2009年4月に、ソマリア海域で実際起こった海賊船による貨物船人質事件
を、ポール・グリーングラス監督で映画化したノンフィクション作品です。
アラビア半島のオマーン港から、ソマリア難民への援助物資として5000トン
以上の食糧・燃料などを積み、ケニアに向かって航行していたコンテナ船マ
ースク・アラバマ号は、ソマリア海域でおんぼろ小型ボートの海賊4人に襲
われ、瞬く間に占拠されてしまいます。
53歳のベテラン船長リチャード・フィリップス( トム・ハンクス)は、20人の乗
組員を解放するものの、自身は4人のソマリア人海賊に人質としてカプセル
状の救命艇で連れ去られてしまうのです。
フィリップス船長は、たった1人でソマリア人の海賊と命がけの駆け引きを始
め、一方では並行する米海軍特殊部隊の救出作戦とともに、緊迫した4日
間が過ぎて・・・。
脚本は「ニュースの天才」「アメリカを売った男」のビリー・レイですが、実話
に基づいて上手くアレンジされています。
少し長尺かなと思いましたが、実際に起こったことを船長の回顧録に基づい
て、出来るだけ忠実に再現しようと考えたのでしょうから仕方ないでしょう。
事実は小説より奇なり・・・の類で、息詰まる緊迫シーンの連続、上手く纏ま
っています。
トム・ハンクスはこの船長役を実に好演しているし、海賊役は現地でのオー
ディションで選ばれた素人だそうですが、どちらも成り切っての大熱演です。
但し、この作品は彼らがどうして海賊をやるのかの描写も加えられていて、
このサスペンスドラマには、重大なる世界の問題を含ませていて奥が深い
作品になっています。是非ご覧ください。