黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『剣と紅』高殿円(文藝春秋)

2013-01-12 | 読了本(小説、エッセイ等)
戦国時代。遠州井伊谷を治める名門井伊家の当主・井伊直盛の姫として生まれた香(かぐ)には、不吉な未来を視ることができる不思議な力はあった。それ故に領民たちからも“(座敷童)”と慕われ頼りにされてきたが、重荷でもあった。
父である直盛には、香しか子がなかった為、従兄弟の亀之丞と婚約。彼が井伊家を継ぐことになっていた。
群雄割拠する武将たちの中、権勢を誇る今川家の側に付く井伊家も安穏とはしておれず、策謀渦巻く中、父や叔父たちが次々と亡き者とされ、亀之丞は信濃へと身を隠すことに。
その間、今川家の目付家老であった小野家の政次から婚姻を迫られた香は、自らが視た幻故にそれを拒み、出家。十六にして尼となる……

後に徳川四天王として、家康の元で活躍した井伊直政の養母であった女地頭・井伊直虎の生涯を描いたお話。
でもどちらかというと直虎を名乗ってからの人生は、駆け足気味な描き方かも。
剣を以て戦に臨む男に対して、紅を以て戦をする女たち…前者が殺し合う戦いであるならば、後者は如何に血を、家を存続させてゆくかという戦い…が印象的。

<13/1/11,12>