ケン坊のこんな感じ。
キーボーディスト、川村ケンのブログです。




今宵の月は、“スーパームーン”。

「他の満月より、14%大きく、30%明るい」のだそうです。

 

確かに、月が大きく、明るいです(・・・ニュースの言葉、繰り返してるだけだ)。

 

こんな素敵な夜に、大好きな、あのキース(・ジャレット)が、日本でピアノを弾いてくれるというのです。

 

今日のチケットを予約したのは、昨年の晩秋の頃だったでしょうか。

待ちに、待ちました。

でも、待っている間も、とっても楽しかったです。そういうものですよね

 

そして、いよいよ

 

座席は、幸運にもキースの目の前、と言うか、横を向いてピアノを弾くので、“真横”ですね。

僕の目の前真っ直ぐのところに、ちょうどキースの横姿がくる絶好の位置でした。

 

昨年の、あた震災から日も浅い、5月28日29日以来、ほぼ一年ぶり。

昨年は、あまりに素晴らしく、神が降りてきていたとしか思えない初日、

一転、キースの生身を肌で感じることができた貴重な二日目。

どちらも、素晴らしい体験でした。

 

それ以前のものも含めますと、今回でソロは5回目(年目)になります。

キースのスタンダード・トリオも2回行っていますが、やはりキースのソロは、特別です。

 

何を弾くのか、その日、その時間に、ピアノの前に座ってみるまで、いや、最初の音が出るまで、

キース本人もどんな演奏するのか、決めていないのです。

というか、決めないで、やるのです。

まったく、完全なる即興演奏。

 

その瞬間に“作曲”をしながら、それを、同時にお客さんに聴かせる・・・自分の感性そのものを、全て観客と共有するという、まったくもって凄いことをやっている人なのですよ。

10秒後、いや3秒後にどうなっているのかさえ、弾いているほうも、聴いている方も、まったくわからないという、

それを、約2時間やるのです(途中、休憩は入ります)。

お客さんは数千人、キースは、たった一人。

ステージにはスタインウェイのグランドが一台あるだけ。

マイクもありませんから、静まり返った大きなホールに、ピアノの生音だけが響き渡るのです。

 

ホールの中の、全ての音が、全ての観客の耳に聴こえます。

キースの耳にも、聴こえます。

 

観客一人の咳払いひとつで、キースの演奏が変ってしまうこともあります。

実際、咳払いが凄くて、コンサートが中断してしまったこともあります。実際、キースがステージからキャンディーを配ったこともあるそうです

 

どうしてもの咳ために、キースのコンサートでは、口元をおさえるハンカチ持参が原則。

演奏中に携帯が鳴るなんて、もってのほか・・・と思いきや、これがまた、あるんですよね

僕も二回、聞きました。開演前には、何度もアナウンスがありますし、キースのコンサートは、ちょっと特別であることは、知って来ておられるはずですのに。

 

今日は、拍手のタイミングが早かった。

まだ、キースが鍵盤から指を離してすらいないのに、拍手をする人や「イエイ!」と声をあげる人がいたのです。

一度、そういう空気になると、「こういうものか」となってしまって、どんどん拍手がはやくなる。

演歌やポップスなどで、歌手の方が歌い終わってお辞儀をしたら、確かに演奏中でも拍手は起こります。僕だって、きっと、します。勿論、演奏が終わった後にもしますが、歌ものでは歌が主役。その歌い手の方がお辞儀をしたら、やはり一度は拍手してしまうと思うのです。

でも、キースのコンサートは、曲がいつ終るか、終わったのかなんて、誰にもわからないのですよね

主役は、キースのピアノの音そのもの。

・・・もしかしたら、もう一音、間を空けて弾くかもしれない。

アイデアが浮かんで、続けて、もう次のモチーフに入りたいことだってあるかも知れない。

 

案の定、休憩の時に、「アーティストからのお願いです」として、「拍手、声は、ピアノの音の余韻が全て消えるまで、お待ち下さい」と、二回、アナウンスがありました。

このアナウンスを受けて、観客席からは拍手が

そうだそうだー

 

そして、第二部。

 

キースは、ご機嫌な様子で登場。

そして、とびきり美しいアルペジオを弾きだしました。

日本が大好きというキース。

季節柄か、どこか桜吹雪を連想させるような、和的な、オリエンタルな音階が、キラキラ、ヒラヒラと感動的。

展開もシンプルで、モチーフの繰り返しが、どんどん心地よさを増幅させてくれました。

そして、7~8分の演奏があり、エンディング。

だんだんとゆっくりになり、最後の一音(と思しき音)を弾き、キースは“サスティンペダルを踏んだまま”、手を鍵盤から離しました。

しかし、ペダルは踏んだままですから、音はまだ伸びています。

キースは、気持ちのよいタイミングで、ペダルを離すはずです。離したいはずです。

なのに・・・。

またもや、拍手が。

 

一つ起こると、次々に起こり、結局、まだ音が鳴っているのに。キースの足がペダルから離れた時には、すでに会場は拍手の渦で、僕の位置ですら、その音が消える瞬間がギリギリ聞こえたくらいでした。後ろの方では、まったくだったでしょう。生音ですからね・・・。

 

感動(気持ちの高ぶり)を、肉体のエネルギーに転化して興奮を鎮め、かつ、こういったコンサート等では、相手にそれ伝える目的も兼ね備えた、拍手。

素晴らしい演奏だったらこそ、思わず手を叩いてしまう気持ちは、分からなくもありません。

しかし・・・ピアニストの立場からすると・・・これは辛い。

わざわざ、異例のアナウンスまで、頼んだのに・・・(今回のようなアナウンスは、僕は初めて聞きました)。

キースは、曲のあと(自分でここまで、と決めたら)、そのたびに、必ずピアノから立って、お辞儀をします。

そこまで、待てないのか、という思いが、どうしても沸き起こります。僕のナナメ前の男性の方も、拍手が鳴った瞬間、首を捻っておられました。「まだだろう。今は、違うだろ」とばかりに。

そのせいかどうかは分かりませんが、次の曲、キースは拍手の中、弾き始めました。

 

今夜は、CDの録音が入っているため(これもアナウンスがありました)、後の編集のことを考えると、曲の前後は空白があったほうがよいはずです。でも、キースは、弾き始めました。

アブストラクト(抽象的)な、半音階を使った、かなり難解なものでした(それでもきっちり音楽としてまとめ上げるのが、キースの天才なところです)。音や、音階から、憤りのようなものを、感じたのは僕だけだったでしょうか。

分かりやすく言えば、

「ばかやろー、今、ちゃんとお願いしたばかりなのにー」

かもしれません(笑)。

いや、キースに限って「ばかやろー」は無いと思いますが(笑)。

 

そこから先、拍手を完璧に全員が待てたのは、一回だけだったように思います。

 

もしかして、全曲で完全に演奏後の静寂、“完全なる無音”を楽しめたら、

・・・気持ちいいはずです。

音楽は、無音から始まって、無音で終わるのです。

始まる時だけは静かにしても、終わりを無音にできなければ、音楽が完成しないのです。

これは「音楽の基礎」という芥川 也寸志さん(あの作家の芥川龍之介さんの息子さん)の名著のまえがきにも、「大前提」として書かれています。

 

キースは、観客と一体となって音楽を創ります。

あなたが音楽家だとして、一緒に自分の曲を演奏してもらうのに、やたら払いをしながら演奏するピアノ奏者や、くしゃみを連発するギタリストでは、やりづらいですよね。

自分のバイオリンが、まだ美しく音を鳴らしているのに、ティンパニ奏者が勝手にドンドーンとやったら、自分は、いえ、そこにいる他の団員たちだって、どう思うでしょうか。

 

「なんだか、めんどくさいなあ」

「音楽なんだから、好きに楽しめばいいじゃん」

 

これも一理あります。といいますか、同じ「音楽」でも、それぞれ別物なのですよね。

クラブや夏フェスにワイワイと踊りに行ったら「絶対に喋っちゃだめです。物音は立てないで下さい。」だったら、びっくりですよね(笑)。

 

キースのコンサートは、キースのコンサートの創り方、を必要とする音楽、なんですよ。

 

ジャズは元々酒場の音楽ですが、キースはそれを、コンサートホールに持ち込んだのです。

その理由一つは、酒場では絶対に得られない、”完全なる静寂”が欲しかったから、だったのだと僕は思います。

 

もしも、あの数千人全員が、最後の一音の、音が止まった後の静寂を、ぴたりと作り出せたら・・・。

そして、緊張の空白の後、キースが立ち上がるの待てたら。

 

きっと、キースが先に、僕たちに拍手をしてくれそうな気がするんです。

 

いつか、そんな瞬間に立ち会えたら、一緒に作り出せたら、最高だろうな、と思います。

 

来週、もう一回だけある公演にも行ってきます。

楽しみです。

 

あんなに綺麗な音に、身を沈められる幸せは、人生の中でも、なにものにもかえがたいものがあります。

 

 

本当に、楽しみです。

キースと同時代に生きられて、出会えて、本当に良かったです

-----------------------------------

さて、緑ちゃん倶楽部へのお申し込みが、大変なことになっております。

こんなにも沢山の方が!と、ビックリして、思わず部屋の中で意味もなくグルグル歩き回っております

 

実際、受付開始から48時間ですが、すでに僕の予想を、はるかに超えたご入会予約を頂いております。

本当にありがとうございます

正直、嬉しいです。

立ち上げてよかったー

はい、でも勿論、全てはこれからです。

しっかり、やっていきますよ。

 

とかいって早速、お送りしております「お申し込み受付ましたメール」で、

「念(ねん)の為」と書いたつもりが、何名かの方で、「年(トシ)の為」となっていたりしたこと、お詫びいたします。

すびばぜーん

 

・・・トシかな・・・

 

 

なんつって

以後気をつけます

 

以下、緑ちゃん倶楽部の餃子連絡

・・・じゃない(笑)、

緑ちゃん倶楽部の業務連絡です。

 

日曜日一杯までにお申し込みいただいた方で、「あれ?まだ、返信がないよ。お申し込み受付ましたメール(会費のお振込み先などが書いてあるメールです)なんて、来てないよ」という方がいらっしゃいましたら、何かの理由で、行き違いになっている可能性がありますので、大変お手数ですが、ご一報いただけませんでしょうか?

また、今後も、ご入会希望のメールを送ってくださった方で、「48時間経っても返信が無い」などという場合は、何らかのメールの行き違い(携帯電話でパソコンからのメールが受け取らない設定になっている、Webメールで、迷惑メール扱いになってしまって捨てられてしまっている、等)の可能性もありますので、

info@midorichanclub.com

まで、再度ご連絡いただくか、どうしてもまだ、連絡がつかない(返信が無い)などであれば、

kenbow_001@mail.goo.ne.jp

までご連絡いただけますよう、お願いいたします。(上記のgooアドレスは、通常は万が一の為の、ブログのコメント削除依頼専用アドレスです。)

 

勿論、ご入会は、今後も引き続き、受け付けさせて頂いております。

まだまだ、沢山のご入会、お待ちしておりますね!

 

ではー。



コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )