【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

イルマル・ラーグ監督「クロワッサンで朝食を(Une Estonienne a Paris)」(フランス、2013年)(銀座シネ・チッタ)95分

2020-03-23 23:55:24 | 映画

       パリの高級アパルトマンに住むフリーダ(ジャンヌ・モロー)。ひとり暮らしで、気難しい。彼女はエストニア人で、かつては同郷のひとたちとの交流もあったが、いまは絶えている。 彼女のアパルトマンには、ステファン(パトリック・ピノー)という中年の男性がときどき様子をみに来ている。ステファンはかつては、フリーダと愛人関係にあったようだ。ステファンは、フリーダからプレゼントしてもらったカフェでオーナー。カフェはそこそこ繁盛している。 そのステファン。フリーダが高齢化し、ときどき大量の薬を飲むような行動を取り始めているので、家政婦にきてもらうことを考え、つてをたどって、アンヌというエストニアに住む中年女性に、依頼。彼女は母に死なれ、鬱屈した日々を過ごしていたが、このパリでの仕事にかけることにする。 気難しいフリーダは彼女に相談なく家政婦を雇ったことが気にくわなく、生真面目なアンヌを無視したり、嫌がらせをしたり。朝食には、クロワッサンと紅茶が習慣だったが、それを用意できないアンヌに腹をたてる。アンヌはスーパーでクロワッサンを買い、これをフリーだのもとに運ぶが、「こんなプラスチックのようなものを食べれるか。パン屋で買いなさい」と、紅茶をわざと床にこぼしながら言う。 アンヌはここでの家政婦に自信をなくし、故郷に帰ることを決意し、ステファンに相談をもちかけるが、なだめられ、考え直す。 このあと、エストニア人のかつての仲間がフリーダの部屋に再会に来たのを悪罵で追い返したり、フリーダとアンヌとの確執が強まったり、弱まったりといろいろあるが・・・・。さて、その結末は。 あっけないと言えばあっけない、ラストシーン。 この映画では会話が多くなく、パリのすばらしい光景(エッフェル塔、凱旋門、ルーブル、街並み)がたっぷりスクリーンに浮かび上がり、アンヌが帰郷を決意して深更、パリの街をキャリングケースをひきまわしながら歩き回るシーン、など静か。会話以外の空白部分で、監督が伝えようとするものが、ゆっくり伝わってくる。わかりにくいと言えばそうなのだが、これもフランス映画独特のありようだ。 主演のジャンヌ・モローは、映画製作時(2013年)、85歳。「死刑台のエレベータ」「恋人たち」「小間使いの日記」でのかつての美貌の面影はあるが、それでも年輪はかくせない。いい味を出していた。   原題は、「エストニア人のパリ」。「クロワッサンで朝食を」の邦題では、この映画の本質はみえてこず、台無しになっているが、興業的には仕方がないところか。 


       






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