議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

廃棄物処理法マニア度テスト_20

2009年08月10日 05時25分59秒 | 廃棄物処理法マニア度テスト
 専ら物(といっても産業廃棄物だけですが)を保管する際に、保管基準の適用を受けるのは、以下のうち誰か。
 1.排出事業者
 2.積替え保管を行う(収集運搬)業者
 3.処分(を行う)業者

 ↑2.と3.は許可業者ではないので、収集運搬業者、処分業者というのは正確ではないため、括弧書きを挿入しました。

【難易度★★★★】

答えは下の方にあります。


























A:1.排出事業者
 専ら物の保管基準の適用を受けるのは、排出事業者だけで、運搬、処分をする者には適用がありません。
 これは、法第12条第1項で定める「産業廃棄物処理基準(←これには保管基準も含まれます)」もしくは同条第2項で定める「産業廃棄物保管基準(←この保管基準は排出事業者にのみ適用されます)」の適用を受けるかどうかの問題です。

■排出事業者の場合
 排出事業者は、法第12条第1項に書かれている通り、専ら物であろうとなんだろうと、自社で産業廃棄物を運搬又は処分する場合にはこの処理基準の適用を受けます。具体的には積替え保管、処分前の保管に際して適用を受けることになるでしょう。

*法第12条第1項抜粋********
事業者は、自らその産業廃棄物の運搬又は処分を行う場合には、産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準(以下「産業廃棄物処理基準」という。)に従わなければならない。
*****************


 排出事業者は、処理を委託する前に、排出事業場で保管する場合には同条第2項の保管基準の適用を受けます。これも、専ら物だからという適用除外はありません。

*法第12条第2項抜粋********
事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(以下「産業廃棄物保管基準」という。)に従い、これを保管しなければならない。
*****************


 つまり、排出事業所で保管する際には「法第12条第2項の保管基準」、運搬や処分をする際の保管には「法第12条第1項の処理基準で定める保管基準」の適用を受けるということです。ま、結局ほとんど内容は一緒なんですけどね。


■収集運搬、処分業者の場合
 法第14条第12項で、許可を受けた収集運搬業者、処分業者は産業廃棄物処理基準(繰り返しになりますが、これには保管基準が含まれています)を順守することとされています。

*法第14条第12項抜粋********
第一項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物収集運搬業者」という。)又は第六項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物処分業者」という。)は、産業廃棄物処理基準に従い、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を行わなければならない。
*****************

 ところが、専ら物の業者は法第14条第1項、第6項の許可がいらない(専ら再生利用の目的となる~この限りでない)とされているので、この条文は専ら物の業者に適用されません。したがって、専ら物の業者さんには保管基準の適用がない、というより、そもそも処理基準の適用がありません。

 専ら物の業者さんはともかく、排出事業者の皆さん、保管場所で専ら物の表示とかしていますか?「専ら物だから」とか「廃棄物じゃないから(←専ら物は廃棄物ですけど)」とかいう理由で、手を抜かないようにしてください。

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