小説の孵化場

鏡川伊一郎の歴史と小説に関するエッセイ

「邂逅」までのプロセス 2

2006-01-25 22:50:11 | 小説
 話を進める順序として、イエズス会のことに触れておかなければならない。
 舞台はパリ。1534年8月15日、モンマルトルの丘のディオニソス聖堂に7人の人物が集い、誓願を立てた。誓願のひとつに世界宣教というのがあった。これがイエズス会の起源である。中心人物はバスク出身のイグナチオ・デ・ロヨラであったが、メンバーの中には、私たちがよく知っている人物がいる。フランシスコ・ザビエルである。
 イエズス会は1540年には修道会として、教皇によって正式に認可されるが、従来の修道会とは一線を画し、行動的というかラディカルな組織であることを記憶にとどめておく必要がある。
 さて、1549年、ザビエルら宣教師3名がインドのゴアを経て、鹿児島に上陸する。偶然だろうが、イエズス会創設の日と同じ8月15日のことだった。
 ザビエル自身は亡国ナバラの出身であったが、他の2名はスペイン人である。バレンシア出身のコスメ・デ・トルレスとコルドバの富裕な商家の出であるファン・デ・フェルナンデス。いずれも修道士であった。
 日本にはじめてキリスト教を伝える人物が到着したのである。
 その3年後、ポルトガル船が種子島に来航している。(「鉄砲記」のポルトガル人の種子島漂着はこれより前の1543年のこと)


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