瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

2017年、クリスマスには歌を歌おう♪その5

2017年12月25日 00時00分00秒 | クリスマス
メリーークリスマーーース♪♪
遠い昔、この日は誰にとっても、一年で最も重要な意味を持っていた。
古い陽は沈み、新しい陽が昇る、死と再生の日。
「少年&青年漫画に登場するクリスマス・ストーリー」、第5夜目に紹介するのは、聖夜に相応しい作品、高橋留美子女史原作「うる星やつら」より。
…え?「去年も、うる星やつら紹介してたじゃん」って?そうね、一昨年はアニメ版も紹介してたわ。
リク貰った時にメリーも同じ事を元ブログ主に言ったんだけど、ルーミックと小山田いくと竹本泉は別腹なんですって!(呆)
偏ってて申し訳無いけど、大目に見てやって頂戴!
そういう訳で3年連続になるけど、今夜は「うる星やつら」24巻に収録されてる、「最後のデート」を紹介!

太陽がギンギランギンに照り付ける真夏の或る日、サクラから家に呼ばれたあたる(withラム)は、と或る少女とデートするよう頼まれたの。
なんでもサクラの所へ、そのと或る少女の母親から、依頼が持ち込まれたんですって。
依頼者の母親から預かったという日記帳には、病弱な少女の切ない恋心が、数頁に渡り綴られてたの。

「10月20日、今日もあの方が窓の下を駆け抜けて行った。
 いつも元気で楽しそう。
 爽やかな笑顔、何と言うお名前なのかしら?
 ガールフレンドは居るのかしら?
 一度でいい、お話してみたい。

 10月27日、あの方の名前が解った。
 『4丁目の諸星あたる君だって』、母が調べてくれたのだ。
 『どんな人なの?』と訊いたら、母は困った様に笑って、答えてくれなかった。
 それはそうよね…だって私は、あの方みたいに元気じゃないし…
 それにきっと、もうつき合っている女の子が居るに違いない、ステキな人だもの。
 でも、あの方に私の気持ちを知って欲しい。
 そうしたら私…死んでもいい。」

…可哀想に、日記の少女にとって、窓辺から見る風景だけが、唯一の楽しみだったのね。
戸外へ出る事の叶わない少女が、ふと景色の中へ飛び込んで来た快活な異性に惹かれるのは無理無いわ。
サクラも少女に同情したからこそ、この依頼を受けたんでしょうね。
コミックス1巻によると、(今では信じられないけれど)若い頃のサクラも病弱だったらしいから。
当のあたるは、自分にデートを申し込むほど奇特な…いえ、熱を上げてる少女が居ると聞かされ有頂天!
女好きの彼が、こんな美味しい話を受けない訳が無いわね。
押しかけ女房のラムが傍らで眉を吊り上げるのにも構わず、少女からのデートの申し込みを快諾したの。
「サクラさんの頼みとあらば、例え相手が化物でも!」「それは話が早い!」
――はっっ!この返しはデートの相手が人外のパターン!?
流石あらゆる災難に見舞われた男なだけあって、察しが早いわね。(笑)
言葉の続きを待たずに、あたるが回れ右で逃げ出す、しかしサクラも相手の行動パターンに慣れたもんで、投げ注連縄で彼をあっさり捕縛してしまったの。
そこへサクラの伯父のチェリー(錯乱坊)が、日記の主である少女を連れて来た。
「安心せい!デートの相手は化物ではない!幽霊じゃ!」
「同じ様なもんじゃ!!」とチェリーに怒鳴るあたる…けれど、もじもじ恥じらいつつ姿を現した少女を見て、再び乗り気に。
緩く2つに編んだお下げ髪に、ソバカスの散った可憐な顔立ち――相手が美少女なら、幽霊で身体に触れられなくともOK!!
早速、普段の調子で口説くあたるに、少女は頬を染めて名乗ったの。
彼女の名前、「望」ちゃんって言うんだって。
憧れのあたる君に会って話が出来た望ちゃんは、とっても嬉しそう。
2人が語らう様子を、サクラ・チェリー・ラムの3人は、縁側でスイカを食べつつ見守ってた。
「良いのけ?あのコ、ダーリン(あたる)の事、かなり美化してるみたいだっちゃよ。本当の姿を知ったらガッカリするっちゃ!」
自分の事は棚に上げて…と思わなくもないけど(笑)、ラムからすれば、有りの侭のダーリンを愛する事が出来るのは自分だけだって、自負してるんでしょうね。
そんなラムの懸念に、サクラとチェリーは、「奴の本性を知り娘が幻滅したとして、この世に未練が無くなり成仏出来る事に変わらず、其れもまた善し」と達観した口振り。
サクラとチェリー的には、少女を成仏さえさせれば、仕事は完了なのね。
縁側の3人がスイカを食べ終わる頃、庭の2人の会話も一段落ついた様だった。
望ちゃんが、入院中に編んだと言って、あたる君に毛糸のマフラーを渡す。
…今の季節が真夏な事を考えると、季節外れも甚だしいわねェ~。
でもサクラが言うには、望ちゃんの命日はクリスマスなんですって。
きっとベッドの上で、クリスマス・イブに、あたる君へプレゼントを渡す事を夢見て、一生懸命編んだのね…泣けるわァ~~!
フェミニストを自認するあたる君だもの、少女の真心が詰まった手作りプレゼントを無下には出来ないわ!
彼は笑顔で望ちゃんに御礼を言い、躊躇い無くマフラーを首に巻いて見せた。
キャー!ダーリン格好良い~!!
望ちゃんは大感激!持ってた紙袋から、空かさず手編みの手袋と帽子とレッグウォーマーも取り出して、あたる君に渡したの。
無論これら3点も、あたる君は喜んで装着――キャー!キャー!ダーリン素敵!漢前~~!!
蝉が鳴く夏の午後の炎天下、ジワジワ噴き出す汗を堪えて、乙女の純情に応えてたあたる君だったけど、望ちゃんが「実はセーターも…」と言い掛けた瞬間、とうとう耐え切れなくなって脱走――そんな彼をサクラの投げ注連縄が容赦無く捕縛!!
サクラさんったらキビシィ~~!!
「乗り掛かった舟じゃ!着てやれ!!」
「他人事だと思いやがって!俺は我慢大会しに来たんじゃない!」
「ダーリン、女の子の真心を踏みにじるんじゃないっちゃ!」
「おまえな、生身の女の子から何か貰うとギャーギャー騒ぐくせに…」
あたる君がサクラとラムにヒソヒソ文句を言ってる姿を見て、迷惑そうな気配を察したんでしょうね…望ちゃんは、「無理に着て貰わなくても良い」って、遠慮がちに言ったの。
「どうせセーターは編み掛けだから…途中で死んじゃったから…」

――し~~~~~…んと静まる場の空気。

そんな寂し気な笑顔で言われちゃったら、着ないわけにいかないわよねェ~。
結局、あたる君は手編みのマフラー・帽子・レッグウォーマー・手袋・編み掛けのセーター全部を身に着け、望ちゃんと街へデートに出掛ける事にしたのよ。

陽射しが照り付ける繁華街を、異様な格好の集団がゾロゾロ歩いてく。
毛糸のアイテムで身を固めた青年に、病院を脱け出しでもしたかの様なネグリジェ&スリッパ姿の少女…2人から数歩離れて虎縞ビキニを着た鬼娘と巫女と坊主…通行人はチンドン屋かコスプレイヤーグループとでも思ったんじゃないかしら?(笑)
全ては望ちゃんを成仏させる為!あたる君と愉快な仲間達は、軽~く映画を観て、軽~く食事をし、軽~く遊園地で遊ぶ等して、楽しいデートを演出したんだけど、日が沈み、園内に明かりが点る頃になっても、彼女は現世に留まったまま。
離れた場所で2人のデートを見守ってたラムが、焦れた様に何時成仏するのかをサクラに尋ねたの。
夜になっても引かない蒸し暑さに、厚着で居るダーリンは大分グロッキー気味、如何にタフな彼でも熱射病にならないか心配になったのね。
望ちゃんは未だ思いを遂げ切れずに居る…彼女の心残りが何なのかを知る為、サクラはもう一度、彼女が書いた日記を最後まで読んでみた。

「12月24日、今日はクリスマス・イブ、夢を見た。
 あの方と真っ白い雪の中、腕を組んでいる夢。
 あの方は私の編んだセーターを着て…これが現実だったら、もう何も思い残す事は無い…」

望ちゃんの一番の願いは、真っ白い雪の中で、あたる君と腕を組む事だったのね!
でも雪って……真夏にどうやって叶えたら良いの?(悩)
「雪が降るまで待つしかあるまい」
「そのようですな」
「何、呑気な事言ってるっちゃ!!」
何処までも他人事な態度のサクラとチェリーに、ラムは怒りプンプン!
でもこれって難題だわ…ラムには気の毒だけど、次回より望ちゃんがレギュラーに加わって、あたるを巡り鬼娘と幽霊少女がラブ・バトルするトライアングル・ラブ・コメディって形式で、連載続ける事になるんじゃないかしら?(まるで何処ぞのGS美神ね)
なーんて考えてたその時、奇跡が起こったのよ!

――ドーン!!!と花火が打ち上がり、天高くパッと弾けた光が、まるで真っ白い雪の様に降り注いだの。
「綺麗…」、うっとり呟いた望ちゃんの隣には、彼女が編んだプレゼントを身に着けて微笑むあたる君…その光景はクリスマス・イブに見た夢と同じ。
「腕…組んで良いですか?」
望ちゃんの願いを聞き、腕を差し出す、あたる君。
そっと触れる腕に感触は無かったでしょうけど、夢が叶った望ちゃんは、安らかな笑顔を浮かべて成仏したの。
――薄れ行く、望ちゃんの姿。
夜空に打ち上がる2発目の花火、望ちゃんが成仏したのを見届け、サクラとチェリーとラムが、あたるの側へやって来た。
サクラは「暑さに耐えて良く頑張った!感動した!!」とあたるを誉めて(違)、「もう脱いでも良いぞ」と優しい言葉をかけた。
けれど、あたるはサクラの言葉に首を振り、「もう少し、着てる…」と答えたの。

蝉が鳴く夏の日、あたるとラムは、望ちゃんの墓参りに出掛けた。
あたるが彼女に花と線香を供える、その背中にラムは声をかけた。
「ダーリン…優しかったっちゃね」
「俺はいつだって優しいわい!」

それから暫くして…帰る道すがら、あたるがぽつりと呟いたの。
「それに、幽霊の夢壊しちゃ可哀想だもんな」
何だか彼女が羨ましくなったラムが、「うちも幽霊になろうかな」と聞こえる様に呟けば、あたるは「何言ってんだバカ!」とぶっきらぼうに返したの。

…話の中での季節は夏でも、「クリスマス」がこの話の重要なキーになってるの。
ならクリスマス・ストーリーに数えて問題ナッシングよね!?
後年、原作者が気に入ってる話の内の1つとして、インタビューで語ってたのをメリー覚えてるわ。
「諸星あたる」のツンデレな魅力大爆発、この話を読んで彼のファンになった女性読者も居るんじゃないかしら?

さて、ここらで今夜のクリスマス・ソングを紹介しましょ♪
聖夜にぴったりなクリスマス・ソング、「Silent Night」!
オーストリアのニコラウス教会で司祭を務めてたヨゼフ・モールがドイツ語で歌詞を書き、親友のフランツ・グルーバーがそれに曲を付けて生まれた讃美歌と伝わってるわ。
歌はこちらを参考にしてね♪

明日は26日…日本では今夜でクリスマスを終了し、正月モードに切り替わっちゃうけど、クリスマスの真髄はまだまだこれからよ!
また明日、メリーと楽しく、クリスマス・ソングを歌いましょ♪



【Silent Night(きよしこの夜)】




Silent night, holy night♪
All is calm, all is bright♪
Round yon Virgin, Mother and Child♪
Holy infant so tender and mild♪
Sleep in heavenly peace♪
Sleep in heavenly peace♪

Silent night, holy night♪
Son of God love's pure light♪
Radiant beams from Thy holy face♪
With dawn of redeeming grace♪
Jesus Lord, at Thy birth♪
Jesus Lord, at Thy birth♪

Silent night, holy night♪
Shepherds quakeat at the sight♪
Glories stream from heaven afar♪
Heavenly hosts sing Alleluia♪
Christ the Savior is born♪
Christ the Savior is born♪


【和訳】

聖し、この夜
皆静かに、輝いて
あの聖なる母と子の周りで
聖なる赤子は、優しく穏やかに
神の御元で安らかに眠る
神の御元で安らかに眠る

聖し、この夜
神の御子、清らかな愛の光
あなたの光り輝く、聖なる尊顔
優しき贖罪の、夜明けとともに
主イエス様が、お生まれになった
主イエス様が、お生まれになった

聖し、この夜
羊飼いが見て慄いた
聖なる光が、遥か天井から
天の使いが、神を讃えて歌い
救世主キリストが、お生まれになった
救世主キリストが、お生まれになった



…こんばんは、びょりです。
偏った選択で誠に申し訳無いですが、去年この回を挙げるのを忘れて、大変心残りだったのです。
普段おちゃらけてるキャラが真面目な部分見せると、元からシリアスなキャラ以上に、その一面が強く印象に残るもんですよね。
しかし幽霊でも物持ったりしてるって事は、腕組んだ感覚も有ったりするんじゃないかなあ?
それとも幽霊が物体を動かしてる場合、触れずに念力で浮かせてるって設定なんだろうか…?

今夜の写真は池袋東武デパート屋上に飾ってあった、クリスマス・ツリーのオーナメントの一部。
東武のクリスマス・ツリー自体は綺麗に飾り付けられてたのに、ただ屋上にズラッと数本並べるだけの展示方法が、ツリーの美しさを台無しにしてました…激しく勿体無い。

コメント
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