黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『祝もものき事務所 3』茅田砂胡(中央公論新社)

2013-01-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
芳猿梓の実家である、古武術古猿流の道場に顔を出した格闘家・犬槇蓮翔は、芳猿の姉・美緒とそのお見合い相手である資産家の子息・木戸剣持と顔を合わせる。
着物も似合い、絵に書いたような大和撫子の美緒だったが、持ち込まれる見合い話を次々に断っている『見合いクラッシャー』。いつもは一度会ったきりで断るのだが、今回は事情が違ったらしい。
見合い前日、美緒と一緒にいた友人のかばんがひったくりに盗まれた折、取り返してくれたのが彼だったのだ。
その木戸に会った直後、芳猿に、彼との結婚をやめるようにと警告に来た男・高梨浩紀。
噂によると、木戸と高梨の間でひと悶着あったことからの逆恨みではないかというのだが……“犬槇蓮翔と『見合いクラッシャー』”、
住んでいた古アパートを突然追い出された芳猿梓は、友人・下村武之のマンションに留守番も兼ねて身を寄せることになった。ところが出張中だった下村が留守の間に、空き巣に入られてしまい、高額な時計…ブライトリングのナビタイマー…が盗まれてしまう事態が発生。しかもその時計は、下村の恋人の兄の形見だという、大切なものだった。責任を感じた芳猿は、百之喜太朗の家に厄介になることに。
一方、下村は彼女にその事実を明らかにし、責任を取って結婚を申し込むが、そんな様子をたまたま見ていた芳猿は、件の彼女が、自分のバイト先の同僚で、他に婚約者がいるはずの太田原留花だと知る……“芳猿梓の『お留守番』”、
公務員・鬼光智也は、昭和的な古風な考え方をする男。妹・塔子が、友人を名字呼び捨てにするのも嘆くほどだ。
ある日、鬼光の職場にやってきた塔子の友人・百合名萌だと名乗る女性から、塔子が付き合っている男・北正宗という男がろくでもない男だと忠告を受ける。
内緒で北のバイト先に確かめにいった鬼光は、話した末にそれが事実だと確信。付き合いをやめるようにと塔子を諭すが、喧嘩になってしまう。
二日後、恋人とレストランでデートのはずがキャンセルされてしまった鬼光は、代わりに百之喜と食事にでかける。その会話の中で、ある違和感に気づき……“鬼光智也は『昭和の男』”、
個人の弁護士事務所を構えた雉名俊介の元に、家が取られると百之喜が泣きついてきた。
百之喜の祖母・百千代が亡くなった途端、彼女の友人である光圀八千代が遺産として、百之喜家の建物を相続したことになったと、八千代の姪・越後屋銀子が乗り込んできたのだ。書類は完璧な上、百之喜がうっかり実印を押してしまった為に、余計な手間が増えてしまう。
それでも何とかしようと奔走する雉名の前に現れたのは……“雉名俊介に『天敵現る』”、
光圀八千代の系列会社に入社した花祥院凰華。しかしあまりに有能すぎた彼女にはやがて仕事がなくなってしまい、退職を考えていたところで銀子にスカウトされ、百之喜の秘書になることに。
しかしあまりの怠惰な態度に、第一印象は最悪。銀子は、そんな百之喜に仕事をさせたい理由とある計画を凰華に語る。
事務所を開設し、十日後。凰華の先輩から初依頼が舞い込み、飛行機で伊豆諸島へ向かうことになった二人。ところがたびたびアクシデントに見舞われて、なかなか先に進めず……“百之喜と鳳華が『最悪の出会い』”の5編収録。

百之喜の周囲の人々に焦点を当てた短編集。
巻き込まれている事件の合間に、過去に身を持って体験した百之喜の能力のそれぞれのエピソードの回想が入っています。
みんな派手すぎて逆に区別がつきにくい(笑)キャラクタたちも、理解しやすくなったかも。

<13/1/22>