議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

廃棄物処理法改正について

2010年01月05日 06時19分09秒 | コンサル日誌
新年明けましておめでとうございます。
議論de廃棄物の堀口昌澄です。

記念すべき、メルマガ創刊第一号です。
なんと、まだ一通も出していないメルマガに、既に99名ものお申
込を頂いております。ありがたいことです。

→購読申込みはこちらから

ご案内させていただいたとおり、これまで議論de廃棄物はブログ
のみでの運営でしたが、メルマガでの配信も開始します。コンテ
ンツはほぼ同じになりますが、基本的にはメルマガを先行配信す
る予定です。

さて、今年のトピックは何と言っても廃棄物処理法の改正です。
今年はこのテーマで忙しくなると思いますが、現時点で排出事業者
に関係が深いと思われる改正の論点をまとめておきたいと思います。

今回はテーマがテーマだけに、少々長くなっておりますが、お付き
合いくださいませ。

念のため、廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)のページ数を
参照先として載せておきます。

現在の改正の検討状況は、上記報告書案についてパブリックコメント
を募集し、専門委員会で昨年末に揉んだ段階です。近いうちにパブリ
ックコメントの結果(回答)が出るでしょう。

■廃棄物処理法改正の論点 ~排出事業者に関係が深いもの~

【自社処理の帳簿】p.4
 これまでも、設置許可が必要な処理施設で処分する場合には帳簿
が必要でした。今後は、それ以外の処分であっても帳簿の記載が必要
とされる見込みです。
 ポイントは、帳簿の作成が必要な処分の対象範囲です。本来は、
缶、ペットボトルなどを小型の機械を使って・・・いやいや、それ
こそ足で潰しても厳密に言えば処分にあたります。どのレベルの処分
行為に帳簿の設置を義務付けるのか、これから判明します。

【排出事業場外での保管の届出】p.4
 排出事業場の外に持ち出して保管する場合に、届出が必要となり
そうです。これは、建設解体廃棄物の問題に対処することが主目的
です。しかし、もしかすると、複数の事業所の廃棄物を一箇所に集約
するという行為や、ちょっとしたメンテナンス工事で排出される廃棄
物を自社に持ち帰って保管する行為についても、対象となる可能性が
あります。改正内容の詳細に注目しましょう。

【マニフェストA票の5年保管義務化】p.5
 マニフェストA票に、これまで5年保管の義務がなかったということ
自体があまり知られていませんでしたので、これは大勢に影響はない
でしょう。これまでどおりA,B2,D,E票の4枚を5年間保管してください。

【電子マニフェストの義務化】p.5
 「少量・少頻度の排出事業者の費用負担等も踏まえ」継続して検討、
ということなので、今回は特に義務化ということにはならないと思い
ます。

【実地確認など】p.5
 報告書では、「委託した処理が委託契約書に沿って適切に実施されて
いることを定期的に確認するべき」であって、そのために、「実地に
確認することや産業廃棄物処理業者による情報提供等により確認する
ことなど」の方法があるとされています。
 ということで、「実地確認とその他の情報提供による確認」が何らか
の形で義務化または推奨されると思われます。その際、確認したことを
どうやって記録に残すべきか、その残し方について法律や通知で言及され
るのかもポイントでしょう。
 もちろん、「情報提供等」とは何ぞや、というところも要チェックです。
 また、「委託契約書に沿って・・・」処理されたかの確認が必要なの
で、当然ですが契約書の処理方法の記載が漏れていたのでは、そもそも
この「確認」ができるはずもなく、、、。契約書はちゃんと書きましょう。

【処理業者の連絡を受けた際の排出事業者の対応】p.5 p.8
 処理業者が業務停止などの行政処分を受けたら、そのことを排出事業
者に伝えることが義務化される見込みです。さらに、排出事業者はその
連絡を受けたら、適切な措置を講じるべき、とされています。
 処理業者がそんなことを伝えるかどうかは疑問ですが、今後は行政が
このことをインターネットで公表することにはなるかもしれません。
であれば、排出事業者としてはこれをしっかりと(リアルタイムで?)キ
ャッチする必要が出てくるでしょう。

【建設廃棄物の排出事業者の明確化】p.5
 これまでは、下請けが排出事業者になりうるという判例があったの
ですが、元請業者に一元化する、という方針のようです。これにより
建設工事の定義が明確化される(すべき)と思いますが、それ以外の工事
の排出事業者が誰になるのかも問題となるでしょう。また、本当に100%
元請を一律に排出事業者とするのか、裾きりが設定されるのかも注目す
べき点です。
 もしかすると、建設工事以外の排出事業者の定義にも影響が出るかも
しれません。

【中間処理後物の保管基準設定】p.7
 中間処理を行なったあとの廃棄物について、これまで保管量や期間
について規定がありませんでしたが、規定ができる見込みです。自社
で破砕や圧縮などの中間処理を行なった場合も対象となり得ますので、
注目すべきでしょう。つまり、缶やペットボトルを圧縮した後のもの
の保管量、期間が規定されるかもしれない、ということです。

【収集運搬業の許可制度の見直し】p.7
 これまで、47都道府県+62政令市=109自治体で許可が必要でした。
これを、都道府県に事実上まとめようということです。ただ、「一の
政令市の区域を越えて収集運搬を行う場合は都道府県が許可すること」
という表現が具体的にどういうことなのか、条文の確認が必要です。
 もちろん、処分についてはこれまでどおり109自治体に許可権限が残
るでしょう。ナゼ??という疑問は深まるばかりですが。。。

【優良性認定業者への実地確認の免除】p.8
 優良性評価制度の認定を受けた業者に対しては、前出の実地確認を
義務化した場合はそれを免除すべき(というインセンティブをつけるべ
き)という案があります。おかしな話、ということでブログ
のこの記事
でコメントしていますが、どうなるか見ものです。

【許可施設の更新制度】p.9
 これまで、許可施設は更新がありませんでした。つまり、許可を取
ったらそれっきり、ということでした。これを「定期的に都道府県等
による検査を受けることとし、また、その検査結果及び維持管理状況
を情報公開するべき」ということです。排出事業者でも、15条施設を
保有しているのであれば直接関係する改正です。

【多量排出事業者制度の改正】p.13
 まずは、提出が電子化されるという点、ネットで公表されるという
点があります。また、優良な排出事業者がピックアップされる可能性
もあり、そこでの取り組みが公表されるかもしれない、とのことです。

【広域認定の改正】p.14
 広域認定は、DfEが進むことを期待してできた制度なので、DfEの取
り組み状況を報告させるべき、ということです。

【再委託の運用合理化】p.16
 これは、最終の報告書案のときに入ってきたものです。「再委託の
運用についても合理化」という表現、何を意味しているのか不明です。
「規定を合理化」するのであれば、事前に承諾を受けるという規定
を変えることが考えられますが、「運用について合理化」ということ
ですので、謎です。同じことなのかもしれませんが。排出事業者は
承諾をする側なので、チェックしておきましょう。

【マニフェスト交付等状況報告書の様式統一】p.16
 「マニフェスト交付等状況報告書についても同様に、統一化・合理
化すべき」だそうです。ただ、これは実現できるかどうか不明です。

■■■
こんなところでしょうか。

メルマガ創刊号、ちょっと長くなってしまいました。こんなに長くなる
のは、最初だけになると思いますが、今後ともお付き合いください。

よろしくお願いします。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サンタクロース | トップ | パブコメ結果が出ました »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

コンサル日誌」カテゴリの最新記事