kotoba日記                     小久保圭介

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落としたい人 拾いたい人

2020年05月22日 | 生活詩
  


彼は言った
「子供んとき、しょうゆごはんでしたよ」
貧困家庭
けれど
彼の表情は穏やかで
しかも賢い
誰かにたっぷり
愛情を注がれてきた顔だ

人はぽとんと
落とし物をする
それをわたしは拾う
「落としましたよ」
「あ、どうもすいません」

彼もまた
落とし物みたいに
ぽとんと
幼少時を話す


落とし物を
たくさん
わたしは預かっている
それを
『言葉の交番』に
届けるのだ
「落としものですよ」
「また君か」
『言葉のおまわりさん』は
調書を取る
「どこで拾いましたか」
「ブロックの上に腰かけていた時です」
「君はよく拾うね」
「落とし物を探しているから」
「え」
「探してここに持ってくるんです」
「困ったな」
『言葉のおまわりさん』は笑って
「じゃあ、確かに預かりました」

わたしはまた探し始める
落としたい人の
落とし物を





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