きた産業は、北海道から沖縄まで、日本全国でお取り引きいただいています。2010年の新企画、営業担当者が早回りでご紹介する47都道府県めぐりブログです。
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今回は、兵庫県下の酒類関係のお取引先をご紹介します。
かつて兵庫県は、摂津・淡路・播磨・但馬(たじま)・丹波(たんば)の五国から成っていました。各地で特色ある酒造りが行われてきましたが、特に五国の内の二つの名を冠した「但馬杜氏」、「丹波杜氏」は、「南部杜氏」、「越後杜氏」と並ぶ「日本四大杜氏」。まずはその但馬と丹波の蔵元をご紹介します。
「但馬」は県北に位置し、三方を山に囲まれ、北端が日本海に落ち込む険しい山国です。その但馬にあって、山陰海岸国立公園の漁業の町、香住にある「香住鶴」様は、1725年(享保10年)創業の老舗。写真は新しい「福寿蔵」の前の私。なお、旧蔵は、円山応挙の障壁画で有名な大乗寺のすぐ近くです。
次に県央の「丹波」でご紹介するのは、1849年(嘉永2年)創業の「西山酒造」様。清酒「小鼓(こつづみ)」ブランドで有名ですが、発泡清酒、焼酎、梅酒、そしてなんとグラッパ(!)も作っておられます。写真は同社のグラッパ蔵。Grappa(グラッパ)は、ワインの葡萄粕を蒸留して造る蒸留酒。イタリアから専用蒸留機を取り寄せ、2004年から本格的なグラッパを製造されています。なお、小鼓といえば、俳人の小鼓子(同社先々代)があまりにも有名、「小鼓」は高浜虚子により命名されたブランド名です。
地ビールもご紹介しましょう。兵庫北部の歴史と観光の町、出石(いずし)にある「出石城山ビール」様で、設備や資材をご用命いただいています。出石と言えば、白地の小皿に盛る独特の様式の皿そばが有名。小さな街になんと50軒のそば屋が有ります。出石城山ビールでは「そば」を原料とした発泡酒も作っておられます。(ここまで、岩山)
清酒、グラッパ、ビールに続いて、ワインです。神戸市が出資する「財団法人神戸みのりの公社」様の神戸ワイン。キャップや設備を納入させていただいています。下の写真は「神戸ワイン城」と呼ばれる建物。施設内ではバーベキュー等を楽しめるようになっています。夏休みということもあり、平日にもかかわらず、家族連れの方が多く、賑わっていました。
さて、かつての兵庫県の五国の行政区分に戻り、「淡路」の国。淡路島には、かつて数十軒の清酒蔵元があったそうですが、現在は千年一酒造、都美人酒造、本庄酒造の3軒。当社では3軒ともお取引を頂いています。ここでは、淡路島側から見た明石海峡大橋をご紹介します。(ここまで、辻谷)
次に「播磨」の国。播磨のシンボルはなんといってもユネスコ世界文化遺産に指定されている姫路城。写真のように、今春から大改修が始まっています。
姫路市にある「壷坂酒造」様は、1805年(文化2年)創業。現在の建物は200年の歴史があり、都市景観重要建築物に指定されています。銘柄は「金壺」、「雪彦山」。清酒ファンに根強い人気があります。(ここまで、上阪)
さて、五国の最後は「摂津」の国です。摂津と言えば「灘の酒」。全国の清酒出荷量の約3割を灘の蔵元が供給しています。弊社は、白鶴、大関、菊正宗、沢の鶴、宝酒造・白壁蔵、日本盛、白鹿、白鷹、剣菱、富久娘、桜正宗、(灘でなく伊丹になりますが)白雪など、主要なすべてのブランドとお取引をいただいていますが、ここでは代表して2社をご紹介します。
公園?と思えるほど手入れの良く行き届いた木々と芝生ですが、私が立っているのは神戸市の「白鶴酒造」様の本社前の園庭です。いつ来ても本当に手入れが行き届いていて関心させられます。白鶴酒造様は1743年(寛保3年)創業。ご存知の通り、現在清酒の出荷量日本一の清酒メーカーです。
奥に見える木造建築は、旧蔵を改修して作られた「白鶴酒造資料館」。内部はとても見やすく、英語展示もあり外国のお客様もよく見かけます。そのほか、白鶴美術館(古代中国の青銅器で日本屈指のコレクション)、白鶴新美術館(ペルシャ絨毯のコレクション)など、文化面でも大きな貢献をされています。
阪神大震災前はこの近隣にたくさんの清酒蔵がありましたが、震災後はほとんどなくなってしまいました。神戸市民(誕生以来の神戸市民です)として神戸・灘の清酒の復活を願っています。(ここまで、田中)
次に、西宮市にある「白鹿」の「辰馬本家酒造」様。1662年(寛文二年)創業で、再来年が350周年。右が本社社屋、手前も工場ですが、ここでご紹介したいのは、奥の背の高い黒屋根の建物で、今月竣工の新充填工場。阪神大震災の経験を元に、大地震にも備えた新工場です。日本経済新聞などで「災害時には新工場の充填ラインを開放したい、他社の充填も引き受けていく計画」と報道されています。
今月からこの新工場で順次充填を開始されています。なお、この新工場の充填設備の一部を当社から納入させていただきました。ありがとうございます。
写真には写っていませんが、手前側に「白鹿記念酒造博物館」や「白鹿酒ミュージアム」があり、多大な文化貢献をされています。また、辰馬本家酒造の辰馬会長は、日本酒造組合中央会会長であるのはご存知の通り。清酒酒造業全体に重責を担っておられます。(ここまで、小泉)
大阪営業部 兵庫担当 岩山+辻谷+上阪+田中+小泉
(追記:兵庫における酒類事業と教育) 灘の蔵元の教育貢献に触れておきたいと思います。辰馬育英会(白鹿の辰馬家)は、甲陽中学、甲陽高校を経営され、灘育英会(白鶴、菊正宗の両嘉納家、および櫻正宗の山邑家が創設)は、灘中学、灘高校を経営されています。名門の灘・甲陽がどれほど多くの有能な人材を輩出したかを考えると、日本社会への貢献は計り知れないものがあると思います。
また、灘の蔵元ではないのですが、サントリーの鳥井家・佐治家は雲雀丘学園(兵庫県宝塚市、幼稚園~高校)で創設時から理事長を務められ、援助を継続されています。雲雀丘も名門で、関西では有力な進学校です。
酒類事業と教育貢献とは一見無縁のように見えますが、これらの酒類事業家の人材育成に対する情熱がいかに大きなものであるか、感心させられます。
代表取締役 喜多常夫