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CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】我が家のヒミツ

2016-05-30 21:00:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
我が家のヒミツ  作:奥田 英朗

些細なといってはいけない、
それなりに理由のある秘密を抱えた家族の短編を集めた
なかなか、読後感さわやかな一冊でありました
まるで悪い人が出てこない、世界がこんなに優しかったら
世の中もっとステキであろうに
なんて思わされるほど、心地よい世界観でありました

ヒミツといいつつも、自分だけが知っていることや、
かくしていたつもりもないのだがといったこと、
言いにくいことなんかも、全部ひっくるめてヒミツとすれば
このつながりのない短編それぞれが、
ひとつのテーマに沿ったように見える不思議がありました
なんとも、ほんわかしていて、それぞれ
まったく別の事象を物語っているのに
きっかけになるのは、ヒミツなのであります

家族のことであったり、
隣人のことであったり、
仕事のことであったり、
自分という人間、あるいは、行き方についてだったりと
長生きしてても、してなくても、
なにかしら、周りには言ってないというか
自然、ヒミツになっていることがあるというお話で、
それをヒミツにしているかと思えば、
瑣末なことだったと気付いたり、
心のうちを誰かと共有するというステキさ
こちらの関係について、
様々描かれていて、いいなぁと人間関係のステキな部分だけを
遺憾なく描ききっていたように思うのであります

友情も愛情もといった言葉で伝わるそれこれが、
具体的に、些細な日常として切り取られてと
そういうわけでありまして、
凄いいい話を読んだ気がすると、
何か得るものとか、なんとかなんて、重苦しいものはひとつもいらない
ただただ、読んで、ほわっとしたと
その気持ちを味わえただけで、
十分な一冊であったと、メモっておくのでありました

個人的に、出世に敗れて、その相手とうまくコミュニケーションをとろうとする
なんともいえない憐憫を見せる話が、とても好きでありました