続くのだが、新聞の編集が悪いのか殆ど解読不能だった。引用した部分は、岡田が「いたたまれない気持ち」で退所した、と読む以外にないと思える。もしかしたら「激しい怒りと憎悪」が理由かもしれない、とは考えなかったのか。エンターテインメント界を背負っている傲慢がないと、あるいは人気の上にあぐらをかかないとこんな発想にはならない。自らのみっともない姿に無自覚なことを、私たちは「世間知らず」と言っている。タレントの世界は、こんなにも世間知らずだったのかと驚いている次第だ。「世間知らず」の本論は、次回。もう、字数がかさんだので、あと少し。

 ジャニーズ問題を過去にさかのぼり、いい加減でも報告したのは、今のところ日テレとTBSである。「テレビ局も含めたエンタメ業界はそういうところ。ジャニー氏のセクハラがスペシャルだったと思えなかった」(TBS)は開き直りというか、正直だ。そんなの覚悟して来いよ、ということか。そして、両社ともに文春を「芸能ゴシップだと軽く捉えていた」らしい。このような「品のない雑誌・文春」という類の見解はあちこちで散見される。ジャニーズ問題で姦しいのは村西とおるだ、というネット情報も発見、そうか全裸監督も頑張ってたのか。ついでに、監督が福島県・いわき出身と知って驚いた。何が問われているのか。ものごとは「なにを言うか」ではなく「誰が言うか」で決定づけられることだ。文春ごとき、捨ておけぃ、というのだ。「文春」には、「弱者」があてはまってしまう世の中である。

 

 ☆後記☆

柏市内の中学校のことで、多くの問い合わせを受けています。生徒の悲惨な出来事をめぐるものですが、まったく回答していません。知らないことなのです。私が現役の時にも、自分の勤務校で悲惨なことを経験しました。でも、いずれも表立つことはなかった。当たり前です。それぞれに立ち入れない、切実な理由があるのです。

秋が一気に深まりました。高い空と、手賀沼の釣り人たちです。

 ☆☆

ホントにやっちゃいましたね、藤井君☖⛊ いつまで「藤井君」って言ってるつもり?って自分でも思います。諸行無常であり、盛者必衰ってのは、藤井君にもやって来ます。でもやっぱり、その時も藤井君てカッコいいんだろうなって思える気がしています。おめでとう🌺 そしてありがとうございます


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