三枝草日記

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

秘湯めぐり

2015-03-11 16:52:05 | 旅行

 冬の疲れを癒すため、知られざる6つの秘湯をめぐる寛ぎの旅に出かけた。早朝家を出てJR新快速、新大阪から新幹線で名古屋へ、名古屋でワイドビューしなの9に乗り換え、昼過ぎに塩尻に到着した。バスで一路最初の秘湯「鹿教湯」温泉に向かった。この温泉は文殊菩薩が鹿に化身して猟師にお湯のありかを教えたと言われることから鹿教湯(かけゆ)の名の由来となった。環境庁指定の国民保養温泉地であり、江戸時代から湯治湯として栄えた温泉である。早く宿泊する別所温泉「花屋」に着いたので、近くにある厄除け観音として有名な「北向観音」にお参りした。花屋は大正6年(1917年)創業の老舗旅館であり、純日本建築の建物は大正ロマンの奥深さを感じさせ、文化庁登録有形文化財にも指定されている。当然のことながら木造2階建ての建物にはエレベーターがなく高齢者や足の悪い人には不便である。日本庭園の一角には水車があり、郷愁を感じさせる音色が心地よく響いていた。

 2日目は「かやぶきの郷 薬師温泉旅籠」の湯に浸り名物薬膳御膳に舌鼓をうった。ここの温泉旅館は旅籠1軒のみで、二百余年前より自噴する天然温泉であり、古くは「法印の湯」と呼ばれていた。次に訪れたのは渓流沿いの「日本一の大露天風呂」と言われる寶川温泉。総湯量毎分1800リットルが自噴し、かけ流し4つの大露天風呂が点在しており湯船は延べ面積470畳にも及ぶ広さである。麻耶の湯は女性専用になっており、他の3の湯船は混浴になっている。「テルマエロエ2」のロケがあった湯船にゆったりと浸り、他の湯船にも入ってみたかったが、少し距離もあり裸のまま移動するのも抵抗があり諦めた。中には湯船を行き来している人もあり、混浴なので女性も大勢入浴していた。大露天風呂で温泉気分を満喫した後、源泉かけ流しと自家製豆腐の宿「猿ヶ京温泉」に宿泊した。できたての豆腐や旬の食材を使った豆腐懐石は美味であった。夕食後、思いもよらぬ餅つき体験をすることができた。ひと昔前は臼と杵で餅搗きをしていたが、何時の頃からか餅つき機に取って代わられた。最近では餅搗きもせず店で買って済ませる家庭も多いようだ。自分から買って出て搗いたが、腰が据わり手慣れていると褒められた。これも昔取った杵柄か。女将さんの民話を聞きながら試食する餅の味は格別であった。餅は杵で搗くに限る。

 翌日は10時まで旅館でゆっくり寛ぎ、法師温泉「長寿館」へ向かった。この温泉は弘法大師巡錫の折の発見と伝えられ、法師乃湯とも呼ばれている。与謝野鉄幹、与謝野晶子、若山牧水、川端康成をはじめ多くの文人も訪れている。国鉄時代にフルムーンポスター、CMに使われたことで有名になった。「長寿館」は創業140年、国登録有形文化財の宿で鹿鳴館調建物である。この辺に来ると雪が沢山残っていた。雪を眺めながらの入浴は風情があった。帰りの新幹線は米原付近の雪の為、大幅に遅れ家に着いた頃には日が変わっていた。帰りの新幹線は滅多に乗ることのない、ひかりグリーン車で快適であった。座席も豪華、おしぼりのサービスまであり飛行機並みであった。

 温泉三昧のプチ湯治となった今回の旅、温泉の効能が随所に表れ身も心も癒された。乾燥肌がつるつるに、足の痛みもひき、足の指先のしもやけの跡がピンク色に変わり、身体もぽかぽかと温まった。