旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

ヴェゾン・ラ・ロメーヌ~聖クナンゆかりの中世ロマネスクの教会

2021-01-24 08:21:26 | フランス
2009年南フランスの旅より
他に例をみない三角形の後陣

聖クナン礼拝堂は畑の中にぽつんととりのこされている。
※Quenin→フランス語読みでクナン、英語でケニン、ラテン語ではQuinidiusクニディウス

現在みられる建物は12世紀ごろのものと推察されているが、使われている石材の装飾から、もとはもっと古い建物があったのかもしれない。

古代ギリシャ・ローマのコリント式を連想させる柱頭

その中心に不思議な顔が小さく刻まれている↑これが何を表すのかは解明されていない。

内部は公開されていないが↑入口扉の上部に刻まれた葡萄つる草とワイン甕に十字架の文様↑
ヴェゾン・ラ・ロメーヌ市の紋章は、この古代ギリシャ・ローマをまねたこの装飾がもとだったのか↓市の紋章

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上の礼拝堂の名前になった聖クナンの墓は、350m離れたナザレの聖母マリア大聖堂にある。

主祭壇下に安置された簡素な六世紀の石棺↓

1950年代に調査した際に、中から聖クナンのものと思われる骨が発見された。
※ヴェゾンの貴族の家に生まれたクナンは若くして隠者となりその後修道院に入る。西暦556年に故郷の司教となり、579年に没してここに葬られた。

六世紀からの構造がほとんどそのまま残っているとされる突きあたりの後陣部分↑

↑縦長のゴシック調の窓は後から開けられたように見える。
↑立派な一本石の柱はローマ時代古代の建物から流用されたものだろう。

クナンの石棺はこんな風に置かれている。

↑古代の柱がそのまま。これはいったい?

↑用途がはっきりわからない儀式用の石のテーブルが残されている。

古代彫刻の影響を感じさせる美しさ。

↑トーがをまとった人々が刻まれているのは西ローマ帝国滅亡前のものだろうか。


修道院時代の回廊が併設されている


ロマネスク様式の列柱が基にあって、のちに修復されているようだ。

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外部に出てみると↑ロマネスク本来の円筒形構造をはっきり見ることができた↑

※教会の基礎の部分にそれ以前の神殿?の柱が使われている。

ローマ帝国が崩壊して支配者がくるくる入れ替わる時代。
人々のよりどころは国ではなくキリスト教であった。

コメント
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