瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

2017年、クリスマスには歌を歌おう♪その10

2017年12月30日 23時55分10秒 | クリスマス
はぁい♪ミス・メリーよ♪
明日は大晦日…今年も色んな出来事が有ったわね。
日本は雨ばかり降って全体的に寒い年だったわ、一年を表す漢字一文字、今年は「北」に決定したそうだけど、メリー的には「水」かと思った。
世界では相も変わらず人種や宗教の違いを理由に争ってばかり、同じ人間同士だってのにメリー悲しくなるわ。
「少年&青年漫画に登場するクリスマス・シーン」、第10夜目は和製インディ・ジョーンズ「MASTERキートン」より!

「MASTERキートン」は1988年~1994年にかけ、小学館発行のビッグコミックオリジナルで連載された作品で、原作&作画は浦沢直樹氏、他、脚本一部担当で勝鹿北星氏と長崎尚志氏…一時、作品の原作者が誰かを裁判で争う事態に発展し、単行本の増刷がストップしたってニュースが出たわね。
現在「完全版コミックス」では5巻までが勝鹿氏と長崎氏で、6巻以降は勝鹿氏と浦沢氏が脚本担当とクレジットされてるようね。
内輪のドロドロはさて置き、作品の粗筋を紹介――主人公は「平賀=キートン・太一」、日本人の父親とイギリス人の母親との間に産まれたハーフで、国籍はイギリス。
オックスフォード大学出身、胡桃沢大学の考古学講師にして、世界的保険市場ロイズの下請け保険調査員(オプ:探偵)にして、元SAS(イギリス特殊空挺部隊)のサバイバル教官という、3つの顔を持つ男。
現地で調達した物を利用して、戦闘・脱出をこなす生存術(サバイバル)のエキスパートながら、普段は大石内蔵助を彷彿させる昼行灯タイプ…人は彼を「マスター・キートン」と呼ぶ。
尚、バツイチで美人の娘には頭が上がらず――う~ん、強く賢くバツイチとはいえ美人の妻と可愛い娘持ちって、如何にも大人男子が憧れるヒーロー像ねェ。
そんな万能キャラのキートン先生が、趣味の発掘調査や、探偵業等で、世界を股に掛ける物語。
でも今回は、主人公が発掘も探偵もしない箸休め的なものを紹介――第5巻収録「ノエルの休戦」!

世界最古かつ最大級のクリスマス・マーケットが立つ事で観光客に人気の古都、西ドイツ、フランクフルトの町…クリスマスより1日早い夜、キートンは5年前に大学で講師をしていた際、知り合ったアメリカ人の元留学生にばったり出くわした縁から、彼が参加する集まりにゲストで招かれる事になった。
キートンを招いたのはMr.アンダスン、現在の職業は米国製の電子機器を欧州地区に売り込むセールスマンで、業界ではNo.2の成績だとか。
Mr.アンダスンの説明によると、今夜のパーティーの主旨は、日頃同じ業界で争ってるライバル企業のセールスマン3人が、クリスマスを理由に休戦協定を結び、仲良く酒を飲もうって事らしい。
ドイツの地鶏で作るローストチキンが美味いと評判のレストランに着くと、参加者の1人であるフランス人のMr.モレルが先にテーブル席に座って待っていた。
彼はフランス製の電子機器を欧州地区で販売するセールスマンで、業界ではNo.3の成績との事だ。
Mr.アンダスンは、キートンを今夜のゲストだとMr.モレルに紹介し、未だ全員揃ってはいないものの、取敢えずパーティーを始める事にした。

会食をしている最中、Mr.モレルが腕時計をチラチラと見た。
見た目から神経質そうな紳士の彼は、Mr.アンダスンが評する所によると、「フランス人には珍しく時間に煩い」らしい。
「あの男、我々が嫌いで来るのを止めたかな?」と言って、Mr.アンダスンも周囲をキョロキョロ見回した。
その険の有る言い方から、キートンはこれから来る予定の男を、Mr.アンダスンがあまり好いていない事を察する。
そこへ慌てて店に入って来た男が、Mr.アンダスンと目が合うや、恐縮頻りでテーブルに近寄って来た。
3人目の参加者はMr.山本と言い、日本製の電子機器を欧州地区で販売するセールスマンで、成績は業界で1位との事だった。

参加者全員が揃った所で、テーブルの上にレストラン自慢の、ドイツ地鶏のローストチキンが運ばれた。
Mr.アンダスンもMr.モレルも一口食べるや、「この味にはわが国も敵わない!」と称賛を贈る。
Mr.アンダスンは黙々と食べるMr.山本にも、料理の味の感想を訊ねた。
しかしMr.山本は質問に答えず、遅刻した事を詫びるばかり…入ってから彼はずっとこんな調子で、Mr.アンダスンらが愛想良く世間話を振っているのに乗りが悪い。
生真面目そうな7:3分けの髪型、小肥りの体型、感情の籠らない話し方…Mr.山本の見た目は極めて典型的日本人像だ。
しつこい位に謝罪を繰り返すMr.山本に、Mr.アンダスンは「おたくら日本人はクリスマスも新年も休み無しで忙しいからね」と、皮肉を籠めて返した。
それに対してMr.山本が「いや…まあ…」と曖昧に頷く。

…どうやらMr.アンダスンって人、明朗快活な性格とは裏腹に、偏見が割りと強い人みたい。
思い返せばMr.山本にだけでなく、Mr.モレルに対しても「フランス人には珍しく~」なんて言い方してたし…大体、商売敵が揃って和やかにパーティーしようってのが、土台無理が有ったのかも…。

Mr.モレルは場の空気を変える目的で、クリスマスに纏わる話題を振った。

「クリスマスはキリストのミサ(祭)という意味ですが…ラテン語圏では古くから『ノエル』と呼ばれていました。
 『ノエル』とは、『キリストの誕生』という意味です…私はこの言葉が大好きだなァ」

聖なる日に喧嘩は止そうと暗に仄めかすMr.モレル。
けれどMr.アンダスンには通じず、彼はMr.山本の目の前で、「こういう時、日本では『ブレイコー』って言うんですよね!」等、尚も嫌味ったらしく日本人を馬鹿にする。
その間もMr.山本は能面の様に無感情な顔で、黙々と食事をし続けていた。

二次会で飲み直そうという事になり、場所をバーに移す4人。
しかしそこでもMr.アンダスンは日本人への口撃を止めない。
Mr.山本が言い返さないのを良い事に、嫌味は何時しか私怨の籠った批判へと変化した。
「…日本人達は、本当は欧米人を嫌っていて、それで何もかも買収しようとしてるんじゃないか?
 我々の様に好き嫌いをはっきりさせない連中だから、そのストレスを商売で吐き出してるんだ!
 欧米人が働かない時でも働く勤勉な日本人…そのくせ家族サービスするのはクリスチャンでもないのにイブの日だけ」「おい、おまえ!」
言いたい放題のMr.アンダスンに、Mr.山本の堪忍袋の緒が遂に切れた。
空になったグラスを叩き付け、身を戦慄かせながら立ち上がった彼は、Mr.アンダスンの顔を真っ直ぐ睨み付けて言い返す。
「どうせ日本人は『ええ』とか『まあ』しか言わないさ!!
 だけど世の中にはイエスでもノーでもないものが在るだろ!!
 その人を好きか嫌いか、はっきり解らない時も有るじゃないか!!
 但し、日本人も嫌いな奴には嫌いと言う!
 あんたなんか大嫌いだ!!Mr.アンダスン!」

…大人しい人ほど怒らせると恐いもんよねェ。
けど良く言ってくれたわ、Mr.山本!
確かに日本人は好き嫌いを曖昧に濁すトコ有るけど、好き嫌いが無いわけじゃないんだから!
Mr.山本は言うだけ言うと、テーブルに突っ伏し、一転、嘆きモードに突入したの。

「私だって辛い…こっちの連中は心を開いてくれず、それなのに頑張れば頑張るほど東京の本社は私をこっちに置いてきたがるし…女房は文句を言うし、娘はドイツ語の方が上手く喋れて、偶に一緒に日本映画を観ると、まるで外国人の様に字幕を読んでやがる…!!」
感情の無いロボットの様な男が、初めて見せる人間らしさに、呆気に取られる一同。
そのまま撃沈かと思われた彼だったが、そこは一流セールスマンの矜持で直ぐに立ち直り、「申し訳御座いません!!」と頭を下げた。
更にMr.山本は「皆さんを不愉快にしたお詫びに、埋め合わせをさせて頂きたい」と、一同を自宅に招待するのだった。

市街からタクシーに乗り、閑静な住宅街に降りた4人。
彼が住むと言う、広い大きな邸宅には、明かりが点っていなかった。
時刻は深夜…来てしまったものの、「こんな時間にお邪魔しては家族に迷惑じゃ…?」と遠慮するキートンに、Mr.山本は「女房も子供も日本に帰ったから、気にせず中へ入ってください」と言った。
クリスマスも正月も独りで過ごすと話すMr.山本に、Mr.アンダスンとMr.モレルは掛ける言葉を失くす。
国は違っても、商売敵でも、同じセールスマン同士、家族や仕事の悩みには同情出来た。
4人はMr.山本が作ってくれたホットウィスキーで3度目の乾杯をしたが、一度白けてしまった空気はなかなか戻らない。
Mr.アンダスンも今ではすっかり反省して、しおらしくなっていた。
窓から雪景色を黙って見詰めていたキートンが、名案を思い付いた様に顔を明るくした。

「ノエルに相応しい、仲直りの仕方が有ります――決闘ですよ!」

突如活き活きし出したキートンが、コートも着ないまま、3人を外へと急かす。
雪が積もった広場でキートンが提案したのは、雪合戦による決闘だった。
真冬のドイツの寒さは半端無い、しかも深夜に雪遊びなんて狂気だ!と、3人とも反対したが、キートンは構わずに、雪球をMr.アンダスンの顔目掛けて投げた。
負けず嫌いで乗りの良いMr.アンダスンが直ぐにやり返す。
大人気無く雪合戦に興じるMr.モレルとキートンを、呆然と見詰めるMr.モレルとMr.山本。
ギャラリーで居る2人に、Mr.アンダスンが「参加しないなんてズルイぞ!!」と雪球を投げた。
何時しか4人は童心に返り、雪合戦を楽しんでいた…雪原で米英vs仏日に分かれての戦争は、米英組の逆転勝利に終わった。

決闘を終えた4人の中年は仲直りを果たし、年末の挨拶と共に、笑顔で来年の「ノエルの休戦」を約束した。
帰り際、Mr.山本は3人に、清々しい笑顔で礼を言った。
「今日は…本当に有難う。
 私は…皆さんと知り合えて、本当に良かった」

Mr.山本と別れ、タクシーで市街に戻り、Mr.モレルと道の途中で別れたMr.アンダスンとキートンの2人は、良い気分で雪道を歩く。
コートのポケットに手を入れたMr.アンダスンが、ふと何かが入ってる事に気付いた。
「Mr.山本からのクリスマス・プレゼントだ…!」
キートンがコートのポケットに手を突っ込むと、同じくクリスマス・プレゼントが靴下に詰められ入っていた。
プレゼントは日本製の電子手帳…添えられていたクリスマス・カードには、「メリー・クリスマス!来年も、メイド・イン・ジャパンを宜しく!」とのメッセージ。
Mr.アンダスンは、「これじゃ来年も、Mr.山本がNo.1かなァ」と言って、彼の抜け目無さに感心するのだった。


…日本が電子機器や家電で世界シェア1位だった時代の作品ね。
あの頃はアメリカとの貿易摩擦が問題になってたっけ…思わず遠い目になってしまうわ。
今や家電は中国アメリカ韓国スウェーデンに追い抜かれ、電子機器と言うかスマホはアメリカ韓国中国に…今この話を描くならどんな風になるのかしらね?

国や人種が違っても、子供から大人に成長するのは変わりない。
童心に返らせて和平を為すなんて、キートン先生、流石だわ!
きっと彼らはこれからも、「ノエルの休戦」を楽しむでしょうね。
さてここで今夜のクリスマス・ソングを紹介、「Oh Holy Night」!
プラシド・カポー作の歌詞に、フランスの作曲家アドルフ・アダンが曲を付けたクリスマス・ソングよ。
フランスの「Cantique de Noe(カンティック・ドゥ・ノエル=クリスマスの聖歌という意味)」が、後に英語圏に入ってジョン・サリバン・ドワイトの手で英訳され、「Oh Holy Night」のタイトルで親しまれる様になったの。
更に日本でも由木康が翻訳し、讃美歌第二編「清かに星は煌めき」のタイトルで知られてるわ。
フランス語版、英語版、日本語版の3種で知られてるなんて、今回のテーマ的にピッタリだと思わない?
折角だから、今回はフランス語版英語版日本語版の3バージョンを聴いてみて♪(フランス語の歌詞を紹介出来なくて御免なさい)
明日の大晦日も、メリーと楽しくクリスマス・ソングを歌いましょ♪



【Oh Holy Night(清かに星は煌めき)】




Oh holy night♪
The stars are brightly shining♪
It is the night of the dear Savior's birth♪
Long lay the world in sin and error pining♪
Till He appear'd and the soul felt its worth♪
A thrill of hope the weary world rejoices♪
For yonder breaks a new and glorious morn♪

Fall on your knees♪
Oh hear the angel voices♪
Oh night divine♪
Oh night when Christ was born♪
Oh night divine♪
Oh night, oh night divine♪

Led by the light of Faith serenely beaming♪
With glowing hearts by His cradle we stand♪
So led by light of a star sweetly gleaming♪
Here come the wise men from Orient land♪
The King of Kings lay thus in lowly manger♪
In all our trials born to be our friend♪

Fall on your knees♪
Oh hear the angel voices♪
Oh night divine♪
Oh night when Christ was born♪
Oh night divine♪
Oh night, oh night divine♪

Truly He taught us to love one another♪
His law is love and His gospel is peace♪
Chains shall He break for the slave is our brother♪
And in His name all oppression shall cease♪
Sweet hymns of joy in grateful chorus raise we♪
Let all within us praise His holy name♪

Fall on your knees♪
Oh hear the angel voices♪
Oh night divine♪
Oh night when Christ was born♪
Oh night divine♪
Oh night, oh night divine♪


【日本語版】

清かに 星は煌めき
御子イェス生まれ給う
長くも 闇路を辿り
メシヤを待てる民に
新しき朝は来たり
さかえ有る日は昇る
いざ聞け 御使い歌う
妙なる 天つ御歌を
めでたし 清し今宵

輝く 星を頼りに
旅せし博士のごと
信仰の 光によりて
我らも御前に立つ
馬槽に眠る御子は
君の君 主の主なり
我らの 重荷を担い
安きを 賜う為にと
来たれる 神の子なり

互いに 愛せよと説き
平和の道を教え
全ての くびきをこぼち
自由を与え給う
げに主こそ平和の君
類無き愛の人
伝えよ その福音を
広めよ 聖き御業を
たたえよ 声の限り



…こんばんは、びょりです。
3日続けての日付詐称、誠に申し訳無く…!
ところで「マスターキートン」って、今は半分英語で半分カタカナ表記のタイトルなんでしょうか?
検索したらそう出て来て「?」となった。
以前は完全英語表記だったよなぁと。

今夜の写真は横浜赤レンガ倉庫クリスマス・マーケットの、屋台の屋根に飾られてた、キリスト誕生シーンの人形。
毎年開催される赤レンガ倉庫のクリスマス・マーケットは、ドイツ協力の下で行われてるそうな。

コメント
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