千の天使がバスケットボールする

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米国の遺体売買市場

2006-08-19 22:54:56 | Nonsense
蒸し暑い夜のおやつは、「怪談」。高校1年生時の夏休みの英語の宿題のほんの一部は、小泉八雲の「KAIDAN」がテキストだった。
ホラー映画を観ることができない小心ものの私が、もっとも恐い小説は夏目漱石の「夢十夜」だ。「こんな夢をみた・・・」ではじまる語りに、身が凍りつくような恐怖を味わった。
さてさて、こんな話を聞いた。
それは、アメリカのお買物の話である。

頭を購入したかったら、500~900ドルを用意しよう。米国での遺体取引現場では、500~900ドル。オプションで脳を追加すれば、さらに50ドル。胴体部分は、体積が多いためだろうか、市場原理なのだろうか、ちょっとお高め3000ドル。片脚だけなら、650ドルでOK。米国では、この程度の価格帯で遺体売買が急増しているという。購入者は、大学、葬儀社、医療関連企業。ぞっとする話だが、遺体の利用方法を知るとなるほどと思わぬわけでもない。

ジャーナリストのアニー・チェイニー氏は「人体ブローカー」(米国における遺体取引の現場)』(Body Brokers: Inside America's Underground Trade in Human Remains)の新書で、遺体を追った現場の目撃談からそのショッピングの内幕をあかしている。(この手首は4割引のバーゲンセール品?→)

①医療技術の実験台・・・胴を切開して腎臓を摘出する方法を学ぶ泌尿器科の外科医たち
②砕かれた人骨を精密機械で加工して、整形外科用の”部品”になる
③対地雷防護具のテストにも利用される

どれもこれも、冷静に考えれば、ある意味では献体と同じように崇高な?目的に使われていると言えなくもない。但し、大方の日本人は私も含めて、亡くなっても死者(遺体、もしくは死体)への畏敬の念と尊厳の気持ちをもつべきだという日本的な情緒教育をうけているから、このようなビジネスに顔をしかめるだろう。対地雷防護具の精度をあげることがある地域の人々を救うことを理解していても、人体の一部を実験台に利用することの不整合さには、感情的になかなか受け入れられるものではない。
売買される遺体は、医療研究目的の献体や遺体安置所で引き取り手がなかった者(物?)も含めるが、ドナーによる提供もある。
しかし、つい最近もドナーから提供された素材から汚染された人体組織を移植した数100もの患者が、米国でニュースになった。著者が知るところによると、遺体から摘出した骨を移植手術を受けた青年が、細菌感染によって亡くなった原因が、ドナーの銃自殺をした若い男性の遺体の発見が遅れたことによる人体組織の管理の杜撰さであったという。

国内では、実際のところこのような人体ブローカーは存在するのだろうか。米国では、このような取引に対する取締りがないのも同然で、そのため遺体の盗難や不正取引も横行しているという。
「この市場でどれだけ多くの遺体が取り引きされ、それらの遺体にどんなことが起きるのか、誰も知らない」
こう語る著者の遺体のリサーチは、誰もが遺体を、そして死者が大切に扱われるべきだ、というしごくまっとうな動機であろう。
それにしても、科学テクノロジーがすすめばすすむほど、人間の肉体もビジネスに親密になるということはどこの国でも変わらないかもしれない。
そして、遺体からの顔面移植手術という記事も。

提供者、手術者ともども考えさせられる真夏の夜の怪談。。。

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