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天声人語 ブルース・スプリングスティーン「BORN IN THE U.S.A.」が米大統領選挙に使用された事について

5月10日の朝日新聞朝刊、天声人語でブルース・スプリングスティーン「BORN IN THE U.S.A.」が
当時のレーガン大統領の演説に使われた事について書かれていました。
今行われている米大統領選挙の共和党代表選びでトランプ氏がローリング・ストーンズの曲を
演説会で使用した事にローリング・ストーンズが抗議した話から始まり、
1984年にレーガン大統領が再選を目指してブルース・スプリングスティーンの
「BORN IN THE U.S.A.」を演説で使用したこと、
ブルースがそれに抗議したという記事でした。
この話は熱心なブルース・スプリングスティーンのファンには有名な話なのだけれど、
当時のほとんどの音楽ファンは「BORN IN THE U.S.A.」はアメリカ万歳の曲だと思って聴いていたのだと僕は思います。
本当はベトナム戦争へ行かされた人たちの苦悩、不満、そしてアメリカ社会への反発を訴えた曲なのだけれど。

そしてブルースは誤解された「BORN IN THE U.S.A.」の本当の意味を理解してもらう為に、
それからの半生を費やしてきた。
「The Ghost of Tom Joad Tour」では本来強力なロック・サウンドであるその曲をアコースティック・ギターだけで演奏した。
僕が日本でそのライブを観た時には、そこまでやるか、痛ましくさえ感じた。
僕の近くにいた観客は浪花節だと言っていた。
それでも観客の欧米人らしい観客の一人は立ち上がって拳を挙げて叫んでいた。

正直なところ僕も「BORN IN THE U.S.A.」をアメリカ非難の曲だと頭では分かったつもりでいたけれど、
僕はそれをアメリカにあこがれを持つ気持ちで聴いていた。
かっこいいなと思った。僕にはアメリカは夢の国だった。

実際、当時MTVなどで流された「BORN IN THE U.S.A.」のビデオでは、はためく星条旗をバックにして、
ブルースは拳を挙げて叫んでいた。かっこ良かった。
あの映像を観て"Born in the U.S.A.I was Born in the U.S.A."と歌うバンドの強力な演奏を聴いたら、
愛国歌と思われても仕方ないと僕は思う。
そこが音楽の難しいところ、恐いところなのだと思う。

その後ブルースは歌詞にあるように皮肉にも半生を曲の本来の意味を理解してもらうように”covering up”することとなった。
そしてやっと最近ブルースはこの曲を本来のバンドサウンドで演奏するように成れた。
詳しくは分からないけれどブルースは鬱状態にもなったらしい。
この「BORN IN THE U.S.A.」を誤解された事も少しは影響したのではと僕は思う。
でもブルースはそれで終わりになることなく、周りの人たちのサポートも得て
自分の歌で立ち直った。そしてバンド・サウンドでまた「BORN IN THE U.S.A.」を歌うようになった。
この立ち直ったのも音楽の力なのだと思う。
この話は音楽の持つ強力な力の恐さとともに素晴らしさも語るものなのだと僕は思います。
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