三枝草日記

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おくりびと

2009-03-13 18:47:32 | 映画

 久し振りに映画館に足を運ぶ。4年ほど前、淡路島から集団開拓に出た稲田藩の546人の苦労と成功の話しをえがいた「北の零年」を見に行って以来である。阪神・淡路10周年記念事業「北の零年」記念シンポジュウムが被災地でもある淡路島の淡路夢舞台国際会議場で開催され、主演の吉永小百合、建築家の安藤忠雄らによるパネルディスカッションが行われた。そのシンポジュウムに参加して、強い印象を受け、久し振りに映画に行った。

 この度「おくりびと」がアカデミー賞を受賞し、93年にベストセラーになった、原作の「納棺夫日記」を読み、再び封切られるのを待って、映画館に飛んで行く。話題の映画だけに、かなりの観客が入るだろうと予想し、午後の上映時間の少し早めに行ってみたが、もう長蛇の列が出来ていた。入場して、かろうじて前より4列目に座ることは出来たが、、ワイドな大型画面は少し見づらかった。アカデミー賞効果は凄いと思った。こんな状況は、数十年前の映画全盛期のようである。

 映画では、主人公が職を失って故郷に帰り、「納棺夫」になる物語である。原作者は富山県の出身であるが、映画の舞台は山形に設定してあり、雪の出羽三山、庄内平野の情景が映しだされ、映画の内容に見事にマッチしている。主演の本木雅弘の好演もさることながら、芸達者な山崎 努、吉行和子、笹野高史などベテランが脇を固め、見ごたえのある映画である。

 生と死について考えさせる作品であり、原作にある、這い回る蛆虫を掃き集めているいるうちに蛆も命だと思ったとき、蛆たちが光って見えた。数週間で死んでしまう小さなトンボが、何億年も前から一列に卵を連ねて、命を続けている。32歳の若さで亡くなった医師の闘病日記等特に印象に残る所であった。