かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

国風文化

2021年04月22日 | Books
桜前線が青森まで到達?
すべてが早い。



本書は、古代史をひらくシリーズ全6巻の最終巻。
国風文化を論じた1冊。
古代史の中で、平安時代には、あまりかかわってこなかったので、新たな発見ばかりの一書だった。
そもそも平安時代の後半は、古代史ではなく中世と唱える学者もいるそうだ。

国風文化という言葉自体不思議な言葉だが、この言葉が使われ出したのはそう古いことではない。
ただ、遣唐使が終わって、日本独自の文化が花開いた時期というイメージは、定着しているし、確かにそういう一面はある。

ただ、本書を読むと、すっきり割り切れるものではなく、なかなか論点が多いことがわかる。
例えば、中国との交易は続いていたし、様々な文物の流入は続いていた。
ただ、面白いのは、遣唐使の時代と違って、当時の日本人は、それを、唐の時代のものよりも、劣ると見て(正式な派遣ではなく、超一級品は招来されていなかったこともある)、受け入れず、逆に、唐の時代に受け入れたものを、重要視した結果が、国風文化につながっていったと思われることだ。
これは、仏像についても、文学についても言える。
特に文学については、漢字とひらがなの問題があり、国風文化の時代、ひらがなが主流と思っていたが、漢字の文化は、引き続き温存されており、有名な物語においても、漢文の知識は、重要な要素となっている。

同時代のベトナムと韓国の状況についての比較考察があるが、唐が滅亡し、その後様々な国ができたものの、唐の時のような勢いはなく、中国との関係が薄まったのは、似ている。
ただし、日本のように、独自の文化が生まれたような顕著な証拠はなく、そこは、島国だった日本の独自性が光る。

平安時代のもので、いいと思うものが多くあるが、その原点は、遣唐使の時代に流入した文物をベースにして、発展させたもので、徐々に独自性を増していった時代と捉えられるというのが結論じみた答えとなるか。

いずれにしても、この6冊、たいへん充実したシリーズだった。
岩波書店に感謝。
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