CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

奈良国立博物館 藤田美術館展

2019-05-17 20:50:51 | 陶磁器を探す旅と名物
久しぶりに奈良観光をかねて行ってまいりました
藤田美術館が現在建て直し中と、まったく知らなかったので
見ておいてよかったと、終わってから
しきりに感じ入った次第でありますが
名碗「耀変天目」のほか、茶の湯関係に加えて、
仏教美術の名品がずらりと勢ぞろいした
大変見ごたえのある展覧会でありました

まず焼き物について、
耀変天目が、1時間程度並んでみるという
難儀なことになったのでありますけども、
やっぱり並んで、間近で見てよかったと思えるところ
先日見た、龍光院のそれとはまた違う、
見事な発光、耀変が素晴らしい一碗でありました
この勢いのまま、稲葉天目も見たいと思うんだが
流石に東京まではいけないな

前回、龍光院のを見たときと同じように
こちらも、表皮剥落がある様子で、おそらくは漆で補修してあったのが見てとれました
やっぱり、耀変天目は釉薬の部分がはがれやすいのかもしれんと
勝手に思ったりしたんだが、こちらは、より茶の湯に使われたと思しき、
茶せん跡が碗底にたくさん見られまして、
藤田翁が使ったんだろうかなと想像すると
たまらなくなるのであります、これで茶を飲ませてもらった人って
何人くらいいたんだろうかね

このほかも、大井戸「蓬莱」だとか、ととや茶碗、御所丸茶碗といった
朝鮮陶系の名品も出ておりまして、大変眼福でありました
特に大井戸は見事な姿で、カイラギは控えめなんだけども、
大ぶりな碗の迫力が素晴らしいことこのうえなくて
見ほれてしまったのである
古瀬戸の茶入れなんかも見ごたえあったし
さすがの収集物でありました

そして、最近ちょっと勉強を強いられている
仏教美術のほうも、大変見事、というか
むしろこちらのほうが凄いというほどの点数で
あっけにとられたのでありました

特によかったと感じ入ったのが、春日大社厨子なるもので、
ミニチュアの神様フィギュアみたいな感じで
凄いよかったのでありました
神棚みたいに使うものなのかわかりませんが、
二枚開きの扉がついた箱なんだけども、
その端々まで行き届いた装飾と、鹿の神様が鎮座する姿が
まぁ見事このうえなく、茶碗人気に比べて
大変ゆっくり見られたのでこっちも楽しかったのでありました

ほかにも、五鈷鈴だとか、密教法具の類も多く展示されていて
眼福このうえない、加えて、平安時代の装飾経だとか
目がまわるほどの名品ばかりに、くらくらしてしまったのでした
特に装飾経は凄くて、これが本物の平安経かと
思わずかぶりつきで見つめてしまったのである
紫紙金字経とかも、書きかけのものという
謎のものまであったし、奥深いというか
なんともいえぬ面白さがありました

仏像もかなりの数が展示されていて、中身をスキャンした写真とともに紹介され、
その謎めいたものに近づこうという展示も面白かったのでありました

と、藤田美術館展だけでも十分面白かったのだけども、
併設ではないが、別の仏像館で展示されている
仏像数々のほうも、大変見ごたえがありまして、
もう書ききれないほどだったのでありますが、
最近、台湾いってあれこれ見てきた神様たちと
少しだけシンクロする、密教系の仏像なんかが
まぁ、なんというか、凄いかっこよかったのでありました
まだ、仏像の区別がちゃんとできないので
歯がゆいことこの上ないのだけども、
収集物としてきわめて業の深いそれだと感じ取れる
民間の人の提供品だという、断片の数々、
たとえば、仏様の手だとか、衣の端だとか、
そういうものが山のように展示されていて
これも、違う意味で感動してしまったのでありました
もはや、ゴミではないかこれわ

そのゴミではないかというものに、並々ならぬ血道をあげたというのが
面白いというか、興味深いと
つくづく感じ入ることができた、いい展示を見たのでありましたとさ
ああ、最近生き方が薄いわ、もっと生きなくては