議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

JVの排出事業者は1社??

2011年08月16日 15時21分37秒 | コンサル日誌
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今回は、あるクライアントからの質問をご紹介します。

先般の法改正を受けて、建設廃棄物の排出事業者は必ず1社に限定される
と考えるべきなのでしょうか。特に、JVで請け負った建設工事の廃棄物の
排出事業者は誰になるのでしょうか。

■JV(ジョイントベンチャー・共同企業体)の場合
下記国土交通省のサイトによると、建設工事をJVで請け負う場合は、
個々の企業が工事の請負契約の当事者となります。
したがって、個々の企業が建設廃棄物の排出事業者となると考えられます。
つまり、排出事業者が複数いる、ということです。
処理委託契約書も各社が連名で締結するのが基本でしょう。
また、個々の企業が自社運搬・処分しても、問題ないはずです。

事業協同組合、協業組合と共同企業体の工事の受注体制についての比較表

マニフェストは、マニフェスト通知のビル管理会社のやり方を例に、
代表で誰かが排出事業者として交付することになると思います。
その際、JVの名前を「排出事業場」欄に書く方法も考えられます。

無論、JVといいながらも実際には元請-下請けの関係である場合は
この論理は通らないでしょう。

■組合の場合
一方、法人格を持つ組合が建設工事の元請になる場合、組合が排出事業者
となると考えられます。契約もマニフェストもその組合が主体となります。
その場合、組合の構成員として傘下の会社が自社運搬するのであれば、
許可不要ということになると思います。

排出事業者は、組合1社ともいえますし、組合の構成員全員ということも
できます。

よい質問、ありがとうございましたっ!!
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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おかげさまで盆明けから、超繁忙期に入ります。
10月までの間、事務所でちゃんと作業できるのが2週間に1日くらいと
なりそうです。
ということで申し訳ありませんが、今からのご依頼は、基本10月以降
までお待ちいただいています。

そうこうしているうちに、気がつくとエコプロ、年末になるんですね。。。

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5 コメント

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ちょっと言い過ぎました (堀口昌澄)
2011-08-21 23:22:02
組合の説明のところで「排出事業者は、組合1社ともいえますし、組合の構成員全員ということもできます。」と書きましたが、あまりよい表現ではありませんでした。

あくまで、排出事業者は組合でしかありません。
構成員は、組合の一部として排出事業者の役回りをすることがあっても、構成員自身が排出事業者となるわけではありません。
返信する
JV工事の発注者 (北村 亨)
2011-09-16 12:04:01
 堀口様のご見解には疑義があります。異議ではありません。JV工事における排出事業者は、発注者から工事を請け負ったJVそのものであります。排出事業者とは、JVか又は構成企業かと複数存在する制度ではありえません。排出事業者責任が不明確になります。廃棄物処理法ので定める排出事業者は元請け企業・団体です。JVならJV全体です。排出者責任は、構成企業・団体の共同責任です。JVが解散した後に不適正処理が発覚した場合には、それぞれの企業が事業の分担割合(利益の配分割合)に応じて原状回復費用を負担することになる。私はそのように理解しております。JVは事業を共同して実施するとともに処理責任も協同することにしませんと、廃棄物の適正処理の担保ができません。
返信する
異議ではなく疑義ですか (真茶香)
2011-10-04 20:40:00
 北村様

 堀口さんの見解に関する疑義

> 廃棄物処理法ので定める排出事業者は元請け企業・団体です。JVならJV全体です。

とのことですが、JVについては、
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=27749
をごらんください。

 また、堀口さんの主張も、排出事業者は「JVか又は構成企業か」ではなく、「JVを構成する複数の企業」が、「それぞれの担当業務の範囲から発生する廃棄物」について「それぞれの企業が排出事業者」となる。このため、JVが行う建設作業から発生する廃棄物の排出者は複数になるということに過ぎません。
 なお、上に紹介しているスレッドのA-1の補足で紹介されている
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=23368
については、当時とは状況が変わってはいますが、
http://blog.goo.ne.jp/jizokukanou/e/57fbb2302186168dcc5eef4689f6c1ea#comment-list
も参考になさってください。
返信する
メ-カ- (矢田)
2011-11-09 15:34:18
ご教示を願います。
公共事業において、工事会社に資材を納入するメ-カ-ですが、資材梱包に木枠を用いております。
納入後は木枠をばらして用いることになりますが、メ-カ-としては木枠も出荷時点では大切な資材を梱包する為の商品の一部と考えております。開梱してはじめて木枠は産廃となるわけですが、この場合のメ-カ-としては排出業者となり木枠を引き取る責任が生じるのでのでしょうか・・・ご教示をお願いいたします。
返信する
みなさま (堀口昌澄)
2011-11-09 16:21:05
北村様
真茶香様

コメントありがとうございます。
お返事遅くなり申し訳ありません。

お二方の間で意見が違うということは、やはり通説はないと考えたほうがよいのかもしれません。
こんな事例はいくらでもあるのですが、やり方はいまだにバラバラなのでしょう。

いつかフジコー事件のように裁判になればはっきりするのでしょうけど。

矢田様

コメントありがとうございます。
これは建設工事に伴って排出されるのか、納入業務に伴って排出されるのかの解釈の問題だと思います。
よくある解釈を取るならば、納入後も木枠梱包されていて、ユーザーが必要と考えたときに開梱するのであれば、ユーザー(元請業者)の廃棄物となります。

そうしないと、ポテトチップスの袋の排出事業者がポテトチップスメーカーになってしまいます。

納入時に開梱するならば、納入業者の廃棄物と考えます。
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