日常のあれこれをそこはなとなく

料理、わんことの日々、海外ミステリを中心とした読書、ソフトバンクホークス、JAZZなどを書いていきます。

ひとり旅立つ少年よ

2019-09-21 06:30:47 | 読書
ボストン・テランの『ひとり旅立つ少年よ』を読みました。



詐欺師の父に連れられたチャーリーは、ニューヨークの高名な奴隷解放運動家を騙して、南部の奴隷解放運動家に資金援助するためといって4000ドルの大金を手に入れます。しかし、その父はお金を狙った二人組に襲われて殺されてしまいます。大金を縫い込んだ上着を着た12歳のチャーリーは、何とか逃れてとりあえず精神病院に入院している母のもとへ向かいました。二人組はギリギリのところまで迫りますが、周囲の人の機転で助けられます。



やっとたどり着いた病院でしたが、母は会話もままならず、チャーリーの事もわからない状態でした。旅の間人々の善意に触れたチャーリーは、父と一緒に犯罪に手を染めていたことを恥じるようになります。そしてその贖罪のために、持っているお金を奴隷解放運動家に届けることを決意しました。

この小説は、ミステリではないし、ハードボイルドでもない独特のテイストを持った小説でした。解説を書いている杉江氏は教養小説だと言っていますが、まさにその通りです。12歳のチャーリーが善なる心に目覚め、一人前の男として自分の内なる信念に従って困難を乗り越える、そしてその生き方に共感した周囲の人々がチャーリーを助けるお話でした。それにしても、奴隷制度があった時代というのは本当に大変な時代でした。アメリカ映画を見ていても、トイレが黒人用と白人用で別れていたりして、驚かされます。最近の移民排斥の空気なども根っこではこことつながっているのだろうと思いました。いやはや大変な小説でした。
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