黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ねむり姫』澁澤龍彦/野村直子/林宏樹(アートン)

2013-01-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
後白河法皇の院政のころ、京に住むなにがしの中納言の娘に、名づけて珠名姫というものがあった。
蒼白な皮膚と、将来が案じられるほどはかなげなふぜいであった。裳着の式を終えた十四歳の年、屋敷のなかの阿彌陀堂で突然眠るがごとくみまかった姫。
父である中納言に乞われてさる高名な叡山の上人が回向しにきたのは三日後。曰く、珠名姫は死んだのではなく、深い昏睡におちいっていたのであるという。回復を願い、彼女を輿に乗せ洛中洛外の寺々を巡行するが、三年も続けてもはかばかしい成果は得られなかった。
一方、彼女には、つむじ丸という異母兄がいた。珠名姫そっくりだったが、しぶとく強情。十五歳にして放蕩濫行が目にあまるようになり、やがて身を持ち崩し、盗賊になり天竺童子と称すようになった。
ある時、これまで何の興味も抱いてこなかった珠名姫を突然所有したいという欲求がうまれ、伊予へと連れ去った……

澁澤さんの短編を、野村さんのオブジェ(写真が林さん)で絵本風に表現したもの。
『ねむり姫』というので、最初おとぎ話(洋風)の方を思い浮かべてしまいましたが、和風のお話でした(平安時代/笑)。
オブジェはかならずしも和風だけではなく、洋風のモチーフも多くあるのですが違和感なくまとまっていて、素敵な一冊♪

<13/1/25>