今日は、ゴルフ。
気温はあまり上がら中なかったが、調子は、まずまず。
スコアはふつう。
まだ八重桜は満開。
鹿が全く動じない。
シカトの意味を検索したら、まさにこの鹿の様子が、語源であることがわかった。
世の中、まだまだ知らないことが。
中野剛志さんの新著。
中野さんの本は、国力論から始まって、数冊読み、講演会にも行って、その流されない?意見にいつも感銘を受けて来た。
そして、それが、今までのところ、みな当たっている!
今までの経験知識や、マスコミ報道とは違った意見がほとんどなのにだ。
極めつけが本書かもしれない。
特にコロナ以降、バラマキ政策が話題になることが多く、人気取り政策だとか、将来に禍根を残すとか、批判の的になることが多く、今までの私の常識や、マスコミ報道から見ても、そうかなと思う方が多かった。
ただ、黒田日銀総裁になって以来の金融緩和政策を議論する中で、MMT(Modern Monetary Theory、現代貨幣理論)≒貨幣循環理論という言葉を聴く機会も多くなっていた。
今までの考え方(日銀は通貨の番人?)と真っ向から対立する考え方で、何となくご都合主義の理論ではないかとか、今まで当たっているのは、たまたまではないかとか思っていたところもあるのだが、本書は、その基本的な考え方から、実践まで、わかりやすく説明してくれていて、なるほどと思わせる内容になっていた。
防衛費の捻出議論をきっかけに書かれた本だが、財政政策全般についての骨太の議論になっている。
流石、中野さん。
本書を、今の政治家(特に麻生さん派)、日銀幹部、財務省幹部に読んでもらい、反論集を作ってもらいたいぐらいだ。
たぶん、議論を門前払いにするか、実証てきていないなどという反論しかできないのではないか。
では、今の金融政策が上手くWORKしていることが実証できているかというとそうでもないのに。
本書を全部載せたいぐらいだが、無理なので、特に刺さったところのみ。
貨幣というのは、物々交換から発展したものという認識であったが、実は、物々交換の前から信用創造の一形態として既に存在していたという。
そしてその貨幣は、現金のみではなく、銀行預金も含まれ、その銀行預金は、民間銀行も、貸出をすることによって創造することができる。
逆に、貸出が返済されてしまうと、貨幣は破壊されてしまう。
だから、貸出をすればするほど経済は循環する。
であるから、企業に需要がある限り銀行は貸出を続けるべきである。
これを国に当てはめれば、政府は、支出を続けるべきである。
それを、徴税により回収してしまえば、政府の支出した貨幣は、破壊されてしまう。
では、財政支出をいつまで続けれるのかというと、実物資源による制約によるという(デマンド・プルインフレが、国民が耐えられるレベルを超えるまでとする)。
そして、デマンドプル・インフレが起こらない程度まで財政支出をすることこそが政治の仕事という。
我々は、封建領主の時代の感覚のまま(信用創造がない世界)でいるのではないか。
あくまでも支出が先で、徴税は後。
今のアメリカがそうなのかもしれない。
今の日本のコストプッシュ・インフレは、そのインフレには当たらない。
供給を増やす努力をするのみ。
金利が上がったら利払いが嵩んで、国民の負担になるのではないかという議論があるが、やはり政府が債務を負って創造した通貨で、日銀に利払いすれば済む。
以上のような議論を踏まえた上で、我々世代が一番心配であるハイパーインフレは、大丈夫なのか。
これまでのハイパーインフレのケースを分析すると、その原因は、
①社会的・政治的な混乱や内戦。
②戦争などによる生産能力の崩壊
③徴税権力の弱い政府
④多額の外貨(あるいは金)による対外債務(非自国通貨建て債務)
のいずれかになるという。
私が仕事で苦労したのは、④のケースだったし、戦後のインフレは、まさに②のケースだ。
今の日本には、どれにも当る要因がない。
そして、日本の現在の政策は、ガラパゴスであると断じる。
①デフレ下における増税
②国際60年償還ルール
③社会保険料の扱い
④プライマリーバランス黒字化目標
そして、政府や、マスコミは、これらの政策は、再び、第二次世界大戦のような愚を起こさないためにも必要だと喧伝しているが、戦争が起こったら、これらのルールも反故になるので、全く違う話。
まさに痛快な議論であるし、日本・世界で起こっている様々な事例も説明がついてしまう(統計資料、過去の政策、政治家等の発言も多く挙げられている)。
逆に、現在の財政政策では、成果が表れていない証左にもなっている。
もちろん将来のことは、誰にも予測はできない。
ただ、日本のここ数十年の間に起こってきたことは、全て説明がついてしまうようにも思われる。
幅広い層の方にご一読をお勧めしたい。