【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

井上ひさし『創作の原点 ふかいことをおもしろく』PHP研究所、2011年

2011-07-01 00:04:22 | 評論/評伝/自伝

            ふかいことをおもしろく
 NHK BSハイビジョンの番組「100年インタビュー/作家・劇作家 井上ひさし」(2007年9月20日)をもとに原稿をつくり、単行本化したものです。インタビュアーは、堀尾正明さん。この番組は見ました。本の内容はほとんどそのままです。

 目次をみると、生い立ちから、父のこと、母のこと、文学との出会い、懸賞応募から劇作家の道に入っていった経緯、そして笑いとは何か、文学とは何かについての井上流哲学が開陳されています。

 数々の名作を世に問い、評価をうけ、蔵書の数は20万冊という凄い人なので、語られる一語一語に重みがある。そして、井上さんのいいところはそれを難しいことばではなく、わかりやすい言葉で説明してくれるところです。それが、この本での大きな文字になって、示されています。

・情報をどんどん入れて知識になり、知識を集めて知恵をつくっていく、どんな仕事もきっと同じはず。(p.28)
・頑張ればひかりが見えてくる。(p.42)
・初日の幕が開いて、お客さんが拍手して「いい芝居でした」「感動しました」「笑いました」と言ってくれるのが何よりの報酬。(p.78)
・笑いとは、人間が作るしかないもの、それは、一人ではできない、人と関わって、お互いに共有しないと意味がないものである。(p.88)
・明日命が終わるにしても、今日やることはある。(p.94)
・自分が使いこなせる言葉でものを考えることが大切。(p.98)
・「それ、わかりませんので教えてください」と無知のふりをして聞き返せばいい。やっぱり無知が一番賢いのです。(p.104)
・手が記憶する。記憶した手で新しいことを作っていく。(p.110)

 最後に「100年後の皆さんへ、僕からのメッセージ」が掲げられている。100年後の地球が人間がどうなっているのかを心配しつつ、100年前のわたしたちががんばっていい世界を手渡したい、というような内容です。ときどき、井上さんが生きておられたら、福島原発のことなどはどう受けたとられるのかを知りたいです。井上さんの故郷は、福島に比較的近い、山形川西町ですから・・・。


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