CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】魯山人陶説

2019-05-20 22:52:05 | 読書感想文とか読み物レビウー
魯山人陶説  著:北大路 魯山人

魯山人のいくつかの批評や、講評、スピーチや
個展のあいさつ文など、様々な魯山人が記した言葉を集めたものでした
非常に面白いというか、魯山人という人が
よくよくわかるといえばいいか、
本人も理解していた、他人に挑みかかるという内容が
端々から感じられる面白い一冊でありました

平たくではないけども、
魯山人がどうにも、ここだけは譲れないとつくづく語っていたように思うのは、
・乾山はたいしたことがない(言いすぎ)
・仁清は天才
・古い陶器には勝てない
このあたりでなかろうかというところであります
時代的にも、木米とか、頴川とか、そういった時代の人が
かなり重宝されていた時期だと思うのだけども
その中に優劣をつけて、やれ中国趣味にかぶれすぎている(頴川)、
土作りを自分でやってない(乾山)、最初だけでずっと退廃している(河合)、
といった感じに、まぁ四方八方に喧嘩を売る内容で
読んでいて、本当にもう、目の前にしたら
すぐに馬鹿にされてしまうんだろうなと
なんか、会ってもいないのに、嫌な人だと決めてかかりたくなるような
辛辣な文章、というか、悪口が並んでいるのが
この人となりをありあり表していたように思うのでありました

もっとも、発表年との関係を見ていると
やはり若かった頃に、特に尖ったことを言っていただけで、
あとは、割と自分がどういうスタンスかということを力説する、
古代の人は、人間が出来ていたから作品も素晴らしい、
作品は小手先の技術じゃなくて、心が表れるものだという持論を
様々な言葉で尽くしていまして
なるほど面白いと思わされたのでありました
骨董の良し悪しというものも、心がちゃんとしていれば、
何が本物とか、そういう箔とはまったく別にわかるはずであると
力説されてしまうと、
とりあえず格付けチェックみたいなのをしてみたくなってしまうんだが
そういう浅ましい考え方が、魯山人の心を逆撫でするというか、
そういう心持のやつが、美術の理解を遊びにしていて
怒らせていたんじゃなかろうかとも思ったりしたのでありました

とはいえ、ただの食道楽がきわまると
食事のための器というものに目覚めて、
それが、ただただ、土仕事という芸術に昇華され
様々にその才能を発揮していったというのが
なるほど凄いことだと改めて思わされたのでありました

魯山人の器をいくつも見たことはあるんだが、
未だ、これがそうだろうと、ぱっと見てわかるほど
私は人間ができていないので
そのあたりから頑張って、いつか一皿と思ったりせんでもないが
個人的には、半泥子のほうが好きだなとか
そういう問題ではない感想を書いておく