議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

建設工事の下請負人によるマニフェスト交付の方法

2010年04月30日 09時05分36秒 | コンサル日誌
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
 本ブログはメルマガでも配信しています。
 お申込、詳細についてはこちらをご覧ください。
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□

こんにちは、議論de廃棄物の堀口です。

4月21日に実施した、出版記念の法改正のセミナーで、こんな質問が
ありました。

「下請負人が、マニフェストを中間処理業者に交付する際には、誰の
 名義で交付するのでしょうか」

そもそも分かりにくい改正内容に突っ込んだ質問でしたので、その場では
あまり良くご説明できなかったように思います。ということで、ここで
再度ご説明します。

この質問のポイントは、第3項により下請負人が自ら運搬して中間処理業者に
到着した際には、マニフェスとを渡すことになります。そのマニフェスト
には、どう記載したらよいか、ということです。
ちなみに、「誰の名義で」とは、具体的には排出事業者の欄に元請か
下請のどちらの名前を書くのか、という意味です。

以前この記事で下請が自ら運搬出来たり、委託基準の適用
を受けたりするからと言って、元請が排出事業者でなくなるわけではない、
という説明をしました。

①つまり、本来は、
「第3条により下請負人が自ら運搬した場合であっても、中間処理業者との
契約は元請業者が行うし、マニフェストも元請業者が行う」
が正解なのです。この場合、マニフェストの排出事業者欄には元請業者の
名前が書かれるでしょう。

その際、マニフェストの交付を元請業者の社員が行うか(非現実的ですが)、
運搬業者に交付事務の代行をお願いするかの2つの方法が考えられる
でしょう。
どちらにせよ、マニフェストの排出事業者欄へは元請業者の名前が入ります。

②ところが、
第4項で、下請負人が処理委託する場合は、下請負人は排出事業者と
みなされてマニフェストも交付することとされています。つまり、
下請負人が自ら運搬後に持ち込む中間処理業者と契約したら、マニフェストも
交付することになります。
その際、下請負人は排出事業者とみなされるので、当然マニフェストの
排出事業者欄には下請負人の名前が書かれるでしょう。

ですから、①が本来の姿、②はよいとは言っていませんが、やむをえない
場合は許容している、という感じでしょうか。でも、②では元請は排出事業者
の義務を果たしていないことになります。

ということで前の記事の繰り返しになりますが、元請となっている方々と、
下請け、孫請けとなっている方々は、十分にご相談の上、①と②のどちらが
よいのかを判断しなければなりません。

ちなみに、元請さんは、下請負人が委託基準違反やマニフェス交付をしなくても、
違反にはならないと思います。だって、元請は処理委託をしていないのですから。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

いやぁ、謎ですねぇ。

建設業界の皆さん、下請けは今後自社運搬、処理委託できると誤解されて
しまうのではないかと危惧しています。
いや、この誤解を一般化するのが真の狙いだったりして。

またしても、真面目な人しか守らない規定が出来てしまったのかも
しれません。やれやれ。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 本が出ます | トップ | アンケートを環境省に提出し... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「下請負人が自ら運搬」について (鎌田均)
2010-04-30 18:20:58
今年の法改正で「下請負人が自ら運搬して中間処理業者に・・・」ができる、ということは建設業の請負に再資源化が必要とされているAs・Conの殻を運搬するときに、県知事等の産業廃棄物運搬業の許可は必要ない、とのことでしょうか?
返信する
という認識です (堀口昌澄)
2010-05-05 00:04:55
鎌田様

コメントありがとうございます。

現在の改正動向を踏まえると、おっしゃるとおりかと思います。

つまり、下請け業者については、一定の条件付ですが、これまでと異なり収集運搬業の許可は不要と読めるかと思います。
返信する

コメントを投稿

コンサル日誌」カテゴリの最新記事