小説の孵化場

鏡川伊一郎の歴史と小説に関するエッセイ

幕末、会津・庄内両藩とプロイセンの提携を図ったスネル

2011-02-07 10:39:50 | 小説
 幕末、会津・庄内両藩がプロイセン(ドイツ)に対して、北海道の領地の売却を打診し、提携を持ちかけていたという事実が、ドイツ国立軍事文書館の資料によって明らかになっている。(東大史料編纂所の箱石大准教授らの確認)そのニュースの詳しい続報が本日(2月7日)の朝日新聞朝刊の文化欄に載っている。 最初にニュースに接したとき、ああこれは会津藩の軍事顧問をしていたスネル(朝日記事ではシュネル)の斡旋によるものだなと推測したが、案の定、本日の記事では国学院大栃木短大の田中正弘教授の「会津・庄内両藩とプロイセンを結びつけたのはシュネル兄弟でしょう」という談話が紹介されている。 さて、そのスネルについては、2007年10月のこのブログにおいて『幕末の「怪外人」平松武兵衛』というタイトルで、私も言及したことがある。平松武兵衛はヘンリー・スネルの日本名なのであった。そのブログでは従来国籍が不明であったスネル兄弟をオランダ人であろうと推測したが、どうやら出自そのものもプロイセンであるらしい。本日の記事に、スイス在住のユリコ・ビルド・カワラさんの兄弟の出自調査結果も紹介されているからである。(後日訂正しておこうと思う) いずれにせよ、この提携話は当時の宰相ビスマルクが断ったから実現しなかった。というよりも戊辰戦争の帰趨からみれば、この提携話はタイミング的に遅すぎたのであった。しかし、もし早い時期にビスマルクがこの提携を呑んでいたらと思うと、いささかぞっとする話である。

朝日新聞の記事↓
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201102070075.html


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