kotoba日記                     小久保圭介

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ヨコちゃん、海で学ぶ、の巻

2021年11月16日 | 生活
  




ヨコちゃんは幼稚園を
3日で中退した事件

ヨコちゃんは
幼稚園に三日目で
行かなくなった
先生
友達
親が
「行こう、行こ、行け」
と言っても、誘いにきても
頑なに
「嫌だ」
と断った

「何で」
訊くと
「あほくさくてやってられん。なんで俺がチーチーパッパやるんだ? 冗談じゃねえぞ」
と行かない。
「ヨコちゃんがいじめられて行かないっていうのもないしね。むしろ逆だし」
「そう。あそこはくだらん」
そう言い通して
ヨコちゃんは二年間どうしたか
親はどうしたか
まず親は
「何も言わんかった」
良い親御さん。

ヨコちゃんは二年間
ずっと海で遊んでいたそうです

「磯がいっぱいあるんだて」
「磯?」
「岩がいっぱいあるんだって」
「うん、なるほど」
「でさあ、磯で槍とか道具持って、いっぱい捕まえた」
「何を?」
「うーんと、カニ、サザエ、アワビ、イセエビ。でもウツボが浮ゥったなあ」
「鹿児島にイセエビがいるの?」
「いるよ。難しいんだって。捕まえるのが。速いで。さっと後ろに砂を巻き上げて逃げる。だから一瞬の隙をついて、腹をやる。背は甲羅が硬くて刺さらんのだって」
「凄いね。幼稚園行くよりよっぽどいいね」
「ウツボが噛まれると痛いなんでもんじゃない。あれはヤバかった。そんで幼稚園終わった友達らが遊びにきて、一緒にやるんだて」
「ワイルド」
「でよ、鍋持ってって、食べるんだて」
「え。海水で? 火も焚くの?」
「海水。マッチ持ってくんだって」
あ、そこは文明ね
「うまかった」
「でもさあ、二年も飽きない?」
「飽きん。みんな幼稚園終わってから来たし」
当時の鹿児島の孤島は、
自由

さらに驚いたのは
ヨコちゃんの名前が変なこと
なんであんな名前なの?
「おかんと役所が間違えたんだて。本当は『○○』だったんだて」
「ええええ。だったら訂正したらよかったじゃん?」
「あかんて。めんどくさいで」
そんなもんかな?
「だから、あんな漢字で、あんなふうに読むってこと?」
「当て字だて。めちゃくちゃだて」
当時の鹿児島の離島の役所は
自由

「ヨコちゃん。小学校は行ったの?」
「行った」
「判った! 好きな子いたんだろ?」
「いた」
いつもにやけているヨコちゃんがさらに
にやける
「名前は?」
「えっと、何て言ったけなあ。。。えっと、あ、キミコだ」
「キミコ」
「お遊戯で、手つなぐだろ? あれが恥ずかしくてさ」
大笑い
確かに小学校だったか
フォークダンスで
同学年全員で輪になって
手を繋ぐ
そんでわたしも覚えているけど
好きな子の順番が近づくと
もうドキドキした
判るわ
「だから小学校行った?」
「キミコが家まで来て、一緒に行った」
昔の鹿児島の孤島は
初々しいったら
ありゃしない

ヨコちゃんというのは
何か面白い




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