小説の孵化場

鏡川伊一郎の歴史と小説に関するエッセイ

「邂逅」までのプロセス 1

2006-01-24 11:56:31 | 小説
 15世紀後半、正確には1492年のことだが、スペインのトルデシリャスで、スペインとポルトガル両国で結ばれた協定がある。ヨーロッパ以外の新領土の分割方式を取り決めたもので、地球の半分ずつをスペイン、ポルトガル両国で分けあおうという、いわばとんでもない条約だった。しかし時の教皇アレクサンデル6世が承認してしまった。新世界に船団を送りつづけていた両国の紛争解決策だったのだ。世にいう「トルデシリャス条約」である。
 西アフリカのセネガル沖の、あるポイントから子午線に沿った線(西経46度37分)の東側がポルトガル、西側がスペインに属すと決められた。さて、わが日本はちょうど180度裏側にあたるという微妙な位置にあった。両国にとっては日本は新しい紛争の火種になるのは目に見えていた。
 さらに、この条約によって締め出された他のヨーロッパ諸国、とりわけオランダ、イギリスなどは内心面白かろうはずはない。新世界進出をめざすなら、教皇の承認を無視するという立場をとらざるを得ない。
 スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリスの国の人々が来日し、鉢合わせすればどうなるのか。いや、どうなったか。


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