CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】台北プライベートアイ

2021-10-11 20:55:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
台北プライベートアイ  作:紀蔚然

台北を舞台にした、世捨て人探偵の事件簿
主人公の鬱屈とした状況と考え方、
それを包含して、がやがやと騒がしくて楽しい仲間たち
登場人物それぞれが生き生きとしてて、
ミステリも味わいつつ、哲学的な思考といったりきたり
大変楽しく読める小説でありました

正直、犯人の正体については、
そういう感じかぁと思ってしまったので、
ミステリとしては、どうなんだという感じもあるのだけども、
ミスリードされたというか、あれとこれが怪しいと思っていた人物たちが
わざとだったのか、そうでもないのか、
するっとフェードアウトしていたようなのが、なんとももやっとしたんだけども
そこが主題と考えるよりも、主人公を含めたキャラクタたちの考え方と
所作、行動それぞれがすごく自然な、それでいてコミカルなのがとてもよかった
ミステリというより、人間を描いた小説だと思って、
そこを楽しむのが正しいと思えたのでありました

詳細な台北の街並み、でも、限られた範囲内だけども、
そこに息づく生活と人々の描写がすごくよくて、
台湾ってこんな感じだよなぁと思わせられて、思い入れがあるせいでもあるが
ありありと浮かぶようでとても楽しかったのでありました

宗教的哲学も織り交ぜられるけども、
この感覚も台湾ぽい、俗物っぽいというか、
迷信は息づいているけども、それは宗教色というのとは
また異なる何かだなと思わされる感じで、
圧倒的な生活感みたいなのを浴びる感じで読み進められた
悪いことがあった後に、火をまたいで、豚足入りの麺線を食べるというのは
ちょっとした豆知識というか、こういうところがいいなぁと
映像が浮かぶようですごくよかったのである
絶妙に中華的任侠を感じさせるところもまたいい、とても楽しい

実際に、台湾で事件が起きたとき
こんな感じの喧騒になるのかなぁと、住んでいる人たちからすると
より笑いが増すような内容に読めて、想像するだけで二度楽しい
そんな小説であったのでした

続編もあるらしいが、翻訳されるといいなぁ
かなり楽しめた小説でありました