千の天使がバスケットボールする

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大学全入時代に

2006-03-22 23:45:30 | Nonsense
国立大学の後期合格発表もそろそろ出揃い、今年度の受験決算報告は終了。見事大輪の桜の花を咲かせた受験生もいれば、捲土重来を期す者もいるだろう。
一部の頂点となる難関大学の関門は、あいかわらず厳しいが、推薦入試、受験回数を増やして入りやすい大学もあるという。来年は、いよいよ大学全入時代がやってくる。大学を選びさえしなければ、誰でも大学に入れる。学びたい者が、学べる場と機会の増加、それ事態は好ましい豊かな社会ではある。しかし、それはまた選抜の厳しい難関大学と事実上大学生たる学力に到達していない者も経営上受け入れざるをえない底辺大学という”格差”も生じる。教育機会の裾野の広がりは、誰にでもチャンスを与えたが、大学という学び舎にふさわしくない大学の増加という質の低下も招きかねない。

現在国公立大学は149校、私立大学は574校ある。過去3年に私立大学が62校新設され、既設の大学でも学部、学科が増殖中。(母校の経済学部も新たに学科が増えていた)まるでバブル期のマンションの乱造のていがある。かっては、大学や学部学科の新設には、設置諸条件を満たしていることが、その大学以外の第三者機関に事前認証してもらう必要があった。ところが、04年4月法改正により、大学関係者自らが新設後に点検結果を評価し、結果を公表すれば了解となった。
それでいいのか。一度新設された大学は、最悪だとしても簡単に閉鎖できない。しかも、自己評価という客観性も透明性もない成績をどこまで信頼してよいものか。

文部科学省の私学振興助成金(一般補助&特別補助)は、昨年度で3200億円だった。内訳として教育研究条件の継続を目的として教員・学生数を基準に自動的にふりわけられるせいだろうか、1位日本大学129億円、2位早稲田大学95億円、3位慶応大学93億円と続く。問題は、今後大学間で競争原理を導入して手厚くする方針の特別補助金の獲得である。この助成金を多くもらうポイントは、教員数に比較して学生数が少ない=教育の質が高い、という評価をえることだ。この助成金をねらうのは、簡単。
①設備費というハードにお金がかからない大学や学部の新設
②学生定員数を少なくする
③各省庁の役員や教員などを天下りで迎えて教員の増加
いざとなったら、アジアから留学生を受け入れ、水増し合格もあり。

世界的に活躍されている建築家の安藤忠雄氏は、高卒でも東京大学の教授である。これは「専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有すると認められる者」という大学設置基準の教員資格条文に該当しているからだ。安藤氏のように学歴はなくとも、貴重な実力者登用のためだったのだが、これも誰でも教員になれる使い勝手のよいシステムになりつつある。いつかGacktだって、”教授”として教壇にたつ可能性がある。(←これはいけるかも)
その一方で国立大学では独立法人化に伴い、短期間に実績を挙げることが困難な基礎科学分野は、研究費削減で泣いている。産学協同と言っても、ビジネスにすぐに直結するわけでもなく、民間資金をえることも叶わない。

近頃の大学案内を眺めたら、専門学校なのか、職業訓練校なのか、判別できない大学もある。逆に、どこの大学出身かというブランドの選別にもつながる。大学全入時代を迎えて、大学そのものの地盤沈下がすすむ。フランスのカルチェラ・ラタンでは、若年層の雇用促進策「初期就業契約(CPE)」に反対する抗議デモが続いている。この雇用促進策の是非はともかくとして、この国では、大学生はやはり今でも大学生らしいと。******************************************************************************
(3/23追記 共同通信より)
「浅井学園前理事長を起訴 経費を自宅の補修費に流用」

札幌地検は22日、浅井学園大などを運営する学校法人浅井学園(札幌市)の経費約5300万円を自宅の補修費に流用したとして背任罪で、前理事長の浅井幹夫(57)と同大学元管財課長の穴沢貢(49)、工事の元請け業者で会社役員酒出信二(36)ら3容疑者を起訴した。地検によると、浅井被告は起訴事実を否認。穴沢被告らは認めているという。
道警は今後も、別の学園経費の流用や補助金適正化法違反での立件を視野に捜査を続ける方針。
起訴状によると、浅井被告らは共謀の上、学園経費から浅井被告の自宅補修工事代金を支出しようと計画。2001年8月から10月にかけ、浅井学園大学・短期大学の校舎外壁補修工事の代金として約1億3300万円を酒出被告の会社に振り込み、うち約5300万円を浅井被告の自宅の補修工事代に充て、学園に財産上の損害を与えた。

この工事に対しては、その後文部科学省の補助金約5700万円が支払われた。

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札幌国税庁は、3億2千万円の経費流用を認定。そのうち1億円は、女性用高級スーツ、時計、かばんや靴などの物品購入に消えた。
「職員1人雇っても、学生1人を入学させても補助金がでる。学校経営ほどおいしいものはない。
カネがないなら、授業料を上げろ。」
これが、浅井容疑者の残した言葉である。この事件は、あくまでも例外だと思いたいが、一番の被害者は学生である。


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