CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】株価暴落

2013-10-09 20:57:08 | 読書感想文とか読み物レビウー
株価暴落  作:池井戸潤

流行の池井戸作品であります
バブル組シリーズと続けて読んでいたのですが、
これがまた、あのシリーズとは違う視点で書かれていて
なかなかに面白かったのであります
結構、氏にとっても初期になる作品のようで、
経済小説ではなく、ほとんどサスペンス、
まるっきり、推理小説だったのが魅力でありました

内容の下地には、経済の話がまみれるのであります
ある銀行の貸し金について、
レバレッジをどこまで見るのか、
いや、しがらみとかによって、無駄金になるとわかっている投資
という名前のどぶ捨てをどれだけやるのか、
そんなことにうんざりしながら、
その腐った企業に、脅迫事件がふってわく
これによって、企業の株価が暴落し、
銀行は追い銭に迫られてくることになる
支援するのか、無駄になるから引き上げるのか
そんなところを描きながら、
意外や意外、脅迫事件のほうにターゲットが移り
そこに、様々なドラマが

みたいな具合でありまして、
まぁ、経済部分なんて、本当に下地と枠組みだけでして
ほとんどが、その推理、脅迫事件の全貌に割かれている
なかなか面白い小説でありました
完璧にサスペンスですな
出てくる人たちの描写にもかなり力が入っておりまして、
巧みにミスリードを誘う文体で、
あれやこれやと、読み手は右往左往させられる
サスペンス小説の常道を楽しませてもらえたと
そんな感想でありました

出てくる銀行の名前とかが、
バブル組シリーズにも出てきたものだったりで、
どこかでリンクしているようなサービスもあり
あれこれと読んでいると楽しめるのでありました

ちょっと陰惨な部分があって、後味悪いなとも思うものの
描かれている情景とか、スピード感なんかが、
けっこう小気味よく炸裂して、読みやすくて面白い
個人的に、かなり評価高い小説になったのであります
秀作

【読書】自分はバカかもしれないと思ったときに読む本

2013-10-08 20:22:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
自分はバカかもしれないと思ったときに読む本  著:竹内薫

題名につられて読みました
こういうことをしていると、
タイトルというか、キャッチというのは大切だなと
しみじみ感じ入るのでありました
内容は、確かに題名のとおりなのでありますが、
つまるところ、ちょっと困ったときの指針となればいいという
いわゆる啓発的な本でありました

バカとは何かという定義を柔らかくしながら、
簡単ななぞなぞめいた問題を解いて、
その解き方からバカではないとはこういうことだと
そもそも、バカと決めてかかる空気というか
そんなのを打破というか、打ちこわしながら、
バカと思わされているところから、
そうではない部分へと旅立とうといったような内容
ちょっと、自信を失ったときなんかには
なかなかよろしい内容かもしれません

ただ、あまりにオプティミストというか、
まぁ、そうでなくては、なかなか前を向いてない人は
向けないのかもしれないとも思ったりするんだが、
肯定的にすぎるような内容には、
ちょっと疑問がと思わなくもない
しかし、それだけ言い切ってもらえると
すがすがしいほどに、そうかとも思える
と、まぁ、そんな半信半疑のまま、
それをうまいこと包括するかのようにして、
仕舞いの部分にて

努力は必ず報われるわけではなく、
報われるまでに時間がかかる
報われなかったときは、その時間まで待てなかった

つまるところ、こんなお話でありました
なるほど、確かにそうかもねというところと、
論点がすり換えられておるではないかというところ、
そんなのをごたまぜにしつつも、
まぁともかく、前向きにやるということは大切だし、
そのとおりと思ったほうが、先々うまいこといくかもねと
信頼してみようなんて思うのでありました

ただ、まあ、わざとかどうかわかりませんが、
本の中で、本に書いてあることが本当とは限らないと
そんなことも書いてありまして、
これは高度なギャグなんだろうかと
首をひねったりしたのでありますが
ともあれ、のびのび、余計なことを考えずに
あれこれ、しっかり考えて進んでいこうと
思うのでありました

地頭がよい人で、うまいこといってない
そんな人には、啓蒙となるかもしれない
そんな本でありました

【読書】ステーキを下町で

2013-10-07 20:03:46 | 読書感想文とか読み物レビウー
ステーキを下町で  著:平松 洋子

挿絵というか、漫画に谷口ジロー氏を選んだ
珠玉の食べ物エッセーであります
なにぶん面白かった、すこぶるおなかが空いた
こんなに食べたいと思わされたのは
初めてかもしれない、そう思うほどに
凄くよい食べ物文章でありました

エッセーで、いくつかの短編をまとめたものになっており、
章によって分量が違うので、いくつかをまとめたものも
あったりするんだろうかと思うのでありますが、
どれもこれも非常においしそうに描かれております
食べ物系の文章はいくつか読んだと思いますが、
これは食べた食感がというのではなく、
さりとて、味のあれこれがどうしたという講釈でもなく
雰囲気というか、まさに食べている
その食べるさまが楽しい、嬉しいと語りかけてくるような
食べることを描写しているといったらいいか、
それが珍しいというか、
雰囲気が美味しさを左右させるそれを
文章で確かめたようでありました
凄くよかったんだ、なんか旨そうで

と、そんな具合だったので、
実際描かれている内容と、実際に食べに行ったときでは
感じるものが違うかもしれないとも思うところ
あの、中華料理チェーンの王将について
いくつかの店のレビウがあったものの、
あれ、王将ってそんな感じだっけ?と
ちょっと思ったりしてしまったのも確か
人それぞれでありますが、それぞれがなにせ
楽しそうに食べていれば、それはいいのでありますねと
納得する文章でありました

内容においては、赤目四十八滝とまたをかけた
京都のうどんシリーズが抜群によかった
文章もさておき、恐ろしい寒さに打ち震える旅情というか、
そこにいたるまでの青年編集者のいじましいというか、
ちょっとずれているところが魅力の挿話
これが冴えているというか、非常に読んでいて
うどんを食べたかのように温まってよかった
おかげで、京都なら食べにいけるかもと
この冬に眼目を掲げている次第でありました

そのほか、題名にもなっている下町でステーキをという、
町のステーキ屋さんで、510gもの
オージービーフを食べる話が垂涎
ものすごくうまそうで、今すぐにでも肉が食べたいと
思わず身を乗り出すようなステキさでありました
脂少なく、赤みばかりのステーキを
がつがつと食べる、その楽しさ、そして
無理をして食べたあとの苦しさみたいなのまで
きっちりと経験したかのようになぞれて
凄くよい文章であります
なにげに、このタイトルもかっこいい、
センスといったらいいのか
この題名だけで、ぐっとくるもんだと
感心してしまったのであります

よい本を読みました

八重の桜  妻のはったり

2013-10-06 20:45:30 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「八重の桜」
視聴完了しました
今週は、ジョー最大の見せ場でありましたね
迫真というか、見事でありました

同志社が、あっという間に卒業生を送り出すようになって
あの当時は、どういうカリキュラムというか、
6月卒業というのはどういう按配だったのか
よくわかりませんが、ともかく、熊本バンド勢が卒業
ひょっとして、煙たいから先に出したんじゃないかと
ちょっと勘ぐってしまったんですが
その実はわかりません

さて、それはそれとしつつ、衝撃の府議会発足
まさか、立候補という手順を踏まずに行われていたとは
あの当時の政治選挙というのは凄い面白そうと
興味をそそられてしまった、
ああやって選ばれたということは、本当に覚馬兄つぁまは
府民というか、市民に知られていた人だったんだと
驚いたのでありました
ついで、議長選挙も、わからんままにやってきた人が
とりあえずあの人にと思わせたというのも
凄いところでありますね
顧問をやっていたという事実は、
凄い効果だったんだろうと思うのであります

政治が萌芽しだしたというべきか、
冒頭から、槇村と伊藤の悶着なんかもステキで
なんというか、この動乱ともいうべき日本の状態は
凄い面白いことだったんだろうと
空気で感じた次第であります
なればこそ、新聞記者にという気持ちも
わからんでもないのかなぁと納得するのでありました

で、一番の見せ所だった自責のシーンは、
本当に恐ろしいというか、あれは凄いなと
衝撃でありました
どん引きといっても過言ではない、それくらいでありましたね
杖が折れたところは冗談だろうと思ったら
あれも本当だったようで、その調子で殴ってたら
腕砕けたんじゃないかと心配になるのでありました

最近はちょっと駆け足というのか、
時代の進み具合が速いので、しっかり見届けつつ
そろそろジョー死ぬのかしらと心配をしながら
見守るのでありました

【読書】オレたち花のバブル組

2013-10-03 20:24:26 | 読書感想文とか読み物レビウー
オレたち花のバブル組  作:池井戸潤

話題作ですね
ドラマ最終回前日に読みました
なかなか面白かった

そんなわけで、あの半沢シリーズの第二段であります
本店勤務となった半沢直樹が、今度はもっと大きな金と
謀略と戦うといった内容であります
小説の方は、もう少し控えめで、なによりも、
サスペンス色が強いのが面白いところ
あれだけやれば、そりゃ無事では済まないわなと
そういう納得のラストを迎える内容なのであります

主人公は、半沢直樹と見せかけて、
本当のところは、近藤のほうだと思われます
鬱屈して、コールタールにまみれていく様とか、
タミヤ電機のありかたとか、そのあたりが濃密に描かれていて、
粉飾と、その影にある権力の腐敗を描いたそれでありました

黒幕の一人である、大和田の扱いも
こちらはなかなか凝っているというか、
その部分が一番面白いところだったように思いますが、
推理とサスペンスが織り交ざった小説でありました

金融庁のありかたや、昔懐かしいMOF担の話とか
いかにもな銀行話も散見されて、よかったのですが、
割とあっさり逆転というか、逆境を跳ね返していくので
ちょっと物足らないと思うところもしばしば
されど、読みやすくて、そこがまたいいとも
思ったりなんだったり、
本当にちゃんと読んだのかという、
あやふやな感想をメモりつつ、これよりも、
もう一本の、株価暴落が面白かったと
次回感想の前フリをしておくのでありました

【読書】お任せ!数学屋さん

2013-10-01 20:36:58 | 読書感想文とか読み物レビウー
お任せ!数学屋さん  作:向井湘吾

数学本だ!たぶん、数学ガールみたいな話なんだろう
そう、期待して読んだのでありますが、
もっと入門編に近い内容でありました
数学ガールから比べると、ぐっと理解しやすい、
まぁ、主人公が中学生というところもあって、
それはもう、数学というか、算数なんじゃないかと
そんなところから始まる物語でありました
ちょっと拍子抜け

内容は、まぁ、ファンタジーといって相違ない、
数学がすきすぎる変人が、いじめにあうこともなく、
その数学を駆使して、様々な悩み事を解決していくとか
もう、これはファンタジーだろう、
そんなわけあるか、そんなガンダーラがどこにあるのか
そう思ってしまうんですが、
まぁそいうのはもう、おいといて、ただ、数学で何かを解決する
そこがキモなんだから、そこだけ読んでおけばよいと
そう思わされるほど、潔くまったくしっくりこないというか、
そんな現実ありえないと思いつつも
数学にまい進していくのでありました

正直、縮尺を使ってグラウンドの大きさを計測したりとか
そんなあたりが、まるで参考書かのようにして
すらすらと説明されているんだが、
これはなんというか、小説としていかがかと思わされる
しかし、その序盤を乗り越えて
少しずつ、数学っぽくなってというほどでもないんだが
最後に訪れる、「恋愛不等式」という、
甘酸っぱすぎて、正気を保てないほど、うぶいそれが
まぁ、よくできている
いわゆる、数学的思考というか、論法で恋愛に肉薄するという
その数式そのものと、それを導出する過程は
非常によろしかった、そうだ、
きっとこれを書きたいがために、行つぶしとして
グラウンドのほか、囚人ジレンマとか出したんだよ
そう思ったりしたのであります

青春小説としても、なだらかに過ぎるというか
全体的に、小説としていかがなものかと
べたすぎてどうとも思わない感じだったのが残念ですが、
数学をまとめて、ちょっとでも何か見えるというのがわかれば
そこに価値ある本だったと
読み終えて思うのでありました

リーマン予想に踏み込んだんだが、そのまま
スルーだったのが残念であります