千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  TB&コメントにも☆

「のだめカンタビーレ」

2006-01-24 23:10:52 | Book
やってきた「のだめカンタビーレ」14巻!

その後千秋は、マルレ・オケをどう指揮するのか、心配していたのだが、やはり団員が脱退してスカスカのオケでラベルの「ボレロ」はきつかった。
この曲は、私にとってもこだわりの曲なのだが、大変革新的な構造になっている。

①リズムの変化がなく繰り返されるのみ
②主題の旋律が繰り返されるのみ
③転調がない
④主題旋律とリズムのみ
⑤pp~ffで終わるクレッシェンドのみ

あまりにも有名なこの曲を、情熱的でありながらもフランス風典雅もあわせもった表情とラベル的な魔法を感じさせるには、演奏家の技量のごまかしもきかず、指揮者の実力も試されるとも言えよう。特に打楽器奏者、そして管楽器奏者にとっては華やかな天国の舞台になるか、地獄になるかの勝負曲ともいえよう。千秋振るマルレ・オケは撃沈した。そりゃそうだ。コンマスとのコミュニケーションもとれていないのだから。千秋の肩には、一昨日のような雪が降り積もるだろう。それも成長への試練だ。

そんな千秋の大和魂が救われる相手がなんたることか、あののだめとは。すべてに恵まれ整った男が自分で唯一選んだのが、”変態”だった。ゲテモノ好き・・・。パリは燃えているか、益々接近する千秋とのだめの関係。千秋には不釣合いだったのだめは、どこにでもいるちょっと才能ある音大生からピアニストへと静かに脱皮中。
今まで自分の好きなように勝手気ままに弾いていたのだめが、黒木くんやポールとプーランクの室内楽を演奏している。この場面は、けっこう意味深い。
相手の音をよく聴く事、そして自分の音をよく聴く事、まるで恋愛事始のようなこれらを自然に学ぶことによって、のだめの中でなにかが変わる。
パリ・コンセバトワールの試験で、試験管を「試験というよりもまるでリサイタルを聴いたような気分」とまで、言わしめたのだめ。どこかで聞いたせりふだが、これは学生に対しての最大級の誉め言葉である。かってのライブドア以上の成長株だ。こういうのを”おお化け”と言うのだろう。