黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『奇跡も語る者がいなければ』ジョン・マグレガー(新潮社)

2008-01-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
1997年8月31日。イングランド北部のある通り。
大学を卒業し、借りていた部屋を出る準備に追われている、22番地の四角い小さな眼鏡をかけた女子学生。そんな彼女に密かに恋をしている18番地のドライアイの青年。19番地のパキスタン系の双子の兄弟とその妹、20番地の1階の口ひげの男と、その2階の病を抱えた老人とその老婦人。16番地の大やけどを負った男と、その小さな娘。騒々しい若者たち、スニーカーを洗う男の子……その通りの住人たちの、何でもない普通の夏の最後の1日のはずだった……
そして3年後、ひょんなことから出会った名も知らぬ青年と関係を持ち、思いもかけぬ妊娠した“わたし”(=22番地に住んでいた女子学生)は、その事実を母に伝えようとするが、なかなか言い出せずにいた。そんな中、かつてのルームメイト・セアラが19番地の青年の双子の弟・マイケルと知り合い、彼に彼女の電話番号を教えたという。そして彼と会ったわたしは、そのまま自分の実家に伝えに行くことに……

夕方に何かが起こるらしいある夏の日の通りの日常と、その3年後の女の子の話が、交互に寄り合わされて語られています。象徴的にたびたび登場する生と死、そして双子が印象的な作品でした。

<08/1/17,18>